123 / 785
第一部 宰相家の居候
235 帰国前(3)
しおりを挟む
※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
ギーレン王宮正門は西の端にあったところが、王族居住区は、何と東の端にあった。
防衛上の観点から言えば当たり前なのかも知れないけど、それは馬車でそのまま正門を通された筈だ。
これ、意外と毎日居住区から謁見や執務の為の館に移動するだけでも良い運動だなぁ…と、ちょっと場違いな事を考えながら、窓の外を眺めていた。
王宮の敷地を取り囲むように馬車用の道があり、そこを目的の宮殿まで進んでいく形になっているらしい。
エドベリ王子は王宮内にいて、国王代理としての公務をこなしていると聞いているけど、これなら基本的には遭遇する事もない為、ある意味安心だった。
正門から、来賓向けの美術品関係の展示室があり、婚姻や即位式などが執り行われる大聖堂があり、夜会や謁見、饗宴の為の宮殿があり、王宮関係者が罪を犯した時の為の幽閉の塔があり、使用人居住区があり、最後に王族居住区が男女別々の宮殿に分かれて建てられていると、私は後からエヴェリーナ妃に教わった。
そうして今は、王族居住区の女性用宮殿、公称はベナーク宮殿――通称は後宮――の中庭に、馬車から降り立っていた。
「ユングベリ商会のレイナ様でいらっしゃいますね。お待ちしておりました。エヴェリーナ様とコニー様はサロンでお待ちです。ご案内致します」
いかにもベテラン、と言った風情の侍女が渡り廊下の奥から現れると、私に向かってそう言って頭を下げる。
「有難うございます。男性従業員がここまで商品を運んで来ているのですが、サロンまで運んでも良いのでしょうか?陛下や殿下方以外の男性が入れないと言う事であれば、今、この中庭に並べさせて頂きますが……」
「いえ、商品をサロンにお持ちいただいた後で、別室でお待ち下さいましたら大丈夫です。そちらも後ほどご案内致しますので」
そう言われた後は、後ろのトーカレヴァやゲルトナーに目配せをしながら、中庭の見える渡り廊下を少し歩いて、サロンまでの道案内を受ける事になった。
「――いらっしゃい、レイナ嬢。弟の邸宅で会って以来ね。今日は貴女の商会の品物を見るのを楽しみにしていたのよ」
シャンデリア、フレスコ画の様な天井、白を基調とした壁に、ビロード製と思しきソファに、一目で高級と分かるクロスのかかったテーブル…etc。
まさに「淑女の社交場」と言われるに相応しい部屋が、そこにはあった。
ラハデ公爵邸さえも、霞んでいると言っても良い。
リアルに〝フランス宮廷に咲く薔薇〟の世界だ。
ただ、そこにいるのはアントワネット様と言うよりは〝女帝〟マリア・テレジア様と言った威圧感がビシバシと漂っているご正妃サマなんだけど。
この度は――と私が頭を下げかけたところで、エヴェリーナ妃の方から「堅苦しい挨拶は抜きにして頂戴。初対面でもないのだから、エヴェリーナで構わなくてよ」と機先を制せられてしまった。
「貴女の好きな〝イラ〟の茶葉も用意させているのよ。もちろん、お土産分も含めてね。でもそうね、とりあえずは持って来てくれた品物を全て見させて貰いましょうか。そうでなければ、後ろの従業員達もいつまでたっても休めないものね」
更にそう言って、後ろのトーカレヴァ達に視線を投げたので、私も慌てて後ろを振り返って、手近なテーブルに銀細工の宝石や雑貨商品を並べて貰うようにした。
「――そう、これがそのアンジェス国で三指に入る産地〝シュタム〟の銀細工なのね?」
これはこれで、今後の事を考えれば大事な時間だ。
私は敢えて過剰な売り込みはせずに、エヴェリーナ妃の審美眼に任せる事にした。
「…そうね。私も専門の職人でも鑑定家でもないから、あまり偉そうな事は言えないのだけれど、それでも、純度の高い銀で作られている事は分かるわ。細工に関しては……同一職人の作品ではないわね?まあでも、修行と言う意味ではちょうど良いのかしら。幾つか買い取らせて貰って、こちらの工房に送るわ。それぞれ別の工房に行く事になるかも知れないけれど、構わなくて?」
「あっ、はい、それはもちろん!画一的に腕を磨かせるよりも、それぞれに個性を持たせる方が将来性もあるかと思いますし」
「あら、意図を分かってくれて嬉しいわ。ええ、少なくとも皆、門前払いのレベルでない事は間違いないから、今後話を進めていきましょう。商業ギルド経由の手紙は、商業保護の観点からも軽視される事はないから、いつでも、どこにいても、やり取りは出来てよ」
意味ありげなエヴェリーナ妃のセリフだけれど、この場では私もニッコリと微笑っておくしかない。
「あの、出来れば細工をする職人と、商品のデザインをする職人をそれぞれ学ばせたいのですが、そちらはご許可いただけそうですか?」
「でざいん?」
ギーレンの言語に、近い訳がなかったのかも知れない。私は慌てて、他の言い方を模索した。
「ええっと…商品の完成予想図や、食器に直接彫り込む模様の事…ですね。既に描かれている模様を盗むような事はもちろんさせません。全体的な構図含めて、どう言う風に決めるのかと言った基礎の部分を若い職人に学ばせたいんです。そうすれば、銀細工だけでなく、他のデザインにも応用出来るようになるかも知れませんし」
デザインはデザインで重要なのだ。
いずれ、ハルヴァラの白磁器に絵付けをしてくれるような職人を育てて確保しておきたい。
「設計ね……それはそれで『盗作は致しません』って言う宣誓書の様なものが別に必要になるかも知れないわね。ごめんなさい、そこは即答は出来ないわ。後日の回答とさせて貰っても良いかしら?」
「もちろんです、まずはご検討下さるだけでも嬉しく思います」
軽く頭を下げる私に鷹揚に頷いて、エヴェリーナ妃はふと、机の上にあった一冊の本に気が付いたようだった。
「あら、これは?」
「…それは、とても珍しい書籍が手に入りましたので、読書がお好きと伺っていたエヴェリーナ様に、ぜひともお見せしたいと、銀の話とは別枠で、お持ちしました」
「私に?」
「はい。エヴェリーナ様にこそ相応しい一冊と愚考致します」
「その様子では、あの恋愛小説の完全版と言う訳ではなさそうね」
揶揄する様に軽く言葉を返したエヴェリーナ妃も、さすがにそれを手に取った時点で、表情から笑みが消えた。
「これは……」
表紙が示すその紋章を、エヴェリーナ妃が知らない筈がなかった。
様子の激変したエヴェリーナ妃を訝しんだコニー夫人も、その表紙を目にした瞬間に、顔色を変えて立ち尽くした。
「郊外のとある城でかつて雇用されていた使用人が、長年保管しつづけていたんだそうです。理由は何とでも言えますが、この本を書いた当人が没している以上は、全て推測になりますので、この場では控えさせて頂きます」
「そう…そうね。貴女の判断も、貴女が思う理由も、どちらも正しいでしょうね」
低い声で呟いたエヴェリーナ妃が、冒頭から数頁めくったところで、更に眉根を寄せている。
「それでどうしてこの本を私に薦めるのかしら。これは貴女が持っている方が、よほど武器になるような気がするのだけれど。そもそも、その為に渡されたのではなくて?」
エヴェリーナ妃の声色が厳しくなるのも無理からぬ話ではあるけれど、そこで怯む訳にはいかない私も、ゆるゆると首を横に振った。
「確かに私は、この本をどうするかについては判断を委ねられました。委ねられたからこそ、エヴェリーナ様にお預けしようと決断したんです。――いえ、正確には辺境の抑止力として頂くのが一番良いと判断して、お預けしようと」
「辺境……」
オブラートに包んだ言葉の先を悟ったエヴェリーナ妃は、ハッキリと目を見開いた。
ギーレン王宮正門は西の端にあったところが、王族居住区は、何と東の端にあった。
防衛上の観点から言えば当たり前なのかも知れないけど、それは馬車でそのまま正門を通された筈だ。
これ、意外と毎日居住区から謁見や執務の為の館に移動するだけでも良い運動だなぁ…と、ちょっと場違いな事を考えながら、窓の外を眺めていた。
王宮の敷地を取り囲むように馬車用の道があり、そこを目的の宮殿まで進んでいく形になっているらしい。
エドベリ王子は王宮内にいて、国王代理としての公務をこなしていると聞いているけど、これなら基本的には遭遇する事もない為、ある意味安心だった。
