あやかし古書店の名探偵

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第二章 ~『鬼娘と呪い』~

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 事件の謎を解くために、美冬たちは秋葉の自宅を訪れる。閑静な住宅街に建てられた庭付き戸建ての玄関をくぐり、家の中へと案内される。

「今日は両親もいないし、遠慮せずに入ってくれ」
「秋葉くん、実家暮らしなのね」
「飯も掃除も親がやってくれるからな。一人暮らしより効率的だろ。東坂はどうなんだよ?」
「私は弟と二人暮らしよ」
「弟か。それなら世話してやらないといけないから大変だろ?」
「あはは、私の弟は優秀だから……」
「まさか弟が家事をやっているのか?」
「う、うん」
「最低だな」
「実家暮らしの秋葉くんにだけは言われたくないわ!」
「うっ、それを言われると……でもまぁ、親には感謝しているし、俺の方がマシだな」
「私も弟にはすっごく感謝しているの。だから私の勝ちね」
「二人とも、何の勝負をしているの……」

 呆れながらも西住たちは、秋葉の案内に従って階段を昇る。二階の突き当りにある部屋が彼の自室だった。

「ここが秋葉くんの部屋なのね」

 扉を開けると待っていたのは、想像通りのオタク部屋だった。壁にはアニメポスターが張られ、本棚には漫画とラノベが並び、ショーケースにはフィギュアが飾られている。

「お前たちの言いたいことは分かる。笑いたきゃ笑えよ」
「人の趣味を笑ったりしないわよ。秋葉くんらしくて素敵な部屋だと思うわ」
「……東坂、お前案外良い奴だな」

 否定されると身構えていた秋葉は、認められたことが嬉しいのか僅かに口角を吊り上げる。

「秋葉くんはこのポスターの女の子のどこが好きなの?」
「全部だ!」
「ぜ、全部?」
「性格、顔、肉体、そのすべてが完璧で愛おしいんだ」
「へ、へぇ~」
「さらに設定も素晴らしくてな、宿敵の桃次郎を倒するために修行するんだが、懸命に汗を流す姿に心を打たれるんだ。さらにさらにな、仲間を殺されると怒りん坊モードに変わって、目の色が変化するんだが、その時の演出がこれはもう素晴らしくてな……」

 秋葉は噛まないか心配になるほどに早口で鬼娘の魅力を語る。マシンガントークは美冬たちを置き去りにするほどの勢いがあった。

「さらに兄鬼との関係性も素晴らしくてな。裏切ったと思われた兄が実は味方だったと判明した時は痺れたね。それから――」
「ね、ねぇ、秋葉くん」
「どうした、東坂。これから本題に入ろうって時に」
「まだ入ってなかったの! そ、そんなことより、このフィギュア……」
「兄鬼のフィギュアだ。カッコイイだろ」

 ショーケースには黒髪赤眼で二つ角の鬼のフィギュアが飾られていた。その外見は美冬に憑いている鬼のあやかしと瓜二つであった。

「ねぇ、西住くん、手を繋いでもいい?」
「えっ!」
「へ、変な意味じゃないの! 鬼さんの顔をもう一度確認したくて」
「そういうことか。びっくりしたよ」
「えへへ、ごめんごめん」

 二人は頬を赤らめながらも、触れるように手を繋ぐ。あやかしの姿が視界に映し出された。

「あ、あれ? 鬼さんの顔が……」

 鬼の顔から凛々しさと厳しさが消え去っていた。よほど嬉しいことでもあったのか、口元に笑みを携えている。

「鬼のフィギュアを大事にしてくれていることがよほど嬉しかったみたいだね」
「鬼さんの印象がガラリと変わるニヤケ顔ね」
「それだけ信仰は大切ってこそさ」
「おい、二人とも! いちゃ付いているところ悪いんだが……」
「わ、私たちは別にいちゃいちゃなんてしてないわよ……」
「人の家で手を繋ぐくらいだ。二次元に生きてきた俺でも察するさ。研究室の奴らには黙っといてやるよ」
「絶対に何か勘違いしているわ!」
「それよりお前たち、ここに来た目的を忘れてないか?」
「そ、そうね。謎を解かないと」
「見てくれ。これが壊された限定版の鬼娘ちゃんフィギュアだ」

 頭のない和服姿の女性人形を箱に収納された状態で運んでくる。パッケージには鬼娘ちゃん登場とだけ記されている。

「これが壊された限定版フィギュアなのね……」
「そしてこれが通常版だ」

 ショーケースの中から目が赤い鬼娘フィギュアを取り出す。限定版と同じようにパッケージには鬼娘ちゃん登場と記されていた。

「私にはどこが限定なのか判別がつかないわ」
「外箱は通常版の使いまわしだし、唯一の違いは目の色だけだからな……首から上が消えた以上、限定版だと証明する方法はもうないんだ……」

 秋葉は悲し気に俯く。大切にしていたことが痛いほどに伝わる表情だった。

「壊した狙いはそこにあったのかもね」
「限定版の価値を奪おうとした誰かってことか……だけどな、それだと説明が付かないことがあるんだ……それこそあやかしに壊されでもしない限りな」
「それって……」

 西住の言葉を遮るように、部屋の窓が外側からノックされる。力強く叩かれた窓はまるで怪奇現象でも起きたかのように震えた。

「もしかしてあやかしの仕業!?」
「誰があやかしよ!」

 窓を開けて入ってきたのは茶髪釣り目の小柄な女性だった。美冬に視線を送ると、目を大きく見開いて驚きをみせる。

「……どうして女の人がここにいるのよ?」
「そんなことより橋本、人の部屋に入るなら許可を取れよな」
「いいでしょ。長い付き合いなんだから。それよりもこの女は誰よ?」
「研究室の同級生の東坂だ。ちなみに男の方は西住だ」
「よろしくね」
「東坂ね……あなた、アッキーの恋人なの?」
「アッキー?」
「察しなさいよ、馬鹿。このオタクのことよ」
「まさか」
「そうだぞ、橋本。俺の恋人は鬼娘ちゃんだけだからな」
「あんたはまだそんなことを……」

 橋本はイラついているのか何度も舌を打ち、ピリピリとした空気で場を支配する。それを打開するために、西住が口火を切った。

「秋葉くん、この人を紹介してもらってもいいかな」
「それもそうだな。こいつは幼馴染の橋本。お隣さんって奴だな」
「窓から入ってきたみたいだけど、あれはどうやったの?」
「橋本の家と俺の家は元々一つの大きな家だったんだが、それを無理矢理二つに分けたんだ。そのせいで屋根伝いに互いの家まで行けるんだよ。セキュリティ意識の低い欠陥住宅なのさ」

 窓を開けて確認してみると、屋根の先に別の住居の窓が見える。ピンク色のカーテンで遮られているため部屋の中を伺うことはできないが、カーテンの色から女性の部屋だと察することができた。

「丁度良かった。橋本もあやかしの仕業を目撃した一人なんだ」
「壊されたフィギュアの話ね?」
「おう。あの時の俺たちは二人で一緒にゲームをしていたんだ。でも急に尿意を催してな。最愛の限定版フィギュアに挨拶してから一階にあるトイレへ向かったんだ。それから一分もしない内に二階へ戻ると鬼娘ちゃんの顔が消えていたのさ」
「でもそれって……」
「言いたいことは分かる。俺は最初、橋本が壊したと疑った。でもよく考えてみれば、それは不可能なんだ」
「不可能?」
「口で伝えるより見た方が早いからな。実践してやるよ」

 秋葉は首を破壊された限定版フィギュアの箱を開けると、そこから人形を取り出す。疑似的に首を折る仕草をした後、綺麗に外箱に戻す。この一連の動作に淀みはなかった。にも関わらず、すべての動作が完了するまでに三分以上の時間を要していた。

「フィギュアの箱は、それぞれの形に合わせてオーダーメイドされている。鬼娘ちゃんフィギィアは凝った外箱の作りになっているから、取り出すだけでもかなりの労力が必要だ。扱いになれている俺でさえ三分以上は必要になるこの作業を、橋本が一分以内にできるはずがない」
「だから言ったでしょ。これはあやかしの仕業だって」
「橋本……」
「この鬼娘ってキャラクター、鬼を女の子として扱っているのよね。きっとあやかしはそれを侮辱と受け取って、呪いで頭を破壊したのよ」
「…………」
「このままフィギュアを持ち続けたら、きっとアッキーは不幸になるわ。だからさ、全部捨てちゃいなよ」
「違う、橋本。鬼娘ちゃんは何も悪くないんだ。俺が目を離しさえしなければ、いまでも笑顔を向けてくれていたはずなんだ……ごめんな……鬼娘ちゃん……」

