101 / 196
2.計画実行と兄妹登場
2-040
しおりを挟む何故だろう?
さっきから、ずっと、ナギに睨まれている。
僕たちが中庭へ着いた時は、まだ準備運動をしていたから、稽古の邪魔をされて怒っている訳じゃ………
「陛下が来るまでは、僕が師匠を一人占めする予定だったのに。」
成程。
でも、ナギが今日の朝に、サーシャさんの鍛練に参加することは、ナギが昨日の夜に言っていたし、知らなかったとしても、サーシャさんの鍛練だから、僕は絶対に見に来たけどね。
“僕” って言ったことには、目を瞑る。昨日は、 “私” って言いづらそうだったから、きっと、普段の一人称は、違うんだろうなぁ、とは思っていたけどね。
「陛下が、鍛練に参加される時間帯では、師匠の一人占めは、できないですから。」
だから、お父さんが絶対に起きていないであろう、明朝を狙った、と。誤算は、ニケの行動かな?
「ニケが通りかかった際に、口止めをしなかったことが、悔やまれます。ニケが、廊下を走りながら仮眠室へ向かうのを、止めておけば良かった。」
そう、だったんだ。
廊下を走る………、それって、リーナさんにバレたら、ニケ、ものすごぉーく、怒られるんじゃないかな?
「あ、あぁ、止めなかった僕も、きっと、姉様に怒られます。」
ナギが、怯えている。
やっぱり、ナギでも怖いんだね、リーナさんは。
—————————————————————
朝の4刻頃。
ニケとナギが、にっこりと笑っているリーナさんに呼ばれて居なくなるのを、バモスと怯えながら見送った。
お父さんは今、朝食を食べているらしい。どうも今日は、朝からお風呂に入っていたらしく、かなり、早起きしていたのだとか。
朝からお風呂に入っていた理由は、お母さんが、お父さんの顔に、水性ペンで髭を描いたから、らしい。何してるんだろう?お母さん。
—————————————————————
「ナギは、確か、リーナ様の姉君の子ども、だったはずだ。」
ナギが、リーナさんのことを “姉様” と呼んだ理由を知っているかどうかをバモスに聞いてみたら、あっさりと、答えてくれた。
「ハイ・エルフ、っていう種族は、とにかく、寿命が長いことで有名だ。何せ、寿命死したハイ・エルフなんて聞かないからな。噂じゃ、3、4,000年くらい生きてるっていう者もいるらしいからな。」
成程、長命種かぁ。もしかして、 “姉様” と呼んでいる理由は、………。
「リーナ様は少なくとも、800年は城に仕えていらっしゃるから、1,000歳くらいだと言う者も多いが、俺は、2,000は軽く超えていると思っている。」
そうなんだ。
ははは、バモス、女性の年齢はね、推測を言い合うのもダメなんだよ?
バモスって、優秀な冒険者だったんだよね?何で、こんな迂闊なことを言うのかな?
僕の言いたいことが分かったのか、途端に、バモスの顔色が悪くなった。
惜しいやつを亡くしたなぁ。
僕の背後にある、中庭の出入口のガラス窓。
その付近には、不穏な空気を纏った、リーナさんの気配が漂っていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
167
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる