パーティを追放された鈺魔導士はパラメータチェンジ魔法を覚えたら誰にも負けなくなった

かにくくり

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第56話 考古学者

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 ここで一つ疑問が湧き上がった。

 フルーレ村の付近で悪魔に遭遇し、ギルドに依頼を出したという冒険者だ。

 怪我を負わされた復讐の為に、自分より強い冒険者に討伐を依頼するという話は珍しくない。
 しかし、金剛石という高価な鉱物を報酬にしてまで依頼を出す必要はあるだろうか。

 復讐の線は消える。

 他の可能性としては、その冒険者はフルーレ村の付近で何かをしていた。
 その為、邪魔な悪魔を排除する必要があったのだ。
 悪魔が討伐された今、その冒険者は再度フルーレ村へ向かうだろう。
 そうなると、フルーレティの存在を知られてしまう恐れがある。
 エルテウスが何とかしてみるとは言っているものの、不安材料は早めに排除するに越した事はない。

「その冒険者が何をしているのか調べてみる必要がありますね」

 俺達はマリーニャの一声でその冒険者について調べてみる事にした。
 その人物は案外簡単に見つかった。

「ええ、フルーレ村からクリムドにやってきた怪我人ですね。覚えていますよ。私が治療しましたから」

 思った通りだ。
 その人物はクリムドの教会でプラリスの治療を受けていたという。

 俺はプラリスにその人物の特徴を聞き、捜査を開始する。

「緑色のポニーテールに赤い瞳の女性。身長は160センチ程で痩せ形。胸は大きめ」
「チェイン、ここぞとばかりに女性の胸をじろじろ見るのはやめておけよ」

「か、勘違いするなよな。俺は捜査の為に仕方なく……」

「チェインは大きめの胸がお好きですの? でしたら……」

「はい、その辺でやめなさい」

 なシズハナが膨れっ面をしているのが見えたので談笑はここでお開きだ。

「いた。あの酒場の中」

 シズハナが冒険者御用達の酒場の中にその人物を見つける。
 俺達は普通に客として酒場に入り、本人と接触をする。

「こんにちは。ご一緒しても宜しいでしょうか」


「おや、あなた達は……【フルーレティ】の方々ですね。先日は私の依頼を受けていただいて有難うございました」

「ええ、あんな簡単な依頼で金剛石を貰ってしまって、逆に申し訳ありません」

 しかしあれでもレベル80相当の悪魔だ。相場を考えれば決して高くはない。

「レベル80の悪魔討伐を簡単とか、言ってくれますね。並の冒険者ではまず返り討ちにあうでしょうよ。現にレベル62の私でも手も足も出なかった」

 今まで国崩こくほう級モンスターの討伐等で感覚が麻痺してしまっているが、レベル80というものは全国でもトップクラスの冒険者パーティしか到達していない。
 現に、マリーニャもレベルだけならまだ76しかない。

 俺達もお酒を注文して軽く酔った振りをして、彼女から話を聞き出す。

「それで、あなたはあんな所で何を?」

「申し遅れました。私はホリック・ユーベン。冒険者兼考古学者をしています」

 考古学者。
 各地の遺跡や文献を調査し、過去にあった出来事を調べる者である。
 魔物の住まう危険な遺跡を探索する事も多く、冒険者と兼用している者も多い。

「今から1000年程前、悪魔と呼ばれる者がこの世界にやってきたといいます。特に悪魔の将フルーレティの話はあなた方もご存じでしょう。何せパーティ名が【悪魔フルーレティ】という位ですからね」

「はい、そのフルーレティの強さにあやかりたいと思い、この名前を付けました」

「そのフルーレティですが、どの文献にも最期がどうなったのか書かれていない。しかし、私はフルーレティが連合軍との戦いで負傷した事、その後現ギルガリア王国の南で消息を絶ったという事まで付きとめました」

 この女性は独自でそこまで調べ上げていたのだ。
 俺達に緊張が走る。

「成る程、それでフルーレ村の付近を調査していたんですね」

「はい。後はご存知の通り、悪魔に襲われて調査を中断する羽目になりました。しかしあなた方があの悪魔を倒してくれたおかげで調査を再開できます」

 どうやら俺達が急いで悪魔を討伐した事が裏目に出たようだ。
 もし彼女が氷の中で眠るフルーレティを目にしたらどうするだろう。

 彼女自身は何もしないだろうが、世間に発表されれば世界中がフルーレティの討伐に動くだろう。

「それで、次の調査にはいつ向かう予定ですか?」

「別件で他にも調査をしているものがありますので、それが終わってからですね。一ヶ月後ぐらいでしょうか」

「分かりました。これも何かの縁です。私達も同行してもよろしいでしょうか?」

「それは心強い。こちらこそ宜しくお願いします」

 俺達はその後ホリックさんと簡単な世間話をし、本当に酔いが回ってきた頃に酒場を後にした。

「マリーニャどうするんだ? このままだと間違いなくフルーレティの存在が世間に明るみになるぞ」

「そうですね……猶予は一ヶ月ですか。それまでになんとか考えましょう」

「フルーレティを起こして他所に移動してもらうとか」

「それもありですわね」
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