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第二部 宰相閣下の謹慎事情
274 可愛いは、正義!
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※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
王宮内を歩き始めて幾許もしない内に、思いがけずフォルシアン公爵との遭遇は叶った。
どうやらまだ、人手を集めている途中だったらしい。
まさか、私やトーカレヴァが「血を下さい」などと、いきなりは言い出せないので、ここはエドヴァルドに丸投げ――もとい「信頼してお任せ」をする事にした。
フォルシアン公爵は、私とエドヴァルドが思い切り手を繋いでいる事に、最初はちょっと引いてる風だったけど、すぐに「王子対策」だと気が付いたのか、口に出しては何も言わなかった。
そんな公爵に、エドヴァルドも淡々と「管理部で開発途中の魔道具があって、血を一滴垂らせば、本人あるいは直系血縁者の居所を探れると言う代物らしい」と、話を持ちかけた。
「あくまでまだ開発途中だと言う事で、効果の程は保証出来ん。そちらはそちらで、このまま人海戦術で探してくれれば良いと思うが、ダメもとで試してみないか」
「―――」
そんなモノがあるのかと驚愕しつつも、今は採れる手段は一つでも多く採るべきと、自分に言い聞かせたかに見えるフォルシアン公爵の同意を得て、人差し指の先を小さなナイフで軽く切って、魔道具に血を垂らして貰った。
「反応があれば知らせる」
「承知した」
時間に限りがある事は確かなので、フォルシアン公爵も、今は魔道具の解説をくどく聞く事は止めたらしい。
公爵や他の護衛騎士の姿が廊下の向こうに消えた頃を見計らって、トーカレヴァが私の肩にとまっていたリファを、そっとすくい上げた。
「さ、仕事だ。……リファ」
「ピッ!」
どうやらトーカレヴァは最初、特に名前をつけていなかったらしいところが、私がいつの間にやら、ヘリファルテ種を略して、リファちゃん呼びし始めた辺りで「どうやら自分の名前は〝リファ〟だと認識しだした」と、軽く抗議された。
自分が名前までつけて、猫可愛がりしていると思われるのが、どうにもむずがゆいらしい。
私が「なおさら『お手紙鳥』だと思われなくて良いじゃないか」と言い返すので、一人で葛藤しているみたいだけど。
魔力のない私にはまるで認識出来ないけど、エドヴァルドに聞いたところによると、小さな丸い球体状の魔道具から、じわりと煙幕の様な魔力が溢れ出て、リファちゃんを取り囲んでいるらしい。
それで行先を認識させているんだろうな、との事だった。なるほど。
「さて、唯一の懸念は、フォルシアン公爵閣下のところに突撃しなきゃいいんですが、って事でしょうか……」
「ああ……本人の血だし、同じ王宮内にいるし?うん、頑張れリファちゃん!ちゃんと息子さんの所に飛ぶんだよ‼」
「ピピっ‼」
大丈夫!と言っている…様な気がした。
まるで小っちゃい扇が開いたみたいに羽根を広げて、身体と比較するとちょっぴり長めの尾っぽを水平に、バランスを保って飛んで行くリファちゃん――カワイイ。可愛すぎる。
だって見た目は「シマエナガ」。カワイイは正義です。
「自分が先に行きますから、お二人は後からどうぞ。角を曲がったりした場合は、床にガラス石を目印に置いておきますから、拾いながら辿って来て下さい」
そう言い置いたトーカレヴァの姿が、あっという間に見えなくなる。
確かに、建物内だから全力で飛ばないだろうにしても、小鳥が飛ぶ速度は、決して遅くはない。
私やエドヴァルドが廊下を走ったりしたら、その時点で目立つ事このうえない。
言われた通りに、少しだけ早足で、床に置かれたガラス石を探しながら、歩くより他なかった。
「チチチッ!」
やがて前方、曲がり角の向こう側から、リファちゃんの鳴く声が聞こえてきた。
これはもしや見つかったのかと、声のした方に歩を進めてみると、そこには天井をクルクルと飛び回るリファちゃんと、それを見上げながら困惑した表情を浮かべているトーカレヴァとが、そこにいた。
「レヴ?リファちゃん、どうしたの?」
「あぁ、レイナ様。多分、この辺りのどこかだとリファも言いたいんだとは思うんですが……ご覧の通り、ここは壁と窓が続く回廊でしかないんで、どうしたものかと思いまして……」
トーカレヴァの言葉に、何か思うところがあったらしいエドヴァルドが僅かに眉を顰めた。
「いや…確かこの辺り、従者の控室がなかったか?」
「その通りです。宰相閣下。正確には在った筈なんですが……」
部屋が「在った筈」?
