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2.計画実行と兄妹登場

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  何故だろう?
  さっきから、ずっと、ナギに睨まれている。
  僕たちが中庭へ着いた時は、まだ準備運動をしていたから、稽古の邪魔をされて怒っている訳じゃ………

「陛下が来るまでは、僕が師匠を一人占めする予定だったのに。」

  成程。
  でも、ナギが今日の朝に、サーシャさんの鍛練に参加することは、ナギが昨日の夜に言っていたし、知らなかったとしても、サーシャさんの鍛練だから、僕は絶対に見に来たけどね。

   “僕” って言ったことには、目を瞑る。昨日は、 “私” って言いづらそうだったから、きっと、普段の一人称は、違うんだろうなぁ、とは思っていたけどね。

「陛下が、鍛練に参加される時間帯では、師匠の一人占めは、できないですから。」

  だから、お父さんが絶対に起きていないであろう、明朝を狙った、と。誤算は、ニケの行動かな?

「ニケが通りかかった際に、口止めをしなかったことが、悔やまれます。ニケが、廊下を走りながら仮眠室へ向かうのを、止めておけば良かった。」

  そう、だったんだ。
  廊下を走る………、それって、リーナさんにバレたら、ニケ、ものすごぉーく、怒られるんじゃないかな?

「あ、あぁ、止めなかった僕も、きっと、姉様に怒られます。」

  ナギが、怯えている。
  やっぱり、ナギでも怖いんだね、リーナさんは。



—————————————————————


  朝の4刻頃。

  ニケとナギが、にっこりと笑っている背後に般若が見えているリーナさんに呼ばれて居なくなるのを、バモスと怯えながら見送った。

  お父さんは今、朝食を食べているらしい。どうも今日は、朝からお風呂に入っていたらしく、かなり、早起きしていたのだとか。
  朝からお風呂に入っていた理由は、お母さんが、お父さんの顔に、水性ペンで髭を描いたから、らしい。何してるんだろう?お母さん。


—————————————————————


「ナギは、確か、リーナ様の姉君の子ども、だったはずだ。」

  ナギが、リーナさんのことを “姉様” と呼んだ理由を知っているかどうかをバモスに聞いてみたら、あっさりと、答えてくれた。

「ハイ・エルフ、っていう種族は、とにかく、寿命が長いことで有名だ。何せ、寿命死したハイ・エルフなんて聞かないからな。噂じゃ、3、4,000年くらい生きてるっていう者もいるらしいからな。」

  成程、長命種かぁ。もしかして、 “姉様” と呼んでいる理由は、………。

「リーナ様は少なくとも、800年は城に仕えていらっしゃるから、1,000歳くらいだと言う者も多いが、俺は、2,000は軽く超えていると思っている。」

  そうなんだ。
  ははは、バモス、女性の年齢はね、推測を言い合うのもダメなんだよ?
  バモスって、優秀な冒険者だったんだよね?何で、こんな迂闊なことを言うのかな?


  僕の言いたいことが分かったのか、途端に、バモスの顔色が悪くなった。

  惜しいやつを亡くしたなぁ。




  僕の背後にある、中庭の出入口のガラス窓。
  その付近には、不穏な空気を纏った、リーナさんの気配が漂っていた。


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