上 下
67 / 196
2.計画実行と兄妹登場

2-006

しおりを挟む


  どうしましょう。
  ソルト兄様が本当にいますわ。

  違っていて欲しかったのですが、このようなときは、いったい、どうすれば・・・・・・・・・。
  エル姉様やナード兄様なら・・・・・・・・・ですが、ラティ姉様は不在ですし・・・・・・・・・それに、ルー姉様はお忙しいのでは?・・・・・・・・・ですが、リット兄様は優しすぎますので・・・・・・・・・。

「あーううぅ?」

  今のは、フィル、でしょうか?
  もう、喋れるのですか。

  素晴らしいですわ。これなら、歌や芝居を教えることもできますわね。
  近日中にでも、頼んでみましょうか。

  ええ、現実逃避だなんて、仰らないでくださいませ。だってこんな事象、わたくし一人では抱えきれませんわ。

  ハッ!
  わたくし、ソルト兄様のことに気を取られすぎて、フィルに自己紹介をしていませんでしたわ。

  危なかったですわね。
  フフフ、忘れたままですと、リーナに怒られてしまいますから。

  それに、喋ることができるなら、ある程度の言葉は理解しているのかもしれませんわ。

  確か、『神童』でしたか?
  彼にソルト兄様を任せるのも、また一興。
  ・・・・・・・・・いえ、 “頼みます” でしたわ。
  世界の命運は、もう、貴方にかかっていることでしょう。
  なんとも、情けないばかりではありますが、貴方に期待していますわ。


_____________________


「あら、ふふふ。初めまして、フィル。わたくしは、ソルト兄様・・・・・・・・・貴方の父親の異母妹いもうとの一人ですわ。ティファニア・フォン・ベイルマートと言いますの。よろしくお願いいたしますわ。」


  ティファニアさんから自己紹介をされた。
  さっきまでの、悩みこんでいるような雰囲気が一瞬で霧散して、まるで別人だ。
  これは本当に、「凄い」としか言いようが無い。


「今は、まだ13歳で、未成年ですが、成人後は楽団などで本格的に活動する予定です。フィルも招待しますから、必ず観に来てくださいね、待っていますから。ふふっ、それまでは、楽しみにしていてください。」


  あっ、また、雰囲気が変わった。
  『楽団』って、実は劇団みたいなものかな?
  それとも、ミュージカルとか・・・・・・・・・まぁ、今はいいや。


あーぅはいあううううぅ楽しみです。」

「まぁ、ありがとうございます。」


  どうやら、ティファニアさんとも会話が成り立つらしい。この世界は、赤ちゃん言葉でも通じるのがデフォルトなのだろうか。
  だとすると、僕にはハードルが高すぎる。早急に、役立ちそうなスキルを獲得しないと。


「--グスン、グスンッ--。」

「おい、そんな所で泣くな。周りに迷惑だぞ。泣くなら自室で泣け。」

「………サーシャが付き添ってくれるなら動かなくもない。」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

「--グスン、グスンッ--。」

「あぁもう、わかったからさっさと立て!」


  ・・・・・・・・・弟か妹ができるのも、時間の問題だろうからね。

  お父さん、一瞬顔が見えたけど、泣いてなかったなぁ。若干笑ってた、間違いなく。あれは、嘘泣きだったかぁ。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

転生した悪役令嬢の断罪

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:12,958pt お気に入り:1,638

継母の心得

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:73,883pt お気に入り:24,149

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:6,639pt お気に入り:1,619

婚約破棄されて異世界トリップしたけど猫に囲まれてスローライフ満喫しています

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:220pt お気に入り:2,548

異世界転生したけどチートもないし、マイペースに生きていこうと思います。

児童書・童話 / 連載中 24h.ポイント:20,735pt お気に入り:1,088

お助け妖精コパンと目指す 異世界サバイバルじゃなくて、スローライフ!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:319pt お気に入り:210

処理中です...