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第二部 学生時代回想編
第25話 組長の決断2(※エロなし注意)
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誘拐犯のリーダー格の人に連れられて、僕は怪しい倉庫に案内された。倉庫に入れられてからは、簡単には逃げられないと考えているのか、後ろ手に結ばれた縄をほどいてもらえた。
ふう、両腕が自由になるだけでも助かる。
倉庫の中はがらんとしていて、隅っこの方にブースが区切られている。その中だけ事務所のような体裁に整理されていて明かりがついていた。
ブースの外側は、倉庫の高い天井にある照明で真っ暗闇ではないものの、とても薄暗い空間だ。資材のようなものが備蓄されている雰囲気はなく、本来の倉庫としての使い方はしていないように見える。
・・・うん、絶対怪しい目的で使われてる倉庫だと思う。
「おい。」(リーダー格)
「は、はい。」(僕)
リーダー格の人が僕に小声で話しかけてきた。
「これからボスにお前を会わせるが、分かってんな?車の中でのこと、絶対に喋るんじゃねぇぞ。」(リーダー格)
「も、もししゃべったら・・?」(僕)
「い、・・命がないものと思え。」(リーダー格)
リーダー格の人、普通に脅してきてるけど、ちょっと自信なさそうな雰囲気が見え隠れしてる。
・・きっとそうだよね。
多分これ、合法か違法かはとりあえず措いといて、「ボス」という人の命令で僕を連れてこい、というのがこの人たちの仕事だったと思うんだ。けどこの人、さっきは部下に乗せられて、上の指示じゃなくて、勢いで僕のことを襲っちゃったんだと思うんだよね。
で、勝手に僕に手を出したことが上司にバレるとまずい立場なんで、予防線を張ろうとしてるんだと思う。
でも、言わないメリットとか僕にないのに、脅してもあまり意味ないんじゃないかな。言ったら殺す的な脅しをしてるけど、僕のことをどうにかする前に、この人が罰を受けるのが先だと思うし。
でもまあ、僕も無駄に恨みを買いたくないから、言う気はないけども。
ともかく僕は、倉庫内の片隅にあるその事務所っぽいブースの前まで連れてこられた。
この中に「ボス」がいるんだよね。・・ちょっと恐いなぁ、悪の組織のトップの人だよね。今回もオチンチンで何とかできないかなぁ。
扉が明けられ、中に入れられ・・・、ここでようやく僕は、本気で身の危険を肌身で感じることになった。
男の人がデスクに座っている!
髪をオールバックに固めた眼光の鋭い人だった。高そうなスーツに黒紫のカッター、ジャケットの襟には金色の社章のようなものが付けられているけど、多分堅気の社章ではなさそうなデザイン。
僕のもとの世界にもいそうな、893の界隈のオーラが漂っている。
・・・ヤバい。今まで顔を合わせてきた人はみんな女の人だったから、これは正直想定してなかった。僕、こっちの世界に来て初めて男と個人的に顔を合わせたかも。それが、まさか極道の人とだなんて。。。
今まで何となく、ピンチになってもオチンチンで何とかなってきた僕は、なんとなく今回もどうにかなる気がしていた。
でも、さすがに相手が男となると話が違ってくる。これは本当にヤバい。今回はオチンチンでとか通用しないよ。下手をしたらほんとに殺されてしまうかも・・・。ああ、僕、随分こっちの世界で危機意識がマヒしてたんだなぁ。
遅すぎる後悔に思いを馳せていると、男の人が口を開いた。
「私の部下が、いろいろ失礼を働いたかもしれない。まずは手荒な真似をしたこと、詫びさせてくれ。」(デスクの男)
「あ、はい。」(僕)
誘拐しておいて何を言っている、って感じではあるけど、そういってもらえるだけでも、内心ちょっとホッとした気がする。
その人は、迫間隆太郎と名乗った。
高圧的に恐喝されるのかと思ったんだけど、意外と言葉を選んで努めて紳士的に話をしてくれている。
殺されるかも、と怯えていた僕はひとまず安心したけど・・。でも、目つきがものすごく鋭くて、受け答えを間違えたら一瞬で命を取られそうな緊張感がピリピリ伝わってくる。
こ、これがその筋の世界の本物の人の雰囲気なんだ。
いじめっ子には散々取り囲まれ、ひどい目にあわされた僕だけど、同じ悪でも、大人の本当の闇社会の住人は全く別物なんだってことが、よく分かった。
迫間さんが僕に何かしたわけでもないし、これまでの犯罪歴を聞いたわけでもないのに、・・・不思議と今までのいじめっ子達との格の違いだけは目を合わせただけで、よく分かる。
─────
ここから迫間視点
部下の牛久(誘拐犯「リーダー格」の人の名前です)が連れてきたその少年は、想像以上に幼いなりだった。
