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獣人編

逃亡者、女性に貢ぐ②

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翌日、僕達は注文した装備品を受け取る為に裏通りの鍛冶屋を訪れていた。

「すいませーん、先日注文したものですが」
僕は親方を呼ぶ

「おう、お前らか。出来てるぞ、付けてみろ」
親方は奥から頼んだ武器とお任せした防具を持ってきてくれる

僕は武器を鑑定すると分からないことが表示された。

鋼鉄の短剣(こども用)
これはいい。こども用と一括りにされているけど、フィル用とフェン用で微妙にサイズが異なる匠の技が光る逸品だ。

問題は杖の方だ。確かに杖に関しては間違った注文をしていたこっちが悪いだろう。鋼鉄製の杖なんて重くて使いづらい。気を利かせてくれたのはわかる。

マジカルワンド(こども用)
魔法を使用する事に特化したこども用の杖。
持ち手の凹みに魔石を嵌めることで魔法に魔石に込められた属性を付与する。
魔法威力+1.1倍補正

だけど、性能がぶっ壊れてる。
他の店に補正が掛かった武器なんてなかった。
それに魔石を嵌めると属性付与されるって?よくわからん

「親方、この杖なんですけど……」

「ああ、あんたらが帰ってから気づいたんだが、注文内容だとあの鉄の短剣と同じ様に杖を作ってくれってことだろう?流石におかしいと思って俺が勝手に作っておいた。どこに住んでるか聞いてなかったからな。あまり杖は作らんが中々の出来だろ?……鉄製の杖が欲しいなら作ってないから明日また来てくれ」

「いえ、僕が適当に注文してしまったんです。ありがとうございます。ただ、この杖だと流石に代金が足りないと思うので後日になりますが追加で払いますよ。」

元々かなり安くしてもらっている気がするから、流石に申し訳ない

「俺が勝手に作っただけだから気にするな」

「……わかりました」
受け取らないと表情に出ていたので折れる事にする。
今後もここで買い物して売り上げに貢献するする事で恩は返すとしよう。

「それと、この凹みはなんですか?」
鑑定のことは秘密なのでそれとなく聞く

「よく気づいたな。そこに魔石を付けると魔法が下手なやつでも魔石の魔力を使って発動を補助してくれるようになるんだ。」

ん?鑑定結果となんか違うな。これも鋼鉄と一緒で無意識に作ったんだな。

「……そうなんですね。」

「おう、使うのはまだ子供だし便利だろ?」

気遣いは嬉しいが才能が斜め上を行き過ぎている
「気を使ってくれたんですね。ありがとうございます」

鑑定を秘密にしている以上、説明できないしありがたく頂いておこう

防具の方は皮製で動きやすさ重視で丁寧に作られているが驚くような性能はついてなかった。
内心ホッとする。

まあ、防具は3人で金貨1枚分だから、それを考えるとおかしい程良いものだけど…
感覚が麻痺してきてるなあ

「防具も良いものを揃えてもらってありがとうございます」

「獣人と支援職だろ。固くするより動きやすい方がいいと思ってな」

やっぱりこの人は獣人に対しても親切だな

「…親方は獣人に対して偏見とか無いんですね」

「ああ、ねえよ。獣人だろうと人間だろうと関係ねぇな。俺の装備を大事に使ってくれればそれでいい。まぁ、そんなこと言ってたらこんな所に追いやられたがな」
親方はガハハと笑いながら言ってくれた

「みんなが親方みたいならこの街ももっと良くなると思うんですけどね…」
僕はしんみりと呟く

「みんな俺みたいなやつらだったら暑苦しくてかなわん」
親方の言葉に僕は笑ってしまった。

「みんな、親方にちゃんとお礼をするんだよ。こんな良い装備は普通はなかなか使えないからね」

「「「ありがとう」ございます」」
3人がお礼をする

「ああ、大事に使ってやってくれ。……おめぇさんの防具はちゃんとあるのか?」

「ありませんが……、お金も今ありません」
僕は正直に話す。

親方は奥から胸当てを持ってく来て僕に投げる

僕は咄嗟に受け取る
「いや、お金が無いって言いましたよ」

「ある時でいい。付けとけ」

「……ありがとうございます。必ず払いに来ます」

僕は親方の心意気が嬉しかった

僕達は鍛冶屋を出て冒険者ギルドは行く

いつものお姉さんがいるのを見つけて僕達はそこのカウンターにいく。

「こんにちは、度々すみません」
僕はお姉さんに挨拶する

「ハイトさん今日もありがとうございます。……コホン、どう言ったご用件でしょうか?」
あれ?遠回しにお菓子を要求された気がしたけど気のせいかな…

「属性付きの魔石が欲しいんですけどどうしたら良いですか?」
ミアの杖に付ける魔石が欲しい

「どういった用途ですか?」
お姉さんに聞かれたのでミアの杖のことをぼかして説明する

「そんな杖があるんですね。それなら錬金術で作ってもらうのがいいと思います。」

「オススメの店ってありますか?あといくらくらい必要かわかりますか?」

「金額はわかりませんけど、店ならここがオススメです。店主はまだ若いですけど腕は確かです。」
お姉さんは地図を出して場所を教えてくれる

「ありがとうございます、これから行ってきます」
僕が席を立つとお姉さんが残念そうな顔をする

「……これよかったら休憩の時に冷やして食べて下さい。」
僕は先日作ったゼリーをお姉さんに渡す。

「ハイトさん、またお待ちしてますね」
満面の笑顔で送り出された

冒険者ギルドに行くときは毎回甘味を用意していくか…
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