厳しい表情の二人に、私は無意識の内に首を傾げていた。
「えーっと……部屋、ありますよね?――そこに」
「「⁉」」
私が、回廊の真ん中付近にある、彫像と彫像の間の扉を指差したところで、エドヴァルドとトーカレヴァがそれぞれ、ギョッとした様に目を見開いた。
「部屋がある、だと?」
「レイナ様?」
二人の驚きの意味が理解出来ずに、こちらも目を見開いてしまう。
「え?えっ?」
「……レイナには、この回廊内で、部屋があるように見えるのか?」
見えるも何も、そこに扉がある。
逆にどうしてそんなに驚かれるのか、こっちが聞きたい。
彫像の置かれている方を指差したままの私に、エドヴァルドの愕然とした視線が刺さる。
そんな私とエドヴァルドを見比べながら、何かに思い至ったらしいトーカレヴァが「あっ」と小声を発した。
「もしかすると、認識阻害の魔道具がこの回廊のどこかに……?」
「認識阻害だと?」
「ええ。それで、本来は部屋であるべきところを、回廊の壁であるかのように見せかけているのだとすれば、魔力を追って来たリファが気配を失うのも分かります。ヘリファルテ種自体にも、多少なりと魔道具と同調出来るだけの魔力はありますし、人間向けの認識阻害装置であっても影響は受けている筈です」
「そうか、レイナは……」
エドヴァルドとトーカレヴァが言わなかった先を、私も悟った。
――魔力ゼロ。
実際にある筈の扉を、壁と見せかける様に魔力が練り上げられているのだとすれば。
――私には、その壁こそが見えないと言う事になる。
(ラッキーなのか、皮肉なコトと言うべきか……)
「ええっと…じゃあ、私があの扉を開けちゃえば良いですか?」
と言うか、この状況では恐らくそれしか選択肢がない。
エドヴァルドがちょっと顔を顰めているけれど、仕方がないと言うべきだろう。
「この回廊のどこに認識阻害装置が置かれているかも分からないから、仕方がないのか……。レイナ、扉を開けたら、とりあえずはすぐさま横に飛び退くんだ。サタノフはレイナの後ろに控えて、扉が開いたところで先に中に入れ。恐らくはその認識阻害も、扉さえ開けば無効化されるだろうし、既成事実を作り上げる事が目的だとするなら、王女とユセフしか、中にはいない筈だからな」
まさか叛乱や暗殺を企てて、兵を隠しているなどと言う事は、少なくとも今の時点ではない筈だとエドヴァルドは思っているようだったし、私も、間違いなく隠された部屋の中にいるのは、ドロテア王女と囚われのユセフだろうと思った。
承知しました、とトーカレヴァも頭を下げる。
「よしっ!じゃあリファちゃんも、もし中にお目当ての人がいたら、レヴと一緒に入って良いからね?あと、中に女の人がいたら、その足の爪で後頭部バシッとやっちゃって良いから!」
「ピピピッ!」
「……っ、待て待て!」
どさくさに紛れて何を言ってる⁉と言うエドヴァルドの叫びは、さくっと無視した。
「リファちゃんの飛び蹴りなんて、可愛いものですって!ちょっと相手の意表を突くだけですよ。その方がレヴも王女サマを引き剝がしやすいでしょう?――じゃあレヴ、開けるね!」
時間の経過とかも考えると、フォルシアン公爵たちを探しに行っている場合でもない。
私は、つかつかと回廊に置かれた彫像の所まで歩くと――そこにある扉に、手をかけた。
王宮内を歩き始めて幾許もしない内に、思いがけずフォルシアン公爵との遭遇は叶った。
どうやらまだ、人手を集めている途中だったらしい。
まさか、私やトーカレヴァが「血を下さい」などと、いきなりは言い出せないので、ここはエドヴァルドに丸投げ――もとい「信頼してお任せ」をする事にした。
フォルシアン公爵は、私とエドヴァルドが思い切り手を繋いでいる事に、最初はちょっと引いてる風だったけど、すぐに「王子対策」だと気が付いたのか、口に出しては何も言わなかった。
