193 / 196
番外編
ハンベル・ブヨーゼフの断末魔(2)
しおりを挟む「おい、これはいったい、何の騒ぎだ!」
ブヨーゼフ伯爵領の領民による歓喜の騒ぎは、領都にあるブヨーゼフ伯爵邸にまで聞こえてきくるほど大きなものとなっていた。
そのため、領民たちの騒ぎは、ハンベルにも気づかれてしまったのだ。
「何!?私から奪う爵位と領地をシルベスタに譲渡、だと!?王だからといって、そんな横暴な行為が、許されるわけがないだろう!こうなれば、コネを使って司法部に訴えて・・・・・・・・・」
そんなことを言うハンベルに、心底呆れたような目を向ける使用人と騎士たちの心中は、みな同じだった。
“その通告書は、司法部からの通達なんだから、司法部に訴えたところで取り合ってもらえる訳がないだろう!”
“最高司法官と国王の連名で発行された書類の内容を覆せるようなコネなんて、この国に存在なんかしないだろう!”
あまりにも愚か過ぎる己の主の様子を見ながら、早々に辞めさせられた先代の寵臣を羨ましく思う現在の家臣たち。
通常であれば、代替わりであったとしても、家臣を辞めさせられるなど、貴族の家に仕える家臣としては不名誉極まりないのだが、ハンベルの悪名が高すぎて、現在のブヨーゼフ上級伯爵家に仕える家臣である、という肩書きがある方が、かえって家臣たちの不名誉となってしまっていた。
そのこともあってか、ハンベルに仕える家臣たちですら、シルベスタが新たな伯爵になることを期待していた。
その他にも、ハンベルの目下で悪事に手を染めていた商人や横領を行っていた家臣たちですら、ハンベルが不利だと悟れば、直ぐに逃げ出せるように、と準備をしていたほどだ。
ハンベルを支持する者は、居るように見えても実際のところは、全くのゼロだった。
未だに、そんな事実に気が付いていないハンベルでも、流石に今の状況が良くないことだけは理解していました。
何としてもこの状況を打破したいハンベルは、考え続けた結果、名案を思いついたと言わんばかりの反応を見せる。
家臣たちは、ハンベルのその反応に、強い不安を感じた。
ハンベルの表情が、去りし日の愚行を思い付いた時と重なって見えたのだ。
「フフフフフ、ハァッ、ハッハッハァ。そうだ、簡単なことではないか。シルベスタをこの家から追放すれば良いのだ。あぁ、そうだそうだ。あやつが、このブヨーゼフ上級伯爵家の者でなくなれば良いのだ。」
ブヨーゼフ上級伯爵家の家臣たちは、ハンベルのあまりの愚かさに辟易としていました。
おそらく、国の上層部は、ハンベルがシルベスタを追放する可能性を考慮して、ブヨーゼフ上級伯爵家の取り潰しを行った上で、シルベスタに新たな爵位を用意しているのだろう。
つまり、ハンベルのしようとしていることは全くの無意味どころか、王命の無視と公務執行妨害、貴族優越権行使法違反に該当し、どれを取っても反逆罪を問われる犯罪行為だった。
ブヨーゼフ上級伯爵家に仕える家臣、使用人、騎士たちは、ハンベルのその行為を黙認することに決めた。
そうすれば、上級貴族であるが故に、逃げ道が存在してしまっているその他多くの罪とは違い、反逆罪が問われれば、ハンベルの死刑が確定になるからだ。
ハンベルは周りに味方など居ないどころか、死刑になることを望まれているとは露知らず、家臣たちに非道で愚鈍な命令を下していく。
その先に待ち受けている運命が良いものになるのだと、勝手な想像をしながら。
0
あなたにおすすめの小説
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅
散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー
2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。
人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。
主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる