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第二部 宰相閣下の謹慎事情
【バリエンダール王宮Side】王太子ミランの訣別(3)
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「お兄様!私、おねえさまが出来ましたわ!」
年の離れた妹は、あと数年で社交界デビューを迎える。
ならばテオドル大公が来ている時に、将来開かなくてはならない茶会の予行練習を……と言うのは、もっともな話の流れである筈だった。
「ミルテ、フランカの事なら、まだ――」
まだ婚約者であるフランカ・ハールマン侯爵令嬢を、堂々と「義姉」呼ばわりするのは、時期尚早ではないかと私はミルテをやんわり窘めようとしたのだが、妹の話は少し違ったようだった。
「違いますわ!お茶会でテオお祖父さまと一緒にいらした、ユングベリ嬢ですわ!あの方お兄様のご側室候補の方ではありませんでしたのね⁉お茶会では本当にたくさん助けていただきました!」
「⁉」
妹の口をついて出た「側室候補」の言葉に、さすがの私も返す言葉に困ってしまった。
妹が初めて主催をした茶会は、フォサーティ宰相の側室夫人とその息子の乱入で、茶会でのトラブルと言うだけでは済まなくなってしまっていた。
そもそも私がもう一人の宰相の息子であるジーノと共に場に駆けつけた時には、父である国王も既にその場にいて、事態はほぼ決着していたため、私としてもあまりその場で詳しい事情を確認出来ず、気付けばフォサーティ宰相とジーノが王宮内で私の監督下に置かれる事が決定していたのだ。
テオドル大公がアンジェスからの使者と言う公職を背負って来ているこの状況下で、宰相を蟄居にまで追い込む事は得策ではない。
恐らくはベッカリーア公爵家側は、グイドと側室夫人の愚行に巻き込む形で宰相を落とし、自分たちの息のかかった人間をその地位に送り込みたかったのだろうが、国王がかろうじてそこに待ったをかけ、王太子の執務室への軟禁と言う形での落としどころを作ったのだろう。
本来ならば宰相室で処理されるべき、急ぎの仕事が次々と持ち込まれてくる。
そこへ妹が現れたのだ。
宰相とジーノも、まだこちらへは姿を現していない。事実上の息抜きかと、私は執務室にいた文官たちにいったん席を外させた。
「ミルテ……側室候補とは、何の話だい」
執務室付きの侍従には、紅茶を淹れてくるよう命じながら、私はミルテを来客用のソファに座らせた。
「フランカ……様が気にしていらっしゃいましたわ!お兄様が突然、お茶会に参加させたい女性がいると仰るものですから。ましてテオお祖父さまのお連れの方と聞けば、どのような身分の方かと気にもなりましょう!」
お義姉様と言いかけて、慌てて私の注意を思い出したのだろう。
もごもごと言いづらそうにしながら、それでもどうやら皆が思っていたらしい事をここで暴露していた。
「それは……私が迂闊だったな。私は本当に、おまえにいい刺激になるだろうと思っただけなんだよ」
「お茶会の場で、テオお祖父さまからもその辺りは聞きましたから、もう大丈夫ですわ!自国に公爵位を持つ婚約者の方がいらっしゃるんでしょう?ですがお兄様、フランカ様へのお言葉が足りませんことよ⁉」
「……そうか」
恋に恋する年頃、と周囲から言われているらしいミルテには申し訳ないが、私はあのレイナ・ユングベリ嬢の婚約者の方にその意識が向いていた。
それが「誰」かと言う事には、既に察しがついている。
ミルテに来るかも知れない縁談の事を考えて、国内外の高位貴族王族の情報は以前から入手してある。
アンジェス国内で今、妻も婚約者も持たない公爵はただ一人。
宰相位を兼務しているエドヴァルド・イデオン公爵だ。
アンジェス国先代宰相トーレン・アンジェス殿下の秘蔵っ子、後継者とも言われていて、彼がもう少し年下か、あるいはミルテがもう少し早く生まれていれば、彼の国の現国王陛下とどちらか、両国間の蟠りを解くための縁組が持ち上がった可能性は十二分に存在していたのだ。
