仮 参

淀川 乱歩

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其の九 淫獄転生 其の参 稚児愛玩 其の獸仔

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 ……其の美青年は、此の葦原を支配している植物妖怪一族の一人で、全裸の上に金糸銀糸で刺繍した、暗い苔色の着物を一枚だけ羽織り、数人の裸身の人間族の少年達を引き連れていたのです。
 ……腰帯を締め無い、開いた着物の前から見える肌は乳白色で、柳腰から羚羊(レイヨウ)の様な長い足がすらりと伸び、腰まで伸ばした絹糸の様に細い黒髪は、光の加減で美しい緑色に光って見えたのでした。
 ……野郎柳は、幼児から老人まで人の男性姿のみの妖怪達で、最も多かったのは十代の少年の姿で、実は、此の御泥ヶ淵の岸辺に生えていた青柳の精達が、其の後に或る出来事で、更に妖怪化した物の怪達で、其の美青年は名を青夜妓(あおやぎ)と云い、直腸へ入れ墨された色稚児達を、更に性的に調律するのが仕事だったのです。
 ……そして、そんな野郎柳の青夜妓は、恍惚とした表情を浮かべて、自分の手で恥部を愛撫し続けている色稚児の、人間族の全裸の少年少女達を一人ずつ、順番に手術台の上に仰向けに寝かせ始めたのでした。
 ……処で、青夜妓の連れている少年達は、全員、全裸の腰に白布の下帯姿(ふんどし)の、小麦色に日焼けした黒髪の男児達で、調律代として青夜妓が貰い受けた、人間族の男の子達だったのです。
 ……少年達は、青夜妓の下僕(しもべ)にされ、常に陰茎(ペニス)を勃起させられ続けて、股間に締めた下帯の前を、膨らませ続けていたのでした。
 ……青夜妓の屋敷には、そんな下帯姿の人間族の少年達が数百人も飼われていて、毎夜交代で青夜妓の寝間に呼ばれて、下帯を解かれて生まれたままの姿にされて、丹念に可愛がられていたのです。
 ……少女の様な、色白の可愛(あい)らしい顔に黒目がちな目、長い睫毛の瞼も伏し目がちな美青年の青夜妓は、下帯を解かれて露わにした、小麦色の肌の少年の股間の、隠されていた白い肌を愛撫するのが大好きで、淫らな性技で責め苛み、幼い性的絶頂(オルガスムス)を繰り返させていたのでした。

 ……そして、そんな青夜妓は、常に物憂げな表情を浮かべており、時折、眉を顰(ひそ)めて何かを懸命に耐(こら)えており、実は青夜妓は、突然変異の真性半陰陽(ふたなり)の野郎柳で、完全な女陰の上に、完全な男根も持っていたのです。
 ……また、そんな彼の白い股間には、一匹の大きな半透明の寄生虫が張り付いていて、美青年の蟲に勃起させられた男性器と肛門とを、淫らな感触で常に犯し続けていたのでした。
 ……其れは、気喰蟲と云う妖蟲で、此の寄生虫が青柳の精の性器に寄生し、強烈な性的快感を与え続けていたので、青柳の精達は妖怪落ちして仕舞ったのです。
 ……つまり、眠っている間に、気喰蟲に恥部に寄生され、性的快楽を覚えさせられて、霊性を汚された精霊は、性霊へと変じて妖怪化して仕舞い、二度と元の精霊に戻る事は出来無く為り、更なる性的刺激を求める淫妖に落ちて仕舞ったのでした。
 ……実は、気喰蟲は、本来は自然界の幼い精霊達の恥部にのみ寄生する、精霊の幼児達の寄生蟲だったのですが、何故か巨大化して、大人の精霊の恥部へも寄生し始めたのです。
 ……気喰蟲達は、眠っている精霊達の股間に密かに取り付くと、其の内側に生えた無数の微細な透明触手を蠢かせて、精霊達の下腹部を淫らな感触で愛撫し続けては、性的絶頂(オルガスムス)させて、淫妖落ちさせた元精霊達の股間に、永遠に寄生し続けたのでした。
 ……そして、そんな淫妖化した精霊達の、陰部に寄生した気喰蟲達は、二度と取り除く事が出来無かったのです。

 ……処で、そんな青夜妓の仕事の性的調律(ねあわせ)とは、色稚児にされる人間族の子供達の、全身の性感帯を一つずつ丁寧に開発して覚醒させ、稚児の全身を性感帯に変える作業の事だったのでした。
 ……青夜妓の脱いだ着物を、下僕の下帯少年達が受け取り、丁寧に部屋の衣紋掛けに掛けると、青夜妓は目の前の手術台の上に、全裸で仰向けに寝かされた男の子の横に立ったのです。
 ……すると、全裸の青夜妓の長い黒髪が、ふわりと動き始めて、手術台の上の少年の全身を、一本一本の髪の先端で、弄(まさぐ)り始めたのでした。
 ……柳妖怪の、絹糸の様な艶やかな長い毛髪は、手術台の上に全裸で仰向けに寝かされた少年の全身を、柔らかな刷毛(はけ)で掃くかの様な感触で優しく撫で回し、其の擽(くすぐ)ったい感触で、全裸少年を愛撫し続けたのです。
 ……やがて、微かな痛みと共に、妖怪の数本の黒髪が、子供の柔らかな白い肌に、ぷつりと突き刺さり、青夜妓は子供に刺した自分の長い頭髪の先端から、麻痺液(アルカロイド)を少量、少年に注入したのでした。
 ……其れは、稚児鍼(ちばり)と云い、全裸の美青年妖怪が、子供の裸身から髪の毛を引き抜くと、手術台の上の少年の四肢は麻痺して、手足の指以外は、腕も足も全く動かせ無い、肉人形に変えられて仕舞ったのです。

 ……すると、再び美青年妖怪の頭髪が蠢き始め、今度は手術台の上で、全裸で身動き出来無い、仰向けの少年の全身を、毛髪の先端で擽ぐる様にして、子供の全身の性感帯を一つずつ、弄(まさぐ)り始めたのでした。
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