正門から、来賓向けの美術品関係の展示室があり、婚姻や即位式などが執り行われる大聖堂があり、夜会や謁見、饗宴の為の宮殿があり、王宮関係者が罪を犯した時の為の幽閉の塔があり、使用人居住区があり、最後に王族居住区が男女別々の宮殿に分かれて建てられていると、私は後からエヴェリーナ妃に教わった。
そうして今は、王族居住区の女性用宮殿、公称はベナーク宮殿――通称は後宮――の中庭に、馬車から降り立っていた。
「ユングベリ商会のレイナ様でいらっしゃいますね。お待ちしておりました。エヴェリーナ様とコニー様はサロンでお待ちです。ご案内致します」
いかにもベテラン、と言った風情の侍女が渡り廊下の奥から現れると、私に向かってそう言って頭を下げる。
「有難うございます。男性従業員がここまで商品を運んで来ているのですが、サロンまで運んでも良いのでしょうか?陛下や殿下方以外の男性が入れないと言う事であれば、今、この中庭に並べさせて頂きますが……」
「いえ、商品をサロンにお持ちいただいた後で、別室でお待ち下さいましたら大丈夫です。そちらも後ほどご案内致しますので」
そう言われた後は、後ろのトーカレヴァやゲルトナーに目配せをしながら、中庭の見える渡り廊下を少し歩いて、サロンまでの道案内を受ける事になった。
「――いらっしゃい、レイナ嬢。弟の邸宅で会って以来ね。今日は貴女の商会の品物を見るのを楽しみにしていたのよ」
シャンデリア、フレスコ画の様な天井、白を基調とした壁に、ビロード製と思しきソファに、一目で高級と分かるクロスのかかったテーブル…etc。
まさに「淑女の社交場」と言われるに相応しい部屋が、そこにはあった。
ラハデ公爵邸さえも、霞んでいると言っても良い。
リアルに〝フランス宮廷に咲く薔薇〟の世界だ。
ただ、そこにいるのはアントワネット様と言うよりは〝女帝〟マリア・テレジア様と言った威圧感がビシバシと漂っているご正妃サマなんだけど。
この度は――と私が頭を下げかけたところで、エヴェリーナ妃の方から「堅苦しい挨拶は抜きにして頂戴。初対面でもないのだから、エヴェリーナで構わなくてよ」と機先を制せられてしまった。
「貴女の好きな〝イラ〟の茶葉も用意させているのよ。もちろん、お土産分も含めてね。でもそうね、とりあえずは持って来てくれた品物を全て見させて貰いましょうか。そうでなければ、後ろの従業員達もいつまでたっても休めないものね」
更にそう言って、後ろのトーカレヴァ達に視線を投げたので、私も慌てて後ろを振り返って、手近なテーブルに銀細工の宝石や雑貨商品を並べて貰うようにした。
「――そう、これがそのアンジェス国で三指に入る産地〝シュタム〟の銀細工なのね?」
これはこれで、今後の事を考えれば大事な時間だ。
私は敢えて過剰な売り込みはせずに、エヴェリーナ妃の審美眼に任せる事にした。
「…そうね。私も専門の職人でも鑑定家でもないから、あまり偉そうな事は言えないのだけれど、それでも、純度の高い銀で作られている事は分かるわ。細工に関しては……同一職人の作品ではないわね?まあでも、修行と言う意味ではちょうど良いのかしら。幾つか買い取らせて貰って、こちらの工房に送るわ。それぞれ別の工房に行く事になるかも知れないけれど、構わなくて?」
「あっ、はい、それはもちろん!画一的に腕を磨かせるよりも、それぞれに個性を持たせる方が将来性もあるかと思いますし」
「あら、意図を分かってくれて嬉しいわ。ええ、少なくとも皆、門前払いのレベルでない事は間違いないから、今後話を進めていきましょう。商業ギルド経由の手紙は、商業保護の観点からも軽視される事はないから、いつでも、どこにいても、やり取りは出来てよ」
意味ありげなエヴェリーナ妃のセリフだけれど、この場では私もニッコリと微笑っておくしかない。
「あの、出来れば細工をする職人と、商品のデザインをする職人をそれぞれ学ばせたいのですが、そちらはご許可いただけそうですか?」
「でざいん?」
ギーレンの言語に、近い訳がなかったのかも知れない。私は慌てて、他の言い方を模索した。
「ええっと…商品の完成予想図や、食器に直接彫り込む模様の事…ですね。既に描かれている模様を盗むような事はもちろんさせません。全体的な構図含めて、どう言う風に決めるのかと言った基礎の部分を若い職人に学ばせたいんです。そうすれば、銀細工だけでなく、他のデザインにも応用出来るようになるかも知れませんし」
デザインはデザインで重要なのだ。
いずれ、ハルヴァラの白磁器に絵付けをしてくれるような職人を育てて確保しておきたい。
「設計ね……それはそれで『盗作は致しません』って言う宣誓書の様なものが別に必要になるかも知れないわね。ごめんなさい、そこは即答は出来ないわ。後日の回答とさせて貰っても良いかしら?」
「もちろんです、まずはご検討下さるだけでも嬉しく思います」
軽く頭を下げる私に鷹揚に頷いて、エヴェリーナ妃はふと、机の上にあった一冊の本に気が付いたようだった。
「あら、これは?」
「…それは、とても珍しい書籍が手に入りましたので、読書がお好きと伺っていたエヴェリーナ様に、ぜひともお見せしたいと、銀の話とは別枠で、お持ちしました」
「私に?」
「はい。エヴェリーナ様にこそ相応しい一冊と愚考致します」
「その様子では、あの恋愛小説の完全版と言う訳ではなさそうね」
揶揄する様に軽く言葉を返したエヴェリーナ妃も、さすがにそれを手に取った時点で、表情から笑みが消えた。
「これは……」
表紙が示すその紋章を、エヴェリーナ妃が知らない筈がなかった。
様子の激変したエヴェリーナ妃を訝しんだコニー夫人も、その表紙を目にした瞬間に、顔色を変えて立ち尽くした。
「郊外のとある城でかつて雇用されていた使用人が、長年保管しつづけていたんだそうです。理由は何とでも言えますが、この本を書いた当人が没している以上は、全て推測になりますので、この場では控えさせて頂きます」
「そう…そうね。貴女の判断も、貴女が思う理由も、どちらも正しいでしょうね」
低い声で呟いたエヴェリーナ妃が、冒頭から数頁めくったところで、更に眉根を寄せている。
「それでどうしてこの本を私に薦めるのかしら。これは貴女が持っている方が、よほど武器になるような気がするのだけれど。そもそも、その為に渡されたのではなくて?」
エヴェリーナ妃の声色が厳しくなるのも無理からぬ話ではあるけれど、そこで怯む訳にはいかない私も、ゆるゆると首を横に振った。
「確かに私は、この本をどうするかについては判断を委ねられました。委ねられたからこそ、エヴェリーナ様にお預けしようと決断したんです。――いえ、正確には辺境の抑止力として頂くのが一番良いと判断して、お預けしようと」
「辺境……」
オブラートに包んだ言葉の先を悟ったエヴェリーナ妃は、ハッキリと目を見開いた。
1,283
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
事情があってメイドとして働いていますが、実は公爵家の令嬢です。
木山楽斗
恋愛
ラナリアが仕えるバルドリュー伯爵家では、子爵家の令嬢であるメイドが幅を利かせていた。
彼女は貴族の地位を誇示して、平民のメイドを虐げていた。その毒牙は、平民のメイドを庇ったラナリアにも及んだ。
しかし彼女は知らなかった。ラナリアは事情があって伯爵家に仕えている公爵令嬢だったのである。
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
継子いじめで糾弾されたけれど、義娘本人は離婚したら私についてくると言っています〜出戻り夫人の商売繁盛記〜
野生のイエネコ
恋愛
後妻として男爵家に嫁いだヴィオラは、継子いじめで糾弾され離婚を申し立てられた。
しかし当の義娘であるシャーロットは、親としてどうしようもない父よりも必要な教育を与えたヴィオラの味方。
義娘を連れて実家の商会に出戻ったヴィオラは、貴族での生活を通じて身につけた知恵で新しい服の開発をし、美形の義娘と息子は服飾モデルとして王都に流行の大旋風を引き起こす。
度々襲来してくる元夫の、借金の申込みやヨリを戻そうなどの言葉を躱しながら、事業に成功していくヴィオラ。
そんな中、伯爵家嫡男が、継子いじめの疑惑でヴィオラに近づいてきて?
※小説家になろうで「離婚したので幸せになります!〜出戻り夫人の商売繁盛記〜」として掲載しています。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。