705 / 785
第三部 宰相閣下の婚約者
746 ライジング!
しおりを挟む
「――ガールシンも、今日は私の茶会だ。研究の発展に好奇心は不可欠だが、それは後日別の場で満たしてくれ」
シャルリーヌのドレスに触れていた手を離した国王陛下は、その視線をチラと医局長へと向けていた。
「私の『もてなし』はまだ終わっていなくてな」
「……っ」
その視線は、圧倒的な怯えと恐怖を抱かせる為政者の視線だ。
やはり自分の「娯楽」を邪魔されることを何よりも嫌うその性格はゲーム通りなんだなと、私もシャルリーヌもかえって納得してしまったんだけれど。
多分アルノシュト家の状況が知れるまでは織り込み済みの展開だったとして、土地や薬の研究云々と言った話になると、自分の「娯楽」で済む範囲を超えると判断したのだ。
ガールシン医局長はさすがに気圧されたのか、顔色を変えて口を噤んだ。
「……は」
胸に手をやりながら頭を下げた医局長には、それ以上の興味はないとばかりに立ち上がって、シャルリーヌの元から離れた国王陛下はくるりと方向を変えて、床と仲良くしたままのナルディーニ侯爵のところにまで歩を進めていた。
多分まだ痺れ薬が効いて動けないんだろうけど、それでも王宮護衛騎士としては王の護衛に立たざるを得ない。
数名が慌てて近くに走り寄っている。
「さて、ナルディーニ侯爵」
「あ……」
国王陛下が流れるような仕種で再び腰の短剣を手にして、その切っ先をナルディーニ侯爵の方へと付きつけた。
まだあまり話せないだろうことは加味しても、それでも喉の奥から痙攣るような声が洩れたのだけはこちらにも届いた。
もはや彼の持つ短剣は、ただの剣以上の物体と化している。
慄くなと言う方が無理だった。
「今更罪状の認否などと愚かな問いかけはすまいが……少々気になる話があったな」
「は……」
ナルディーニ侯爵を見下ろす国王陛下の表情は、目だけが笑っていない愉悦を帯びた笑みが広がっていた。
問われたナルディーニ侯爵以外でさえも、恐怖に息を呑んだだろうと思われるほどだ。
と言うか陛下、しないんですか罪状認否。
いえ、それはもちろん状況証拠としては揃いまくってるんですが。
高等法院のオノレ子爵に怒られませんか。
『……レイナ、その眉間の皺と細目は何なの』
よほど陛下を見ていた私の目を変に思ったのか、扇を口元にあてたシャルリーヌがこっそりそんなことを聞いてきた。
『あー……うん、ここまできたらもうナルディーニ侯爵本人が認めようと認めまいと陛下にはどうでもいいのかなー……と』
『ああ……まあ、普通なら暴君の誹りをうけてもしょうがないんだろうけど……このまま断罪しても陛下なら許される感じよね……そもそも理不尽な冤罪を吹っ掛けているわけでもないし? ただただ、無実だとかグダグダ言われる時間を省いたように見えるし』
『あー……言い訳を聞く気が最初からない、と』
『それだけ陛下の中では雑魚扱いなんじゃないの? もしくは玩具』
『…………』
さすが主人公ポジであると同時に〝蘇芳戦記〟のプレイヤーだ。
倫理が家出した国王の性格について、彼女もよく分かっているように見えた。
『あの手を振り下ろしたら、この広間に血の雨降るよね。あ、だけどここでの話が広まれば羊も沈黙しそう 』
『やーめーてー。全然笑えない。ハンニバル誕生の瞬間になんか立ち会いたくないわー』
あはは、と乾いた笑いを交わし合っているあたり、私もシャルリーヌも既に場の空気に疲弊していたのかも知れない。
『って言うか、誰がそんな血塗られた惨劇なんか目の当たりにしたいのよ、シャーリー』
『まあ……スチルだから他人事で見ていられたのよね……』
こんなところでリアルに血しぶきが飛ぶところなんか、誰だって見たくはない。
お願いですからその剣は手に持っているだけにしてください、と切実に願う私とシャルリーヌをよそに、陛下は口の端を愉悦に歪めながら、ナルディーニ侯爵を見下ろしていた。
「国に17しかない侯爵家が易々と裁かれることはない――だったか? そんな話をしたのか? 息子に?」
「ひ……っ」
「確かに周辺諸国と比較をすれば、17しかない侯爵家とも言えようが。だが知っていたか、ナルディーニ?」
