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第二部 宰相閣下の謹慎事情
371 タルトが繋ぐ想い(前)
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※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
「ご無沙汰しておりました、イデオン公爵閣下。バーバラ・スヴェンテにございます。このような形でのご挨拶となり誠に申し訳ございません」
夫であるフィリプ・スヴェンテ老公爵が、エドヴァルドに目礼をして一歩身を引いたのを受ける形で、アンジェス風車椅子に乗る老婦人が、そう言って軽く頭を下げた。
「いや。体調が良くないとの事であれば、無理はしない方が良い」
基本的に、相手が礼節を持って接してきている内は、エドヴァルドも己の地位に則した礼節を返している。
それは、さっきまでのユディタ先代侯爵夫人――ハナ侍女長との会話からも伺えている事だった。
声色にも空気にも冷ややかさはなく、純粋に夫人を気遣っている感じに見える。
夫人の方は、それと察しながらも、ゆっくりと首を横に振った。
「私の方からも、ハルヴァラ伯爵令息と言葉を交わせる、今日の場を設けて頂いた事に対して、どうしても御礼を申し上げたかったのです」
と言う事は、ミカ君を通して、多少なりとカミル・チャペック――死んだ事になっている、孫のカミル・スヴェンテの近況を知れたと言う事なんだろう。
ミカ君に真実は伝えないとの条件でこの場は設けられたそうだけど、先々代の公爵ともなれば、上手く会話を誘導しつつ、情報を引き出す事くらいは容易だったに違いないから。
「ああ…何、こちらにもこちらの都合があったまでの事。そう、気に病んで貰わずとも結構だ。それはそうと、夫人ならご存知だろうか。このガゼボに来る途中、足元を埋め尽くしていた『青い花』の名前なんだが」
「青い花…で、ございますか」
一瞬、記憶の奥底を覗き込む表情になった夫人に、エドヴァルドが私の背を軽く押しながら「彼女が『私の色』だと、気に入ったようだ。名を聞いて、我が公爵邸にも取り寄せようかと」――と、私の紹介を兼ねようとするかの様に口を開いた。
わ、話題を逸らすのに私を使わないで――!と思ったけれど、時すでに遅し。
バッチリ夫人と視線が合ってしまい、しかもにこやかに微笑まれた。
「先ほど、主人とハルヴァラ伯爵令息から少し伺いましたわ。こちらが公爵閣下の……?」
「ああ。レイナ・ソガワ嬢――いや、昨今正式にユングベリ商会の商会長として商業ギルドからも認められたから、今はレイナ・ユングベリ嬢だな。私が『婚約者』だと、王宮の場において紹介をした女性が、彼女だ」
まだ正式な手続きが完了しておらず、王宮内でサレステーデ王族に啖呵を切った――と言う、何とも宙に浮いた状態な為、エドヴァルドとしてもそう言うしかなかったんだろう。
慌てて〝カーテシー〟の姿勢をとる私に、夫人は「こんな恰好でごめんなさいね」と穏やかな声で答えた。
「何でも、伯爵を亡くされて、まだ幾ばくも無いハルヴァラ伯爵領や、土砂災害の影響がまだ色濃く残っているイデオン公爵閣下の傘下の領の為に、走り回っていらっしゃるとか。それも公爵閣下をお支えする一つの在り方と、私も支持しましてよ?その過程で困った事があれば、いつでも夫や私を訪ねていらして下さって構いませんわ」
何でも、イデオン公爵邸での昼食会における、仔羊の養羊に絡んだ話を、夫であるスヴェンテ老公から耳にしたらしい。
今日は今日で、ミカ君からイリナ夫人と白磁器の改良を考えている事も聞かされたんだそうだ。
「……フォルシアン公爵家以外の支持が増えるのは、有難い事だ」
