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第一部 宰相家の居候
216 見放すのではなく、選ぶ
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※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
「貴方にはラガルサ殿が〝転移扉〟を稼働させて、私と彼女が帰国するまでの間、エドベリ殿下とアンジェスの聖女を眠らせておけるような薬の原材料を提供して貰いたい。実際の調合は、今、ラハデ公爵邸に捕らえられている三人組と、彼らの協力者だった調合室の男にさせれば良いだろう。いざとなったら彼らにその責を負わせられるからな。貴方の提供分も、その横流しされた薬草の中に紛らせてしまえば、貴方の罪も問われないだろうし、彼ら自身、薬草を横流しした罰としては相応のものになるだろう」
「なっ……」
王立植物園内で薬草と情報の横流しが行われようとしていた事を、なぜアンジェス国の宰相が――とキスト室長は思ったに違いない。
……すみません、洗いざらい喋らされました。
そのうち使いどころはあるだろうと、あんまり深く考えずにラハデ公爵邸に放り込んでおいた三人組と、ルヴェックが洗脳して調合室に戻した青年を「使える」と言ったのも、コノヒトです。
そんな私の内心を、キスト室長も表情から察してくれたみたいだった。
ちょっぴり同情混じりの視線が向けられた気がする。
「在庫のある睡眠薬ではなく、一からの調合をさせるのは……捕らえられた連中を楯にするため……?」
「それもあるが、作らせたい薬が一種類ではないと言う事もある。睡眠薬程度なら、在庫の使用が発覚しても『間違えました』がまだ通用するのだから、わざわざ調合させる必要はない」
「……と、仰いますと?」
本来、王族に薬を盛る時点で、間違えましたで済む筈ないだろうとは思うものの、まだ押し切れると言う事なのだろうか。
一般的には、言語道断と怒りを露わにしてもおかしくないところだろうに、キスト室長はむしろこの話に関心を示しつつあるようだった。
やはり当代〝扉の守護者〟を役目から解放したいとの思いが、彼の根底には流れているのかも知れない。
「魔力を〝転移扉〟に注いだ後、力を最低限しか回復させない――つまり今とは真逆の効果を持つ〝魔法薬〟を作って貰いたい」
「真逆?」
「数少ない〝扉の守護者〟としての魔力の持ち主である以上、死なれるのも困るが、かと言って十二分に回復した後で国政に害がある程好き放題されるのも困るし、特定の貴族の傀儡にされるのも困る。ラガルサ殿に代わる者には、ただ〝転移扉〟の維持だけに注力して貰いたいと言うのがエヴェリーナ妃の本音だ。キスト辺境伯家は、ラガルサ殿の後見名目でそれなりに優遇されていたとの事だが」
答えはすぐには返らず、キスト室長は少しだけ不愉快そうに眉を顰めた。
もっともそれは、エドヴァルドに向けての感情ではなかったようだ。
「ただ家庭教師だったと言うだけで後見を名乗り、当人は機密保持もあって王宮から一歩も出られない生活だと言うのに、実家に多少の仕送りをするだけで大きな顔をしているのだから、私などからすれば当主も次期当主も、厚顔無恥も甚だしい。侍女の一人と何十年も事実婚のような生活を続けているラガルサ殿は、もうそろそろ穏やかに王宮の外で暮らさせてやるべきだと――そう考えるのは、実家への不忠と仰いますか?」
「いや。いざと言う時に実家を優先して、やはりラガルサ殿を下がらせるべきではないなどと言われると、計画が根底から覆るからな。予め尋ねさせて貰っただけだ」
「そう言う事であれば、私は実家から距離を置いている人間ですので、御心配なくと申し上げておきます」
意外に強い口調のキスト室長は、もしかすると今も実家と上手くいっていないのかも知れないけれど、エドヴァルドも、それ以上は聞く必要がないと判断したみたいで「なるほど」としか、そこは答えなかった。
「それで、閣下がお望みの〝魔法薬〟の件ですが」
「あ、ああ」
「魔力や体力を回復させない薬と言うのは現状難しいです。奪い取る薬なら幾つかはありますが、その場合、常習性が出てしまい、命に関わると言う副作用がありますので、対〝扉の守護者〟に対しては不適切な薬になると思われます。元々、要人の暗殺や誘拐狙いの対不審者宛に使うような薬ですから、尚更に」
「……確かに」
「ですから、閣下とエヴェリーナ妃からの内々のご相談と仰るなら、こちらからも一つ、願い事を追加させていただいても宜しいでしょうか」