 秋葉は悔しそうに下唇を噛みしめる。守れなかったことの後悔が唇から血を生み出し、ポタポタと流れ落ちた。

「まるで『伊勢物語』の鬼一口だね……」
「鬼一口?」
「身分の違いのある男女が結ばれるために家から飛び出すんだけど、急な雷雨に襲われたから小屋に隠れるんだ。男は女を守るために小屋の外で夜が明けるまで見張りをする。日が昇り、小屋の中を確認すると、鬼に食い殺された女の残骸だけが残されていた。男は小屋の中の様子から目を離すべきではなかったと後悔するのさ」
「いまの状況そのものね……もしかしたら本当に鬼の仕業なのかも」
「いいや、それはないよ。あやかしは自分を崇めてくれる人間を害するようなことはしないからね。それにあやかしの鬼が、顔だけ破壊するような面倒な真似をすると思う?」
「しないわね」

 凛々しく厳しい顔をした黒髪の鬼が、わざわざ人形の顔だけ捻じって、外箱に綺麗に戻すことをするとは思えなかった。

「犯人は人間だよ。それは間違いない」
「でもよ、西住。物理的に不可能なこともまた事実だろ」
「……そうでもないさ。例えばそうだね、秋葉くんが時間を勘違いしていた可能性はどうかな?」
「勘違いか……」
「人の時間感覚は絶対じゃないからね。手を洗うのに、いつも以上に時間をかけていたとか、可能性はいくらでも思いつくよ」
「いいや、橋本を待たせると悪いから、いつも以上に急いでいたからな。とても鬼娘ちゃんフィギュアを壊すだけの時間があったとは思えねぇ」
「時間的な側面から謎を解き明かすのは難しそうだね。なら視点を変えて、動機から考えてみるのはどうかな?」
「動機が限定版フィギュアの価値を落とすことだとすると、それで得をする奴が犯人ってことだよな……」
「心当たりがあるんだね?」
「ああ」
「僕にも予想がつくよ。残り九体のフィギュアを持っている人たちの誰かだね」
「その通りだ」

 世界に十体しかないフィギュアが一体減れば、残された九体の希少性は向上する。それこそが今回の事件の動機ではないかと、西住たちは仮説を立てる。

「その九人の中に、秋葉くんの知り合いはいるの?」
「この町に住んでいる岡田って男が所有者の一人だ。あいつなら俺の家を知っているし、それに何より俺以上のオタクだから、もしかすると一分以内にフィギュアを取り出して外箱に収納し直すことができるかもしれない」
「もしその岡田って人が犯人だとすると、どうやって秋葉くんの部屋に忍び込んだのかな?」
「言っただろ。俺の家は欠陥住宅なんだ。電柱を伝って屋根まであがれば簡単に侵入できるのさ」

 秋葉が窓の外を指し示した先には、ブロック塀の傍に屋根まで伸びる電柱があった。大人の筋力があれば、十分昇ってくることが可能だ。

「岡田の野郎、次会ったら絶対にぶっ飛ばしてやる」
「アッキー、騙されたら駄目。これはあやかしの仕業よ」
「でも謎の正体は解き明かされたんだ。あやかし犯人説より、岡田犯人説の方が信じられる」
「で、でも、私、ずっとこの部屋にいたのよ。さすがに人が入ってくれば気づくわ」
「それも一理あるな……橋本に気付かれずにフィギュアを破壊する方法かぁ……お前が寝ていたってことはないよな?」
「あるわけないでしょ」
「そうだよなー、ならやっぱり犯人はあやかしなのかもな」
「きっとそうよ。間違いないわ!」

 橋本は人間が犯人である説を必死になって否定する。あやかしが犯人でなければ困ると、彼女の声音が主張していた。

「西住くん、微かだけど音がしない?」
「窓が揺れる音だね」
「まさかこれって……」

 ペンダントが破壊された事件で、あやかしが窓を揺らして手がかりを伝えてくれた。この揺れも何かのメッセージなのではと、音の発生元を探る。

「音はこの家からじゃないわ」
「見つけた。橋本さんの部屋の窓が揺れているね」

 ピンク色のカーテンが下ろされた窓が、ガタガタと震えている。風による揺れではない不自然な震えは西住に答えを与えた。

「なるほど。そういうことか」
「西住くん、もしかして謎が解けたの?」
「うん。すべてあやかしが教えてくれたよ」

 西住の頭の中で事件の全貌が描かれる。彼は自信に満ちた笑みを浮かべるのだった。

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