29 / 39
第29話
しおりを挟む
「玉を打ち出す火薬は大きく分けて三つの材料が必要だ。一つは枯れ過ぎていない灰木をさらに焼いて作った炭。もう一つは焔硝。そして最後の一つが硫黄だ。特に硫黄は白砂が混じっていない赤か黄色のもので堅ければなおさらいい」
そこまで話すと宗鉄は胴乱の中から火薬入れを取り出し、ウィノラの掌の上に粒子の粗い火薬を少量だけ零した。
「今言った三つの材料を正確に計量し、薬研で荒くおろした後に石臼で突き合わせて細かくすれば完成だ。最後にはそのような形になり、火を点ければたちまち爆発する。鉄砲はその衝撃を利用して鉛の玉を飛ばすんだ」
う~む、とウィノラは顎先に手を添えて唸った。
改めて聞くと異世界の技術には心底驚嘆させられる。
まさか鉛を飛ばしていたとは露にも思わなかったが、それならばあの金属の鎧すらも破壊した威力にも頷けた。
と同時に、やはりそれに見合うだけの手間や特別な材料が必要なことにも納得した。
鉛ならば鍛冶師のゴン爺に頼めば手に入れられるはずだ。
それにもしかするとゴン爺ならば鉄砲の玉すらも完璧に作ってしまうかもしれない。
ただ、三つの材料が必要だという火薬ばかりはどうにもならないだろう。
灰木をさらに焼いて出来る炭ならば簡単に手に入るだろうが、残り二つの焔硝と硫黄という材料は見たことも聞いたこともない。
もしかすると外の世界には存在するかもしれないが、残念ながらそれを確かめる手段がなかった。
唯一、外の世界との繋がりであった行商人のガンズは他でもない件の盗賊団に命すらも奪われたからだ。
「すまない。どうやらわたしでは手助けをできそうにもないな。だが、鉛だけでも手に入るように鍛冶師であるゴン爺に頼むことくらいはできるが」
「何? この集落には鍛冶を嗜む人間がいるのか?」
「当然だろう。わたしたちが腰に差しているナイフはすべてゴン爺の手によるものだ。ゴン爺の腕前は凄いぞ。その気になればどんな物でも作ってしまう。まあ、さすがにお前の鉄砲とやらは作れないだろうがな」
「いや、それでもいいから紹介してくれないか? 火薬はまだ大分残っているが、肝心の鉛玉が残り少なかったんだ」
ぱあっと表情を明るくさせた宗鉄は、早速ウィノラに鍛冶師の場所まで案内してくれるよう頼んできた。
無論、ウィノラ自身も断るつもりはない。
が、その前にウィノラは訊いておきたいことがあった。
「救世主殿、以前にわたしが言った頼みごとは覚えているか?」
一拍の間を置いた後、宗鉄は首を縦に振った。
「覚えているとも。確か俺の力を貸してほしい云々と言っていたな。だがそれはこの集落を例の盗賊団から守ってほしいということではないのか?」
「それもある。しかし、わたしの願いはまた別のことだ」
そう言うなりウィノラは湧き水が溢れていたオアシスから遠ざかり、椅子の代わりになった平らな岩の一角に腰を下ろす。
すると意図が通じたのか、宗鉄もウィノラの隣にあった平らな岩にちょこんと座った。
「わたしの願いは部族の仇を討つこと。十二年前、わたしの部族であったアンカラ族を根絶やしにした憎き仇を」
それからウィノラは、込み上げてくる怒りを必死に抑えながら宗鉄に事情を話した。
十二年前に部族を襲った連中は数人でありながらも驚異的な戦闘能力を有し、女や子供に至るまで容赦なく皆殺しにしたこと。
その中でもウィノラの家族を殺した人間は全身に漆黒の外套と頭巾を被っていたせいでどんな人間なんか不明だということ。
ただその中でも鮮明に記憶に残っていることは、頭巾の切れ目から覗いていた瞳の色が左右とも違う色だったということ。
一通り話し尽くしたあと、今度は宗鉄がこめかみを掻きながら渋面になった。
「大体の話はわかった……が、その部族の仇討ちに俺が役に立つとは思えんな。それに左右の瞳の色が違うということがわかっているのならば、いつまでもこんなところで燻ってないでさっさと探しに行けばいいだろう?」
それが簡単に出来れば誰も苦労はしない。ウィノラは唇を尖らせて強めに言った。
「ともかく、一度はわたしの願いを承諾したんだ。ならば、是が非でも仇討ちに付き合ってもらうぞ。どのみち、お前らが元の世界に帰られるのは十五年後だ。時間はたっぷりとあるだろう?」
ただし、確実に帰ることができるかは甚だ疑問だったが……。
などと心中で思ったときである。
「ちょっと待って。ウィノラの仇を探すよりも先に〈シレルタ〉を探しましょう。そうでないと本当にウィノラの踊りでこっちの世界に導かれたのかわからないのよ」
宗鉄は耳元で怒鳴るエリファスに面倒臭そうに視線を向ける。
「またそれか。何度も言ったが何の手掛かりもなしに一体どうやって見つける?」
その言葉を皮切りに、たちまち宗鉄とエリファスは口論になった。
すぐ隣で傍観していたウィノラは、聞き耳を立てなくとも口論の内容を余すことなく理解できた。
どうやら口論の元凶は〈シレルタ〉という例の魔道具についてらしく、草の根をわけてでも探したいと言い張るエリファスに宗鉄は断固として不可能だと反論している。
そんな二人を傍で見ていたからこそ、ウィノラはこの不毛な争いを一刻も沈静化させようと行動を起こした。
ウィノラは自分の影に向かって相棒の名前を呟く。
「クアトラ」
直後、ウィノラの影からクアトラが姿を現した。まずは頭部をひょっこりと出し、その次に一気に跳躍して地面に降り立つ。
相棒であるクアトラを召喚したウィノラは、次にクアトラの頭を優しく撫でながら何か特殊な言語を発した。するとクアトラは頓狂な鳴き声を発して己の影を見る。
次の瞬間、
「ああああああああ――――ッ!」
つんざくような奇声を発したのはエリファスであった。
無理もない。クアトラが鳴いたと同時に、クアトラの影の中から銀色とも鈍色とも見て取れる半月状の物体が姿を現したのだ。
まるで、汚泥の中に沈んでいた物体が独りでに這い上がってきたように。
「ウィノラ……これは一体?」
疑問の声を上げた宗鉄を横目に、クアトラの影の中から浮かび上がってきた半月盤を拾い上げたウィノラは、宗鉄に顔を向きなおして平然とした表情で言う。
「ん? もしかしてまだ言っていなかったか? 大地の精霊の一種であるクアトラは己の影の中に様々な物を沈められることを」
「初耳だ!」
近距離で怒鳴り声を上げられたウィノラは、咄嗟に半月盤を持っていない方の手で片耳を塞いだ。
「そんなに怒らなくてもよいだろう。きちんと説明しなかったことは謝るが、そんな暇がなかったことも事実だ」
そうである。
この数日というものの、宗鉄とエリファスを筆頭に様々な危機的事態が集落を襲った。
しかもその内の一つは本当に集落を襲われたというのだから堪らない。
「ともかく、お前たちが言い争っているその〈シレルタ〉とはこれのことだろう? 〈アスラ・マスタリスク〉を行った直後に地面に落ちたからほぼ間違いないと思うが……」
そう言ってウィノラは半月盤――〈シレルタ〉を手前にいた宗鉄に手渡す。
だが、宗鉄は〈シレルタ〉を渡された後も怪訝そうに首を傾げるばかり。
「う~む、やはりこのような物に見覚えはないな。おい、エリファス。やはりお前の勘違いなのではないか?」
宗鉄は首を傾げたまま〈シレルタ〉をエリファスに見せつけるが、〈シレルタ〉について最も詳しかったエリファスはなぜか大きく目を見張りながら固まっていた。
しばしの沈黙が続き、不意にエリファスは口を開いた。
「それ……割れてるんですけど」
そこまで話すと宗鉄は胴乱の中から火薬入れを取り出し、ウィノラの掌の上に粒子の粗い火薬を少量だけ零した。
「今言った三つの材料を正確に計量し、薬研で荒くおろした後に石臼で突き合わせて細かくすれば完成だ。最後にはそのような形になり、火を点ければたちまち爆発する。鉄砲はその衝撃を利用して鉛の玉を飛ばすんだ」
う~む、とウィノラは顎先に手を添えて唸った。
改めて聞くと異世界の技術には心底驚嘆させられる。
まさか鉛を飛ばしていたとは露にも思わなかったが、それならばあの金属の鎧すらも破壊した威力にも頷けた。
と同時に、やはりそれに見合うだけの手間や特別な材料が必要なことにも納得した。
鉛ならば鍛冶師のゴン爺に頼めば手に入れられるはずだ。
それにもしかするとゴン爺ならば鉄砲の玉すらも完璧に作ってしまうかもしれない。
ただ、三つの材料が必要だという火薬ばかりはどうにもならないだろう。
灰木をさらに焼いて出来る炭ならば簡単に手に入るだろうが、残り二つの焔硝と硫黄という材料は見たことも聞いたこともない。
もしかすると外の世界には存在するかもしれないが、残念ながらそれを確かめる手段がなかった。
唯一、外の世界との繋がりであった行商人のガンズは他でもない件の盗賊団に命すらも奪われたからだ。
「すまない。どうやらわたしでは手助けをできそうにもないな。だが、鉛だけでも手に入るように鍛冶師であるゴン爺に頼むことくらいはできるが」
「何? この集落には鍛冶を嗜む人間がいるのか?」
「当然だろう。わたしたちが腰に差しているナイフはすべてゴン爺の手によるものだ。ゴン爺の腕前は凄いぞ。その気になればどんな物でも作ってしまう。まあ、さすがにお前の鉄砲とやらは作れないだろうがな」
「いや、それでもいいから紹介してくれないか? 火薬はまだ大分残っているが、肝心の鉛玉が残り少なかったんだ」
ぱあっと表情を明るくさせた宗鉄は、早速ウィノラに鍛冶師の場所まで案内してくれるよう頼んできた。
無論、ウィノラ自身も断るつもりはない。
が、その前にウィノラは訊いておきたいことがあった。
「救世主殿、以前にわたしが言った頼みごとは覚えているか?」
一拍の間を置いた後、宗鉄は首を縦に振った。
「覚えているとも。確か俺の力を貸してほしい云々と言っていたな。だがそれはこの集落を例の盗賊団から守ってほしいということではないのか?」
「それもある。しかし、わたしの願いはまた別のことだ」
そう言うなりウィノラは湧き水が溢れていたオアシスから遠ざかり、椅子の代わりになった平らな岩の一角に腰を下ろす。
すると意図が通じたのか、宗鉄もウィノラの隣にあった平らな岩にちょこんと座った。
「わたしの願いは部族の仇を討つこと。十二年前、わたしの部族であったアンカラ族を根絶やしにした憎き仇を」
それからウィノラは、込み上げてくる怒りを必死に抑えながら宗鉄に事情を話した。
十二年前に部族を襲った連中は数人でありながらも驚異的な戦闘能力を有し、女や子供に至るまで容赦なく皆殺しにしたこと。
その中でもウィノラの家族を殺した人間は全身に漆黒の外套と頭巾を被っていたせいでどんな人間なんか不明だということ。
ただその中でも鮮明に記憶に残っていることは、頭巾の切れ目から覗いていた瞳の色が左右とも違う色だったということ。
一通り話し尽くしたあと、今度は宗鉄がこめかみを掻きながら渋面になった。
「大体の話はわかった……が、その部族の仇討ちに俺が役に立つとは思えんな。それに左右の瞳の色が違うということがわかっているのならば、いつまでもこんなところで燻ってないでさっさと探しに行けばいいだろう?」
それが簡単に出来れば誰も苦労はしない。ウィノラは唇を尖らせて強めに言った。
「ともかく、一度はわたしの願いを承諾したんだ。ならば、是が非でも仇討ちに付き合ってもらうぞ。どのみち、お前らが元の世界に帰られるのは十五年後だ。時間はたっぷりとあるだろう?」
ただし、確実に帰ることができるかは甚だ疑問だったが……。
などと心中で思ったときである。
「ちょっと待って。ウィノラの仇を探すよりも先に〈シレルタ〉を探しましょう。そうでないと本当にウィノラの踊りでこっちの世界に導かれたのかわからないのよ」
宗鉄は耳元で怒鳴るエリファスに面倒臭そうに視線を向ける。
「またそれか。何度も言ったが何の手掛かりもなしに一体どうやって見つける?」
その言葉を皮切りに、たちまち宗鉄とエリファスは口論になった。
すぐ隣で傍観していたウィノラは、聞き耳を立てなくとも口論の内容を余すことなく理解できた。
どうやら口論の元凶は〈シレルタ〉という例の魔道具についてらしく、草の根をわけてでも探したいと言い張るエリファスに宗鉄は断固として不可能だと反論している。
そんな二人を傍で見ていたからこそ、ウィノラはこの不毛な争いを一刻も沈静化させようと行動を起こした。
ウィノラは自分の影に向かって相棒の名前を呟く。
「クアトラ」
直後、ウィノラの影からクアトラが姿を現した。まずは頭部をひょっこりと出し、その次に一気に跳躍して地面に降り立つ。
相棒であるクアトラを召喚したウィノラは、次にクアトラの頭を優しく撫でながら何か特殊な言語を発した。するとクアトラは頓狂な鳴き声を発して己の影を見る。
次の瞬間、
「ああああああああ――――ッ!」
つんざくような奇声を発したのはエリファスであった。
無理もない。クアトラが鳴いたと同時に、クアトラの影の中から銀色とも鈍色とも見て取れる半月状の物体が姿を現したのだ。
まるで、汚泥の中に沈んでいた物体が独りでに這い上がってきたように。
「ウィノラ……これは一体?」
疑問の声を上げた宗鉄を横目に、クアトラの影の中から浮かび上がってきた半月盤を拾い上げたウィノラは、宗鉄に顔を向きなおして平然とした表情で言う。
「ん? もしかしてまだ言っていなかったか? 大地の精霊の一種であるクアトラは己の影の中に様々な物を沈められることを」
「初耳だ!」
近距離で怒鳴り声を上げられたウィノラは、咄嗟に半月盤を持っていない方の手で片耳を塞いだ。
「そんなに怒らなくてもよいだろう。きちんと説明しなかったことは謝るが、そんな暇がなかったことも事実だ」
そうである。
この数日というものの、宗鉄とエリファスを筆頭に様々な危機的事態が集落を襲った。
しかもその内の一つは本当に集落を襲われたというのだから堪らない。
「ともかく、お前たちが言い争っているその〈シレルタ〉とはこれのことだろう? 〈アスラ・マスタリスク〉を行った直後に地面に落ちたからほぼ間違いないと思うが……」
そう言ってウィノラは半月盤――〈シレルタ〉を手前にいた宗鉄に手渡す。
だが、宗鉄は〈シレルタ〉を渡された後も怪訝そうに首を傾げるばかり。
「う~む、やはりこのような物に見覚えはないな。おい、エリファス。やはりお前の勘違いなのではないか?」
宗鉄は首を傾げたまま〈シレルタ〉をエリファスに見せつけるが、〈シレルタ〉について最も詳しかったエリファスはなぜか大きく目を見張りながら固まっていた。
しばしの沈黙が続き、不意にエリファスは口を開いた。
「それ……割れてるんですけど」
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる