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第55話 婚約指輪
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フルーレティの存在についてシャミィからエルテウスへ連絡が行き、エルテウスからの返事が返ってきた。
「事情については把握した。もしどこかからフルーレティの存在が冒険者ギルドに漏れたとしても、討伐隊が派遣されないように手を打っておこう───だってさ」
さすが次期勇者候補だ、話が分かる。
これで当面は大丈夫だろう。
夜、フルーレ村では歓迎の宴が開かれた。
マリーニャの父エーヴィル・フォン・フルーレは、フルーレ村の村長だ。
表向きは村長だが、村の中では今でも族長と呼ばれている。
その統率力と人を惹きつける魅力はマリーニャに通じるところがある。
外見はどう見ても人間であり、悪魔との混血だなんて信じられないな。
「チェイン君、我が血族に理解を示してくれた事を感謝する。どうかこれからも娘の事も宜しく頼む」
エーヴィルは深々と頭を下げる。
「やめて下さい。生死を共にした仲間として当然の事です。今ではマリーニャは俺の家族も同然です」
「そうか、君の様な若者が娘の婿になって次期族長の座を継いでくれるなら私も安心だ」
俺は口に含んだお茶を噴出した。
しまった、何か言葉を間違えたかも。
「ちょ、お父様! 話が飛躍しすぎです」
マリーニャが顔を赤らめて狼狽している。
マリーニャのこんな表情は今まで見た事がないので新鮮だ。
「思わぬライバル登場だな、どうするルッテ」
「面白そうですのでこのまま眺めていましょう」
プリンが楽しそうに笑いながらルッテに話を振るが、ルッテはそれを冷静に流す。
「チェインは女たらし。最低です」
そして何故かシズハナに女の敵認定をされる俺。
俺がいったい何をした?
宴は夜遅く、最後の一人が酔いつぶれるまで続いた。
翌朝、俺達はフルーレ村の人達に別れを済ませて帰路に就いた。
◇◇◇◇
クリムドに戻ると、まずダンガルさんの工房へ装備を受け取りにいく。
「おう、依頼の品は出来てるぜ。名付けて三尖両刃刀弐式だ。持って行きな」
見た目は三尖両刃刀とほぼ変わらないが、今回は柄の部分にも深淵の蠕虫の外皮が使用されており、部分破壊をされる心配は無くなった。
軽装の鎧も同様で、胸当て以外の部分にも深淵の蠕虫の外皮が編み込まれている。
これでいつスライムに飲み込まれても安心だ。
工房を後にした俺達は次にギルドへ赴き、受付嬢のカテリーさんにクエストの達成を報告する。
報酬の金剛石は二つ。
それぞれ小石程の大きさだが、二つ合わせて金貨5枚程の価値がある。
しかし俺達は五人。
二つの鉱石を割って五等分にする事はできない。
通常ではこういう場合は報酬の配分を巡って決闘が行われるが、≪リプレイス≫の魔法を使う事ができる俺が圧倒的に有利だ。
当然誰も決闘を言い出さない。
そもそも俺は金剛石には特に興味がないので、四人で話し合って決めて貰っても構わないんだが、全員遠慮をしているのか誰も口を開かない。
いっその事この金剛石を商会で換金して、現金を五等分してはどうかと提案しようとした時だった。
「わあ、その金剛石綺麗ですね」
振り向くと、修道服を身に纏ったプラリスがいた。
教会での仕事が終わり、帰宅途中だそうだ。
俺は冒険者として一緒に戦った時のラフな服装しか見た事がなかったが、これはこれで趣があって良いものだ。
「チェイン、鼻の下が伸びてるぞ」
プリンの一言で、皆の視線が俺に集まる。
俺は咄嗟に平静を装って話しかける。
「こほん、プラリスは金剛石が好きかい?」
「ええ、金剛石と言えば婚約指輪の装飾として鉄板ですよね。女の子の憧れですよ。誰かにプレゼントするんですか?」
皆の視線が金剛石に集まる。
「じゃあこうしましょう」
マリーニャが挙手をして提案する。
「金剛石はチェインに譲ります。これで婚約指輪を作って想い人に渡して下さい」
「それはおもしろ……良い考えですわ」
「賛成だ」
「異議なし」
「いや、いきなりそんなこと言われても……」
「多数決でそう決まりました」
どうやら拒否権はないようだ。
俺は強制的に金剛石を受け取る事になった。
渡す相手を間違えたら修羅場待ったなしだな……。
◇◇◇◇
「おやっさん、ちょっといいかい?」
「おう、チェインか。さっきぶりだな。今度はどんな用だ?」
「これなんですけど」
俺は金剛石を取りだし、ダンガルさんに渡す。
「おお、こりゃ立派な金剛石じゃないか。するってーとあれか」
「はい、これで婚約指輪を作って欲しいんです」
「おお、そりゃ目出度いねえ。誰に渡すんだ? マリーニャか? ああ、ルッテとは父親公認のお付き合いだっけか?」
「付き合ってはいません」
「そうだっけか。じゃあプリン……はないか。さすがにシズハナちゃんはそう言う話にはまだ早いぞ。それとも別の……」
「いえ、まだ相手は決まっていません」