キスト室長とエドヴァルドの視線が交錯する。
私はこの緊迫した空気に口を挟めず、挟むつもりもないが、黙って見守る事しか出来なかった。
「……ナリスヴァーラ城に押し込められているも同然の私と、後宮に住まうご正妃殿とで聞ける事であれば、検討しよう」
「有難うございます。何、そう難しい話ではないと思いますよ。その話――睡眠薬は別として、こちらが指定する薬も併せて試してみても良いと言う事ならば、お引き受けしましょう。もちろん、ラガルサ殿の身を王宮から解放する事と、私の室長としての立場を保障いただく事は大前提とさせて頂きますが」
「―――」
その瞬間、私の背筋はちょっぴり寒くなった。
今きっと、キスト室長の本質に近い、研究者としての狂気が一瞬滲み出ていたと思う。
「……具体的に、どういった症状を引き起こす薬なのかを聞いても?」
表情に出ないエドヴァルドも、多分それは察せられた筈だ。
睡眠薬はエドベリ王子に盛るのだとしても――そうじゃない方は。
「私はね、閣下。ラガルサ殿から頼まれていたんですよ。もちろん、私が研究していた『魔力を回復させる魔法薬』が完成すれば、それにこした事はない。だがもし、それが自分の魔力枯渇に間に合わないようであれば――〝扉の守護者〟として過ごした記憶だけを消す、そんな薬が欲しいと」
「記憶を……消す?」
「元々洗脳の為の魔道具があるくらいですから、記憶を消すと言うのは理論上そう難しい事ではないんですよ。洗脳が記憶を書き換える為の道具ならば、魔法薬はその記憶を白紙にしてしまう物とでも。それと、洗脳はあくまで道具が稼働している間の、期限付の効果に過ぎませんが、白紙になった記憶はもはや戻しようがありません。だから『消去』なんですよ」
「それは……完成したのか?」
「ユングベリ嬢が植物園に来るようになった直前に、調合の手順書は出来上がりましたよ。小動物での実験も行って、どうやら死なないようだと言うところまではこぎ着けましたが――何しろまだ、人間で試せていなかったもので、消える記憶が限定的なのか、全てなのかが判然としていないと言ったところでしたね」
仮に全ての記憶が無くなったとしても、彼のパートナーである侍女がずっと側にいると、キスト室長に言っていたらしい。
恐らく次回の〝扉〟の整備か、その次くらいかで、ギーレン国の当代〝扉の守護者〟の魔力は足りなくなる。
枯渇して命が危うくなる、あるいは能力を見限られた後に、機密保持の為に殺されてしまうくらいならば、その前に機密ごと記憶を失って、王宮から下がる事が出来れば――と、彼らは考えたんだそうだ。
「その薬を試してみたいのか……」
「ええ。その結果どうなるかと言う『結果』は、確実に今後の王家の武器として、役に立ちますからね。上手くいけば都合の悪い記憶だけを消せる。失敗しても、せいぜい本人が二度と目覚めないかも知れないと言う程度で、死ぬ事はない。次代〝扉の守護者〟が死ぬ事さえなければ良いと、先程仰いましたよね?であれば、私からの提案も『利害の一致』とはなりませんか?」
王子には睡眠薬を。
聖女には記憶をなくす効果があると言われている、新薬を。
「…っ」
茫然としている私の手を、隣にいたエドヴァルドが、そっと握ってきた。
「いいだろう。エヴェリーナ妃には、私の方からそう伝えよう」
まるで決断したのは自分だと――私が突き放した訳ではないとでも言うように、気付けばエドヴァルドがそれを答えていた。
隣にいるのに、その声はどこか遠くに響いているようだった。
「薬草と調合の手順書の準備が出来たら、彼女に伝えて貰いたい。薬自体は、エヴェリーナ妃あるいはコニー夫人どちらかがタイミングを見計らって盛ると言っていた。ベルトルド国王が、イルヴァスティ子爵令嬢とその母親のところに通う日を狙うと」
「既に……そこまで……」
「何しろ、私と彼女は手に手をとってギーレン国を出奔する訳だからな。舞台はそれなりに整えるとも。だが私と彼女がアンジェス国に戻ったからと言って、既に彼女が手掛けていた案件やラガルサ殿の事を放置するつもりはない。エヴェリーナ妃主導にはなるが、こちらも対応は疎かにしないつもりだ」
「そう……ですか……」
ならば言う事はありません――と、キスト室長は微笑った。
キスト室長も、優先順位が明確にあると言う事なんだろう。
「では植物園に参りましょうか。国内どころか周辺諸国の中でも引けを取らないと自負している研究施設を、ぜひその目でご覧下さい。私は自家の馬車で参りますから、お二人はどうぞ来られた馬車でご一緒に」
「そうさせて貰おう」