頭を下げた私に代わるように、エドヴァルドが呟いた言葉の意味を知るのは、もう少し先になるけれど、この時には口を差し挟む余地がなかった。
夫人も「ああ、そうそう。青い花のお話でしたわね」と、中断されていた話題を思い出したかの様に、元来た道の方へと視線を投げた。
「同じようでいて、幾つか種類があるのですけれど……今が見ごろで、公爵閣下のお色に近いとのお話であれば、きっと〝メディウム〟ですわね。今からですと、花付の苗をお取り寄せになるか、種を入手して来年の為に種をまくか、庭師と相談された方が宜しいでしょうね。大抵の庭師は見ごろを考えながら手入れをしておりますから、いきなり花付の苗をお持ち帰りになっても、手入れが上手くいかずにすぐに枯らしてしまう可能性がございますわ」
さすが、この庭園に人を招いていた全盛期を知る夫人である。
体調が良くない中でも、発言の内容自体に淀みはなかった。
「承知した。戻ったら庭師達と相談してみよう。感謝する、夫人」
「とんでもないことでございます、公爵閣下。お役に立ちましたら幸いですわ。とは言え、私、まだ万全の体調とは言えませんので、このガゼボでの歓談に関しましては、夫のみの参加とさせて頂きたく存じます」
「ああ。無理はしないで貰いたい。いずれその器具の改良が進めば、彼女とまた訪ねさせて貰う。その時にでも、また改めて」
エドヴァルドの言葉に合わせる様に、スヴェンテ老公爵が静かに頷き、家令と思しき男性使用人が、移動器具を押しながら夫人と元来た道を引き返して行った。
「気を遣って貰ってすまなかった、イデオン公。妻がどうしてもと、聞かなくてな。ここ何日かの中では、まだ体調も良かったものだから、ここまで連れて来てしまった」
声の届かない距離まで夫人が離れた頃、スヴェンテ老公爵はそう言って、エドヴァルドに軽く頭だけを下げた。
「いや……こんな時でもなければ、我々は交流すら覚束ないのが現実だ。ユディタ侯爵が亡くなっていたと知らされた今となっては、顔が見れただけでも僥倖と言うべきだろう」
そう答えたエドヴァルドに、スヴェンテ老公爵は一瞬だけハナ侍女長を見やって、得心した様に「ああ…」と言葉を溢していた。
「まあ、少し前に領地で…な。息子や孫もそうだが、ハルヴァラ伯爵もユディタ侯爵もまだ儂よりも若かった。人生と言うのは、本当にままならぬものよな」
やや表情を翳らせながら、老公爵がエドヴァルドの向かいに、ミカ君が私の向かいへとそれぞれ腰を下ろす。
ガゼボから少し離れた場所には、ベルセリウス将軍とウルリック副長らしき二人の姿も見えていた。
ミカ君の護衛を兼ねてここまで付いて来ていたんだろうと分かった。
「ミカ殿はこの後もう領地へと戻るのだろう?その前にぜひ、この邸宅とユディタ侯爵邸とでしか出していない、とっておきの菓子を食べて帰ってくれるかね?口に合うようなら、レシピを教える事はやぶさかではないと妻も侍女長も言っておった。ぜひ持ち帰って母君と家令にも振る舞ってみて欲しいのだがな」
「とっておきのお菓子ですか⁉」
スヴェンテ老公爵の言葉に、ミカ君の目が輝いて、それがすぐさま、私の目の前にあるチェリータルトの事だと気が付いたみたいだった。
(ああ……)
何とはなしに、私はスヴェンテ老公爵夫妻とハナ侍女長の意図を察した。
カミル・スヴェンテ――現在のハルヴァラ伯爵家家令カミル・チャペックは、かつてこの邸宅で、このチェリータルト〝クラフティ〟を口にした事があるのだ。
それは恐らく……会う事が叶わないであろう関係者を繋ぐ唯一の存在となっているに違いない。
道理でやんわりとだけれど、イデオン家への持ち出しを断られた筈だ。
「ミカ君、これ美味しいよ?チーズケーキとはまた違う味と食感!覚えて帰ったら、きっとイリナ夫人とチャペック喜ぶよ!王都ではこの邸宅でしか食べられないらしいから、良いお土産になるよ!」