手元の剣は振るってくれるなと、皆が固唾を呑んでいる中で国王陛下がまるでダメな子に言い聞かせるかの如くナルディーニ侯爵に話しかけている。
「何もその中の一つが『ナルディーニ』であり続ける必要はない。あるいは直系が領主で居続ける必要もない。別の者、別の家が取って代わったところで、侯爵家としての数は17のままなんだが」
ナルディーニ侯爵の口から声は洩れず、はくはくと開いたり閉じたりしているだけなのは、果たして薬の所為か恐怖の所為か。
「そう言う意味では表向き『侯爵家』は裁かれないのだと勘違いしてもおかしくはないが……さて、どうしたものか」
そこですっと、陛下の手が動いた。
――短剣を持っていた、右の手が。
「陛下!」
「待て……っ!」
「まあどちらにせよ、だ」
さすがに見過ごせないと、エドヴァルドとレイフ殿下が声を上げていたけれど、その程度で国王陛下の手が止まるはずもなかった。
「この私が高位貴族を裁けもしない惰弱な王と密かに侮っていたのだろう? 国政に無関心な第三王子がたまたま生き残って王になったと、宰相の有能さに助けられているに過ぎんと勘違いしている者も当時からいたようだしな。その辺りの不敬には、きっちりと抗議しておこう」
「陛下! 私が貴方を王と仰いだ理由を、そんな『たまたま』などと軽い理由で片づけないでいただきたい!」
ぐっと拳を握りしめたエドヴァルドの叫びは、国王陛下に余計なことをさせまいとしての叫びであると同時に、きっと彼の本心でもあると、そんな風に私には見えた。
第一王子、第二王子のことはその名前さえも〝蘇芳戦記〟には記されていなかったけれど、だからこそ、その王子たちとレイフ殿下とを比較して、エドヴァルドの中では第三王子が次の王に足る者だと思ったに違いなかった。
「くく……まあ、私と宰相はこの先も一蓮托生だろうな。だからこそ、私自身が宰相に踊らされる者ではないと、常に示しておかなくてはな」
「貴方が私の傀儡だなどと思う阿呆が、この世のどこにいると仰るか!」
「うん? 意識していたか無自覚かはさておき、ナルディーニのように私を軽視していた連中に関しては、私よりも宰相を警戒していたと思うがな。見解の相違か? いずれにせよ、いい機会だ。自国の王がどう言った人物なのかをその身で思い知ればいい」
「待……っ!」
待て、とエドヴァルドが叫ぶ隙もなかった。
まったく表情を変えないまま、国王陛下は結局手にしていた剣をナルディーニ侯爵に向かって振りぬいた。
皆が目を見開く中――恐らくは威力の弱い風が吹いたのかも知れない。
まさしくそれは「かまいたち」の要領で、横たわるナルディーニ侯爵の両頬に幾筋もの裂傷を走らせた。
「…………ふむ」
剣を眺める国王陛下の表情は、やや不満気だ。
「私の魔力の問題か、短剣の耐久性の問題か……同じ威力での連発が効かぬのか」
ヴェンツェン、と呼ばれた管理部長が国王陛下の方へと進み出る。
「預ける。直しておいてくれ」
「御意に。ではそれまでは、こちらを」
膝をついたヴェンツェン管理部長が両手に乗せた別の短剣を差し出し、国王陛下が自らの手にあった短剣とそれを取り替えている。
「ああ、コレは普通の短剣だ。力業で喉を掻き切るくらいしか使い道はないな。安心しろ、喋れなくなると困るからそこまでは――と、聞いてはいないな」
見ればナルディーニ侯爵は、白目をむいて気絶していた。
シャルリーヌのドレスに触れていた手を離した国王陛下は、その視線をチラと医局長へと向けていた。
「私の『もてなし』はまだ終わっていなくてな」
「……っ」
その視線は、圧倒的な怯えと恐怖を抱かせる為政者の視線だ。
やはり自分の「娯楽」を邪魔されることを何よりも嫌うその性格はゲーム通りなんだなと、私もシャルリーヌもかえって納得してしまったんだけれど。
多分アルノシュト家の状況が知れるまでは織り込み済みの展開だったとして、土地や薬の研究云々と言った話になると、自分の「娯楽」で済む範囲を超えると判断したのだ。
ガールシン医局長はさすがに気圧されたのか、顔色を変えて口を噤んだ。
「……は」