いや、逆に婚約者があの少女であるならば、フランカに近い年齢であることを鑑みて、むしろ一度立ち消えたはずの話が再び持ち上がってくる可能性すらあった。
しかし、この国での影響力がまだ大きいテオドル大公が、その縁組を認めていると言うのであれば、むしろ私は、ミルテとの話が再び浮上しないよう、目を光らせておく必要があるのかも知れないと、一連の流れから考え直していたのだ。
「お兄様?」
「いや、何でもない。ああ、ちょうど紅茶がきたね。おまえも茶会でゆっくり飲めなかっただろう。少しここで気持ちを落ち着かせてから戻ると良い」
もちろん私が用意をさせたのは、ミルテがあちらこちらに頭を下げて配合を完成させた、王宮でしか飲むことの出来ない紅茶だ。
カップを手にとって、その香りを嗅いだミルテは、思い出した!とばかりに顔をこちらへと向けてきた。
「そうですわ、お兄様!テオお祖父さまとレイナおねえさまが、この紅茶を永続的に作るつもりがあるのなら、おねえさまの商会で取り扱っても良いと仰ってましたの!」
「へえ?」
「もちろん、これはお兄様とフランカ様の結婚式のために作り上げた物ですけれど、そういった経緯があるのなら、商品として売りに出すことも出来ると。得た利益は寄付をするなり、国内の事業に投資してみるなり、私個人の資金として運用するのも良いのではないかと仰って」
なるほど、と私は思わず唸ってしまった。
私とフランカの結婚式で振る舞われた紅茶、と言う時点で充分に箔は付いている。
結婚式以降はもう作らないと言うのも一つの思い入れだろうが、せっかく作ったのであれば、国に還元出来る方向に持って行くのはどうかと言う事なんだろう。
もちろん、商会の経営者として、利益を上げられると判断したからには違いないが、さすがに目端が利いていると言うべきだった。
「さすがにそれは、私とおまえで今すぐ判断出来る話ではないね。私の知る限りは、王家の人間が何かを開発してそれを商会に卸すなどと言った例はないからね」
「分かっておりますわ、お兄様。テオお祖父さまもレイナおねえさまも、そこは国の判断が関係してくるだろうから、あの場では、この話は持ち帰るようにと仰いましたもの。ただ、本気で取り組むつもりなら、おねえさまの商会が力になる――と」
「おねえさま、ね」
ミルテは小さいころ身体が弱かったこともあり、母であるベネデッタ妃同様、ほぼ王宮の奥から姿を見せない期間も長かった。
ロサーナ公爵令嬢が学友となり、私の婚約者となったフランカが交流を持つようになって、ようやく外の世界に目が向いているものの、バリエンダール国内でさえ、友人知人がほとんど存在しないのだ。
そのミルテの心を、他国からやって来て一瞬で掴んでいるレイナ・ユングベリと言う少女は、大したものだと言わざるを得ない。
恐らくはイデオン公爵が持つ領地にも、様々な利益をもたらしているに違いない。
長く独身を貫いてきた公爵が、婚約者として傍に留め置きたいと思うほどに。
「お兄様、私今後も、テオお祖父さまと同じようにレイナおねえさまとも交流をしていきたいんですの。父……陛下はお認め下さるでしょうか?」
少し不安げな色をその顔に浮かべたミルテの頭を、私はそっと撫でた。
「……私からも口添えをしてあげるよ」
「本当ですか⁉」
「ああ。可愛いミルテのお願いだからね。ドレスだ宝石だと言われると私も困ってしまうが、そうではないのだしね」
むしろミルテを楯にしないと、ジーノ・フォサーティの方が拙いのではないかと、心のどこかで警鐘が鳴っていた。
今はまだ無意識なのか、そうでないのかは分からないが、あの茶会の様子からするに、確実に興味を抱きはじめている事は確かだ。
「ただ、彼女は他国に住み、婚約者も決まっている。王家の権力で無理強いをしないように、気を付けないといけないね」
「もちろんですわ!」
まずはミルテにそう言い聞かせておけば、ミルテの意思を無視して強硬手段に出るようなことはないだろう。
結局、使者の話以外にも、問題が増えただけのようで私はミルテに聞こえない範囲でため息をついた。
**********************
どうしようか悩みましたが、このまま「王太子執務室氷結事件」(笑)の真相を明らかにすべく、前中後篇から番号付けに変更させていただきましたm(_ _)m
年の離れた妹は、あと数年で社交界デビューを迎える。
ならばテオドル大公が来ている時に、将来開かなくてはならない茶会の予行練習を……と言うのは、もっともな話の流れである筈だった。
「ミルテ、フランカの事なら、まだ――」
まだ婚約者であるフランカ・ハールマン侯爵令嬢を、堂々と「義姉」呼ばわりするのは、時期尚早ではないかと私はミルテをやんわり窘めようとしたのだが、妹の話は少し違ったようだった。
「違いますわ!お茶会でテオお祖父さまと一緒にいらした、ユングベリ嬢ですわ!あの方お兄様のご側室候補の方ではありませんでしたのね⁉お茶会では本当にたくさん助けていただきました!」
「⁉」
妹の口をついて出た「側室候補」の言葉に、さすがの私も返す言葉に困ってしまった。
妹が初めて主催をした茶会は、フォサーティ宰相の側室夫人とその息子の乱入で、茶会でのトラブルと言うだけでは済まなくなってしまっていた。
そもそも私がもう一人の宰相の息子であるジーノと共に場に駆けつけた時には、父である国王も既にその場にいて、事態はほぼ決着していたため、私としてもあまりその場で詳しい事情を確認出来ず、気付けばフォサーティ宰相とジーノが王宮内で私の監督下に置かれる事が決定していたのだ。
テオドル大公がアンジェスからの使者と言う公職を背負って来ているこの状況下で、宰相を蟄居にまで追い込む事は得策ではない。
恐らくはベッカリーア公爵家側は、グイドと側室夫人の愚行に巻き込む形で宰相を落とし、自分たちの息のかかった人間をその地位に送り込みたかったのだろうが、国王がかろうじてそこに待ったをかけ、王太子の執務室への軟禁と言う形での落としどころを作ったのだろう。
本来ならば宰相室で処理されるべき、急ぎの仕事が次々と持ち込まれてくる。
そこへ妹が現れたのだ。
宰相とジーノも、まだこちらへは姿を現していない。事実上の息抜きかと、私は執務室にいた文官たちにいったん席を外させた。
「ミルテ……側室候補とは、何の話だい」
執務室付きの侍従には、紅茶を淹れてくるよう命じながら、私はミルテを来客用のソファに座らせた。
「フランカ……様が気にしていらっしゃいましたわ!お兄様が突然、お茶会に参加させたい女性がいると仰るものですから。ましてテオお祖父さまのお連れの方と聞けば、どのような身分の方かと気にもなりましょう!」
お義姉様と言いかけて、慌てて私の注意を思い出したのだろう。
もごもごと言いづらそうにしながら、それでもどうやら皆が思っていたらしい事をここで暴露していた。
「それは……私が迂闊だったな。私は本当に、おまえにいい刺激になるだろうと思っただけなんだよ」
「お茶会の場で、テオお祖父さまからもその辺りは聞きましたから、もう大丈夫ですわ!自国に公爵位を持つ婚約者の方がいらっしゃるんでしょう?ですがお兄様、フランカ様へのお言葉が足りませんことよ⁉」
「……そうか」
恋に恋する年頃、と周囲から言われているらしいミルテには申し訳ないが、私はあのレイナ・ユングベリ嬢の婚約者の方にその意識が向いていた。
それが「誰」かと言う事には、既に察しがついている。
ミルテに来るかも知れない縁談の事を考えて、国内外の高位貴族王族の情報は以前から入手してある。
アンジェス国内で今、妻も婚約者も持たない公爵はただ一人。
宰相位を兼務しているエドヴァルド・イデオン公爵だ。
アンジェス国先代宰相トーレン・アンジェス殿下の秘蔵っ子、後継者とも言われていて、彼がもう少し年下か、あるいはミルテがもう少し早く生まれていれば、彼の国の現国王陛下とどちらか、両国間の蟠りを解くための縁組が持ち上がった可能性は十二分に存在していたのだ。
いや、逆に婚約者があの少女であるならば、フランカに近い年齢であることを鑑みて、むしろ一度立ち消えたはずの話が再び持ち上がってくる可能性すらあった。
しかし、この国での影響力がまだ大きいテオドル大公が、その縁組を認めていると言うのであれば、むしろ私は、ミルテとの話が再び浮上しないよう、目を光らせておく必要があるのかも知れないと、一連の流れから考え直していたのだ。
「お兄様?」
「いや、何でもない。ああ、ちょうど紅茶がきたね。おまえも茶会でゆっくり飲めなかっただろう。少しここで気持ちを落ち着かせてから戻ると良い」
もちろん私が用意をさせたのは、ミルテがあちらこちらに頭を下げて配合を完成させた、王宮でしか飲むことの出来ない紅茶だ。
カップを手にとって、その香りを嗅いだミルテは、思い出した!とばかりに顔をこちらへと向けてきた。
「そうですわ、お兄様!テオお祖父さまとレイナおねえさまが、この紅茶を永続的に作るつもりがあるのなら、おねえさまの商会で取り扱っても良いと仰ってましたの!」
「へえ?」
「もちろん、これはお兄様とフランカ様の結婚式のために作り上げた物ですけれど、そういった経緯があるのなら、商品として売りに出すことも出来ると。得た利益は寄付をするなり、国内の事業に投資してみるなり、私個人の資金として運用するのも良いのではないかと仰って」
なるほど、と私は思わず唸ってしまった。
私とフランカの結婚式で振る舞われた紅茶、と言う時点で充分に箔は付いている。
結婚式以降はもう作らないと言うのも一つの思い入れだろうが、せっかく作ったのであれば、国に還元出来る方向に持って行くのはどうかと言う事なんだろう。
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「分かっておりますわ、お兄様。テオお祖父さまもレイナおねえさまも、そこは国の判断が関係してくるだろうから、あの場では、この話は持ち帰るようにと仰いましたもの。ただ、本気で取り組むつもりなら、おねえさまの商会が力になる――と」
「おねえさま、ね」
ミルテは小さいころ身体が弱かったこともあり、母であるベネデッタ妃同様、ほぼ王宮の奥から姿を見せない期間も長かった。
ロサーナ公爵令嬢が学友となり、私の婚約者となったフランカが交流を持つようになって、ようやく外の世界に目が向いているものの、バリエンダール国内でさえ、友人知人がほとんど存在しないのだ。
そのミルテの心を、他国からやって来て一瞬で掴んでいるレイナ・ユングベリと言う少女は、大したものだと言わざるを得ない。
恐らくはイデオン公爵が持つ領地にも、様々な利益をもたらしているに違いない。
長く独身を貫いてきた公爵が、婚約者として傍に留め置きたいと思うほどに。
「お兄様、私今後も、テオお祖父さまと同じようにレイナおねえさまとも交流をしていきたいんですの。父……陛下はお認め下さるでしょうか?」
少し不安げな色をその顔に浮かべたミルテの頭を、私はそっと撫でた。
「……私からも口添えをしてあげるよ」
「本当ですか⁉」
「ああ。可愛いミルテのお願いだからね。ドレスだ宝石だと言われると私も困ってしまうが、そうではないのだしね」
むしろミルテを楯にしないと、ジーノ・フォサーティの方が拙いのではないかと、心のどこかで警鐘が鳴っていた。
今はまだ無意識なのか、そうでないのかは分からないが、あの茶会の様子からするに、確実に興味を抱きはじめている事は確かだ。
「ただ、彼女は他国に住み、婚約者も決まっている。王家の権力で無理強いをしないように、気を付けないといけないね」
「もちろんですわ!」
まずはミルテにそう言い聞かせておけば、ミルテの意思を無視して強硬手段に出るようなことはないだろう。
結局、使者の話以外にも、問題が増えただけのようで私はミルテに聞こえない範囲でため息をついた。
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