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第一部 宰相家の居候
233 帰国前(1)
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※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
明日一度、ギーレンを離れる事になる――と、夜、ベクレル伯爵夫妻に告げた時、ダイニングで夫妻は目を丸くしていた。
「そ、そうか……いや、宰相殿が帰国を遮られていると言う現状から考えれば、戻れる機会が生まれれば、それを逃す訳にはいかないのか……」
「唐突に申し訳ありません。小父様にも小母様にも、これ以上はない程よくして頂きました。半分も恩をお返し出来ていないかも知れませんが、帰国して情勢が落ち着き次第、必ずアンジェスにお招きして、シャーリーと会っていただけるようにします。すぐとはいかないかも知れませんが――」
「いや。こちらこそ、今しばらくはやり取りも叶うまいと思っていた娘と、手紙を交わす事が出来たのだ。後は貴女が無事に帰国をしてくれれば、それで構わない」
「植物園で、まだやりかけの事は実はたくさんあるんです。多分これきりと言う事にはならないと思いますので、その時はまたこの邸宅でお二人と過ごさせて頂けたら嬉しく思います。あ、あと、手紙以外で彼女に追加で渡す物とかがあれば預かりますので、明日出発までに頂けたら――」
それに大きく頷いたのがフィロメナ夫人で、食事の後、団欒の間の方に移動したところで、夫人からアクセサリーや宝石箱と言った類の物を複数渡された。
「実のお母様の形見とか、私がこの家に嫁いで来て、先代の奥様から『シャルリーヌの嫁入り道具に』とお預かりしていたネックレスなんかは、あの子がギーレンを出る時に渡したのよ?だけどやっぱり、今の王都での流行の物なんかも買ってあげたかったし…こんな機会はなかなかないでしょうから……」
確かに、次に伯爵夫妻とシャルリーヌがいつ会えるかとなると、それは私にも断言が出来ない。
その頃はその頃で、流行が変化している可能性だってある。
本当なら、一緒に買い物をして、贈りたかったと言われると、私としても受け取らないと言う選択肢がない。
「それと、私からはこれを。実はシーカサーリの文具店に頼んで取り寄せて貰っていたところが、ちょうど今日の昼間に、品物が届いたと店員が持って来てくれてね。間に合ってよかった」
そう言ったベクレル伯爵が、今度は机に箱を二つ並べた。
「一つは貴女の物だから、開けてくれて構わんよ」
「えっ⁉」
思いがけない事を言われて、慌てて固辞しようとしたものの、夫妻共にニコニコ微笑んでまるで退いてくれる気配がないので、私も「あ…ありがとうございます…」と、折れるより他なかった。
「綺麗な羽根……‼︎」
中に入っていたのは、万年筆が開発されていない現状、最大限に高価な文具と思われる羽根ペンだった。
まるで螺鈿を思わせる、光によって色を変えているかの様な羽根で細工された、明らかに希少と分かる一品だ。
「南の地方に、イージドーアと言う美しい飾り羽で知られた鳥が生息しているんだが、ご覧の通りの羽の美しさから、一時期扇やバッグの材料として乱獲されてしまって、今ではその地方の決まった業者が、決まった量しか取り扱ってはならないとされているんだ。今となっては、王族の典礼用の扇か、高位貴族や富裕市民なんかはこうやって、羽根ペンの材料として買う事が出来るのがせいぜいでね」
第一王子の婚約者だった時には、いつか扇を仕立てて贈る事を伯爵はシャルリーヌに約束していたらしい。
「その代わりと言うにはおこがましいが、羽根ペンを入荷したら知らせてくれるように、街の文具店に頼んでおいたんだ。もう一本は、知人のいない隣国で娘の初めての友人となってくれた貴女への『感謝の印』だ。お揃いで使ってくれると嬉しいね」