胸に手をやりながら頭を下げた医局長には、それ以上の興味はないとばかりに立ち上がって、シャルリーヌの元から離れた国王陛下はくるりと方向を変えて、床と仲良くしたままのナルディーニ侯爵のところにまで歩を進めていた。
多分まだ痺れ薬が効いて動けないんだろうけど、それでも王宮護衛騎士としては王の護衛に立たざるを得ない。
数名が慌てて近くに走り寄っている。
「さて、ナルディーニ侯爵」
「あ……」
国王陛下が流れるような仕種で再び腰の短剣を手にして、その切っ先をナルディーニ侯爵の方へと付きつけた。
まだあまり話せないだろうことは加味しても、それでも喉の奥から痙攣るような声が洩れたのだけはこちらにも届いた。
もはや彼の持つ短剣は、ただの剣以上の物体と化している。
慄くなと言う方が無理だった。
「今更罪状の認否などと愚かな問いかけはすまいが……少々気になる話があったな」
「は……」
ナルディーニ侯爵を見下ろす国王陛下の表情は、目だけが笑っていない愉悦を帯びた笑みが広がっていた。
問われたナルディーニ侯爵以外でさえも、恐怖に息を呑んだだろうと思われるほどだ。
と言うか陛下、しないんですか罪状認否。
いえ、それはもちろん状況証拠としては揃いまくってるんですが。
高等法院のオノレ子爵に怒られませんか。
『……レイナ、その眉間の皺と細目は何なの』
よほど陛下を見ていた私の目を変に思ったのか、扇を口元にあてたシャルリーヌがこっそりそんなことを聞いてきた。
『あー……うん、ここまできたらもうナルディーニ侯爵本人が認めようと認めまいと陛下にはどうでもいいのかなー……と』
『ああ……まあ、普通なら暴君の誹りをうけてもしょうがないんだろうけど……このまま断罪しても陛下なら許される感じよね……そもそも理不尽な冤罪を吹っ掛けているわけでもないし? ただただ、無実だとかグダグダ言われる時間を省いたように見えるし』
『あー……言い訳を聞く気が最初からない、と』
『それだけ陛下の中では雑魚扱いなんじゃないの? もしくは玩具』
『…………』
さすが主人公ポジであると同時に〝蘇芳戦記〟のプレイヤーだ。
倫理が家出した国王の性格について、彼女もよく分かっているように見えた。
『あの手を振り下ろしたら、この広間に血の雨降るよね。あ、だけどここでの話が広まれば羊も沈黙しそう 』
『やーめーてー。全然笑えない。ハンニバル誕生の瞬間になんか立ち会いたくないわー』
あはは、と乾いた笑いを交わし合っているあたり、私もシャルリーヌも既に場の空気に疲弊していたのかも知れない。
『って言うか、誰がそんな血塗られた惨劇なんか目の当たりにしたいのよ、シャーリー』
『まあ……スチルだから他人事で見ていられたのよね……』
こんなところでリアルに血しぶきが飛ぶところなんか、誰だって見たくはない。
お願いですからその剣は手に持っているだけにしてください、と切実に願う私とシャルリーヌをよそに、陛下は口の端を愉悦に歪めながら、ナルディーニ侯爵を見下ろしていた。
「国に17しかない侯爵家が易々と裁かれることはない――だったか? そんな話をしたのか? 息子に?」
「ひ……っ」
「確かに周辺諸国と比較をすれば、17しかない侯爵家とも言えようが。だが知っていたか、ナルディーニ?」
手元の剣は振るってくれるなと、皆が固唾を呑んでいる中で国王陛下がまるでダメな子に言い聞かせるかの如くナルディーニ侯爵に話しかけている。
「何もその中の一つが『ナルディーニ』であり続ける必要はない。あるいは直系が領主で居続ける必要もない。別の者、別の家が取って代わったところで、侯爵家としての数は17のままなんだが」
ナルディーニ侯爵の口から声は洩れず、はくはくと開いたり閉じたりしているだけなのは、果たして薬の所為か恐怖の所為か。
「そう言う意味では表向き『侯爵家』は裁かれないのだと勘違いしてもおかしくはないが……さて、どうしたものか」
そこですっと、陛下の手が動いた。
――短剣を持っていた、右の手が。
「陛下!」
「待て……っ!」
「まあどちらにせよ、だ」
さすがに見過ごせないと、エドヴァルドとレイフ殿下が声を上げていたけれど、その程度で国王陛下の手が止まるはずもなかった。
