714 / 785
第三部 宰相閣下の婚約者
755 その鳥、アートになる
しおりを挟む
「――お嬢様方、宜しければ、どうぞこちらを」
私とシャルリーヌが、リファちゃんを真ん中に盛り上がっていたところに、コティペルト支配人からの声がかかった。
「⁉」
通常のカップよりも小ぶりなデミタスカップが、私とシャルリーヌの前にそれぞれ置かれ、そこで二人して思わず息を吞んでしまった。
「リファちゃん!」
「いやいや、レイナ! そこじゃなく、ラテアートの技術に驚こうよ!」
そう。
シャルリーヌの言う通り、目の前に出されたのは、デミカップの上に絶妙に広がっているミルクの泡に描かれたシマエナガ――つまりは、リファちゃんのラテアートなのだ。
「お気に召していただけましたか?」
勢いよく首を縦に振る私達に、コティペルト支配人は満足げに目元を緩めた。
「絵柄自体は初めてなのですが、牛乳ベースで作る泡に絵を描くと言うのは、以前から時々行っていることではあるのですよ」
特に予約客が子供連れだったり、予め動物を飼っていることが分かっている場合などに、こう言ったラテアートを提供することがあるらしい。
「我が国は紅茶文化ですが、厨房にはバリエンダール出身の者もいましてね。直火式抽出器具も仕入れてあって、時折こうやって珈琲もお出ししています」
そう言えばバリエンダールは、北方遊牧民を含めて紅茶よりも珈琲の消費量の方が多いと聞いた気がする。
だからこそ、ミルテ王女の肝いりで新しい紅茶がブレンドされようとしているのだ。
「この絵柄は本日の記念に、きちんと特許を取って、お二方だけの絵柄とさせて頂きますので、ぜひ今度は〝アンブローシュ〟の店舗の方にもいらして下さい」
「!」
私かシャルリーヌ、あるいは二人で行く時にしか、このラテアートは提供しない。
そして、特許を取る。
一見、店舗への誘導と見せかけつつ、先ほどまでの会話を汲んで、リファちゃん――ヘリファルテ種を大々的に宣伝に使うことはしないと、さりげなく仄めかせてきている。
さすが王都一、かつては王族専用だったレストランの現役支配人の采配と言うべきだろう。
「ええっと……夕食ではなく、昼間のお茶会とかでもお願いは出来るのかしら?」
今更感が漂ってはいるものの、少しだけ淑女の仮面を残したシャルリーヌが問う。
確かに、と私も思った。
怖くて聞けないままだけど、どうやらレストランの貸切で、私の感覚でも有名どころの高級外車が即金で買えそうな費用がかかっているようなのだ。
王都の経済を回すと言われて、ハイそうですかと頷ける額じゃない。
首元の〝青の中の青〟やらドレス、ピアス等々……考えれば気が遠くなりそうだ。
きっと、シャルリーヌも「一見さんお断り」の〝アンブローシュ〟に自分達が行くとすれば、ティータイムですら危ういと思ったに違いない。
伯爵令嬢とは言え、シャルリーヌにも日本人で女子大生だった頃の感覚が残っているだろうから。
「――ええ、もちろんでございます、お嬢様」
そして恐らく、そんな女子二人の葛藤すら察しているであろうコティペルト支配人は、あくまで穏やかに微笑んでいた。
多分支配人の中では既にシャルリーヌも重要人物扱いになっているに違いない。
どう言う思惑があろうと、何せこの国の国王陛下から「ドレスを贈る」とまで言われている、次期聖女予定者なのだから。
「可能な限りのご要望にお応えするのが、当レストランの誇りであり矜持でございます。夜以外の時間に場所をご提供することくらい、造作もございません」
従業員ごとの貸切という前代未聞の要請に応じて王宮に来ているくらいなのだから、確かに「造作もない」んだろう。
「で……では、その時は宜しくお願い致しますわ」
ほほほ……と笑いながらも、シャルリーヌの声はしっかり上ずっている。
「お待ちしております。ではもうしばらくは、どうぞごゆるりとお寛ぎ下さいませ」
私どものレストランではございませんが、と最後はちょっと軽めの言い方をして、コティペルト支配人は部屋の隅へと下がって行った。
「ふふ……リファちゃんには残念ながら飲ませてあげられないなぁ……」
人間向けと同じ味付けのモノを食べさせるなどと、ヘリファルテ種だろうと何だろうと、多分狂気の沙汰だ。
「ぴ……」
ちょっと残念そうにリファちゃんも膨らんでいるけれど、どちらかと言えば「仕方ないなぁ……」と私に向かって言っているように見えた。
「うん、私たちのゴハンが終わったら、レヴにリファちゃんのゴハン持って来て貰おうか? 最近なかなか食べさせてあげられてないしね?」
「ぴぴっ‼」
よろしく! と、多分答えている。
トーカレヴァが嘆息しながら頭を振っているくらいだから、それほど大きく外してはいないだろう。
「……ねえ、レイナ」
「うん?」
扇を取り出して口元を覆いながら、そっとこちらに身体を傾けるシャルリーヌに、つられた私も顔を寄せた。
「私もユングベリ商会で働けないかしら?」
「……はい?」
思いがけない申し出に、私は軽く目を瞠る。
「伯爵令嬢が王都中心街の商会で働くとでも?」
「今や公爵令嬢の商会長サマが何を言って――じゃなくて、さすがに店員になって店頭に立つのは無理かな、とは思ってるわよ? ただほら、仕入れとか商品開発とか契約書の清書とか……事務的裏方的なところで何か役に立てないかな、と」
「どうして急に、また」
「いや、だって大きな声じゃ言えないけど、たまに王宮に行くだけ、ボードリエ伯爵家暮らしの非正規雇用状態の私じゃ、大手を振って〝アンブローシュ〟なんて行けないじゃない。いくらなんでも意味もなくイデオン公爵家やフォルシアン公爵家の財布にだって集れないし」
「えぇ……」
仮にも聖女代理などと言う、なかなかに替えのきかない役目を担っていて、実家暮らしのフリーターはないと思うけど、シャルリーヌにしてみれば、自分でお金を稼いでいるという意識が持てないでいるのかも知れない。
これはいつか、バリエンダールの当代聖女、宝石療法で女伯爵の地位を得た彼女と引き合わせをした方がいいんだろうな……と思いつつも、今はそうじゃないと私は慌てて頭を振った。
「要は自分の自由になるお金が欲しい、と?」
「自活のメドを立てたかったレイナなら分かってくれると思うんだけど?」
「……まぁねぇ……」
立てたかった、と過去形で語られてしまったところに何となく釈然としない思いはあるものの、否定をしきれないところもまた確かで、何となく眉間に皺を寄せてしまう。
今でも公爵家の財産に、おんぶに抱っこで生活をしたいわけじゃないし、自分で自分の居場所は作りたいと思っているのだから。
「今までの聖者、聖女って、王宮内あるいは後見貴族を付けて衣食住を保証されていたんじゃなかった? それ以外に何かをすることが許されるのかどうか、上層部に確認した方が良い気がするわ……」
聖女ブランドで木綿製品を売り出すと言うところでも、とりあえずエドヴァルドに話は通した。
なんとなく国王陛下であれば面白がって許可しそうだけど、確認は必要だろう。
あるいはいつだったか、エドヴァルドが「婚約破棄の話がある程度知られることを許容できるのであれば」との前提で、新たな聖女としてのプロパガンダを打ってはどうかと口にしていたことに、今なら納得ずくで頷くような気もする。
「レイナ?」
「ああ、ごめんごめん、ちょっと考え事。うん、色々と落ち着いたらエドヴァルド様と話してみる」
「ホントに? そうして貰えたら嬉しいかな」
そう言って微笑んだシャルリーヌは、そこで目の前のデミタスカップに手を伸ばした。
「……違う意味で飲みづらいわね、コレ」
「…………」
ラテアートとは言え、リファちゃんが崩れる。
そう思うと、私もシャルリーヌもなかなか口をつけることが出来なかったのだった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
いつも読んでいただき、感想&エールありがとうございます……!
近況ボードにも本日upさせていただきましたが、いよいよ第2巻が4月下旬に発売されることが決まり、本日書影も公開となりました!!
