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…また、悪徳皇后に転生してしまった。
しかも、同じく処刑されるアスメリア・ヴィア・ディナヴィーに。
まったく、本当に私はかつて日本で何をしたというんだ。
神様がいるのならば、抗議したい。
…前時間枠ではいろいろ確かに非道なことは多々やらかしたと思うけれども。
ーーー処刑されてすぐ。
私は、城の自室の天蓋付きのベッドの上で目を覚ました。
処刑された40歳ではなく、10歳の子供の姿になっていたけど。
処刑されるくだりは悪い夢かと思ったけど、妙に生々しく記憶が残っているし、処刑で殺される直前の首の後ろが相場に当たる感触も覚えてる。
…思い出すたびに寒気がするけど。
目が覚めた直後は、首と胴体がくっついているか頻繁に確認して城の侍女に変な目で見られた。
あと、どうやら高熱を出して倒れて2日ほど寝込んでいたらしく、私が目が覚めた時はちょっとした騒ぎがあった。
まあ、そんなことは置いといて…処刑云々のことは、きっと私がアスメリアとして実際に体験したこと。
処刑直後、なんでかわからないけど時間逆行して、前世の記憶を所有したまま10歳まで巻き戻った…と。
頭の中で状況を整理すると、こういうことになるけど。
なにこれ。どこぞのライトノベルですか。
…小説より現実は奇なりとはよく言ったものよね。
日本では、時間逆行もののライトノベルがあったからある程度すぐに自分の状況をなんとなーく察することができたけど、実際に身をもって体験すると、奇妙なことこの上ない。
さて、このままだと私はまた処刑されてしまうわけなのだが…
もう二度と、処刑なんて経験はしたくない。
いや、だれでも2回も三回も殺されたいなんて思う人いないだろう。
というわけで、まずはこの小説の物語と現状のアスメリア【私】の状況をまとめてみましょう。
なんか書くものがほしいわね。
「リノ」
そばに控えていた私専属侍女のリノを呼ぶ。
リノは私が生まれた時から仕えてくれている侍女で、処刑される直前までそばで私の世話をしてくれていた。
城の中で一番信用できる侍女だ。
「はい、お呼びでしょうか、皇女殿下」
「なにか、書く物を持ってきてくれないかしら」
「承知いたしました」
静かに退出したリノは、すぐにノートとペンを持って戻ってきた。
「ありがとう」と言って受け取ると、「あの、」とリノが珍しく勇気を出したように声をかけてきた。
「なにかしら」
「殿下がお目覚めになってから、数日、侍女たちの間で殿下の様子が変だと噂になっております。常日頃お傍におります私の目から見ても、殿下の様子が変わったようにお見受けします。まだお加減がよろしくないのでしたら、あまりご無理をなさらないほうがよろしいかと…」
「あら」
侍女達の間で話題になっていたのね。
たしかに、今までの私と前世の記憶を持っている私とは多少人格も異なる箇所が多々ありそう。
「問題はないわ、心配ありがとう」
特に問題もないので、心配いらないよという意味で笑って見せる。
「いえ、そんな。恐縮です」
あら…リノの顔がうっすら赤くなった気がするけど。
大丈夫かしら。
そのままリノは壁際に行ってしまった。
…まあ、風邪っぽいようであれば様子を見て早めに休むように言いましょうか。
しかも、同じく処刑されるアスメリア・ヴィア・ディナヴィーに。
まったく、本当に私はかつて日本で何をしたというんだ。
神様がいるのならば、抗議したい。
…前時間枠ではいろいろ確かに非道なことは多々やらかしたと思うけれども。
ーーー処刑されてすぐ。
私は、城の自室の天蓋付きのベッドの上で目を覚ました。
処刑された40歳ではなく、10歳の子供の姿になっていたけど。
処刑されるくだりは悪い夢かと思ったけど、妙に生々しく記憶が残っているし、処刑で殺される直前の首の後ろが相場に当たる感触も覚えてる。
…思い出すたびに寒気がするけど。
目が覚めた直後は、首と胴体がくっついているか頻繁に確認して城の侍女に変な目で見られた。
あと、どうやら高熱を出して倒れて2日ほど寝込んでいたらしく、私が目が覚めた時はちょっとした騒ぎがあった。
まあ、そんなことは置いといて…処刑云々のことは、きっと私がアスメリアとして実際に体験したこと。
処刑直後、なんでかわからないけど時間逆行して、前世の記憶を所有したまま10歳まで巻き戻った…と。
頭の中で状況を整理すると、こういうことになるけど。
なにこれ。どこぞのライトノベルですか。
…小説より現実は奇なりとはよく言ったものよね。
日本では、時間逆行もののライトノベルがあったからある程度すぐに自分の状況をなんとなーく察することができたけど、実際に身をもって体験すると、奇妙なことこの上ない。
さて、このままだと私はまた処刑されてしまうわけなのだが…
もう二度と、処刑なんて経験はしたくない。
いや、だれでも2回も三回も殺されたいなんて思う人いないだろう。
というわけで、まずはこの小説の物語と現状のアスメリア【私】の状況をまとめてみましょう。
なんか書くものがほしいわね。
「リノ」
そばに控えていた私専属侍女のリノを呼ぶ。
リノは私が生まれた時から仕えてくれている侍女で、処刑される直前までそばで私の世話をしてくれていた。
城の中で一番信用できる侍女だ。
「はい、お呼びでしょうか、皇女殿下」
「なにか、書く物を持ってきてくれないかしら」
「承知いたしました」
静かに退出したリノは、すぐにノートとペンを持って戻ってきた。
「ありがとう」と言って受け取ると、「あの、」とリノが珍しく勇気を出したように声をかけてきた。
「なにかしら」
「殿下がお目覚めになってから、数日、侍女たちの間で殿下の様子が変だと噂になっております。常日頃お傍におります私の目から見ても、殿下の様子が変わったようにお見受けします。まだお加減がよろしくないのでしたら、あまりご無理をなさらないほうがよろしいかと…」
「あら」
侍女達の間で話題になっていたのね。
たしかに、今までの私と前世の記憶を持っている私とは多少人格も異なる箇所が多々ありそう。
「問題はないわ、心配ありがとう」
特に問題もないので、心配いらないよという意味で笑って見せる。
「いえ、そんな。恐縮です」
あら…リノの顔がうっすら赤くなった気がするけど。
大丈夫かしら。
そのままリノは壁際に行ってしまった。
…まあ、風邪っぽいようであれば様子を見て早めに休むように言いましょうか。
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