――結局私は応接間に足を踏み入れてからこちら、一言も口を開く事が出来なかった。
(貴女は聖女を見放すわけじゃない。――ただ、私を選ぶだけだ)
エドヴァルドのその言葉が、ひたすらに頭の中を駆け巡っていた。
「貴方にはラガルサ殿が〝転移扉〟を稼働させて、私と彼女が帰国するまでの間、エドベリ殿下とアンジェスの聖女を眠らせておけるような薬の原材料を提供して貰いたい。実際の調合は、今、ラハデ公爵邸に捕らえられている三人組と、彼らの協力者だった調合室の男にさせれば良いだろう。いざとなったら彼らにその責を負わせられるからな。貴方の提供分も、その横流しされた薬草の中に紛らせてしまえば、貴方の罪も問われないだろうし、彼ら自身、薬草を横流しした罰としては相応のものになるだろう」
「なっ……」
王立植物園内で薬草と情報の横流しが行われようとしていた事を、なぜアンジェス国の宰相が――とキスト室長は思ったに違いない。
……すみません、洗いざらい喋らされました。
そのうち使いどころはあるだろうと、あんまり深く考えずにラハデ公爵邸に放り込んでおいた三人組と、ルヴェックが洗脳して調合室に戻した青年を「使える」と言ったのも、コノヒトです。
そんな私の内心を、キスト室長も表情から察してくれたみたいだった。
ちょっぴり同情混じりの視線が向けられた気がする。
「在庫のある睡眠薬ではなく、一からの調合をさせるのは……捕らえられた連中を楯にするため……?」
「それもあるが、作らせたい薬が一種類ではないと言う事もある。睡眠薬程度なら、在庫の使用が発覚しても『間違えました』がまだ通用するのだから、わざわざ調合させる必要はない」
「……と、仰いますと?」
本来、王族に薬を盛る時点で、間違えましたで済む筈ないだろうとは思うものの、まだ押し切れると言う事なのだろうか。
一般的には、言語道断と怒りを露わにしてもおかしくないところだろうに、キスト室長はむしろこの話に関心を示しつつあるようだった。
やはり当代〝扉の守護者〟を役目から解放したいとの思いが、彼の根底には流れているのかも知れない。
「魔力を〝転移扉〟に注いだ後、力を最低限しか回復させない――つまり今とは真逆の効果を持つ〝魔法薬〟を作って貰いたい」
「真逆?」
「数少ない〝扉の守護者〟としての魔力の持ち主である以上、死なれるのも困るが、かと言って十二分に回復した後で国政に害がある程好き放題されるのも困るし、特定の貴族の傀儡にされるのも困る。ラガルサ殿に代わる者には、ただ〝転移扉〟の維持だけに注力して貰いたいと言うのがエヴェリーナ妃の本音だ。キスト辺境伯家は、ラガルサ殿の後見名目でそれなりに優遇されていたとの事だが」
答えはすぐには返らず、キスト室長は少しだけ不愉快そうに眉を顰めた。
もっともそれは、エドヴァルドに向けての感情ではなかったようだ。
「ただ家庭教師だったと言うだけで後見を名乗り、当人は機密保持もあって王宮から一歩も出られない生活だと言うのに、実家に多少の仕送りをするだけで大きな顔をしているのだから、私などからすれば当主も次期当主も、厚顔無恥も甚だしい。侍女の一人と何十年も事実婚のような生活を続けているラガルサ殿は、もうそろそろ穏やかに王宮の外で暮らさせてやるべきだと――そう考えるのは、実家への不忠と仰いますか?」
「いや。いざと言う時に実家を優先して、やはりラガルサ殿を下がらせるべきではないなどと言われると、計画が根底から覆るからな。予め尋ねさせて貰っただけだ」
「そう言う事であれば、私は実家から距離を置いている人間ですので、御心配なくと申し上げておきます」
意外に強い口調のキスト室長は、もしかすると今も実家と上手くいっていないのかも知れないけれど、エドヴァルドも、それ以上は聞く必要がないと判断したみたいで「なるほど」としか、そこは答えなかった。
「それで、閣下がお望みの〝魔法薬〟の件ですが」
「あ、ああ」
「魔力や体力を回復させない薬と言うのは現状難しいです。奪い取る薬なら幾つかはありますが、その場合、常習性が出てしまい、命に関わると言う副作用がありますので、対〝扉の守護者〟に対しては不適切な薬になると思われます。元々、要人の暗殺や誘拐狙いの対不審者宛に使うような薬ですから、尚更に」
「……確かに」
「ですから、閣下とエヴェリーナ妃からの内々のご相談と仰るなら、こちらからも一つ、願い事を追加させていただいても宜しいでしょうか」
キスト室長とエドヴァルドの視線が交錯する。
私はこの緊迫した空気に口を挟めず、挟むつもりもないが、黙って見守る事しか出来なかった。
「……ナリスヴァーラ城に押し込められているも同然の私と、後宮に住まうご正妃殿とで聞ける事であれば、検討しよう」
