パーティを追放された鈺魔導士はパラメータチェンジ魔法を覚えたら誰にも負けなくなった

かにくくり

文字の大きさ
55 / 93

第55話 婚約指輪

しおりを挟む
 フルーレティの存在についてシャミィからエルテウスへ連絡が行き、エルテウスからの返事が返ってきた。

「事情については把握した。もしどこかからフルーレティの存在が冒険者ギルドに漏れたとしても、討伐隊が派遣されないように手を打っておこう───だってさ」

 さすが次期勇者候補だ、話が分かる。
 これで当面は大丈夫だろう。

 夜、フルーレ村では歓迎の宴が開かれた。

 マリーニャの父エーヴィル・フォン・フルーレは、フルーレ村の村長だ。
 表向きは村長だが、村の中では今でも族長と呼ばれている。
 その統率力と人を惹きつける魅力はマリーニャに通じるところがある。

 外見はどう見ても人間であり、悪魔フルーレティとの混血だなんて信じられないな。

「チェイン君、我が血族に理解を示してくれた事を感謝する。どうかこれからも娘の事も宜しく頼む」

 エーヴィルは深々と頭を下げる。

「やめて下さい。生死を共にした仲間として当然の事です。今ではマリーニャは俺の家族も同然です」

「そうか、君の様な若者が娘の婿になって次期族長の座を継いでくれるなら私も安心だ」

 俺は口に含んだお茶を噴出した。
 しまった、何か言葉を間違えたかも。

「ちょ、お父様! 話が飛躍しすぎです」

 マリーニャが顔を赤らめて狼狽している。
 マリーニャのこんな表情は今まで見た事がないので新鮮だ。

「思わぬライバル登場だな、どうするルッテ」

「面白そうですのでこのまま眺めていましょう」

 プリンが楽しそうに笑いながらルッテに話を振るが、ルッテはそれを冷静に流す。

「チェインは女たらし。最低です」

 そして何故かシズハナに女の敵認定をされる俺。

 俺がいったい何をした?

 宴は夜遅く、最後の一人が酔いつぶれるまで続いた。


 翌朝、俺達はフルーレ村の人達に別れを済ませて帰路に就いた。


◇◇◇◇


 クリムドに戻ると、まずダンガルさんの工房へ装備を受け取りにいく。

「おう、依頼の品は出来てるぜ。名付けて三尖両刃刀弐式トライサーフ・ツヴァイだ。持って行きな」

 見た目は三尖両刃刀トライサーフとほぼ変わらないが、今回は柄の部分にも深淵の蠕虫アビイスワームの外皮が使用されており、部分破壊をされる心配は無くなった。

 軽装の鎧も同様で、胸当て以外の部分にも深淵の蠕虫アビイスワームの外皮が編み込まれている。
 これでいつスライムに飲み込まれても安心だ。

 工房を後にした俺達は次にギルドへ赴き、受付嬢のカテリーさんにクエストの達成を報告する。

 報酬の金剛石は二つ。
 それぞれ小石程の大きさだが、二つ合わせて金貨5枚程の価値がある。

 しかし俺達は五人。
 二つの鉱石を割って五等分にする事はできない。
 通常ではこういう場合は報酬の配分を巡って決闘が行われるが、≪リプレイス≫の魔法を使う事ができる俺が圧倒的に有利だ。
 当然誰も決闘を言い出さない。

 そもそも俺は金剛石には特に興味がないので、四人で話し合って決めて貰っても構わないんだが、全員遠慮をしているのか誰も口を開かない。

 いっその事この金剛石を商会で換金して、現金を五等分してはどうかと提案しようとした時だった。

「わあ、その金剛石綺麗ですね」

 振り向くと、修道服を身に纏ったプラリスがいた。
 教会での仕事が終わり、帰宅途中だそうだ。

 俺は冒険者として一緒に戦った時のラフな服装しか見た事がなかったが、これはこれで趣があって良いものだ。

「チェイン、鼻の下が伸びてるぞ」

 プリンの一言で、皆の視線が俺に集まる。
 俺は咄嗟に平静を装って話しかける。

「こほん、プラリスは金剛石が好きかい?」

「ええ、金剛石と言えば婚約指輪の装飾として鉄板ですよね。女の子の憧れですよ。誰かにプレゼントするんですか?」

 皆の視線が金剛石に集まる。

「じゃあこうしましょう」

 マリーニャが挙手をして提案する。

「金剛石はチェインに譲ります。これで婚約指輪を作って想い人に渡して下さい」

「それはおもしろ……良い考えですわ」
「賛成だ」
「異議なし」

「いや、いきなりそんなこと言われても……」

「多数決でそう決まりました」

 どうやら拒否権はないようだ。
 俺は強制的に金剛石を受け取る事になった。
 渡す相手を間違えたら修羅場待ったなしだな……。


◇◇◇◇


「おやっさん、ちょっといいかい?」

「おう、チェインか。さっきぶりだな。今度はどんな用だ?」

「これなんですけど」

 俺は金剛石を取りだし、ダンガルさんに渡す。

「おお、こりゃ立派な金剛石じゃないか。するってーとあれか」

「はい、これで婚約指輪を作って欲しいんです」

「おお、そりゃ目出度いねえ。誰に渡すんだ? マリーニャか? ああ、ルッテとは父親公認のお付き合いだっけか?」

「付き合ってはいません」

「そうだっけか。じゃあプリン……はないか。さすがにシズハナちゃんはそう言う話にはまだ早いぞ。それとも別の……」

「いえ、まだ相手は決まっていません」

「なんじゃそりゃあ?」

 俺は成り行き上とはいえ、渡す相手も決まっていないのにフリーサイズの指輪を作ってもらう事になった。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

処理中です...