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12.積極的な凪に流される煌星
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「ただいま~」
ドアの開く音と共に凪の明るい声が聞こえてきた。しばらく凪と距離を置くか悩んだ末、結局今日も僕は彼の部屋のキッチンに立っている。
「お帰り、早かったね」
「んー。先週無理したから今週はちょっと早めに上がれって先輩が」
「そっか。もうすぐ焼き上がるところだから手を洗ってきて」
「良い匂い。何?」
「グラタンだよ」
凪は嬉しそうに笑みを浮かべ手を洗いに行った。
最近凪は機嫌が良い。絶好調と言っても良いくらいに――。
「いただきまーす」
凪が嬉しそうなことは僕にとって良いことだ。なのにこのモヤモヤした気分はなんなんだろう?
珍しく悪態をつくこともなく凪は僕に話しかけてくれ、いつも以上に仕事の話をしてくれた。
僕が以前津嶋と会ったことがあるからか、彼の話もわざわざしてくる。正直、あいつの話なんて聞きたくはなかった。仕事が忙しくて、凪は僕意外とまともな人間関係を築けていないんじゃないかと思っていたのだ。だけど、そうじゃなかった。単に僕がそう思い込んでいただけで、凪は後輩や先輩とうまくやっているようだ。
――僕達の関係をはっきりさせないと、凪は僕の元から離れていってしまうんじゃないか?
そんなふうに焦る気持ちはある。しかし、凪にこれ以上勝手に触れる気になれず僕はしばらくミルクティーを飲ませるのはやめようと考えていた。
なのに――。
「なぁ、煌星」
「なに?」
風呂上がりにソファに座った凪がキッチンの片付けをしている僕に言う。
「喉乾いた」
普段なら催促される前に飲み物くらい用意するのに、考え事をしていたせいでぼんやりしていた。
「ごめん気付かなくて。お水? それとも冷たいお茶がいい?」
「……いや、甘いのが良い」
――甘いの?
凪がこんなことを言うのは珍しい。僕はなんだか胸騒ぎがしてきた。何を言いたいんだ?
「甘いのって、ココアとか?」
「いやー……違くて」
凪はもどかしそうに眉をひそめて視線を彷徨わせた。
「あ、炭酸ですきっとしたい? それならコンビニで買ってこようか」
「ちげーよ。わかってんだろ? ミルクティー飲みたいって言ってんの」
凪はそっぽを向いてちょっと怒ったような声を出した。
――ミルクティー。凪から言われるなんて……。
「わかった、ちょっと待ってね」
ミルクパンに湯を沸かし茶葉を入れ、蒸らした後牛乳を注ぎ足す。それを温めながら僕はこの後どうするか考えていた。
いつもなら自分から下心ありでミルクティーを淹れる。凪が弱っていて催眠にかかりやすいときを狙って。
だけど今はそうじゃない。凪の意識ははっきりしているし、眠そうでもない。このまま飲ませても催眠にかかるかわからない……ただミルクティーを飲ませて帰るか? いや、待て。一度それをしてしまうと二度と暗示にかからなくなるかもしれない――。
どのみち海外研修から帰ってきたら、凪にパートナーになって欲しいと申し出るつもりだ。それならもう暗示は必要ないか。
沸騰寸前で火を止めて蜂蜜を混ぜ、カップにミルクティーを注ぐ。
「お待たせ、凪」
「ありがと」
凪は息を吹き掛けて冷ましてからカップに口をつけた。
「あー、やっぱこの味だな」
「美味しい?」
「うん。お前は飲まないの?」
普段ならここから畳み掛けるように暗示をかけていくところだ。しかし僕は首を振ってごく普通に返事をした。
「僕はいいよ」
「美味いのに。今日昼飯食べた店で食後にミルクティー選べたから飲んだんだよ。でも全然味気なくてさー」
「え……っ。凪、まさか外でミルクティー飲んだの?」
僕は先日のことを思い出して焦って立ち上がる。
「飲んだけど?」
「――そんな、だめだよ」
「え?」
「凪……凪は僕のミルクティーが好きなんだよね?」
「うん、そうだけど」
「じゃあ僕のミルクティーだけ飲んで?」