ぜひそちらのURLから、甘塩コメコ先生のキラキラなイラストをご覧下さいませ!m(_ _)m
私とシャルリーヌが、リファちゃんを真ん中に盛り上がっていたところに、コティペルト支配人からの声がかかった。
「⁉」
通常のカップよりも小ぶりなデミタスカップが、私とシャルリーヌの前にそれぞれ置かれ、そこで二人して思わず息を吞んでしまった。
「リファちゃん!」
「いやいや、レイナ! そこじゃなく、ラテアートの技術に驚こうよ!」
そう。
シャルリーヌの言う通り、目の前に出されたのは、デミカップの上に絶妙に広がっているミルクの泡に描かれたシマエナガ――つまりは、リファちゃんのラテアートなのだ。
「お気に召していただけましたか?」
勢いよく首を縦に振る私達に、コティペルト支配人は満足げに目元を緩めた。
「絵柄自体は初めてなのですが、牛乳ベースで作る泡に絵を描くと言うのは、以前から時々行っていることではあるのですよ」
特に予約客が子供連れだったり、予め動物を飼っていることが分かっている場合などに、こう言ったラテアートを提供することがあるらしい。
「我が国は紅茶文化ですが、厨房にはバリエンダール出身の者もいましてね。直火式抽出器具も仕入れてあって、時折こうやって珈琲もお出ししています」
そう言えばバリエンダールは、北方遊牧民を含めて紅茶よりも珈琲の消費量の方が多いと聞いた気がする。
だからこそ、ミルテ王女の肝いりで新しい紅茶がブレンドされようとしているのだ。
「この絵柄は本日の記念に、きちんと特許を取って、お二方だけの絵柄とさせて頂きますので、ぜひ今度は〝アンブローシュ〟の店舗の方にもいらして下さい」
「!」
私かシャルリーヌ、あるいは二人で行く時にしか、このラテアートは提供しない。
そして、特許を取る。
一見、店舗への誘導と見せかけつつ、先ほどまでの会話を汲んで、リファちゃん――ヘリファルテ種を大々的に宣伝に使うことはしないと、さりげなく仄めかせてきている。
さすが王都一、かつては王族専用だったレストランの現役支配人の采配と言うべきだろう。
「ええっと……夕食ではなく、昼間のお茶会とかでもお願いは出来るのかしら?」
今更感が漂ってはいるものの、少しだけ淑女の仮面を残したシャルリーヌが問う。
確かに、と私も思った。
怖くて聞けないままだけど、どうやらレストランの貸切で、私の感覚でも有名どころの高級外車が即金で買えそうな費用がかかっているようなのだ。
王都の経済を回すと言われて、ハイそうですかと頷ける額じゃない。
首元の〝青の中の青〟やらドレス、ピアス等々……考えれば気が遠くなりそうだ。
きっと、シャルリーヌも「一見さんお断り」の〝アンブローシュ〟に自分達が行くとすれば、ティータイムですら危ういと思ったに違いない。
伯爵令嬢とは言え、シャルリーヌにも日本人で女子大生だった頃の感覚が残っているだろうから。
「――ええ、もちろんでございます、お嬢様」
そして恐らく、そんな女子二人の葛藤すら察しているであろうコティペルト支配人は、あくまで穏やかに微笑んでいた。
多分支配人の中では既にシャルリーヌも重要人物扱いになっているに違いない。
どう言う思惑があろうと、何せこの国の国王陛下から「ドレスを贈る」とまで言われている、次期聖女予定者なのだから。
「可能な限りのご要望にお応えするのが、当レストランの誇りであり矜持でございます。夜以外の時間に場所をご提供することくらい、造作もございません」
従業員ごとの貸切という前代未聞の要請に応じて王宮に来ているくらいなのだから、確かに「造作もない」んだろう。
「で……では、その時は宜しくお願い致しますわ」
ほほほ……と笑いながらも、シャルリーヌの声はしっかり上ずっている。
「お待ちしております。ではもうしばらくは、どうぞごゆるりとお寛ぎ下さいませ」
私どものレストランではございませんが、と最後はちょっと軽めの言い方をして、コティペルト支配人は部屋の隅へと下がって行った。
「ふふ……リファちゃんには残念ながら飲ませてあげられないなぁ……」
人間向けと同じ味付けのモノを食べさせるなどと、ヘリファルテ種だろうと何だろうと、多分狂気の沙汰だ。
「ぴ……」
ちょっと残念そうにリファちゃんも膨らんでいるけれど、どちらかと言えば「仕方ないなぁ……」と私に向かって言っているように見えた。
「うん、私たちのゴハンが終わったら、レヴにリファちゃんのゴハン持って来て貰おうか? 最近なかなか食べさせてあげられてないしね?」
「ぴぴっ‼」
よろしく! と、多分答えている。
トーカレヴァが嘆息しながら頭を振っているくらいだから、それほど大きく外してはいないだろう。
「……ねえ、レイナ」
「うん?」
扇を取り出して口元を覆いながら、そっとこちらに身体を傾けるシャルリーヌに、つられた私も顔を寄せた。
「私もユングベリ商会で働けないかしら?」
