【R18】君に届くまで〜カタギの俺には資格がないの?〜

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〚47〛"ヌナ"という女性

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 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜


 自分が忘れてしまった記憶に
 振り回され 苦しくなって
 てつに助けを求めた

 哲とジミンの繋がりには 驚いたけど

 部屋に来てくれたのは ジミン…



「…きっと 抜け落ちた記憶は
 仁氏にとって 濃厚で
 輝いていたんだろうね」


 ジミンの言う通りなんだ…


「ジミン、っ…教えてくれ、
 きっと 大切な記憶なんだ…っ…
 俺は 思い出したい…助けて……」


 *・゚・*:.。.*.。.:。゜⋆。゜⋆


「無理に思い出そうとしなくて
 いいんだからね!」

「うん…」

「どこから 話そうかな…」


 ジミンはまず 約半年前に
 俺とジミンが会社帰りに
 バッタリ会った時のことを話してくれた


「喫茶店でお茶をして
 また会う約束をした帰り際に
 仁氏は僕に
 韓国語で、"年上のお姉さん"のことを
 なんて言うのかって聞いたんだ」

「…うん」

「僕は"ヌナ"だよって教えた」

「ヌナ…?」

「それから しばらく経ってから
 飲みに誘おうと思って電話をしたら
 女の人…ヌナが電話に出て
 仁氏は 熱を出して会社を休んだって
 教えてくれて…」

「風邪なんて何年もひいてないのに…
 って…そのお姉さんと俺は
 一緒に居たのか?」

「その時 ヌナから
 仁氏と一緒に住んでることを
 教えてもらったんだよ」


 退院後 このアパートに
 戻ってきた時の違和感は
 別のところに住んでいたから
 感じたものだったのか…


「仁氏は ヌナのお世話係…」

「お世話…係…」

「住み込みで家政夫みたいなバイト…
 話を聞いてびっくりしたけど
 シェアハウスみたいなもんだからって
 僕にも言ってたよ」


 シェアハウス、バイト…
 全然…思い出せない…
 その女性と一緒に住んで 世話を?


「それから…仁氏が先に
 ヌナに落ちちゃったんだろうなぁ…」

「お、落ち…っ…?!Σ(゚ロ゚;)」

「どう?ここまでの話で何か思い出した?」

「いや…何も……」

「そっかァ…時間かかるかもしれないね」



 悲しいくらい 何も思い出さない…


「多分、僕より哲氏の方が
 ヌナのことは 知ってると思うけど
 あのね…とにかく かっこいい女性だよ!
 初対面の僕にも 気さくに話してくれて」

「…そうなんだ」


 …もしかしたら そのに会えば
 何か思い出すってことも


「そのお姉さんって
 今どこにいるんだろう…」

「( ̄-  ̄ ) ンー…
 一緒に住んでたマンションに
 まだ 居るのかなぁ?」



 マンション…


「あ…」


 財布を広げて
 あのカードキーを出してみた


「もしかして、これ…」



 ── ズキンッ…
 また頭が痛み出す


「痛っ…」

「頭痛い?…ヌナのことは また今度 …」

「ジミン…明日、そのマンションに
 連れて行ってくれない?」


 俺の顔を覗き込んだまま
 悲しそうな顔のジミンが口を開く


「ヌナはね…
 相当な覚悟で 仁氏から離れたんだ」

「………」

「自分のことを忘れてしまった仁氏と
 もう 一緒には暮らせないって
 荷物を全部 ここに移動した…」

「・・・・・・」

「ヌナと たまに連絡取り合ってた
 てつ氏と僕に対しても
 もう、会うことはないから
 ヌナの連絡先、消して欲しいって
 言われたんだよ…」

「・・・・・・・・・」

「"出会ったこと"も 
 すべて "無かったこと"にするって
 …結構 キツい選択だよね」

「……俺って、最低だな」

「違うよ!!事故のせい!!
 だから自分のことを責めちゃダメ!
 …とにかく、ヌナのことは
 僕一人の判断で決められないから
 明日、哲氏も交えて 話そうよ…
 僕から連絡しておくから」

「…うん、ありがとう」

「じゃあ、また明日!」

「気をつけて…」



 ジミンは帰って行った…


 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜


 前に聞いた哲の話と
 ジミンの話を振り返っていた


 借金、麗香と離別、住み込みのバイト…

 そして…ヌナという女性に落ちたこと



「悔しいなぁ…」


 これだけ 話を聞いたのに
 なんでこうも 思い出さない?


「俺は アホなのか?…(。´-д-)ハァ-」


 色んな情報が錯綜して
 なんだか 熱が出そうだ…


 体を休めようと
 ベッドに横になり 目を閉じた



 *・゚・*:.。.*.。.:*・゚・*:.。.*.。.:



 ピンポーン♬.*゚


 誰か来た…


 玄関を開けると

「仁くん!来ちゃった!!」

「麗香…」

「仁くんのお世話を最優先してたから
 仕事が溜まってて
 なかなか来れなかったよぉ(´⌒`。)グスン」

「ごめん…」



 そうだ…
 麗香は こんな話し方だった
 少しトゲがあって…自分勝手で
 なんでも 人や物のせいにしたり…


「お腹空いた~!食べ物買ってきたよ!
 お部屋に入れてくれる?」


 ……今日で終わらせないと
 本当は もう麗香と別れているんだから


 家主の俺に構わず
 ズカズカと部屋に入っていく



「麗香、話があるんだ…」

「話?あ!その前にシャワー浴びさせて!
 ここにバスタオルあったよね?」


 そう言ってクローゼットを開けると


「えっ!うそ!仁くん!!これ私に!?」



 麗香は さっき 俺が引取りに行ってきた
 ネックレスのケースを見つけ 手に取った


「いや、それは…っ!」

「開けてもいい?」


 ネックレスのケースを
 ブンブン振ると 乱暴に開けようとした



 ━━ グイッ!!


「痛いっ!!!」


 気がつくと ケースを持った麗香の手首を
 勢いよく掴んで ねじ上げていた


「これは 麗香のじゃない…
 預かっているものだから触るな…」


 自分でもびっくりするほど
 唸るような低い声で言葉を発した


 そう、間違いではない…

[J to A]
 6月生まれの女性に
 ネックレスをプレゼントしようとしていた
 から 預かっているもの


「…ご、ごめんね」

「いや…」


 場の空気を少し柔らかくしたくて


「ポトフでも作ろうか?
 麗香 好きだったよね?」

「え…ポトフ苦手だよ」

「あれ…そうだっけ…」

「ってか、作ってくれたこと無いよね?
 (´▽`*)アハハ」



 ── ズキンッ



 .゚・*..☆.。.:*.☆.。.:.

 …『明日の朝は ポトフが食べたい!』

 +*:゚+。.゚・*..☆.。.:*



「うっ…」

 聞こえた…あの優しい声…


「大丈夫?仁くん…?」

「麗香…」

「ん?」

「もう、ここへは来るな…」

「えっ…」


 勢いよく 麗香との事を思い出すと
 フラッシュバックを起こす
 

 そうだった、自己中なオンナ…
 かまってちゃんがすぎる
 何でも買ってもらおうと 上手く誘導する
 最悪なオンナだっ…た…

 これ以上、一緒に居たくないと
 体が拒絶反応するように 頭に激痛が走る


「俺たち、別れているんだろ?」

「……思い、出した…の?」

「どうして また俺に近づいた?金か?!」


 …このオンナに
 借金を作らされて 残業ばかりして…


「もう金は無い…出ていけ…」

「少し借りようと思っただけで…」



 やっぱり金だったか…

 きっと 今まで買ってやったアクセサリーも
 どこかで売られて…


「二度と俺の前に現れるなっ!!!!」


 大きな声で怒鳴ると


「わ、わかったわよっ!!」



 バタンっ!!

 麗香は出て行った



「はぁ…ハァ…息苦しい…」

 急に血が上ったからか
 頭が割れるように痛い

 麗香が買ってきた袋の中身を
 ゴミ箱に捨てると
 その袋の中に、氷を入れて結ぶ

 ベッドの上に這い上がって
 頭に即席の氷嚢をタオルに包んで
 おでこに乗せて横になった


 落ち着け…


 …『頭痛が落ち着くと良いんですけど』

 そういえば…湊さんが
 こうやって冷やしてくれたっけ…


 痛みが和らぐと同時に
 意識を失うように眠ってしまった

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