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第三部 宰相閣下の婚約者
677 戦略と戦術
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「何と言うほどのこともないんですがね。強いて言えば『独り妄想花畑劇場』で熱演されていたどこかの令息に惜しみない拍手を贈ったくらいで」
セルマで何があったのかと聞かれたウルリック副長はそんなことを言い、何故かアシェル、テレンス、ジュストの三人組は勢いよく首を横に振っていた。
「何が拍手だ。鳥肌立てていたくせに。と言うか、ケネト。おまえわざとコイツを縛っていた紐を緩めたな? 解ければご令嬢に近付こうとするだろうから、自業自得で更に罪状が増えるなどと思っただろう」
ナルディーニ侯爵令息を踏みつけた状態のまま、ベルセリウス将軍は腕組みをして足元を見下ろしている。
「とんでもない! 私は単に、どうせ捕まるんですし、ついでにここで積年の想いも砕け散っておいた方が、夢も希望もなくなって話しやすいだろうと思っただけですよ? 未練も反抗の芽も、どちらも残っていたら面倒くさいでしょう」
「……まあ、な?」
将軍、将軍!
副長真顔で身も蓋もないこと言ってますよ!
未練も反抗の芽も確かに残っていたら面倒ですが、その前の部分が何気に酷いですよ!
言っても通じないだろうから、心の中で思うだけだけれど、お釈迦様が蜘蛛の糸を自分の手でさっくり切っちゃったようなものだ。
副長は「いや、予想通りにやってくれましたね」なんて言って笑ってるけど。
「ま、まあ正規の申し出にしろ夜会での誘いにしろ、元々何度も断ってるって話ですけどね?」
最初から夢も希望もなかったよー、とはフォロー?を入れつつも、マリセラ嬢が「手は取りたくない」と、気を失う前、あんなちょっぴり首を横に振った程度でめげるとも思えなかった。
そう内心で思ったのが通じたのか「あの手のタイプは何が起きても全て自分に都合の良いように解釈をしますよ」と、副長にはばっさり切られてしまった。
うん、それは賛成かな。
「だから、自分が一番見られたくない人の前で、ごまかしようのない恥をかくのが一番かと思いましてね? 自分をよく見せたいのに、花畑劇場だ三流役者だとこき下ろされるのも、なかなかに効くんじゃないかと」
「な、なるほど」
「投資詐欺を仕掛けたり〝痺れ茶〟を国内に流通させようとしたり、地頭は悪くないと言いますか……ろくでもない方向にばかり頭の回る人間と言うのも確かにいますしね。下手に侯爵家になど生まれない方が、彼の生きる道はあったのかも知れませんよ」
そう言えば日本で詐欺事件やハッカーの横行が報道される場合にも「どうしてその頭をもっと違う方向に活かせなかったんだ」と言われている人たちは一定数存在する。
なるほど、そう言ったことはどこでもそう大きくは変わらないのかも知れない。
「そ、それでだな」
若干顔色の悪い周囲はさておいて、表面上は冷静さを保っていたオノレ子爵が、軽い咳払いと共にウルリック副長の方に向き直っていた。
ヒース君が、現状とても答えられないナルディーニ侯爵令息に代わって、ウルリック副長に発言の許可を与えたからだ。
「今回の一連の騒動の起点はどこになる、と? そんな話はあったか?」
「そうですね……一部個人的な意見を挟ませていただいても?」
「偏ったものでなければ」
いかにも法の番人らしい物言いに、副長は口元に手をあてながら、どう説明しようかと考える仕種を見せた。