なるほど、これは・・・。客がつく上玉だ。
いわゆる、「萌え」を誘う幼可愛い少年だ。大学生と聞いているが、見た目だけなら中学生と言われても信じてしまうだろう。
ここまで見事なショタキャラが実在するとは、ある意味驚きだ。2次元の世界から飛び出てきたようなというべきか・・、女からしたらこの容姿は反則的といっていい。
恐らく、女の9割方は、こんな少年と仲良くできるとなったら、身も心もハマると考えて間違いないだろう。
世の中の男の路線には、細マッチョとか草食系イケメンとか、何種類か系統があるが、ショタ系の人気は根強いものがある。そして、社会的信用を気にしてか、ショタ好きの女は、その趣向を隠そうとすることがほとんどだ。(実世界で男がロリコン趣味を隠したがるのに相当する心理)俺の見立てでは、隠れショタ好きは、相当多いと考えている。
それだけに、アングラのサークルでこんな少年が提供されれば、熱狂的なブームになるのは確かにうなづける。くそっ、おかげでこっちの風俗店の経営状況が傾いたということだ。
そこに思いが至るとはらわたが煮えくり返りそうな気持にもなるが、・・・まあ、ここは我慢だ。この少年、船越君だったか、彼は堅気だし、彼がしかけたことではなく、しかけたのは大学のOGということだからな。
私は注意深く、船越少年と会話を交わした。
彼から得られる情報をもとに、どうやってそのサークルを潰すか、方法の組み立てを考えながら。
「・・・・」
「・・・・」
(サークルについて突っ込んだ話を聞く迫間と答える圭太)
なるほどね。
なかなか物わかりのよい少年じゃないか。ここで下手に隠し事をするリスクはよく分かっていると見えて、いろいろ正直に話してくれた。
率直に言って、サークルを潰すのは簡単だ。砂村紗良と三橋沙奈枝という女が中心となって仕組みを作ったようだ。
ふん、レコード会社のプロデューサーに公務員ね。
まず公務員はお堅い職業だから、三橋がこういう違法ネタが職場に流れるのを恐れるのは間違いない。
砂村の方はレコード会社か・・、いろいろ闇のある業界だが、あそこの会社にはうちの筋に関わるアーティストも幾人かいる。プロデューサーという責任ある地位も十分弱点になるだろう。
つまりは、どちらも脅しが有効な社会的立場を持っているということだ。
「さて、圭太君。」(迫間)
「はい。」(圭太)
「その、砂村さん、三橋さんという人の連絡先を私に教えて貰えないだろうか?」(迫間)
え?僕、ど、どうしよう。(圭太心中)
─────
第2部のまとめに向けてストーリーを進めないといけないため、ここから数話はエロ要素が少なくなりそうです。すみません。
ふう、両腕が自由になるだけでも助かる。
倉庫の中はがらんとしていて、隅っこの方にブースが区切られている。その中だけ事務所のような体裁に整理されていて明かりがついていた。
ブースの外側は、倉庫の高い天井にある照明で真っ暗闇ではないものの、とても薄暗い空間だ。資材のようなものが備蓄されている雰囲気はなく、本来の倉庫としての使い方はしていないように見える。
・・・うん、絶対怪しい目的で使われてる倉庫だと思う。
「おい。」(リーダー格)
「は、はい。」(僕)
リーダー格の人が僕に小声で話しかけてきた。
「これからボスにお前を会わせるが、分かってんな?車の中でのこと、絶対に喋るんじゃねぇぞ。」(リーダー格)
「も、もししゃべったら・・?」(僕)
「い、・・命がないものと思え。」(リーダー格)
リーダー格の人、普通に脅してきてるけど、ちょっと自信なさそうな雰囲気が見え隠れしてる。
・・きっとそうだよね。
多分これ、合法か違法かはとりあえず措いといて、「ボス」という人の命令で僕を連れてこい、というのがこの人たちの仕事だったと思うんだ。けどこの人、さっきは部下に乗せられて、上の指示じゃなくて、勢いで僕のことを襲っちゃったんだと思うんだよね。
で、勝手に僕に手を出したことが上司にバレるとまずい立場なんで、予防線を張ろうとしてるんだと思う。
でも、言わないメリットとか僕にないのに、脅してもあまり意味ないんじゃないかな。言ったら殺す的な脅しをしてるけど、僕のことをどうにかする前に、この人が罰を受けるのが先だと思うし。
でもまあ、僕も無駄に恨みを買いたくないから、言う気はないけども。
ともかく僕は、倉庫内の片隅にあるその事務所っぽいブースの前まで連れてこられた。
この中に「ボス」がいるんだよね。・・ちょっと恐いなぁ、悪の組織のトップの人だよね。今回もオチンチンで何とかできないかなぁ。
扉が明けられ、中に入れられ・・・、ここでようやく僕は、本気で身の危険を肌身で感じることになった。
男の人がデスクに座っている!
髪をオールバックに固めた眼光の鋭い人だった。高そうなスーツに黒紫のカッター、ジャケットの襟には金色の社章のようなものが付けられているけど、多分堅気の社章ではなさそうなデザイン。
僕のもとの世界にもいそうな、893の界隈のオーラが漂っている。
・・・ヤバい。今まで顔を合わせてきた人はみんな女の人だったから、これは正直想定してなかった。僕、こっちの世界に来て初めて男と個人的に顔を合わせたかも。それが、まさか極道の人とだなんて。。。
今まで何となく、ピンチになってもオチンチンで何とかなってきた僕は、なんとなく今回もどうにかなる気がしていた。
でも、さすがに相手が男となると話が違ってくる。これは本当にヤバい。今回はオチンチンでとか通用しないよ。下手をしたらほんとに殺されてしまうかも・・・。ああ、僕、随分こっちの世界で危機意識がマヒしてたんだなぁ。
遅すぎる後悔に思いを馳せていると、男の人が口を開いた。
「私の部下が、いろいろ失礼を働いたかもしれない。まずは手荒な真似をしたこと、詫びさせてくれ。」(デスクの男)
「あ、はい。」(僕)
誘拐しておいて何を言っている、って感じではあるけど、そういってもらえるだけでも、内心ちょっとホッとした気がする。
その人は、迫間隆太郎と名乗った。
高圧的に恐喝されるのかと思ったんだけど、意外と言葉を選んで努めて紳士的に話をしてくれている。
殺されるかも、と怯えていた僕はひとまず安心したけど・・。でも、目つきがものすごく鋭くて、受け答えを間違えたら一瞬で命を取られそうな緊張感がピリピリ伝わってくる。
こ、これがその筋の世界の本物の人の雰囲気なんだ。
いじめっ子には散々取り囲まれ、ひどい目にあわされた僕だけど、同じ悪でも、大人の本当の闇社会の住人は全く別物なんだってことが、よく分かった。
迫間さんが僕に何かしたわけでもないし、これまでの犯罪歴を聞いたわけでもないのに、・・・不思議と今までのいじめっ子達との格の違いだけは目を合わせただけで、よく分かる。
─────
ここから迫間視点
部下の牛久(誘拐犯「リーダー格」の人の名前です)が連れてきたその少年は、想像以上に幼いなりだった。
なるほど、これは・・・。客がつく上玉だ。
いわゆる、「萌え」を誘う幼可愛い少年だ。大学生と聞いているが、見た目だけなら中学生と言われても信じてしまうだろう。
ここまで見事なショタキャラが実在するとは、ある意味驚きだ。2次元の世界から飛び出てきたようなというべきか・・、女からしたらこの容姿は反則的といっていい。
恐らく、女の9割方は、こんな少年と仲良くできるとなったら、身も心もハマると考えて間違いないだろう。
世の中の男の路線には、細マッチョとか草食系イケメンとか、何種類か系統があるが、ショタ系の人気は根強いものがある。そして、社会的信用を気にしてか、ショタ好きの女は、その趣向を隠そうとすることがほとんどだ。(実世界で男がロリコン趣味を隠したがるのに相当する心理)俺の見立てでは、隠れショタ好きは、相当多いと考えている。
それだけに、アングラのサークルでこんな少年が提供されれば、熱狂的なブームになるのは確かにうなづける。くそっ、おかげでこっちの風俗店の経営状況が傾いたということだ。
そこに思いが至るとはらわたが煮えくり返りそうな気持にもなるが、・・・まあ、ここは我慢だ。この少年、船越君だったか、彼は堅気だし、彼がしかけたことではなく、しかけたのは大学のOGということだからな。
私は注意深く、船越少年と会話を交わした。
彼から得られる情報をもとに、どうやってそのサークルを潰すか、方法の組み立てを考えながら。
「・・・・」
「・・・・」
(サークルについて突っ込んだ話を聞く迫間と答える圭太)
なるほどね。
なかなか物わかりのよい少年じゃないか。ここで下手に隠し事をするリスクはよく分かっていると見えて、いろいろ正直に話してくれた。
率直に言って、サークルを潰すのは簡単だ。砂村紗良と三橋沙奈枝という女が中心となって仕組みを作ったようだ。
ふん、レコード会社のプロデューサーに公務員ね。
まず公務員はお堅い職業だから、三橋がこういう違法ネタが職場に流れるのを恐れるのは間違いない。
砂村の方はレコード会社か・・、いろいろ闇のある業界だが、あそこの会社にはうちの筋に関わるアーティストも幾人かいる。プロデューサーという責任ある地位も十分弱点になるだろう。
つまりは、どちらも脅しが有効な社会的立場を持っているということだ。
「さて、圭太君。」(迫間)
「はい。」(圭太)
「その、砂村さん、三橋さんという人の連絡先を私に教えて貰えないだろうか?」(迫間)
え?僕、ど、どうしよう。(圭太心中)
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第2部のまとめに向けてストーリーを進めないといけないため、ここから数話はエロ要素が少なくなりそうです。すみません。
応援ありがとうございます!
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