と言う事は、もう一つの箱にはこれと同じものが入っていると言う事だろう。
「本当に、色々とありがとうございます。戻ったら、シャーリーとアンジェスの王都で有名なチョコレートカフェに行く約束をしていますから、必ず渡しますので……」
その後、ボードリエ伯爵家御用達のケーキ店が王都にある事や、イデオン公爵領下キヴェカス伯爵家経営の街カフェにもよく行くと話をして、いつかアンジェスを訪れた際には、色々と案内して貰って下さいと言うと、夫妻は嬉しそうに頷いたのだった。
* * *
翌朝。
私は植物園へは行かず、イザクやシーグは午後からにしたと言う事で、午前中はベクレル伯爵邸で荷造りに勤しんでいた。
どうやらイザクはもちろんの事、シーグもいったんは王立植物園の従業員寮に入ると言う事で、話はまとまったらしい。
イザクは薬が完成するまでその寮にいるらしいが、シーグは寮に住みつつ、リックの「仕事」が終わり次第、二人でどうするかを話し合うらしい。
「あー…でもシーグ、アンジェスの洋菓子店『イクスゴード』での雇用がそのままになってるから、どうするか店主さんに言いに戻った方が良いよ。今は怪我の療養中って事で、代理立てて誤魔化しているんだけどね」
「代理……?」
「そう。社会勉強がしたいって言う伯爵令息がね。看板娘ならぬ看板少年で頑張ってる」
私の苦笑いに、シーグがポカンと口を開いていた。
うん、まあ、普通は高位貴族である筈の伯爵令息が、街の洋菓子店でバイトするとかは考えないよね。
「と言っても、宰相閣下が帰国したら、その子も領地に帰らないといけないから、ずっと代理をしている訳にもいかないのよ。まあイザクと一緒にギーレンを出るか、シーグが動きにくいとかなら、リックに代わって貰うって言うのもアリだろうけど、そのあたりちょっと考えておいて」
ミカ君が戻った後の働き手に関しては、王都商業ギルドに相談するなり、公爵邸の使用人たちの子供の中で、希望者がいれば聞いてみるなり、しばらくはそれで繋げば良いか…と、この時の私は漠然と考えていた。
「わ…分かった」
洋菓子店『イクスゴード』の店主は、基本、裏表のない良い人だ。
シーグもそれが分かっているからか、私の話を一言の下に切り捨てる事はなかった。
「イザク、王宮に行く前にシーカサーリのチェルハ出版に寄って、植物園の情報紙の話をするんだけど、続きは引き継いじゃって良いかな?もちろん見本が出来上がったら、チェックなんかは私がやるんだけど。商業ギルド経由ですぐに送れる訳だから。その見本で広告を載せたい店を探して貰うのとか、チェルハ出版との直接のやり取りとかは、しばらくお願い出来る?」
いずれ植物園の中から担当編集者的な誰かを決めるのが望ましいんだけれど、最初の何回かは、定着させる意味でもこちらで主導権を取らざるを得ないと思っている――私が最後にそう付け足したところで、イザクも納得した様に頷いた。
「食堂ランチのメニューはどうするんだ。今の量だと、いくら厨房が玄人の集まりだと言っても、早々にネタが尽きるだろう」
「ああ、そこはキスト室長宛に、定期的にレシピと想定される効能を書いて送る事にしたの。そこからの抽出や実験と言った作業は、室長が中心になってやってくれるって」
大きな声では言わないが〝扉の守護者〟の為の薬に目処が立てば、キスト室長は研究時間の大半が空くらしいのだ。
むしろ積極的に関わろうとしてくれていると言って良かった。
「そっちは特許権とやらの話はしないのか」
暗に、すれば忙しくなるだろう?と問いかけられているのが分かったので、私は苦笑交じりに首を横に振った。
「今回は病気を未然に防ぐ意識を広めたい訳だから、レシピはなるべく多くの人に知って貰いたいのよね。かと言って、他のレストランで粗悪品が出回っても困るから、レシピを保護するんじゃなくて、植物園のレストランの方を『王室指定』の様な形で保護したいと思ってるの。植物園のレストランだけが『本物』を提供しています、って言う事が分かるように」
