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頭と身体がズキズキ痛む。
「うーん……」
ぱちっと目を開けば、見慣れた病室の天井ではなくて、安眠効果のある魔法陣が刺繍された布の天蓋だった。
あれ? 僕、どうしたんだっけ……。
「リュシアン! 目を覚ましたんだね!」
「お兄様……」
お兄様……? 姉じゃなくて?
自分が呟いた言葉が不思議で、瞬きを繰り返す。
「具合はどうだい? 階段から落ちて数日目を覚さなかったんだ。心配したんだよ」
金髪に青い瞳の十代後半の青年は……セティお兄様……。
「あ……。頭痛い……」
僕は……僕は。
リュシアン・アルミューズ・テージュ。金髪に水色の瞳の十六歳のΩ。
大国ランシートの公爵家次男で……悪役令息。
思い出した。前世で姉にやらされていたBLゲームとよく似た世界で、僕は生きてきた。
前世は病弱で、多分二十歳まで生きられなかったんだろう。最後の時は覚えてないけど、ゲームのシナリオを思い出した今、僕がやる事は一つ。
僕の婚約者である二つ年上のαの王太子殿下カミル・ランシートと主人公の恋を邪魔しない事、ただそれだけ。
ゲームのリュシアンは嫉妬からカミルと主人公の邪魔……主人公を虐げて断罪され、平民におとされ国外追放されるのだ。
馬車で国境の森まで連れられて、魔獣に襲われて命を奪われる。
その未来を回避するために、カミルと主人公には近寄らないようにしよう。
でもカミルとは婚約者で、会わないことは難しい。
学園でお昼を共にしているし。
でも発情期が来ていないのは救いだ。Ωであることには違いないし、αの助けがなければ、発情期を乗り切ることは難しい……。
二人の邪魔をしなかったとして、僕は婚約破棄されるだろうか?
その可能性も考えて身の振り方を決めなければならない。
主人公は子爵家の出身で、ゲームでは僕の家とは違う公爵家の養子になってカミルと結婚する。
二人は運命の番ではなかったけど、主人公はカミルを癒やして心を射止めるのだ。
一ヶ月ほど前にすでにカミルと主人公は出会っている。この世界で二人の関係がどこまで進んでるのかは分からないけど、お昼に主人公が僕とカミルの逢瀬に同席することが何度かあって、今までの僕は苛立ちを抱えていたんだ。
でも、これからは僕からカミルとのお昼を遠慮しようと思う。
カミルを好きな気持ちはまだ確かにあるけど、この関係を続けても幸せにはなれなそうだ。
「うーん……」
ぱちっと目を開けば、見慣れた病室の天井ではなくて、安眠効果のある魔法陣が刺繍された布の天蓋だった。
あれ? 僕、どうしたんだっけ……。
「リュシアン! 目を覚ましたんだね!」
「お兄様……」
お兄様……? 姉じゃなくて?
自分が呟いた言葉が不思議で、瞬きを繰り返す。
「具合はどうだい? 階段から落ちて数日目を覚さなかったんだ。心配したんだよ」
金髪に青い瞳の十代後半の青年は……セティお兄様……。
「あ……。頭痛い……」
僕は……僕は。
リュシアン・アルミューズ・テージュ。金髪に水色の瞳の十六歳のΩ。
大国ランシートの公爵家次男で……悪役令息。
思い出した。前世で姉にやらされていたBLゲームとよく似た世界で、僕は生きてきた。
前世は病弱で、多分二十歳まで生きられなかったんだろう。最後の時は覚えてないけど、ゲームのシナリオを思い出した今、僕がやる事は一つ。
僕の婚約者である二つ年上のαの王太子殿下カミル・ランシートと主人公の恋を邪魔しない事、ただそれだけ。
ゲームのリュシアンは嫉妬からカミルと主人公の邪魔……主人公を虐げて断罪され、平民におとされ国外追放されるのだ。
馬車で国境の森まで連れられて、魔獣に襲われて命を奪われる。
その未来を回避するために、カミルと主人公には近寄らないようにしよう。
でもカミルとは婚約者で、会わないことは難しい。
学園でお昼を共にしているし。
でも発情期が来ていないのは救いだ。Ωであることには違いないし、αの助けがなければ、発情期を乗り切ることは難しい……。
二人の邪魔をしなかったとして、僕は婚約破棄されるだろうか?
その可能性も考えて身の振り方を決めなければならない。
主人公は子爵家の出身で、ゲームでは僕の家とは違う公爵家の養子になってカミルと結婚する。
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一ヶ月ほど前にすでにカミルと主人公は出会っている。この世界で二人の関係がどこまで進んでるのかは分からないけど、お昼に主人公が僕とカミルの逢瀬に同席することが何度かあって、今までの僕は苛立ちを抱えていたんだ。
でも、これからは僕からカミルとのお昼を遠慮しようと思う。
カミルを好きな気持ちはまだ確かにあるけど、この関係を続けても幸せにはなれなそうだ。
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