【完結】隠れSubの俺は幼馴染の腹黒Domにこっそり催眠プレイで甘やかされていることを知らない

grotta

文字の大きさ
6 / 19

6.勘違いでプレイ開始?

しおりを挟む
 その後案の定仕事はめちゃくちゃ忙しくなり、社長主催の飲み会の日に時間をつくるためにはその数日前から会社に寝泊まりしなければいけないという状況になった。

「くっそ。だから嫌だったんだよ」
「ですよねぇ。先輩、俺今夜もがんばりますよ」

 津嶋が眠そうな顔で言う。

「いいよいいよ。俺と山村さんでなんとかしとくから今夜は一旦帰ってベッドで寝ろ」
「いいんですか?」
「ああ。その代わり明日の朝早く来いよ」

 飲み会当日、俺は会社で二時間ほど仮眠した後朝から仕事をそのままこなした。そして社長のくだらない飲み会に、フラフラの状態でなんとか駆けつけた。

「お疲れ様ですー」
「おお、西岡遅かったな」
「おいおい、お前その顔大丈夫か? クマやばいぞ」
「まあ、いつもこんなもんす」
「お前たちのチームどうにかなんないのかねぇ」

 社長に聞こえない位置で俺たちは小さな声で愚痴った。久々に飲んだ酒は寝不足のせいで一気に回り、俺は一次会で帰るはずがタイミングを失った。

 そして二次会の終盤にはすっかり出来上がっていた。目の前にあった酒をあおるとやけに甘い。
――なんだ……酒じゃなくてミルクティーじゃん?

「あれ~、西岡さん私のカルーアミルク飲んじゃってるじゃないですか」

 隣の席の新人がおかしそうに笑っている。経理課の――なんて名前だったかな。頭がぼんやりして思い出せない。

「あんたもミルクティー……好きなんだ……?」
「はい? だ…らこれ、カルーア……クですよ。ああ、もうなんか聞こ……な……」

 話もよく聞こえないし目が回るので俺はテーブルに突っ伏した。



 次に目を開けたのは、煌星が俺の肩を揺すって起こしてくれたときだった。

「起きてください」

――あれ、いつの間に俺家帰ったんだっけ……?

「んん~……やだ眠い」
「しっかりしてくださいよ、もう皆帰りましたからね。ほら、俺たちも行きましょう」
「……もう歩けない」
「参ったな――」

 テーブルに頭を乗せたまま煌星を上目遣いに見る。

「抱っこして煌星……」
「だっ? え、あの、西岡さん?」
「……もうベッド行きたいよ」

 手を伸ばしてもなぜか抱きとめてくれない。 

「お願いします。抱っこして煌星」
「あ、えー……と、すんません。俺家知らないんすよ」

――ふざけてるのかな。疲れた、寝たい……煌星に寝かせてもらってすっきりしたいのに……。
 またまぶたが落ちてきて俺はテーブルの上で目を閉じた。どこかでスマホの着信音がしている。

「あ、もしもし! すいません、はい。あ、はい。これ西岡さんのスマホで……」
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

俺の指をちゅぱちゅぱする癖が治っていない幼馴染

海野
BL
 唯(ゆい)には幼いころから治らない癖がある。それは寝ている間無意識に幼馴染である相馬の指をくわえるというものだ。相馬(そうま)はいつしかそんな唯に自分から指を差し出し、興奮するようになってしまうようになり、起きる直前に慌ててトイレに向かい欲を吐き出していた。  ある日、いつもの様に指を唯の唇に当てると、彼は何故か狸寝入りをしていて…?

おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。 せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。 クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom × (自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。 『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。 (全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます) https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390 サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。 同人誌版と同じ表紙に差し替えました。 表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!

【BL】SNSで出会ったイケメンに捕まるまで

久遠院 純
BL
タイトル通りの内容です。 自称平凡モブ顔の主人公が、イケメンに捕まるまでのお話。 他サイトでも公開しています。

幼馴染みのハイスペックαから離れようとしたら、Ωに転化するほどの愛を示されたβの話。

叶崎みお
BL
平凡なβに生まれた千秋には、顔も頭も運動神経もいいハイスペックなαの幼馴染みがいる。 幼馴染みというだけでその隣にいるのがいたたまれなくなり、距離をとろうとするのだが、完璧なαとして周りから期待を集める幼馴染みαは「失敗できないから練習に付き合って」と千秋を頼ってきた。 大事な幼馴染みの願いならと了承すれば、「まずキスの練習がしたい」と言い出して──。 幼馴染みαの執着により、βから転化し後天性Ωになる話です。両片想いのハピエンです。 他サイト様にも投稿しております。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果

SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。  そこで雪政がひらめいたのは 「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」  アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈  ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ! ※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。

姫ポジ幼馴染の貞操を全力で守っていたのに、いつの間にか立場が逆転して伸し掛かられた件

イセヤ レキ
BL
タイトル通りのお話しです。 ※全七話、完結済。

処理中です...