彼の隣に腰掛けて目をまっすぐに見つめて言う。凪は僕の声音が命令調に変わるのを聞いてカップを持ったまま硬直した。
「僕の以外いらないでしょう?」
「あ……ああ、そう。そうだったな……」
「飲み干してよ、全部」
凪の目が焦点を失いかけ、とろんとまぶたが半分下りてきた。彼は言われた通りまた一口、もう一口とミルクティーを飲んだ。
「煌星……眠たい……」
「ベッドへ行く?」
「うん」
「歩ける?」
「歩けない……。連れて行って」
凪の細い腕が僕の首に絡んだ。
◇
「ぅ……っ、ん……。あ……」
凪の口から切なげな声が漏れる。僕はふにゃふにゃになってしまった幼馴染をベッドに連れてきて、彼のペニスを頬張っていた。
こんなことをしてはいけないと思えば思うほど、僕の口の中で膨らむソレは甘いキャンディのように僕を誘う。夢中で舐めるのをやめられず、もうすぐ破裂しそうなそれを強く吸った。
「はぁっ……イくっ、イッ……煌星……んっんぅ……!」
細い腰をしならせて凪は僕の口中に欲望を放った。生温かいその粘液は本来苦くてまずいはず。だけど僕はそれをじっくりと味わいながら飲み込んだ。
――やめられない……凪のをもっと飲みたい。舐めて気持ちよくしてあげたい。
そうは思ったものの、もうやめなければいけないのもわかっていた。僕は後ろ髪を引かれつつ、凪のペニスから口を離す。すると凪がかすれた声で訴えた。
「煌星……、もっと」
「凪、でも今日はもうやめておこう」
「いやだ。お願い……後ろもしてよ」
「なっ……」
凪がとろんとしたいやらしい顔でこちらを誘うように少し腰を浮かせて見せる。
「このあいだのまたして? アレ気持ちよかった」
――この間のって、まさか後ろに入れてほしいのか?
凪の腰がゆらゆらと揺れて僕を挑発してくる。それを見せられて僕は頭に血がのぼり、めまいがしそうになった。
――凪のためになんでもしてあげたい。凪を喜ばせて泣かせたい……。
Subに求められてDomの本能が刺激される。こめかみがどくどく脈打ち、このまま我慢していたら頭痛がしそうだった。
「でも、あれはちょっとした……間違いだったんだ」
「まちがい?」
「そう。凪が可愛すぎてやりすぎたんだ。だから今日はこれでおしまい」
「嘘。嫌だよ。煌星は俺ともっとしたくないの? この前はあんなにしてくれたじゃん」
凪がそう言って僕の首にしがみついてくる。その甘えた様子にくらくらして、僕は歯を食いしばる。
「凪、いい子だから」
「それって命令? 煌星は俺としたくない?」
少し腕の力を緩め、こちらを涙目で見上げる凪。焦点は合っていないままの催眠状態だが、悲しそうな表情だ。
――この催眠は、凪を気持ち良くさせてやるのが目的だろ? 泣かせてどうすんだよ。
「したくないわけじゃないよ」
「じゃあしてよ。煌星にしてほしい、えっちな命令たくさんして……」
「凪、そんな――」
「ほら、お願い」
僕の下にいる凪が膝でこちらの股間をぐっと押し上げてくる。凪のモノを舐めるだけで痛いほど勃起していたそこを刺激され腰がひける。
「だめだ凪。やめて」
「――煌星は俺のこと好きじゃなくなった? もう命令してくれないの?」
ここまで言われて僕はもう理性を保てなくなった。
「じゃあ、少しだけだよ?」
そういうと凪はふわりと嬉しそうに微笑んだ。そして満足したように自分の小さな唇を舐める。
「ん。わかったから早く触って。中がじんじんするから、擦ってよ……」
――なんてこと言うんだ。
僕は凪のあまりに積極的な様子に負けて凪の後ろの穴に指を忍ばせた。すると「ふっ……」と鼻に抜けるような声が凪の口から漏れる。その拍子に彼の両脚に力が入り、僕の腕が太ももに挟まれた。
「力抜いて、 Present」
凪は脱力して足を開いた。
「Good boy」
僕はローションを塗った指をゆっくり中に沈める。ただの固い窄まりにすぎなかったそこは、男を受け入れて感じることを覚えてしまった。
「ンン……あっ、そこ。そこ擦って……」
「腰を振らない。Stay」
自分で気持ち良くなろうと腰をうごめかせる凪を嗜める。すると彼は動くのをやめ「ごめんなさい」と頬を赤らめてこちらを見上げた。