「この令息であって、令息ではない――そんな気がしますよ」
「と、言うと?」
「巷の噂が真実なのであれば、ナルディーニ侯爵閣下ご本人も、むしろ主犯側に入るのでは……と」
巷の噂と言うよりは、王宮内の公然の秘密と言った方が良いのかも知れないけれど、ナルディーニ侯爵がエモニエ侯爵令嬢時代からヒルダ・コンティオラ公爵夫人に、侯爵令息がその愛娘であるマリセラ・コンティオラ公爵令嬢に執着をしているのは有名な話だと言う。
「現に令息の方はコンティオラ公爵令嬢に執着しているようですし」
オノレ子爵の立場では迂闊に噂に頷くことも出来ないだろうけど、ナルディーニ侯爵令息の言動に関しては、実際に見ているわけだから、恐らくは納得しやすい筈だ。
「娘が投資詐欺に引っかかった。その立場故に複数の商会が資金を出し、同じ被害にあった――実際もしそうなれば、コンティオラ公爵家の体面を保つためには離縁と実家戻し一択になりますからね。そこを親切を装って母娘ごと囲い込もうとした。ナルディーニ侯爵家側は、概ねその理由で片付けられるのではと思いますが」
「ふむ……其方の言い方だと、まだ別の側面があるようにも聞こえるな」
「そうですね。この話だけですと〝痺れ茶〟の絡みどころがほぼありませんからね。詐欺の片棒を担がせるための一環で、ナルディーニ侯爵の弟殿に盛ったらしいことは聞きましたが、誰が、どこから、最終的な目的は何で――となると、また別の話になるのでは、と」
さすが、日頃色々な情報を得て、取捨選択して将軍に奏上しているウルリック副長だ。
ファルコを含めた〝鷹の眼〟からの断片的な情報と、セルマで捕らえた連中を護送する合間に様々な情報を入手したことで、既に全容を把握しつつあるようだった。
意識していたのか無意識だったのか。
副長を話し相手に選んだオノレ子爵の選択は、現状での最適解だった。
「その茶葉と投資詐欺話との間に、その話以外の絡みがあると?」
「ええ、まあ……これはそちらのアジーラ嬢から聞いた話に基づく推測になりますが」
セルマから王都に向かう馬車の中で、ベルセリウス将軍とウルリック副長は、単なるコンティオラ公爵家の護衛の義妹と思っていたアジーラ嬢が、先代エモニエ侯爵の後妻夫人と当代ナルディーニ侯爵との間に出来た子だと言うことを知った。
ヒルダ・コンティオラ公爵夫人がエモニエ侯爵令嬢だった頃の乳母に預けられ、義弟となるウリッセと共に平民として育ったのだ、と。
先代エモニエ侯爵が病没し代替わりをするにあたって、通常であれば領地内でのんびり隠居生活――になるところが、後妻である夫人は、自分の出身地であるバリエンダールへの帰郷を望み、それにあたってアジーラ嬢に自分と一緒に来て、身の回りの世話をして欲しいといきなり現れたのだと言う。
「ただ夫人は実家とは既に縁を切った状態にあるそうで、派閥の長であるベッカリーア公爵家に住居含め生活の面倒は見てもらうとの話になっていたそうですよ。で、その交渉の間に入っていたのがナルディーニ侯爵家だった」
「……侯爵が愛人の願いを叶えた、とでも?」
「元々、後妻夫人の実家はバリエンダールのフレイア伯爵家で、ナルディーニ侯爵家とは漁場が近くよく顔を合わせるとか、とにかく両家は顔見知りだったそうですよ。ただ後妻夫人の狙いは、自分を他国の王の愛妾として外に出した実家の取り潰し。さすがにいきなり潰されては領政としては困ると、ナルディーニ侯爵は派閥の長ベッカリーア公爵家に裏で接触を図ったとか」