「この私が高位貴族を裁けもしない惰弱な王と密かに侮っていたのだろう? 国政に無関心な第三王子がたまたま生き残って王になったと、宰相の有能さに助けられているに過ぎんと勘違いしている者も当時からいたようだしな。その辺りの不敬には、きっちりと抗議しておこう」
「陛下! 私が貴方を王と仰いだ理由を、そんな『たまたま』などと軽い理由で片づけないでいただきたい!」
ぐっと拳を握りしめたエドヴァルドの叫びは、国王陛下に余計なことをさせまいとしての叫びであると同時に、きっと彼の本心でもあると、そんな風に私には見えた。
第一王子、第二王子のことはその名前さえも〝蘇芳戦記〟には記されていなかったけれど、だからこそ、その王子たちとレイフ殿下とを比較して、エドヴァルドの中では第三王子が次の王に足る者だと思ったに違いなかった。
「くく……まあ、私と宰相はこの先も一蓮托生だろうな。だからこそ、私自身が宰相に踊らされる者ではないと、常に示しておかなくてはな」
「貴方が私の傀儡だなどと思う阿呆が、この世のどこにいると仰るか!」
「うん? 意識していたか無自覚かはさておき、ナルディーニのように私を軽視していた連中に関しては、私よりも宰相を警戒していたと思うがな。見解の相違か? いずれにせよ、いい機会だ。自国の王がどう言った人物なのかをその身で思い知ればいい」
「待……っ!」
待て、とエドヴァルドが叫ぶ隙もなかった。
まったく表情を変えないまま、国王陛下は結局手にしていた剣をナルディーニ侯爵に向かって振りぬいた。
皆が目を見開く中――恐らくは威力の弱い風が吹いたのかも知れない。
まさしくそれは「かまいたち」の要領で、横たわるナルディーニ侯爵の両頬に幾筋もの裂傷を走らせた。
「…………ふむ」
剣を眺める国王陛下の表情は、やや不満気だ。
「私の魔力の問題か、短剣の耐久性の問題か……同じ威力での連発が効かぬのか」
ヴェンツェン、と呼ばれた管理部長が国王陛下の方へと進み出る。
「預ける。直しておいてくれ」
「御意に。ではそれまでは、こちらを」
膝をついたヴェンツェン管理部長が両手に乗せた別の短剣を差し出し、国王陛下が自らの手にあった短剣とそれを取り替えている。
「ああ、コレは普通の短剣だ。力業で喉を掻き切るくらいしか使い道はないな。安心しろ、喋れなくなると困るからそこまでは――と、聞いてはいないな」
見ればナルディーニ侯爵は、白目をむいて気絶していた。
1,035
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
事情があってメイドとして働いていますが、実は公爵家の令嬢です。
木山楽斗
恋愛
ラナリアが仕えるバルドリュー伯爵家では、子爵家の令嬢であるメイドが幅を利かせていた。
彼女は貴族の地位を誇示して、平民のメイドを虐げていた。その毒牙は、平民のメイドを庇ったラナリアにも及んだ。
しかし彼女は知らなかった。ラナリアは事情があって伯爵家に仕えている公爵令嬢だったのである。
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
継子いじめで糾弾されたけれど、義娘本人は離婚したら私についてくると言っています〜出戻り夫人の商売繁盛記〜
野生のイエネコ
恋愛
後妻として男爵家に嫁いだヴィオラは、継子いじめで糾弾され離婚を申し立てられた。
しかし当の義娘であるシャーロットは、親としてどうしようもない父よりも必要な教育を与えたヴィオラの味方。
義娘を連れて実家の商会に出戻ったヴィオラは、貴族での生活を通じて身につけた知恵で新しい服の開発をし、美形の義娘と息子は服飾モデルとして王都に流行の大旋風を引き起こす。
度々襲来してくる元夫の、借金の申込みやヨリを戻そうなどの言葉を躱しながら、事業に成功していくヴィオラ。
そんな中、伯爵家嫡男が、継子いじめの疑惑でヴィオラに近づいてきて?
※小説家になろうで「離婚したので幸せになります!〜出戻り夫人の商売繁盛記〜」として掲載しています。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。