「Good boy」
いい子にできたので、指を動かしてやる。内部のある位置を指がかすめると凪は気持ち良さげに嘆息し、体を震わせた。
ぱくぱく開いたり閉じたりして僕の指をうまそうに咥える凪の蕾。ピンク色の入り口にキスしたい気分だ。前立腺を指で刺激しつつ、凪のペニスをしごいてやると彼は快感で身悶えした。
――いやらしい凪……可愛いな。
「はぁ……んっ、気持ちいい……こうせぇ……気持ちいいよぉ」
「よかったね、もうイきそう?」
「あっあっ……い……くぅ」
「いい子だね。凪、 Cum」
「や、やだ! だめ。煌星の……入れて」
「凪、でもそれは……」
できればこのまま指で終えたかったが、凪はそれを許さなかった。
彼は僕を押し退け、襟首を掴んで体勢を入れ替えた。僕の方が下敷きになり、凪が腹の上に乗り上がってくる。
「ずるい――俺言うこと聞いたから……お願い」
「凪……」
僕にそれ以上言わせぬとでもいうように、彼が強引にキスしてきた。
凪の方からキスしてくれるなんて、嬉しくて頭がバグりそうだ。
だけど冷静になれ。催眠中なのにこんなに動けるなんて、本当にちゃんと暗示はかかってるのか――?
「煌星、煌星……」
凪が僕の上で腰を振り、尻を擦り付けてくる。
「おいおい、凪。はしたないよ。わかったからね、Stop」
「んん……焦らさないで」
「随分おねだりが上手になったね?」
「お願い、煌星」
「じゃあもう一回、Kiss」
凪は小さな唇で僕の口を塞いだ。僕はされるまま動かず、彼の好きにさせてみた。すると凪は一生懸命僕の唇や頬にキスを落としていく。
「Stop、次は下を脱がせて」
彼は従順に僕のボトムスのベルトを外し、熱くそそり立ったものを取り出した。
「Lick」
真っ赤な顔で息を荒くしながら凪はそれを舐めた。欲しくて仕方がないとでもいうように――。
「Good boy。凪、自分で入れられる?」
「自分で……?」
「好きにしていいよ」
寝そべったまま言うと、凪はおずおずと僕の腹部にまたがり腰を落とす。後ろ手にペニスを支え、後孔に入れようとするが初めてすることなので苦戦している。
「どうした? もうやめようか」
「だ、だめ」
必死に入れようとするほどうまくいかず、焦って凪が涙目になる。
――ああ、思い切り突き上げてもっと泣かせたい……。
「そんなに僕のが欲しいの?」
「……ほしい」
本当に今日の凪は素直だ。僕は彼の穴にきちんと入るように協力してやり、ようやく収まるべきところに収まった。
「ぁう……っ」
「苦しい?」
「ううん、大丈夫……」
「じゃあ動いて」
彼は少しずつ腰を動かし始めた。苦しげに息をし眉をひそめている姿が艶めかしい。
――凪がこんなことをしてくれる日が来るなんて……。
しばらく動いてみて慣れてくると、凪は自分が気持ちよくなれるポイントを見つけてそこを擦り始めた。僕としては、物理的な刺激としては物足りないが凪がそうやって気持ちよくなっているのを見るだけで十分満足できた。
なにより自分が無理やり犯しているんじゃないということが僕の罪悪感を軽減してくれる。凪が好きでやっているんだと自分に言い訳ができる状況なのだ。
結局凪も自分の動きだけでは達することができず、最後は彼に懇願されて僕が望み通りに動いてあげた。
フェラで一回、騎乗位で一回、寝バックで一回イった凪は満ち足りた顔で眠りについている。
僕はなんとも言えない気分で凪の体を綺麗にし、自室に戻った。
――凪が望んだんだ……僕じゃなく、凪が。
ドアの開く音と共に凪の明るい声が聞こえてきた。しばらく凪と距離を置くか悩んだ末、結局今日も僕は彼の部屋のキッチンに立っている。
「お帰り、早かったね」
「んー。先週無理したから今週はちょっと早めに上がれって先輩が」
「そっか。もうすぐ焼き上がるところだから手を洗ってきて」
「良い匂い。何?」
「グラタンだよ」
凪は嬉しそうに笑みを浮かべ手を洗いに行った。
最近凪は機嫌が良い。絶好調と言っても良いくらいに――。
「いただきまーす」
凪が嬉しそうなことは僕にとって良いことだ。なのにこのモヤモヤした気分はなんなんだろう?
珍しく悪態をつくこともなく凪は僕に話しかけてくれ、いつも以上に仕事の話をしてくれた。
僕が以前津嶋と会ったことがあるからか、彼の話もわざわざしてくる。正直、あいつの話なんて聞きたくはなかった。仕事が忙しくて、凪は僕意外とまともな人間関係を築けていないんじゃないかと思っていたのだ。だけど、そうじゃなかった。単に僕がそう思い込んでいただけで、凪は後輩や先輩とうまくやっているようだ。
――僕達の関係をはっきりさせないと、凪は僕の元から離れていってしまうんじゃないか?
そんなふうに焦る気持ちはある。しかし、凪にこれ以上勝手に触れる気になれず僕はしばらくミルクティーを飲ませるのはやめようと考えていた。
なのに――。
「なぁ、煌星」
「なに?」
風呂上がりにソファに座った凪がキッチンの片付けをしている僕に言う。
「喉乾いた」
普段なら催促される前に飲み物くらい用意するのに、考え事をしていたせいでぼんやりしていた。
「ごめん気付かなくて。お水? それとも冷たいお茶がいい?」
「……いや、甘いのが良い」
――甘いの?
凪がこんなことを言うのは珍しい。僕はなんだか胸騒ぎがしてきた。何を言いたいんだ?
「甘いのって、ココアとか?」
「いやー……違くて」
凪はもどかしそうに眉をひそめて視線を彷徨わせた。
「あ、炭酸ですきっとしたい? それならコンビニで買ってこようか」
「ちげーよ。わかってんだろ? ミルクティー飲みたいって言ってんの」
凪はそっぽを向いてちょっと怒ったような声を出した。
――ミルクティー。凪から言われるなんて……。
「わかった、ちょっと待ってね」
ミルクパンに湯を沸かし茶葉を入れ、蒸らした後牛乳を注ぎ足す。それを温めながら僕はこの後どうするか考えていた。
いつもなら自分から下心ありでミルクティーを淹れる。凪が弱っていて催眠にかかりやすいときを狙って。
だけど今はそうじゃない。凪の意識ははっきりしているし、眠そうでもない。このまま飲ませても催眠にかかるかわからない……ただミルクティーを飲ませて帰るか? いや、待て。一度それをしてしまうと二度と暗示にかからなくなるかもしれない――。
どのみち海外研修から帰ってきたら、凪にパートナーになって欲しいと申し出るつもりだ。それならもう暗示は必要ないか。
沸騰寸前で火を止めて蜂蜜を混ぜ、カップにミルクティーを注ぐ。
「お待たせ、凪」
「ありがと」
凪は息を吹き掛けて冷ましてからカップに口をつけた。
「あー、やっぱこの味だな」
「美味しい?」
「うん。お前は飲まないの?」
普段ならここから畳み掛けるように暗示をかけていくところだ。しかし僕は首を振ってごく普通に返事をした。
「僕はいいよ」
「美味いのに。今日昼飯食べた店で食後にミルクティー選べたから飲んだんだよ。でも全然味気なくてさー」
「え……っ。凪、まさか外でミルクティー飲んだの?」
僕は先日のことを思い出して焦って立ち上がる。
「飲んだけど?」
「――そんな、だめだよ」
「え?」
「凪……凪は僕のミルクティーが好きなんだよね?」
「うん、そうだけど」
「じゃあ僕のミルクティーだけ飲んで?」
彼の隣に腰掛けて目をまっすぐに見つめて言う。凪は僕の声音が命令調に変わるのを聞いてカップを持ったまま硬直した。
「僕の以外いらないでしょう?」
「あ……ああ、そう。そうだったな……」
「飲み干してよ、全部」
凪の目が焦点を失いかけ、とろんとまぶたが半分下りてきた。彼は言われた通りまた一口、もう一口とミルクティーを飲んだ。
「煌星……眠たい……」
「ベッドへ行く?」
「うん」
「歩ける?」
「歩けない……。連れて行って」
凪の細い腕が僕の首に絡んだ。
◇
「ぅ……っ、ん……。あ……」
凪の口から切なげな声が漏れる。僕はふにゃふにゃになってしまった幼馴染をベッドに連れてきて、彼のペニスを頬張っていた。
こんなことをしてはいけないと思えば思うほど、僕の口の中で膨らむソレは甘いキャンディのように僕を誘う。夢中で舐めるのをやめられず、もうすぐ破裂しそうなそれを強く吸った。
「はぁっ……イくっ、イッ……煌星……んっんぅ……!」
細い腰をしならせて凪は僕の口中に欲望を放った。生温かいその粘液は本来苦くてまずいはず。だけど僕はそれをじっくりと味わいながら飲み込んだ。
――やめられない……凪のをもっと飲みたい。舐めて気持ちよくしてあげたい。
そうは思ったものの、もうやめなければいけないのもわかっていた。僕は後ろ髪を引かれつつ、凪のペニスから口を離す。すると凪がかすれた声で訴えた。
「煌星……、もっと」
「凪、でも今日はもうやめておこう」
「いやだ。お願い……後ろもしてよ」
「なっ……」
凪がとろんとしたいやらしい顔でこちらを誘うように少し腰を浮かせて見せる。
「このあいだのまたして? アレ気持ちよかった」
――この間のって、まさか後ろに入れてほしいのか?
凪の腰がゆらゆらと揺れて僕を挑発してくる。それを見せられて僕は頭に血がのぼり、めまいがしそうになった。
――凪のためになんでもしてあげたい。凪を喜ばせて泣かせたい……。
Subに求められてDomの本能が刺激される。こめかみがどくどく脈打ち、このまま我慢していたら頭痛がしそうだった。
「でも、あれはちょっとした……間違いだったんだ」
「まちがい?」
「そう。凪が可愛すぎてやりすぎたんだ。だから今日はこれでおしまい」
「嘘。嫌だよ。煌星は俺ともっとしたくないの? この前はあんなにしてくれたじゃん」
凪がそう言って僕の首にしがみついてくる。その甘えた様子にくらくらして、僕は歯を食いしばる。
「凪、いい子だから」
「それって命令? 煌星は俺としたくない?」
少し腕の力を緩め、こちらを涙目で見上げる凪。焦点は合っていないままの催眠状態だが、悲しそうな表情だ。
――この催眠は、凪を気持ち良くさせてやるのが目的だろ? 泣かせてどうすんだよ。
「したくないわけじゃないよ」
「じゃあしてよ。煌星にしてほしい、えっちな命令たくさんして……」
「凪、そんな――」
「ほら、お願い」
僕の下にいる凪が膝でこちらの股間をぐっと押し上げてくる。凪のモノを舐めるだけで痛いほど勃起していたそこを刺激され腰がひける。
「だめだ凪。やめて」
「――煌星は俺のこと好きじゃなくなった? もう命令してくれないの?」
ここまで言われて僕はもう理性を保てなくなった。
「じゃあ、少しだけだよ?」
そういうと凪はふわりと嬉しそうに微笑んだ。そして満足したように自分の小さな唇を舐める。
「ん。わかったから早く触って。中がじんじんするから、擦ってよ……」
――なんてこと言うんだ。
僕は凪のあまりに積極的な様子に負けて凪の後ろの穴に指を忍ばせた。すると「ふっ……」と鼻に抜けるような声が凪の口から漏れる。その拍子に彼の両脚に力が入り、僕の腕が太ももに挟まれた。
「力抜いて、 Present」
凪は脱力して足を開いた。
「Good boy」
僕はローションを塗った指をゆっくり中に沈める。ただの固い窄まりにすぎなかったそこは、男を受け入れて感じることを覚えてしまった。
「ンン……あっ、そこ。そこ擦って……」
「腰を振らない。Stay」
自分で気持ち良くなろうと腰をうごめかせる凪を嗜める。すると彼は動くのをやめ「ごめんなさい」と頬を赤らめてこちらを見上げた。
