【R18】セフレじゃないから!

ミカン♬

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 高野山の工芸展カフェで働きだして1か月が過ぎた。3月だと言うのにまだまだ寒くて雪が降る日も多々ある。
 上司は高知さんという年配の女性で可愛がってくれる。先月までは中年男性が出向で来ていて「可愛い女の子が希望だったのよね~」と女上司は言ってくれた。

 出だしは良好で働き甲斐がある。
 店のお客の多くは年配者で恋とは無縁だ。時々冬也を思い出して体が疼くことがあるが、そこはまぁ・・・自分で慰める。
 人間だもの、何を恥ずべき事があろうか!


 早く夏が来て欲しいなどと同僚と話していると店内がザワついた。

 入口に───冬也が入ってきた!

 黒のスプリングコートに下はGパンにショートブーツ、足が長いから何でも似合う。
 ちくしょう!やっぱり恰好いい。
 いやいやなんで高野山に冬也?納骨に来たのか?美女と寺院巡り?

 慌ててスタッフルームに逃げ込んだ。サボるわけにはいかないし困った。べつに会うくらい平気だけど一方的にお別れした気不味さがある。

「どうしたの?」
 高知さんに声かけられて「下痢なんです」とトイレに駆け込んだ。
 数分後店に出たら冬也はいなかった。

「凄いイケメンが来たのよ。コーヒー飲んですぐ帰ったわぁ」
「良い目の保養になったね」
 女子達は口々に冬也を褒めてくれる。ちょっと嬉しい。

 閉店まで冬也は姿を現さず私は平常に戻った。やはり観光なのか?春寒の高野山も趣があって良いもんだ。


 仕事が終わってアパートに帰りレトルトカレーを温めているとピンポンが鳴った。ドアスコープを見ると冬也が立っている(なんでよ?)まさか尾行してた?

 何度もピンポンと鳴らされて仕方なくドアフックを掛けたまま開けて、顔半分出した。

「ケイちゃん、めっちゃ寒いんだけど」
「お奨めは夏かな、出直して下さい」

「入れてくれないの?」
「都合のいいセフレは卒業しました」
「セフレ?・・・俺、真面目にケイちゃんを愛してたよ?」

「愛?!」

「本気で愛してたよ!」
「ちょ!やめてよ、近所に聞かれたらどうするの」
「部屋の中で話そう」
 上手いこと言って押し倒して有耶無耶にされそうだ。

「冬也・・・他の女性とエッチしてる時点でやっぱりダメだ」
「あんなのスポーツと同じだ」
「ちゃうわ!」

 なんでこんな子に育ったんだよ・・・悲しい。
「冬也とは考え方が違い過ぎる、私は普通の女だから君の圏外よ」

「俺を好きだって言ったじゃないか」
「うん、でも結婚するなら他の人が良い。浮気されたら悲しいもの」
「浮気しないよ!まさか結婚するの?!」

「そりゃいつか結婚するけどエッチがスポーツ感覚な男は嫌だ。街中でキスする男は嫌いだ。スマホばっかり見てる男は大嫌い。嫉妬する自分も嫌い。だから冬也とはもうお別れ!さようなら」

「ケイちゃん!」

 ドアを閉めるとダンダンと叩く音が聞こえたがキッチンに戻ってコンロの火を止める。冬也と別れて凝った料理をしなくなった。レトルトや冷凍食品で済ませる日も多い。
「冬也に美味しい物食べさせてあげたかった。なのに食事中もスマホいじってさ・・・そういうとこだよ」

 カレーを食べ終わって野菜ジュースを飲んで、もう1回ドアスコープを見ると冬也は消えていた。
 諦めたかな。でもなんで出向先がここって判ったんだろう? 知ってそうな人に聞いて回ったのかな?
 なんとなくお喋りな母の顔が浮かんだ・・・


 翌日は仕事を終えて帰宅すると部屋の前に冬也が待っていた。
 何が『愛』だ・・・今更だよ。

「ケイちゃん話を聞いて」
「もう嫌いだから。来ないで」
 伸ばされた手を振り払うと冬也は後ずさりした。

「俺、ケイちゃんに嫌われるなんて考えもしなかった。だから俺のスタイルで生活してた。ケイちゃんだって何も言わなかったじゃないか」
 冬也の顔色が悪い、真っ白だ。

「私なんかただのセフレって思ってたもの。私が悪いのかな」
「セフレじゃないから!」

「もういいから帰ってよ」
 鍵を開けてドアを開くと冬也はドアを掴んだ。カタカタとドアが震える。

「悪いとこ直すから、チャンスを下さい」
 真剣な顔しても冬也との付き合いはストレスがたまるから無理だよ。

「無理。もう冬也が嫌いだもん。いっぱい綺麗な人いるじゃない。こんなブス相手にしないでいいよ」
「ケイちゃん・・・」

「ねぇ私の誕生日知ってる?」
「・・・忘れた、ごめん」

「マカダミアナッツとアロハシャツ嬉しかったよ有難う!冬也顔色悪いから早く帰った方が良いよ」

 何も言わなくなった冬也を残してドアを閉めた。ハッピーフライデーが台無しだ。推しの新しいDVDを買ったのになんで泣けるんだ、冬也の馬鹿。

 風呂に入って冷凍パスタをチンして食べた。今から紅茶を淹れてチーズケーキを食べながらDVDを見よう。時計を見ると20時を過ぎていた。

 窓のカーテンを開けて外を見ると結構雪が降っている。
(寒い・・・もう冬也は帰ったよね?顔色悪かったな)
 こんな夜に来るとか卑怯だ。気になるじゃん。

 ドアスコープを見ても・・・いない・・・念のためドアを開けた。
(あれ…開かない)
 押してもドアがビクともしない、なんだこれ?
 以前ドアが開かないって美恵に呼ばれた事あったな。あの時は傘が斜めに倒れて引っ掛かってた。
 いや、傘は置いてない。

「冬也?そこにいる?ちょっと!ねぇ!」

 警察を呼んだ、まさか自害なんかしてないよね。ハラハラしながら5分ほど待つと警察が来てドアの前で倒れている冬也を発見!

「冬也!」
 生きてた。救急車で運ばれて病院へ。

「低体温症です」
 医者からもう少し放置していたら命が危なかったと聞かされてゾッとした。





 ~~~~~~~~~~~~~~~


 傘が引っかかってドアが開かないなんてある?と疑問に思われたかもしれませんが、作者は実際マンションで経験致しましたので、あるんです。(なんで開かないんだよ~と気持ち悪くて真っ青になりました)



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