そんな公爵に、エドヴァルドも淡々と「管理部で開発途中の魔道具があって、血を一滴垂らせば、本人あるいは直系血縁者の居所を探れると言う代物らしい」と、話を持ちかけた。
「あくまでまだ開発途中だと言う事で、効果の程は保証出来ん。そちらはそちらで、このまま人海戦術で探してくれれば良いと思うが、ダメもとで試してみないか」
「―――」
そんなモノがあるのかと驚愕しつつも、今は採れる手段は一つでも多く採るべきと、自分に言い聞かせたかに見えるフォルシアン公爵の同意を得て、人差し指の先を小さなナイフで軽く切って、魔道具に血を垂らして貰った。
「反応があれば知らせる」
「承知した」
時間に限りがある事は確かなので、フォルシアン公爵も、今は魔道具の解説をくどく聞く事は止めたらしい。
公爵や他の護衛騎士の姿が廊下の向こうに消えた頃を見計らって、トーカレヴァが私の肩にとまっていたリファを、そっとすくい上げた。
「さ、仕事だ。……リファ」
「ピッ!」
どうやらトーカレヴァは最初、特に名前をつけていなかったらしいところが、私がいつの間にやら、ヘリファルテ種を略して、リファちゃん呼びし始めた辺りで「どうやら自分の名前は〝リファ〟だと認識しだした」と、軽く抗議された。
自分が名前までつけて、猫可愛がりしていると思われるのが、どうにもむずがゆいらしい。
私が「なおさら『お手紙鳥』だと思われなくて良いじゃないか」と言い返すので、一人で葛藤しているみたいだけど。
魔力のない私にはまるで認識出来ないけど、エドヴァルドに聞いたところによると、小さな丸い球体状の魔道具から、じわりと煙幕の様な魔力が溢れ出て、リファちゃんを取り囲んでいるらしい。
それで行先を認識させているんだろうな、との事だった。なるほど。
「さて、唯一の懸念は、フォルシアン公爵閣下のところに突撃しなきゃいいんですが、って事でしょうか……」
「ああ……本人の血だし、同じ王宮内にいるし?うん、頑張れリファちゃん!ちゃんと息子さんの所に飛ぶんだよ‼」
「ピピっ‼」
大丈夫!と言っている…様な気がした。
まるで小っちゃい扇が開いたみたいに羽根を広げて、身体と比較するとちょっぴり長めの尾っぽを水平に、バランスを保って飛んで行くリファちゃん――カワイイ。可愛すぎる。
だって見た目は「シマエナガ」。カワイイは正義です。
「自分が先に行きますから、お二人は後からどうぞ。角を曲がったりした場合は、床にガラス石を目印に置いておきますから、拾いながら辿って来て下さい」
そう言い置いたトーカレヴァの姿が、あっという間に見えなくなる。
確かに、建物内だから全力で飛ばないだろうにしても、小鳥が飛ぶ速度は、決して遅くはない。
私やエドヴァルドが廊下を走ったりしたら、その時点で目立つ事このうえない。
言われた通りに、少しだけ早足で、床に置かれたガラス石を探しながら、歩くより他なかった。
「チチチッ!」
やがて前方、曲がり角の向こう側から、リファちゃんの鳴く声が聞こえてきた。
これはもしや見つかったのかと、声のした方に歩を進めてみると、そこには天井をクルクルと飛び回るリファちゃんと、それを見上げながら困惑した表情を浮かべているトーカレヴァとが、そこにいた。
「レヴ?リファちゃん、どうしたの?」
「あぁ、レイナ様。多分、この辺りのどこかだとリファも言いたいんだとは思うんですが……ご覧の通り、ここは壁と窓が続く回廊でしかないんで、どうしたものかと思いまして……」
トーカレヴァの言葉に、何か思うところがあったらしいエドヴァルドが僅かに眉を顰めた。
「いや…確かこの辺り、従者の控室がなかったか?」
「その通りです。宰相閣下。正確には在った筈なんですが……」
部屋が「在った筈」?
厳しい表情の二人に、私は無意識の内に首を傾げていた。
「えーっと……部屋、ありますよね?――そこに」
「「⁉」」
私が、回廊の真ん中付近にある、彫像と彫像の間の扉を指差したところで、エドヴァルドとトーカレヴァがそれぞれ、ギョッとした様に目を見開いた。
「部屋がある、だと?」
「レイナ様?」
二人の驚きの意味が理解出来ずに、こちらも目を見開いてしまう。
「え?えっ?」
「……レイナには、この回廊内で、部屋があるように見えるのか?」
見えるも何も、そこに扉がある。
逆にどうしてそんなに驚かれるのか、こっちが聞きたい。
彫像の置かれている方を指差したままの私に、エドヴァルドの愕然とした視線が刺さる。
そんな私とエドヴァルドを見比べながら、何かに思い至ったらしいトーカレヴァが「あっ」と小声を発した。
「もしかすると、認識阻害の魔道具がこの回廊のどこかに……?」
「認識阻害だと?」
「ええ。それで、本来は部屋であるべきところを、回廊の壁であるかのように見せかけているのだとすれば、魔力を追って来たリファが気配を失うのも分かります。ヘリファルテ種自体にも、多少なりと魔道具と同調出来るだけの魔力はありますし、人間向けの認識阻害装置であっても影響は受けている筈です」
「そうか、レイナは……」
エドヴァルドとトーカレヴァが言わなかった先を、私も悟った。
――魔力ゼロ。
実際にある筈の扉を、壁と見せかける様に魔力が練り上げられているのだとすれば。
――私には、その壁こそが見えないと言う事になる。
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と言うか、この状況では恐らくそれしか選択肢がない。
エドヴァルドがちょっと顔を顰めているけれど、仕方がないと言うべきだろう。
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まさか叛乱や暗殺を企てて、兵を隠しているなどと言う事は、少なくとも今の時点ではない筈だとエドヴァルドは思っているようだったし、私も、間違いなく隠された部屋の中にいるのは、ドロテア王女と囚われのユセフだろうと思った。
承知しました、とトーカレヴァも頭を下げる。
「よしっ!じゃあリファちゃんも、もし中にお目当ての人がいたら、レヴと一緒に入って良いからね?あと、中に女の人がいたら、その足の爪で後頭部バシッとやっちゃって良いから!」
「ピピピッ!」
「……っ、待て待て!」
どさくさに紛れて何を言ってる⁉と言うエドヴァルドの叫びは、さくっと無視した。
「リファちゃんの飛び蹴りなんて、可愛いものですって!ちょっと相手の意表を突くだけですよ。その方がレヴも王女サマを引き剝がしやすいでしょう?――じゃあレヴ、開けるね!」
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