「Good boy」
いい子にできたので、指を動かしてやる。内部のある位置を指がかすめると凪は気持ち良さげに嘆息し、体を震わせた。
ぱくぱく開いたり閉じたりして僕の指をうまそうに咥える凪の蕾。ピンク色の入り口にキスしたい気分だ。前立腺を指で刺激しつつ、凪のペニスをしごいてやると彼は快感で身悶えした。
――いやらしい凪……可愛いな。
「はぁ……んっ、気持ちいい……こうせぇ……気持ちいいよぉ」
「よかったね、もうイきそう?」
「あっあっ……い……くぅ」
「いい子だね。凪、 Cum」
「や、やだ! だめ。煌星の……入れて」
「凪、でもそれは……」
できればこのまま指で終えたかったが、凪はそれを許さなかった。
彼は僕を押し退け、襟首を掴んで体勢を入れ替えた。僕の方が下敷きになり、凪が腹の上に乗り上がってくる。
「ずるい――俺言うこと聞いたから……お願い」
「凪……」
僕にそれ以上言わせぬとでもいうように、彼が強引にキスしてきた。
凪の方からキスしてくれるなんて、嬉しくて頭がバグりそうだ。
だけど冷静になれ。催眠中なのにこんなに動けるなんて、本当にちゃんと暗示はかかってるのか――?
「煌星、煌星……」
凪が僕の上で腰を振り、尻を擦り付けてくる。
「おいおい、凪。はしたないよ。わかったからね、Stop」
「んん……焦らさないで」
「随分おねだりが上手になったね?」
「お願い、煌星」
「じゃあもう一回、Kiss」
凪は小さな唇で僕の口を塞いだ。僕はされるまま動かず、彼の好きにさせてみた。すると凪は一生懸命僕の唇や頬にキスを落としていく。
「Stop、次は下を脱がせて」
彼は従順に僕のボトムスのベルトを外し、熱くそそり立ったものを取り出した。
「Lick」
真っ赤な顔で息を荒くしながら凪はそれを舐めた。欲しくて仕方がないとでもいうように――。
「Good boy。凪、自分で入れられる?」
「自分で……?」
「好きにしていいよ」
寝そべったまま言うと、凪はおずおずと僕の腹部にまたがり腰を落とす。後ろ手にペニスを支え、後孔に入れようとするが初めてすることなので苦戦している。
「どうした? もうやめようか」
「だ、だめ」
必死に入れようとするほどうまくいかず、焦って凪が涙目になる。
――ああ、思い切り突き上げてもっと泣かせたい……。
「そんなに僕のが欲しいの?」
「……ほしい」
本当に今日の凪は素直だ。僕は彼の穴にきちんと入るように協力してやり、ようやく収まるべきところに収まった。
「ぁう……っ」
「苦しい?」
「ううん、大丈夫……」
「じゃあ動いて」
彼は少しずつ腰を動かし始めた。苦しげに息をし眉をひそめている姿が艶めかしい。
――凪がこんなことをしてくれる日が来るなんて……。
しばらく動いてみて慣れてくると、凪は自分が気持ちよくなれるポイントを見つけてそこを擦り始めた。僕としては、物理的な刺激としては物足りないが凪がそうやって気持ちよくなっているのを見るだけで十分満足できた。
なにより自分が無理やり犯しているんじゃないということが僕の罪悪感を軽減してくれる。凪が好きでやっているんだと自分に言い訳ができる状況なのだ。
結局凪も自分の動きだけでは達することができず、最後は彼に懇願されて僕が望み通りに動いてあげた。
フェラで一回、騎乗位で一回、寝バックで一回イった凪は満ち足りた顔で眠りについている。
僕はなんとも言えない気分で凪の体を綺麗にし、自室に戻った。
――凪が望んだんだ……僕じゃなく、凪が。
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