私がそう言って、老公爵の意図は分かりました――と、密かな笑みを見せると、老公爵は一瞬言葉に詰まった後で「……すまぬな」と、苦いとも哀しいとも取れる笑みを口の端に乗せた。
「ご無沙汰しておりました、イデオン公爵閣下。バーバラ・スヴェンテにございます。このような形でのご挨拶となり誠に申し訳ございません」
夫であるフィリプ・スヴェンテ老公爵が、エドヴァルドに目礼をして一歩身を引いたのを受ける形で、アンジェス風車椅子に乗る老婦人が、そう言って軽く頭を下げた。
「いや。体調が良くないとの事であれば、無理はしない方が良い」
基本的に、相手が礼節を持って接してきている内は、エドヴァルドも己の地位に則した礼節を返している。
それは、さっきまでのユディタ先代侯爵夫人――ハナ侍女長との会話からも伺えている事だった。
声色にも空気にも冷ややかさはなく、純粋に夫人を気遣っている感じに見える。
夫人の方は、それと察しながらも、ゆっくりと首を横に振った。
「私の方からも、ハルヴァラ伯爵令息と言葉を交わせる、今日の場を設けて頂いた事に対して、どうしても御礼を申し上げたかったのです」
と言う事は、ミカ君を通して、多少なりとカミル・チャペック――死んだ事になっている、孫のカミル・スヴェンテの近況を知れたと言う事なんだろう。
ミカ君に真実は伝えないとの条件でこの場は設けられたそうだけど、先々代の公爵ともなれば、上手く会話を誘導しつつ、情報を引き出す事くらいは容易だったに違いないから。
「ああ…何、こちらにもこちらの都合があったまでの事。そう、気に病んで貰わずとも結構だ。それはそうと、夫人ならご存知だろうか。このガゼボに来る途中、足元を埋め尽くしていた『青い花』の名前なんだが」
「青い花…で、ございますか」
一瞬、記憶の奥底を覗き込む表情になった夫人に、エドヴァルドが私の背を軽く押しながら「彼女が『私の色』だと、気に入ったようだ。名を聞いて、我が公爵邸にも取り寄せようかと」――と、私の紹介を兼ねようとするかの様に口を開いた。
わ、話題を逸らすのに私を使わないで――!と思ったけれど、時すでに遅し。
バッチリ夫人と視線が合ってしまい、しかもにこやかに微笑まれた。
「先ほど、主人とハルヴァラ伯爵令息から少し伺いましたわ。こちらが公爵閣下の……?」
「ああ。レイナ・ソガワ嬢――いや、昨今正式にユングベリ商会の商会長として商業ギルドからも認められたから、今はレイナ・ユングベリ嬢だな。私が『婚約者』だと、王宮の場において紹介をした女性が、彼女だ」
まだ正式な手続きが完了しておらず、王宮内でサレステーデ王族に啖呵を切った――と言う、何とも宙に浮いた状態な為、エドヴァルドとしてもそう言うしかなかったんだろう。
慌てて〝カーテシー〟の姿勢をとる私に、夫人は「こんな恰好でごめんなさいね」と穏やかな声で答えた。
「何でも、伯爵を亡くされて、まだ幾ばくも無いハルヴァラ伯爵領や、土砂災害の影響がまだ色濃く残っているイデオン公爵閣下の傘下の領の為に、走り回っていらっしゃるとか。それも公爵閣下をお支えする一つの在り方と、私も支持しましてよ?その過程で困った事があれば、いつでも夫や私を訪ねていらして下さって構いませんわ」
何でも、イデオン公爵邸での昼食会における、仔羊の養羊に絡んだ話を、夫であるスヴェンテ老公から耳にしたらしい。
今日は今日で、ミカ君からイリナ夫人と白磁器の改良を考えている事も聞かされたんだそうだ。
「……フォルシアン公爵家以外の支持が増えるのは、有難い事だ」
頭を下げた私に代わるように、エドヴァルドが呟いた言葉の意味を知るのは、もう少し先になるけれど、この時には口を差し挟む余地がなかった。
夫人も「ああ、そうそう。青い花のお話でしたわね」と、中断されていた話題を思い出したかの様に、元来た道の方へと視線を投げた。