「なんじゃそりゃあ?」
俺は成り行き上とはいえ、渡す相手も決まっていないのにフリーサイズの指輪を作ってもらう事になった。
「事情については把握した。もしどこかからフルーレティの存在が冒険者ギルドに漏れたとしても、討伐隊が派遣されないように手を打っておこう───だってさ」
さすが次期勇者候補だ、話が分かる。
これで当面は大丈夫だろう。
夜、フルーレ村では歓迎の宴が開かれた。
マリーニャの父エーヴィル・フォン・フルーレは、フルーレ村の村長だ。
表向きは村長だが、村の中では今でも族長と呼ばれている。
その統率力と人を惹きつける魅力はマリーニャに通じるところがある。
外見はどう見ても人間であり、悪魔との混血だなんて信じられないな。
「チェイン君、我が血族に理解を示してくれた事を感謝する。どうかこれからも娘の事も宜しく頼む」
エーヴィルは深々と頭を下げる。
「やめて下さい。生死を共にした仲間として当然の事です。今ではマリーニャは俺の家族も同然です」
「そうか、君の様な若者が娘の婿になって次期族長の座を継いでくれるなら私も安心だ」
俺は口に含んだお茶を噴出した。
しまった、何か言葉を間違えたかも。
「ちょ、お父様! 話が飛躍しすぎです」
マリーニャが顔を赤らめて狼狽している。
マリーニャのこんな表情は今まで見た事がないので新鮮だ。
「思わぬライバル登場だな、どうするルッテ」
「面白そうですのでこのまま眺めていましょう」
プリンが楽しそうに笑いながらルッテに話を振るが、ルッテはそれを冷静に流す。
「チェインは女たらし。最低です」
そして何故かシズハナに女の敵認定をされる俺。
俺がいったい何をした?
宴は夜遅く、最後の一人が酔いつぶれるまで続いた。
翌朝、俺達はフルーレ村の人達に別れを済ませて帰路に就いた。
◇◇◇◇
クリムドに戻ると、まずダンガルさんの工房へ装備を受け取りにいく。
「おう、依頼の品は出来てるぜ。名付けて三尖両刃刀弐式だ。持って行きな」
見た目は三尖両刃刀とほぼ変わらないが、今回は柄の部分にも深淵の蠕虫の外皮が使用されており、部分破壊をされる心配は無くなった。
軽装の鎧も同様で、胸当て以外の部分にも深淵の蠕虫の外皮が編み込まれている。
これでいつスライムに飲み込まれても安心だ。
工房を後にした俺達は次にギルドへ赴き、受付嬢のカテリーさんにクエストの達成を報告する。
報酬の金剛石は二つ。
それぞれ小石程の大きさだが、二つ合わせて金貨5枚程の価値がある。
しかし俺達は五人。
二つの鉱石を割って五等分にする事はできない。
通常ではこういう場合は報酬の配分を巡って決闘が行われるが、≪リプレイス≫の魔法を使う事ができる俺が圧倒的に有利だ。
当然誰も決闘を言い出さない。
そもそも俺は金剛石には特に興味がないので、四人で話し合って決めて貰っても構わないんだが、全員遠慮をしているのか誰も口を開かない。
いっその事この金剛石を商会で換金して、現金を五等分してはどうかと提案しようとした時だった。
「わあ、その金剛石綺麗ですね」
振り向くと、修道服を身に纏ったプラリスがいた。
教会での仕事が終わり、帰宅途中だそうだ。
俺は冒険者として一緒に戦った時のラフな服装しか見た事がなかったが、これはこれで趣があって良いものだ。
「チェイン、鼻の下が伸びてるぞ」
プリンの一言で、皆の視線が俺に集まる。
俺は咄嗟に平静を装って話しかける。
「こほん、プラリスは金剛石が好きかい?」
「ええ、金剛石と言えば婚約指輪の装飾として鉄板ですよね。女の子の憧れですよ。誰かにプレゼントするんですか?」
皆の視線が金剛石に集まる。
「じゃあこうしましょう」
マリーニャが挙手をして提案する。
「金剛石はチェインに譲ります。これで婚約指輪を作って想い人に渡して下さい」
「それはおもしろ……良い考えですわ」
「賛成だ」
「異議なし」
「いや、いきなりそんなこと言われても……」
「多数決でそう決まりました」
どうやら拒否権はないようだ。
俺は強制的に金剛石を受け取る事になった。
渡す相手を間違えたら修羅場待ったなしだな……。
◇◇◇◇
「おやっさん、ちょっといいかい?」
「おう、チェインか。さっきぶりだな。今度はどんな用だ?」
「これなんですけど」
俺は金剛石を取りだし、ダンガルさんに渡す。
「おお、こりゃ立派な金剛石じゃないか。するってーとあれか」
「はい、これで婚約指輪を作って欲しいんです」
「おお、そりゃ目出度いねえ。誰に渡すんだ? マリーニャか? ああ、ルッテとは父親公認のお付き合いだっけか?」
「付き合ってはいません」
「そうだっけか。じゃあプリン……はないか。さすがにシズハナちゃんはそう言う話にはまだ早いぞ。それとも別の……」
「いえ、まだ相手は決まっていません」
「なんじゃそりゃあ?」
俺は成り行き上とはいえ、渡す相手も決まっていないのにフリーサイズの指輪を作ってもらう事になった。
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