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獣人編

逃亡者、お婆さんに会う

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朝、いつものようにミアに起こされる

一度起きたからかまだ眠いな

「ミア、おはよう。夜はありがとうね」

「おはよう、お兄ちゃん。全然起きないから大変だったんだよ」
プンプンしているミアも可愛いな…それどころじゃなかったな

「フィルとフェンは起きた?」

「フェンはまだ起こしてないよ。先にフィルを起こしたいんだけど……全然起きないの」

「まあ、昨日は色々あったし、いつも寝てるのはほとんど地面だからね。寝心地が良すぎて体が起きるのを拒否してるんじゃないかな」

「でもそろそろ起きてもらわないとね」

「僕が起こしてみるよ」

僕はフィルに声を掛ける

「フィル、朝だよー。起きてー」

「zzz…」
これで起きたらミアも苦労してないか

僕はフィルの肩を揺らしながら声を掛ける

「うーん、あと5分……むにゃむにゃ」

これは強敵だな…

「最終手段を使うことにするか」

僕は収納から干し肉を取り出してフィルの顔の前に近づけてヒラヒラと振る
「ほーら、肉だよ~」

フィルはガブっと干し肉に齧り付く

「むぐむぐ……」

僕はフィルが噛んでる干し肉を収納スキルを使って奪い取る

「っ!にく!!」
フィルはガバッと起きて目を見開く

「起きた?」

「……あれ?お肉は?ユメ?」
フィルはキョロキョロと肉を探す

「夢じゃないけど、それよりも大事な事があるよ」

「…肉よりも?」
肉より大事なものがあるのか…?って顔してる

「…フィルにとって一番大事なものはなに?」
僕は意地悪な質問をしてしまう

「え、肉…………フェン!」

「そうだよね。よかった。夜にフェンが目を覚ましたよ」

「ん……ほんとですか?」
フィルは泣きそうだ

「本当だよ。フィルが起こしてあげて」

フィルはゆっくりとフェンに近づいてフェンに声を上げる掛ける

「フェン、起きて……」
肩を揺らしているとフェンが目を開ける

「…お姉ちゃん?」

「ああ……フェン、目が覚めたのね」

「ほんとにお姉ちゃんなの?」

「そうよ、フェンほんとによかった…」
フィルがフェンを抱きしめる

「お姉ちゃん、苦しいよ…」

「ごめんね」
フィルがフェンを離す

「お姉ちゃん、ここどこなの?」

「ここは領主様のお屋敷だよ。」

「領主様……?」
フェンは困惑している

「この人達がフェンを治してくれたの。2年も寝てたのよ」
フィルが僕達を紹介する

「領主様なの?」
フェンに聞かれる

「違うよ、僕はただの冒険者だよ。ここに住んでるお婆さんに用があって、今はたまたまここにいるだけだよ」

「そうなんだ」
多分分かってないと思う

「とりあえず、ご飯食べようか」

「お金ない……」
フェンは下を向く

「なくてもいいよ。とりあえずこれ飲んでて」
僕はフェンにジュースを渡して、ミアとフィルにも出してあげる

「ありがとう」
フェンは受け取り、一口飲んで目を輝かせる。

「ん~!」

僕はジュースに目がいってる間にメイドさんを呼んでご飯をお願いする

「連れの子が目を覚ましたので何か消化の良いものを用意してもらえますか?」

「かしこまりました」
メイドさんはお辞儀をして部屋から出て行く

数分後、食事を持ってきたのは執事の顔をしたミハイル様だった

「朝食をお持ちしました」

ミハイル様はテーブルに朝食を並べて行く

これはお粥かな?米では無さそうだけど似てるな

あとはサラダと果物だね

「お気遣いありがとうございます」

「いえ、お気になさらずに」
ミハイル様は朝食を並べ終わると壁際に下がる

昨日に引き続きこちらを見極めるということか

「食べようか」
僕達は席に座ってご飯を食べる

「優しい味がするね」
味は薄めだけどおいしい

「うん!おいしい」
フェンも満足そうで良かった

「もう少ししたらなんでも食べれるようになるはずだから、そしたら約束通り僕が豪華な食事を用意するよ」

「ありがとうございます」
フィルがお礼をいう

食事後、ミハイル様にゲルダ様に会う用意が出来たと報告を受ける。
ただ、会うのは僕1人のようだ

「ゲルダ様を知ってる人は少ない方がいいんだ。他の子達を信用してないだけではないからね。」

「わかりました。いつ会えばいいですか?」

「ゲルダ様は部屋でお待ちですのでハイト様の都合のいい時で構いません」

「わかりました。ではこれから会いますので案内をお願いします」
特に用事もないしな

「では、向かいましょう」

「ミア、ちょっとゲルダ様に会いに行ってくるよ。何かあったらよろしくね」
僕はミアの目を見て伝える

「うん、2人のことは私が見てるね」

「頼んだよ」
僕はミアに2人を任せてミハイルさんと部屋を出る

屋敷を出て離れに行く

「こちらでゲルダ様がお待ちです」

「わかりました」

僕は離れの玄関をノックする

「どうぞ」

返事を聞いてから中に入る。ミハイル様も一緒に入る。
ミハイル様も話に参加するんだな…

……なるほど

中にはお婆さんが座っていた。
僕はお婆さんを視てなんでギルドマスターが僕に会うように仕向けたのかを察した

「はじめまして、ゲルダ様。ハイトといいます。以後お見知りおきを」

「もっと気軽に話してくれても構いませんよ」

「そうさせてもらいます。あまり慣れてませんので助かります」

「わたしに用があるんでしょう?」

「……元々の用はミハイル様が聞いてくれましたが、あなたとは少しお話をしたいですね」

この人から話を聞けば僕がこれから何をするべきかがわかるかもしれない
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