「有難うございます。何、そう難しい話ではないと思いますよ。その話――睡眠薬は別として、こちらが指定する薬も併せて試してみても良いと言う事ならば、お引き受けしましょう。もちろん、ラガルサ殿の身を王宮から解放する事と、私の室長としての立場を保障いただく事は大前提とさせて頂きますが」
「―――」
その瞬間、私の背筋はちょっぴり寒くなった。
今きっと、キスト室長の本質に近い、研究者としての狂気が一瞬滲み出ていたと思う。
「……具体的に、どういった症状を引き起こす薬なのかを聞いても?」
表情に出ないエドヴァルドも、多分それは察せられた筈だ。
睡眠薬はエドベリ王子に盛るのだとしても――そうじゃない方は。
「私はね、閣下。ラガルサ殿から頼まれていたんですよ。もちろん、私が研究していた『魔力を回復させる魔法薬』が完成すれば、それにこした事はない。だがもし、それが自分の魔力枯渇に間に合わないようであれば――〝扉の守護者〟として過ごした記憶だけを消す、そんな薬が欲しいと」
「記憶を……消す?」
「元々洗脳の為の魔道具があるくらいですから、記憶を消すと言うのは理論上そう難しい事ではないんですよ。洗脳が記憶を書き換える為の道具ならば、魔法薬はその記憶を白紙にしてしまう物とでも。それと、洗脳はあくまで道具が稼働している間の、期限付の効果に過ぎませんが、白紙になった記憶はもはや戻しようがありません。だから『消去』なんですよ」
「それは……完成したのか?」
「ユングベリ嬢が植物園に来るようになった直前に、調合の手順書は出来上がりましたよ。小動物での実験も行って、どうやら死なないようだと言うところまではこぎ着けましたが――何しろまだ、人間で試せていなかったもので、消える記憶が限定的なのか、全てなのかが判然としていないと言ったところでしたね」
仮に全ての記憶が無くなったとしても、彼のパートナーである侍女がずっと側にいると、キスト室長に言っていたらしい。
恐らく次回の〝扉〟の整備か、その次くらいかで、ギーレン国の当代〝扉の守護者〟の魔力は足りなくなる。
枯渇して命が危うくなる、あるいは能力を見限られた後に、機密保持の為に殺されてしまうくらいならば、その前に機密ごと記憶を失って、王宮から下がる事が出来れば――と、彼らは考えたんだそうだ。
「その薬を試してみたいのか……」
「ええ。その結果どうなるかと言う『結果』は、確実に今後の王家の武器として、役に立ちますからね。上手くいけば都合の悪い記憶だけを消せる。失敗しても、せいぜい本人が二度と目覚めないかも知れないと言う程度で、死ぬ事はない。次代〝扉の守護者〟が死ぬ事さえなければ良いと、先程仰いましたよね?であれば、私からの提案も『利害の一致』とはなりませんか?」
王子には睡眠薬を。
聖女には記憶をなくす効果があると言われている、新薬を。
「…っ」
茫然としている私の手を、隣にいたエドヴァルドが、そっと握ってきた。
「いいだろう。エヴェリーナ妃には、私の方からそう伝えよう」
まるで決断したのは自分だと――私が突き放した訳ではないとでも言うように、気付けばエドヴァルドがそれを答えていた。
隣にいるのに、その声はどこか遠くに響いているようだった。
「薬草と調合の手順書の準備が出来たら、彼女に伝えて貰いたい。薬自体は、エヴェリーナ妃あるいはコニー夫人どちらかがタイミングを見計らって盛ると言っていた。ベルトルド国王が、イルヴァスティ子爵令嬢とその母親のところに通う日を狙うと」
「既に……そこまで……」
「何しろ、私と彼女は手に手をとってギーレン国を出奔する訳だからな。舞台はそれなりに整えるとも。だが私と彼女がアンジェス国に戻ったからと言って、既に彼女が手掛けていた案件やラガルサ殿の事を放置するつもりはない。エヴェリーナ妃主導にはなるが、こちらも対応は疎かにしないつもりだ」
「そう……ですか……」
ならば言う事はありません――と、キスト室長は微笑った。
キスト室長も、優先順位が明確にあると言う事なんだろう。
「では植物園に参りましょうか。国内どころか周辺諸国の中でも引けを取らないと自負している研究施設を、ぜひその目でご覧下さい。私は自家の馬車で参りますから、お二人はどうぞ来られた馬車でご一緒に」
「そうさせて貰おう」
――結局私は応接間に足を踏み入れてからこちら、一言も口を開く事が出来なかった。
(貴女は聖女を見放すわけじゃない。――ただ、私を選ぶだけだ)
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