「そんな方法があるのか」
「あるらしいよ?そこはもう、キスト室長とソルディーニ園長に任せる事にした。昨日聞いたんだけど、ラハデ公爵を通してレシピを献上して、エヴェリーナ妃に認可して貰うとか…どうとか?どうやら商業ギルドとは一線を画した仕組みがあるみたい」
私の考え方としては、所謂『皇室御用達』看板を掲げる様なイメージでキスト室長に聞いてみたところ、似た仕組みはある筈だと言われたのだ。
詳しくは知らないが、王族の〇〇が泊まった宿とか、立ち寄ったレストランとか、王宮に納品している品物を取扱う商人が王宮との取引実績を謳ったりとか、たまに耳にするから、ベクレル伯爵を一度通して、ラハデ公爵に確認してみよう――と。
特許権の様に、私の方に直接何らかの収入が入ってくる訳ではないが良いのかと、室長からは問われたけれど、そこは「植物園の永年入場無料」とか「レストラン無料」とか「鉱毒の研究に協力して貰う」とか「今後のユングベリ商会との優先取引」とか、複数のお願いと引き換えに、納得して貰った。
では「特別研究員」職も貴女には授けておこう――なんて、キスト室長は微笑っていたけれど。
「あ、忘れてた。あとでちょっとベクレル伯爵にレシピの写しを見せて、近いうちにキスト室長から連絡があるって、話をしておかないと。ありがと、イザク。おかげで思い出した」
「……いや。俺も今後の流れが分かってちょうど良かった」
「うん。イザクはとにかく頑張って、薬を完成させて?きっと皆、帰って来るの待ってると思うし」
そもそも無茶ぶりな薬を作れと言った私の所為で、一人帰国が遅れるのだ。
ちょっと申し訳ないと思っているのを察してか「気にするな」と、イザクは微笑った。
「自己流で公爵邸で作っていたのとは違う、貴重な経験が出来ているんだ。ちゃんと戻って、お館様の為に還元出来る様に精進するさ」
…より物騒になると言う意味で、それ以上励ましても良いのかどうか、一瞬言葉に困ってしまったのは秘密だ。
明日一度、ギーレンを離れる事になる――と、夜、ベクレル伯爵夫妻に告げた時、ダイニングで夫妻は目を丸くしていた。
「そ、そうか……いや、宰相殿が帰国を遮られていると言う現状から考えれば、戻れる機会が生まれれば、それを逃す訳にはいかないのか……」
「唐突に申し訳ありません。小父様にも小母様にも、これ以上はない程よくして頂きました。半分も恩をお返し出来ていないかも知れませんが、帰国して情勢が落ち着き次第、必ずアンジェスにお招きして、シャーリーと会っていただけるようにします。すぐとはいかないかも知れませんが――」
「いや。こちらこそ、今しばらくはやり取りも叶うまいと思っていた娘と、手紙を交わす事が出来たのだ。後は貴女が無事に帰国をしてくれれば、それで構わない」
「植物園で、まだやりかけの事は実はたくさんあるんです。多分これきりと言う事にはならないと思いますので、その時はまたこの邸宅でお二人と過ごさせて頂けたら嬉しく思います。あ、あと、手紙以外で彼女に追加で渡す物とかがあれば預かりますので、明日出発までに頂けたら――」
それに大きく頷いたのがフィロメナ夫人で、食事の後、団欒の間の方に移動したところで、夫人からアクセサリーや宝石箱と言った類の物を複数渡された。
「実のお母様の形見とか、私がこの家に嫁いで来て、先代の奥様から『シャルリーヌの嫁入り道具に』とお預かりしていたネックレスなんかは、あの子がギーレンを出る時に渡したのよ?だけどやっぱり、今の王都での流行の物なんかも買ってあげたかったし…こんな機会はなかなかないでしょうから……」
確かに、次に伯爵夫妻とシャルリーヌがいつ会えるかとなると、それは私にも断言が出来ない。