海を隔てた向こうの街への連絡は、王都へ早馬を出すことよりも遥かに早い。
ただ、接触を受けたベッカリーア公爵家としても、フレイア伯爵家をいきなり潰すことなどもちろん出来ない。
何故なら〝痺れ茶〟の生産・加工を請け負っている島はフレイア伯爵家の管轄だから。
「ナルディーニ侯爵としても、新たな茶葉の流通で得られるであろう資金への欲は捨てきれないが、かと言って他国の伯爵家を潰してまでかと言われれば、そこまでの責任は背負いたくない。そうこうしている間に、恐らくはしびれを切らしたんでしょう。後妻夫人は更なる一手で手駒を動かした」
フレイア伯爵家を裁けない理由が〝痺れ茶〟の生産・加工にあるのなら。
アンジェス国で新たな販路を築き、いずれはどこかで栽培も手がけ、フレイア伯爵家の存在意義をなくせば良い――と。
「元エモニエ侯爵令嬢が降嫁したブロッカ子爵家に侯爵家内での地位の向上をちらつかせ、フレイア伯爵家に代わる〝痺れ茶〟の販売元を請け負わせようとしたみたいですね。豪気にも〝痺れ茶〟を生産している島そのもの権利も付け加えた。先代エモニエ侯爵夫人の肩書がありますから、空手形は切り放題だったんでしょう」
「「「…………」」」
ウルリック副長が語る、アジーラ嬢からの思いがけない情報に皆が絶句している。
「護衛である義兄が、義妹の身の安全と引き換えに手引きさせられていたと聞いていましたが、義妹は義妹で、義兄のコンティオラ公爵家での立場を悪くしたくなければ――と、時折実母の侍女めいたことをさせられていたそうですよ。そのために、意図しないまでもある程度の情報が耳に入ってしまい、抜け出しにくくなっていたようですね」
「……つまりは投資詐欺話はナルディーニ侯爵を中心に波及した話だが、茶葉の話は先代エモニエ侯爵夫人を中心に波及をした。ただしどちらにもナルディーニ侯爵は絡んでいる、と」
そう話をまとめたオノレ子爵に、ウルリック副長は何とも言えない表情でそれに答えた。
「恐らく話の大前提は、先代エモニエ侯爵夫人のフレイア伯爵家への復讐にあるのではないですかね? そのために茶葉の流通を奪おうとして、愛人関係にあったナルディーニ侯爵を巻き込み、資金とコンティオラ公爵夫人と令嬢を手に入れたい侯爵が、そこに便乗して投資詐欺をも仕掛けた。あくまでこの令息は戦術レベルでの指揮官にすぎず、後方で戦略を立てたのは先代エモニエ侯爵夫人ではないのか――と」
いかにも軍の知略担当であるウルリック副長らしいまとめ方だ。
そして誰も、そこに効果的な反論の術は持たなかった。
セルマで何があったのかと聞かれたウルリック副長はそんなことを言い、何故かアシェル、テレンス、ジュストの三人組は勢いよく首を横に振っていた。
「何が拍手だ。鳥肌立てていたくせに。と言うか、ケネト。おまえわざとコイツを縛っていた紐を緩めたな? 解ければご令嬢に近付こうとするだろうから、自業自得で更に罪状が増えるなどと思っただろう」
ナルディーニ侯爵令息を踏みつけた状態のまま、ベルセリウス将軍は腕組みをして足元を見下ろしている。
「とんでもない! 私は単に、どうせ捕まるんですし、ついでにここで積年の想いも砕け散っておいた方が、夢も希望もなくなって話しやすいだろうと思っただけですよ? 未練も反抗の芽も、どちらも残っていたら面倒くさいでしょう」
「……まあ、な?」
将軍、将軍!
副長真顔で身も蓋もないこと言ってますよ!
未練も反抗の芽も確かに残っていたら面倒ですが、その前の部分が何気に酷いですよ!
