仮 参

淀川 乱歩

文字の大きさ
上 下
14 / 63

其の九 淫獄転生 其の参 稚児愛玩 其の獸歯

しおりを挟む
 ……処で、そんな秋津茜国にも、妖魔や妖怪達が人間族の子供達を抱く為の、稚児宿(おちごや)が集められた、葦原(よしわら)と呼ばれる悪所(いろまち)が有ったのです。
 ……深泥ヶ淵(みどろがふち)と呼ばれる、暗緑色に濁った巨大な底無し沼の中央に、大きな浮島が一つ有り、其の浮島の上に、人間界の吉原を模した木造建築が立ち並び、浮島全体を半球形に覆う結界の中は、年中昼夜常に月夜だったのでした。
 ……そして、そんな葦原は、温かな色の無数の蝋燭が、まるで夜空の銀河の様に煌(きらめ)き、狭い通路の左右に続く建物は全て置屋で、建物一階の通路に面した壁は座敷牢の様な、床から天井までの頑丈な木製の格子で、畳の部屋には人間族の子供達が全裸で、恍惚とした表情を浮かべて、格子から幼い白い手を伸ばしては、通りの客達を呼び込んでおり、格子に近付いた客の妖魔や妖怪達が、格子の中に手や触手を入れては、素裸の稚児の裸身や下腹部を愛撫したのです。
 ……そんな、袖引(そでひ)きと呼ばれている素っ裸の、一階の客引きの少年少女達は、時々、部屋の奥に引っ込むと、畳の上に仰向(あおむ)けに寝て、白い両足を上げて大きく左右に開き、幼い恥部を晒すと、人間族の赤ん坊位の小さな全裸の妖怪が、其の稚児の股間に四つん這いに為り、醜い顔を寄せたのでした。
 ……其れは、垢舐めの仲間の濡れ舌と云う淫妖で、口の中から伸ばした触手の様な、長い舌の先で子供の肛門から性器を丹念に、舐め上げて透明な唾液を塗って遣ったのです。
 ……実は、妖怪濡れ舌の唾液には、強烈な催淫効果が有り、今も、一人の男児が鋭敏な肛門の中に深々と舌を挿入されては、催淫唾液を直腸粘膜に丹念に塗られていたのでした。
 ……全裸の其の子は、可愛(かわい)らしい表情を浮かべて、やがて、醜い妖怪に肛門の中を丹念に舐め回され続ける淫らな快感に、可愛(あい)らしく小さく喘ぎ始めたのです。

 ……すると、濡れ舌は醜い顔を嬉しそうに歪め、更に深々と舌を抽送(ちゅうそう)させて子供の肛門を責め苛み、勃起した其の子の幼い陰茎(おちんちん)の先端の包皮を片手の指先で摘むと、激しく扱き立てて子供の包皮を剥き、薔薇色の亀頭粘膜を露出させたのでした。
 ……そして、格子の外から室内を覗き込む、通りの妖魔や妖怪達の眼の前で、其の全裸の美少年は白い裸身を弓形(ゆみなり)に退け反らせて、ひくひくと性的絶頂(オルガスムス)したのですが、其の幼い稚児は何故か射精出来ずに、ただ悶々と、幼い陰茎(おちんちん)を固く勃起させ続けていたのです。
 ……やがて、男児の肛門から、舌を引き抜いた濡れ舌は、今度は包皮を剥いた子供の亀頭粘膜に其の舌先を這わせて、催淫唾液を丁寧に塗りながら、稚児の亀頭を淫らな感触で愛撫して、舌で嬲り、再(ふたた)び性的絶頂させて遣ったのでした。

 ……暫く、畳の上で仰向けに喘ぎ続けていた其の全裸の美少年は、やがて立ち上がると、再び格子の前に行き、美しい白い顔の柔らかな両頬を桜色に染め、直腸や男性器(おちんちん)に残る淫らな感触の、快感の残滓(よいん)に尚も喘ぎながら、恍惚とした幼い顔で、再(ふたた)び格子の外の妖魔や妖怪達を、妖しく誘ったのです。
 ……すると、格子の外から差し込まれた客の腕や触手が、少年の小さな白い裸身を持ち上げ、冷たい格子に子供の裸身を押し付けると、其の格子窓から外に突き出した、未だ固く勃起したままの子供の陰茎(ペニス)を交代で激しく吸い、其の稚児が性的絶頂するまで舐め回しては、次の魔物と交代して、代わる代わる格子に大の字に磔(はりつけ)にした子供の、男性器を嬲り続けたのでした。
 ……処で、そんな稚児の少年が、何度、性的絶頂(オルガスムス)を繰り返しても決して射精出来無かったのは、実は、其の子は直腸(アヌス)の粘膜に、射精封じの強力な呪印を入れ墨されていたからだったのです。

 ……実は、卸売り業者に、葦原へ全裸で搬入された、色稚児の少年少女達は全員、最初に直腸の粘膜に様々な効果の呪印を彫られていたのでした。
 ……御泥ヶ淵に浮かぶ、葦原への通路は一本の浮橋のみで、時々、其の浮橋を人間族の子供達を密売する業者が、黒い金属の円柱を台車に乗せて、新しい色稚児の素体を、搬入して行ったのです。
 ……其れ等の黒い円柱は、葦原の中の施術院の建物の中へ運び込まれ、手術台の置かれた広い部屋の中で、黒い金属の円柱が開かれると、円柱の中には一人ずつ、違法に複製された人間族の少年少女達が全裸で、胎児の様な姿勢で深く眠り続けていたのでした。
 ……円柱が開封されて、次々と目覚めた全裸の子供達は、全員が驚く程美しく、また可愛いらしい少年少女達で、一人ずつ交代で手術台の上に俯(うつぶ)せに寝ると、濡れ舌の仲間の妖怪の鍼舌(はりした)が、口の中から触手の様に長い、蛞蝓状の舌を伸ばして、目の前の子供の肛門の中に舌先を挿入し、其の舌から微細な針を出して、特殊な唾液で男女の子供達の直腸粘膜へ、幾つもの呪印を入れ墨して行ったのです。
 ……手術台の上に、俯せに寝かされた全裸の子供は、最初は其の擽ったい感触に身悶えていたのですが、やがて体内に彫られた催淫呪印の効果で、強制的に発情させられ、可愛らしく喘ぎ始めたのでした。
 ……子供達が、鍼舌の舌で直腸粘膜へ彫られた催淫呪印は、年中昼夜常に、子供達が眠っている間でも強制的に人間族を発情させ続け、然も子供達の感じる全ての刺激を性的快感に結び付けて仕舞い、色稚児にされた少年少女達を性的快感中毒に変えて行ったのです。

 …… やがて、室内の全裸の少年少女達の全員が、其の手術台の上で交代に、直腸の粘膜に入れ墨を施されると、鍼舌が部屋を出て行き、入れ替わりに、少女の様に美しい一人の青年が、部屋の中に入って来たのでした。
しおりを挟む

処理中です...