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3.祝日のお祭り

3-027

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「シル、貴女はまた、そんな適当な説明をしているのですか?はぁー、貴女のズボラで適当な性格には慣れていますが、毎度の事ながら、呆れてしまいます。」


  えっと、アルスさんのお母さん、じゃなくて、養母さんか。
  確か、ユグラシア公爵だっけ?
  取り敢えず、そのユグラシア公爵は、リーナさんと知り合いなのかな?リーナさんの反応的に。


「あぁ。貴女は変わりませんね、本当に。あの時もそうでした。突然、「私、学校の運営してみたい!」と言ったかと思えば、学園都市を創り、それを自領にしたこともあれば、「国政疲れた。」と言ったかと思えば、「今日から私はユグラシア公爵。」などとふざけたことを言って、本当にユグラシア公爵家が立ち、公爵になってしまいましたが。」


  ん?
  今、リーナさん、何て言った?


  ユグラシア公爵家って、確かベイルマート王国建国初期から存在する名門じゃなかったけ?
  古くからベイルマート王国を支えてきた家柄だから、婚約者としてオススメだ、ってラスタリアさんが言っていた気がする。その後、すぐにセルシェーダさんにかなり叱られてたけど。

  それで、しかも、ってことは、そのシルさんっていう人物は、ユグラシア公爵家の現当主でありながら、初代当主でもある、ってこと?
  そして、その当時のことを見ていたかのような言い方をしているってことは、リーナさんもその時代を・・・ベイルマート王国建国期を生きていた、ってこと?

  そりゃあ、お父さんよりも偉そうな行動が認められるわけだ。
  だって、実際に偉いんだから。


  っと、そうじゃなくて、ユグラシア公爵がアルスさんに適当なことを教えたってだよね。
  リーナさんの話から考えると、元々は国政に携わっていた人物なんだよね?

  というか、現在進行形で領地持ちの最上位クラスの貴族家の当主してるじゃん。

  それなら、財政にも明るいんじゃないのかな、って思うんだけどなぁ。


「諦めてください。あの方は元より、金銭を使用する文化の無い種族に生まれ、金銭を使用しない環境で育ったのですよね?その感覚が抜けていなかったあの方を甘やかした、皆さんにも責任があると私は思うのですが。」


  確か、ユグラシア公爵は精霊族、だったよね?

  精霊がお金を使って生活する。

  ・・・・・うん、前世の僕じゃ、想像もしなかったと思う。

  ダメだ。
  精霊って言われると、自然と共に存在しているような生命体(?)をイメージしてしまう。


「シルで懲りたからこそ、人を育てる上で甘やかしは良くないと思い知り、甘やかすことなく、厳しめに接するようにしました。で・す・が!私が行動を改めた後も、あの愚か者たちは、シルを甘やかし続けた!その結果が、今のような怠惰で、不真面目で、己の持つ能力を悪用し、人をき使うような人に成り果ててしまいました!ああぁぁ、真面目でありながら、機転も利き、観察力と洞察力と考察力に秀でた、優しくて有能なシルを返してください!!」


  リーナさんが、厳しい理由が分かったのと同時に、リーナさんって、こういう人だったんだ、と思って、ちょっとだけ驚いている。
  しかし、シルさんことユグラシア公爵。堕ちるとこまで堕ちてしまったんだな、って思うと、ちょっとだけ怖くなる。



  どんなに優秀でも、堕ちる時は堕ちてしまうんだ。

  だからこそ、気を引き締めて生きていかないと。

  そう思った瞬間、胸にゾクリと刺さるような恐怖を感じた。
  その恐怖の正体が何者なのかを、何故か、知りたくないと思った。
  

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