言っても通じないだろうから、心の中で思うだけだけれど、お釈迦様が蜘蛛の糸を自分の手でさっくり切っちゃったようなものだ。
副長は「いや、予想通りにやってくれましたね」なんて言って笑ってるけど。
「ま、まあ正規の申し出にしろ夜会での誘いにしろ、元々何度も断ってるって話ですけどね?」
最初から夢も希望もなかったよー、とはフォロー?を入れつつも、マリセラ嬢が「手は取りたくない」と、気を失う前、あんなちょっぴり首を横に振った程度でめげるとも思えなかった。
そう内心で思ったのが通じたのか「あの手のタイプは何が起きても全て自分に都合の良いように解釈をしますよ」と、副長にはばっさり切られてしまった。
うん、それは賛成かな。
「だから、自分が一番見られたくない人の前で、ごまかしようのない恥をかくのが一番かと思いましてね? 自分をよく見せたいのに、花畑劇場だ三流役者だとこき下ろされるのも、なかなかに効くんじゃないかと」
「な、なるほど」
「投資詐欺を仕掛けたり〝痺れ茶〟を国内に流通させようとしたり、地頭は悪くないと言いますか……ろくでもない方向にばかり頭の回る人間と言うのも確かにいますしね。下手に侯爵家になど生まれない方が、彼の生きる道はあったのかも知れませんよ」
そう言えば日本で詐欺事件やハッカーの横行が報道される場合にも「どうしてその頭をもっと違う方向に活かせなかったんだ」と言われている人たちは一定数存在する。
なるほど、そう言ったことはどこでもそう大きくは変わらないのかも知れない。
「そ、それでだな」
若干顔色の悪い周囲はさておいて、表面上は冷静さを保っていたオノレ子爵が、軽い咳払いと共にウルリック副長の方に向き直っていた。
ヒース君が、現状とても答えられないナルディーニ侯爵令息に代わって、ウルリック副長に発言の許可を与えたからだ。
「今回の一連の騒動の起点はどこになる、と? そんな話はあったか?」
「そうですね……一部個人的な意見を挟ませていただいても?」
「偏ったものでなければ」
いかにも法の番人らしい物言いに、副長は口元に手をあてながら、どう説明しようかと考える仕種を見せた。
「この令息であって、令息ではない――そんな気がしますよ」
「と、言うと?」
「巷の噂が真実なのであれば、ナルディーニ侯爵閣下ご本人も、むしろ主犯側に入るのでは……と」
巷の噂と言うよりは、王宮内の公然の秘密と言った方が良いのかも知れないけれど、ナルディーニ侯爵がエモニエ侯爵令嬢時代からヒルダ・コンティオラ公爵夫人に、侯爵令息がその愛娘であるマリセラ・コンティオラ公爵令嬢に執着をしているのは有名な話だと言う。
「現に令息の方はコンティオラ公爵令嬢に執着しているようですし」
オノレ子爵の立場では迂闊に噂に頷くことも出来ないだろうけど、ナルディーニ侯爵令息の言動に関しては、実際に見ているわけだから、恐らくは納得しやすい筈だ。
「娘が投資詐欺に引っかかった。その立場故に複数の商会が資金を出し、同じ被害にあった――実際もしそうなれば、コンティオラ公爵家の体面を保つためには離縁と実家戻し一択になりますからね。そこを親切を装って母娘ごと囲い込もうとした。ナルディーニ侯爵家側は、概ねその理由で片付けられるのではと思いますが」
「ふむ……其方の言い方だと、まだ別の側面があるようにも聞こえるな」
「そうですね。この話だけですと〝痺れ茶〟の絡みどころがほぼありませんからね。詐欺の片棒を担がせるための一環で、ナルディーニ侯爵の弟殿に盛ったらしいことは聞きましたが、誰が、どこから、最終的な目的は何で――となると、また別の話になるのでは、と」
さすが、日頃色々な情報を得て、取捨選択して将軍に奏上しているウルリック副長だ。
ファルコを含めた〝鷹の眼〟からの断片的な情報と、セルマで捕らえた連中を護送する合間に様々な情報を入手したことで、既に全容を把握しつつあるようだった。
意識していたのか無意識だったのか。
副長を話し相手に選んだオノレ子爵の選択は、現状での最適解だった。
「その茶葉と投資詐欺話との間に、その話以外の絡みがあると?」
「ええ、まあ……これはそちらのアジーラ嬢から聞いた話に基づく推測になりますが」
セルマから王都に向かう馬車の中で、ベルセリウス将軍とウルリック副長は、単なるコンティオラ公爵家の護衛の義妹と思っていたアジーラ嬢が、先代エモニエ侯爵の後妻夫人と当代ナルディーニ侯爵との間に出来た子だと言うことを知った。
ヒルダ・コンティオラ公爵夫人がエモニエ侯爵令嬢だった頃の乳母に預けられ、義弟となるウリッセと共に平民として育ったのだ、と。
先代エモニエ侯爵が病没し代替わりをするにあたって、通常であれば領地内でのんびり隠居生活――になるところが、後妻である夫人は、自分の出身地であるバリエンダールへの帰郷を望み、それにあたってアジーラ嬢に自分と一緒に来て、身の回りの世話をして欲しいといきなり現れたのだと言う。
「ただ夫人は実家とは既に縁を切った状態にあるそうで、派閥の長であるベッカリーア公爵家に住居含め生活の面倒は見てもらうとの話になっていたそうですよ。で、その交渉の間に入っていたのがナルディーニ侯爵家だった」
「……侯爵が愛人の願いを叶えた、とでも?」
「元々、後妻夫人の実家はバリエンダールのフレイア伯爵家で、ナルディーニ侯爵家とは漁場が近くよく顔を合わせるとか、とにかく両家は顔見知りだったそうですよ。ただ後妻夫人の狙いは、自分を他国の王の愛妾として外に出した実家の取り潰し。さすがにいきなり潰されては領政としては困ると、ナルディーニ侯爵は派閥の長ベッカリーア公爵家に裏で接触を図ったとか」
海を隔てた向こうの街への連絡は、王都へ早馬を出すことよりも遥かに早い。
ただ、接触を受けたベッカリーア公爵家としても、フレイア伯爵家をいきなり潰すことなどもちろん出来ない。
何故なら〝痺れ茶〟の生産・加工を請け負っている島はフレイア伯爵家の管轄だから。
「ナルディーニ侯爵としても、新たな茶葉の流通で得られるであろう資金への欲は捨てきれないが、かと言って他国の伯爵家を潰してまでかと言われれば、そこまでの責任は背負いたくない。そうこうしている間に、恐らくはしびれを切らしたんでしょう。後妻夫人は更なる一手で手駒を動かした」
フレイア伯爵家を裁けない理由が〝痺れ茶〟の生産・加工にあるのなら。
アンジェス国で新たな販路を築き、いずれはどこかで栽培も手がけ、フレイア伯爵家の存在意義をなくせば良い――と。
「元エモニエ侯爵令嬢が降嫁したブロッカ子爵家に侯爵家内での地位の向上をちらつかせ、フレイア伯爵家に代わる〝痺れ茶〟の販売元を請け負わせようとしたみたいですね。豪気にも〝痺れ茶〟を生産している島そのもの権利も付け加えた。先代エモニエ侯爵夫人の肩書がありますから、空手形は切り放題だったんでしょう」
「「「…………」」」
ウルリック副長が語る、アジーラ嬢からの思いがけない情報に皆が絶句している。
「護衛である義兄が、義妹の身の安全と引き換えに手引きさせられていたと聞いていましたが、義妹は義妹で、義兄のコンティオラ公爵家での立場を悪くしたくなければ――と、時折実母の侍女めいたことをさせられていたそうですよ。そのために、意図しないまでもある程度の情報が耳に入ってしまい、抜け出しにくくなっていたようですね」
「……つまりは投資詐欺話はナルディーニ侯爵を中心に波及した話だが、茶葉の話は先代エモニエ侯爵夫人を中心に波及をした。ただしどちらにもナルディーニ侯爵は絡んでいる、と」
そう話をまとめたオノレ子爵に、ウルリック副長は何とも言えない表情でそれに答えた。
「恐らく話の大前提は、先代エモニエ侯爵夫人のフレイア伯爵家への復讐にあるのではないですかね? そのために茶葉の流通を奪おうとして、愛人関係にあったナルディーニ侯爵を巻き込み、資金とコンティオラ公爵夫人と令嬢を手に入れたい侯爵が、そこに便乗して投資詐欺をも仕掛けた。あくまでこの令息は戦術レベルでの指揮官にすぎず、後方で戦略を立てたのは先代エモニエ侯爵夫人ではないのか――と」
いかにも軍の知略担当であるウルリック副長らしいまとめ方だ。
そして誰も、そこに効果的な反論の術は持たなかった。
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