「同じようでいて、幾つか種類があるのですけれど……今が見ごろで、公爵閣下のお色に近いとのお話であれば、きっと〝メディウム〟ですわね。今からですと、花付の苗をお取り寄せになるか、種を入手して来年の為に種をまくか、庭師と相談された方が宜しいでしょうね。大抵の庭師は見ごろを考えながら手入れをしておりますから、いきなり花付の苗をお持ち帰りになっても、手入れが上手くいかずにすぐに枯らしてしまう可能性がございますわ」
さすが、この庭園に人を招いていた全盛期を知る夫人である。
体調が良くない中でも、発言の内容自体に淀みはなかった。
「承知した。戻ったら庭師達と相談してみよう。感謝する、夫人」
「とんでもないことでございます、公爵閣下。お役に立ちましたら幸いですわ。とは言え、私、まだ万全の体調とは言えませんので、このガゼボでの歓談に関しましては、夫のみの参加とさせて頂きたく存じます」
「ああ。無理はしないで貰いたい。いずれその器具の改良が進めば、彼女とまた訪ねさせて貰う。その時にでも、また改めて」
エドヴァルドの言葉に合わせる様に、スヴェンテ老公爵が静かに頷き、家令と思しき男性使用人が、移動器具を押しながら夫人と元来た道を引き返して行った。
「気を遣って貰ってすまなかった、イデオン公。妻がどうしてもと、聞かなくてな。ここ何日かの中では、まだ体調も良かったものだから、ここまで連れて来てしまった」
声の届かない距離まで夫人が離れた頃、スヴェンテ老公爵はそう言って、エドヴァルドに軽く頭だけを下げた。
「いや……こんな時でもなければ、我々は交流すら覚束ないのが現実だ。ユディタ侯爵が亡くなっていたと知らされた今となっては、顔が見れただけでも僥倖と言うべきだろう」
そう答えたエドヴァルドに、スヴェンテ老公爵は一瞬だけハナ侍女長を見やって、得心した様に「ああ…」と言葉を溢していた。
「まあ、少し前に領地で…な。息子や孫もそうだが、ハルヴァラ伯爵もユディタ侯爵もまだ儂よりも若かった。人生と言うのは、本当にままならぬものよな」
やや表情を翳らせながら、老公爵がエドヴァルドの向かいに、ミカ君が私の向かいへとそれぞれ腰を下ろす。
ガゼボから少し離れた場所には、ベルセリウス将軍とウルリック副長らしき二人の姿も見えていた。
ミカ君の護衛を兼ねてここまで付いて来ていたんだろうと分かった。
「ミカ殿はこの後もう領地へと戻るのだろう?その前にぜひ、この邸宅とユディタ侯爵邸とでしか出していない、とっておきの菓子を食べて帰ってくれるかね?口に合うようなら、レシピを教える事はやぶさかではないと妻も侍女長も言っておった。ぜひ持ち帰って母君と家令にも振る舞ってみて欲しいのだがな」
「とっておきのお菓子ですか⁉」
スヴェンテ老公爵の言葉に、ミカ君の目が輝いて、それがすぐさま、私の目の前にあるチェリータルトの事だと気が付いたみたいだった。
(ああ……)
何とはなしに、私はスヴェンテ老公爵夫妻とハナ侍女長の意図を察した。
カミル・スヴェンテ――現在のハルヴァラ伯爵家家令カミル・チャペックは、かつてこの邸宅で、このチェリータルト〝クラフティ〟を口にした事があるのだ。
それは恐らく……会う事が叶わないであろう関係者を繋ぐ唯一の存在となっているに違いない。
道理でやんわりとだけれど、イデオン家への持ち出しを断られた筈だ。
「ミカ君、これ美味しいよ?チーズケーキとはまた違う味と食感!覚えて帰ったら、きっとイリナ夫人とチャペック喜ぶよ!王都ではこの邸宅でしか食べられないらしいから、良いお土産になるよ!」
私がそう言って、老公爵の意図は分かりました――と、密かな笑みを見せると、老公爵は一瞬言葉に詰まった後で「……すまぬな」と、苦いとも哀しいとも取れる笑みを口の端に乗せた。
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