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第一章 断罪から脱出まで
6 十日ぶりのご飯
しおりを挟む私が公衆の面前で婚約破棄され、断罪された後。
私が優秀ではなく、ここの家族の末席に加えてもらうために死ぬ気で努力していたのは家族が知っていたので、罵詈雑言浴びせられて有無を言わさず幽閉された。
前述したとおり、私の精霊の加護は母親の精霊から付与された『恩恵』といわれるものだ。
この母親、激情型で気分の波が激しい。
気に入らないことがあると、すぐ加護が弱まる。
本来の加護が十割の状態ならば、こんな寒さにさらされていても凍傷にはならないのだが――今この芯から冷える感じはね、そうだよ。私の婚約破棄によって、私の好感度はだだ下がり。そこらへんの虫から、害虫並みに下がっている。だから、加護もご飯にのせるふりかけくらいの割合だ。
彼女は私の位置づけを、自分の感情で決定している。普通の時は、「まあ悪さしない分には見過ごしてやるか。まあ、私と似たところもあるし許してやろう」ランク。断罪後は「見たら睨む、発言したら舌打ちする、同じ息など吸いたくもない」ランク。で、おそらく現在は「ガチギレしてるけど謝罪だけはさせてやるために生かす」感じ。
お母様ったら、気分の波と共に、加護の厚みも変わってしまうお茶目さん★
あ、ちなみにこの効果は私だけです。
蝶よ花よの妹はもちろん、険悪ムードを貫いていた義弟とも、火花のように愛を交わすお父様のその身にも起きてはおりません。
おかしいでしょ。
庶民に負けた、妹より優秀ではない、義弟という当主が見つかって用済みになったとかそういう時点で愛情が不安定になるってどうよ。
で、当事者の言い分も聞かず幽閉ってどういうことだよ。
前世の記憶を持たない頃の私も、それを諦めてるってどういうことなの。
ペットに対する扱いよりもひどいよ。家族内でランク決めて虐めてるだろ。そして私はランクEだろ。
私の前世は、それはそれは穏やかな、いちジャパニーズだった。
もちろんそういう私は能力が底辺であり、三十代後半で死ぬまで実家暮らしを抜け出せない、低所得者層であったので、家族との軋轢だって体験している。友人との喧嘩だってしたよ。
でもね、そういう人たちは、私を心配したからこその衝突だった。
収入の少なさを理由に資格取りなよ、いやそもそも金と時間が、だからそれだと私達が死んだらどうするのと激しいやり取りをした後、私でも取れる資格の一覧を用意してくれた。――結局その資格の還元率が甘かったので、そこでもまた話し合い、だったけど。
友達と喧嘩したその夜、お互い泣きながら電話した。
兄は戯れにプリンを奪われようとも、つかみ合いのやり取りの結果、次の日にはケーキを買ってきてくれた。
そう、話し合い。
喧嘩のあとの仲直り。
奪い合っても許し笑い合う関係――いや兄お前は許さない。高級プリンじゃないと許さない。嘘ですごめんごめん。
一週間経ち、最中の鍛錬の結果、魔法範囲が窓の外にまで広がり、小鳥を仕留められるようになった頃、ようやくお父様が現れた。
お父様が来るという連絡を受けて、私の身は綺麗に整えられ、別の――貴族が住まうにふさわしい幽閉部屋に移された。はい、隠蔽完了。
ああ、久しぶりの麦粥を食べさせていただいてますよ。うまいうまい!
塩辛いくるみが嫌がらせで入ってたんだけど、それがいいアクセント。麦の臭みも前世の雑穀米好きだった私にしたらご褒美なんだな-。ちょっと出汁を苦し紛れに入れたのも、ナイスだよ、料理人。
めいいっぱい出されたけど、半月ほどマトモに食べていない胃袋は、皿一面に浮かんだそれを食べきれなかった。残念。でもね、料理人は「嫌がらせ成功!」みたいな感じでニヤついていたよ。馬鹿め。
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