その頃はその頃で、流行が変化している可能性だってある。
本当なら、一緒に買い物をして、贈りたかったと言われると、私としても受け取らないと言う選択肢がない。
「それと、私からはこれを。実はシーカサーリの文具店に頼んで取り寄せて貰っていたところが、ちょうど今日の昼間に、品物が届いたと店員が持って来てくれてね。間に合ってよかった」
そう言ったベクレル伯爵が、今度は机に箱を二つ並べた。
「一つは貴女の物だから、開けてくれて構わんよ」
「えっ⁉」
思いがけない事を言われて、慌てて固辞しようとしたものの、夫妻共にニコニコ微笑んでまるで退いてくれる気配がないので、私も「あ…ありがとうございます…」と、折れるより他なかった。
「綺麗な羽根……‼︎」
中に入っていたのは、万年筆が開発されていない現状、最大限に高価な文具と思われる羽根ペンだった。
まるで螺鈿を思わせる、光によって色を変えているかの様な羽根で細工された、明らかに希少と分かる一品だ。
「南の地方に、イージドーアと言う美しい飾り羽で知られた鳥が生息しているんだが、ご覧の通りの羽の美しさから、一時期扇やバッグの材料として乱獲されてしまって、今ではその地方の決まった業者が、決まった量しか取り扱ってはならないとされているんだ。今となっては、王族の典礼用の扇か、高位貴族や富裕市民なんかはこうやって、羽根ペンの材料として買う事が出来るのがせいぜいでね」
第一王子の婚約者だった時には、いつか扇を仕立てて贈る事を伯爵はシャルリーヌに約束していたらしい。
「その代わりと言うにはおこがましいが、羽根ペンを入荷したら知らせてくれるように、街の文具店に頼んでおいたんだ。もう一本は、知人のいない隣国で娘の初めての友人となってくれた貴女への『感謝の印』だ。お揃いで使ってくれると嬉しいね」
と言う事は、もう一つの箱にはこれと同じものが入っていると言う事だろう。
「本当に、色々とありがとうございます。戻ったら、シャーリーとアンジェスの王都で有名なチョコレートカフェに行く約束をしていますから、必ず渡しますので……」
その後、ボードリエ伯爵家御用達のケーキ店が王都にある事や、イデオン公爵領下キヴェカス伯爵家経営の街カフェにもよく行くと話をして、いつかアンジェスを訪れた際には、色々と案内して貰って下さいと言うと、夫妻は嬉しそうに頷いたのだった。
* * *
翌朝。
私は植物園へは行かず、イザクやシーグは午後からにしたと言う事で、午前中はベクレル伯爵邸で荷造りに勤しんでいた。
どうやらイザクはもちろんの事、シーグもいったんは王立植物園の従業員寮に入ると言う事で、話はまとまったらしい。
イザクは薬が完成するまでその寮にいるらしいが、シーグは寮に住みつつ、リックの「仕事」が終わり次第、二人でどうするかを話し合うらしい。
「あー…でもシーグ、アンジェスの洋菓子店『イクスゴード』での雇用がそのままになってるから、どうするか店主さんに言いに戻った方が良いよ。今は怪我の療養中って事で、代理立てて誤魔化しているんだけどね」
「代理……?」
「そう。社会勉強がしたいって言う伯爵令息がね。看板娘ならぬ看板少年で頑張ってる」
私の苦笑いに、シーグがポカンと口を開いていた。
うん、まあ、普通は高位貴族である筈の伯爵令息が、街の洋菓子店でバイトするとかは考えないよね。
「と言っても、宰相閣下が帰国したら、その子も領地に帰らないといけないから、ずっと代理をしている訳にもいかないのよ。まあイザクと一緒にギーレンを出るか、シーグが動きにくいとかなら、リックに代わって貰うって言うのもアリだろうけど、そのあたりちょっと考えておいて」
ミカ君が戻った後の働き手に関しては、王都商業ギルドに相談するなり、公爵邸の使用人たちの子供の中で、希望者がいれば聞いてみるなり、しばらくはそれで繋げば良いか…と、この時の私は漠然と考えていた。
「わ…分かった」
洋菓子店『イクスゴード』の店主は、基本、裏表のない良い人だ。
シーグもそれが分かっているからか、私の話を一言の下に切り捨てる事はなかった。
「イザク、王宮に行く前にシーカサーリのチェルハ出版に寄って、植物園の情報紙の話をするんだけど、続きは引き継いじゃって良いかな?もちろん見本が出来上がったら、チェックなんかは私がやるんだけど。商業ギルド経由ですぐに送れる訳だから。その見本で広告を載せたい店を探して貰うのとか、チェルハ出版との直接のやり取りとかは、しばらくお願い出来る?」
いずれ植物園の中から担当編集者的な誰かを決めるのが望ましいんだけれど、最初の何回かは、定着させる意味でもこちらで主導権を取らざるを得ないと思っている――私が最後にそう付け足したところで、イザクも納得した様に頷いた。
「食堂ランチのメニューはどうするんだ。今の量だと、いくら厨房が玄人の集まりだと言っても、早々にネタが尽きるだろう」
「ああ、そこはキスト室長宛に、定期的にレシピと想定される効能を書いて送る事にしたの。そこからの抽出や実験と言った作業は、室長が中心になってやってくれるって」
大きな声では言わないが〝扉の守護者〟の為の薬に目処が立てば、キスト室長は研究時間の大半が空くらしいのだ。
むしろ積極的に関わろうとしてくれていると言って良かった。
「そっちは特許権とやらの話はしないのか」
暗に、すれば忙しくなるだろう?と問いかけられているのが分かったので、私は苦笑交じりに首を横に振った。
「今回は病気を未然に防ぐ意識を広めたい訳だから、レシピはなるべく多くの人に知って貰いたいのよね。かと言って、他のレストランで粗悪品が出回っても困るから、レシピを保護するんじゃなくて、植物園のレストランの方を『王室指定』の様な形で保護したいと思ってるの。植物園のレストランだけが『本物』を提供しています、って言う事が分かるように」
「そんな方法があるのか」
「あるらしいよ?そこはもう、キスト室長とソルディーニ園長に任せる事にした。昨日聞いたんだけど、ラハデ公爵を通してレシピを献上して、エヴェリーナ妃に認可して貰うとか…どうとか?どうやら商業ギルドとは一線を画した仕組みがあるみたい」
私の考え方としては、所謂『皇室御用達』看板を掲げる様なイメージでキスト室長に聞いてみたところ、似た仕組みはある筈だと言われたのだ。
詳しくは知らないが、王族の〇〇が泊まった宿とか、立ち寄ったレストランとか、王宮に納品している品物を取扱う商人が王宮との取引実績を謳ったりとか、たまに耳にするから、ベクレル伯爵を一度通して、ラハデ公爵に確認してみよう――と。
特許権の様に、私の方に直接何らかの収入が入ってくる訳ではないが良いのかと、室長からは問われたけれど、そこは「植物園の永年入場無料」とか「レストラン無料」とか「鉱毒の研究に協力して貰う」とか「今後のユングベリ商会との優先取引」とか、複数のお願いと引き換えに、納得して貰った。
では「特別研究員」職も貴女には授けておこう――なんて、キスト室長は微笑っていたけれど。
「あ、忘れてた。あとでちょっとベクレル伯爵にレシピの写しを見せて、近いうちにキスト室長から連絡があるって、話をしておかないと。ありがと、イザク。おかげで思い出した」
「……いや。俺も今後の流れが分かってちょうど良かった」
「うん。イザクはとにかく頑張って、薬を完成させて?きっと皆、帰って来るの待ってると思うし」
そもそも無茶ぶりな薬を作れと言った私の所為で、一人帰国が遅れるのだ。
ちょっと申し訳ないと思っているのを察してか「気にするな」と、イザクは微笑った。
「自己流で公爵邸で作っていたのとは違う、貴重な経験が出来ているんだ。ちゃんと戻って、お館様の為に還元出来る様に精進するさ」
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