「……はい?」
思いがけない申し出に、私は軽く目を瞠る。
「伯爵令嬢が王都中心街の商会で働くとでも?」
「今や公爵令嬢の商会長サマが何を言って――じゃなくて、さすがに店員になって店頭に立つのは無理かな、とは思ってるわよ? ただほら、仕入れとか商品開発とか契約書の清書とか……事務的裏方的なところで何か役に立てないかな、と」
「どうして急に、また」
「いや、だって大きな声じゃ言えないけど、たまに王宮に行くだけ、ボードリエ伯爵家暮らしの非正規雇用状態の私じゃ、大手を振って〝アンブローシュ〟なんて行けないじゃない。いくらなんでも意味もなくイデオン公爵家やフォルシアン公爵家の財布にだって集れないし」
「えぇ……」
仮にも聖女代理などと言う、なかなかに替えのきかない役目を担っていて、実家暮らしのフリーターはないと思うけど、シャルリーヌにしてみれば、自分でお金を稼いでいるという意識が持てないでいるのかも知れない。
これはいつか、バリエンダールの当代聖女、宝石療法で女伯爵の地位を得た彼女と引き合わせをした方がいいんだろうな……と思いつつも、今はそうじゃないと私は慌てて頭を振った。
「要は自分の自由になるお金が欲しい、と?」
「自活のメドを立てたかったレイナなら分かってくれると思うんだけど?」
「……まぁねぇ……」
立てたかった、と過去形で語られてしまったところに何となく釈然としない思いはあるものの、否定をしきれないところもまた確かで、何となく眉間に皺を寄せてしまう。
今でも公爵家の財産に、おんぶに抱っこで生活をしたいわけじゃないし、自分で自分の居場所は作りたいと思っているのだから。
「今までの聖者、聖女って、王宮内あるいは後見貴族を付けて衣食住を保証されていたんじゃなかった? それ以外に何かをすることが許されるのかどうか、上層部に確認した方が良い気がするわ……」
聖女ブランドで木綿製品を売り出すと言うところでも、とりあえずエドヴァルドに話は通した。
なんとなく国王陛下であれば面白がって許可しそうだけど、確認は必要だろう。
あるいはいつだったか、エドヴァルドが「婚約破棄の話がある程度知られることを許容できるのであれば」との前提で、新たな聖女としてのプロパガンダを打ってはどうかと口にしていたことに、今なら納得ずくで頷くような気もする。
「レイナ?」
「ああ、ごめんごめん、ちょっと考え事。うん、色々と落ち着いたらエドヴァルド様と話してみる」
「ホントに? そうして貰えたら嬉しいかな」
そう言って微笑んだシャルリーヌは、そこで目の前のデミタスカップに手を伸ばした。
「……違う意味で飲みづらいわね、コレ」
「…………」
ラテアートとは言え、リファちゃんが崩れる。
そう思うと、私もシャルリーヌもなかなか口をつけることが出来なかったのだった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
いつも読んでいただき、感想&エールありがとうございます……!
近況ボードにも本日upさせていただきましたが、いよいよ第2巻が4月下旬に発売されることが決まり、本日書影も公開となりました!!
ぜひそちらのURLから、甘塩コメコ先生のキラキラなイラストをご覧下さいませ!m(_ _)m
1,052
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
継子いじめで糾弾されたけれど、義娘本人は離婚したら私についてくると言っています〜出戻り夫人の商売繁盛記〜
野生のイエネコ
恋愛
後妻として男爵家に嫁いだヴィオラは、継子いじめで糾弾され離婚を申し立てられた。
しかし当の義娘であるシャーロットは、親としてどうしようもない父よりも必要な教育を与えたヴィオラの味方。
義娘を連れて実家の商会に出戻ったヴィオラは、貴族での生活を通じて身につけた知恵で新しい服の開発をし、美形の義娘と息子は服飾モデルとして王都に流行の大旋風を引き起こす。
度々襲来してくる元夫の、借金の申込みやヨリを戻そうなどの言葉を躱しながら、事業に成功していくヴィオラ。
そんな中、伯爵家嫡男が、継子いじめの疑惑でヴィオラに近づいてきて?
※小説家になろうで「離婚したので幸せになります!〜出戻り夫人の商売繁盛記〜」として掲載しています。
事情があってメイドとして働いていますが、実は公爵家の令嬢です。
木山楽斗
恋愛
ラナリアが仕えるバルドリュー伯爵家では、子爵家の令嬢であるメイドが幅を利かせていた。
彼女は貴族の地位を誇示して、平民のメイドを虐げていた。その毒牙は、平民のメイドを庇ったラナリアにも及んだ。
しかし彼女は知らなかった。ラナリアは事情があって伯爵家に仕えている公爵令嬢だったのである。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。