悪役令嬢は断罪されたい

東 るるる

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1章 〘 悪役令嬢は投げ出したい 〙

6話 【悪の華モード、オン!!】

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「え~~~??パーティーですってぇ~~?めんどくさいからパスで「王宮が開くパーティーは強制参加です。まさかパートナーの王太子殿下に恥をかかせるつもりですか?それだったら国外追放どころかその場で切り捨て御免ですよ」今すぐ準備をするわよ」
くっ…背に腹は代えられん。
悪の華モードをオンにして参戦せねば…。
令嬢が私に送る嫌味に嫌味を返し、ふしだらな目で見てくるロリコンたちの視線から逃げ、多分今回は王太子の婚約者として少しのミスも許されない。
「プレッシャーすぎでしょ…」
嫌だな、参加したくないな。
だけど死にたくないな。
ちくせう、どうしようもねぇじゃねぇか。
「シルビ~、ドレス選びは任せてもいい?」
「…………仕方ないですね」
シルビ超やさすぅぃ~!
「シルビ、ありがとう!」
「いえ。
………というか、私が選ぶまでもないじゃないですか。
届いてますよ、殿下から」
「ヒォェ……?」
「急に人間卒業するのやめて下さい」
今日も冴えるシルビのツッコミ。
「あはは、ごめん。
それで、どんな感じの~?」
「殿下の目の色に合わせた深い紫色ですね」
「あら!悪の華にぴったりじゃないの!」
王家特有の深い紫色の瞳に感謝だ。
「なんですか、悪の華って…。
ああ、そういうお年頃ですか」
「そうそう、右目が疼くぜ…って違うわ!!!
まだ9歳だけど!?老けて見えんのか?!」
「怒鳴ると皺が増えますよ」
「じゃあやめるわ」
ってなにこれ。コント?


「お待たせしました、ローレンス様」
「!待ってないよ。
それにしても、とっても似合ってるよ。」
「ありがとうございます。ローレンス様のタキシード姿もとても様になっています」
「ふふ、ありがとう」


「王太子殿下とご婚約者様の入場です!!」
「「「「「王家に繁栄あれ!」」」」」
なんかこの媚び文句、王家の婚約者がまるで繁栄の為の道具にしか見られてないようでちょっとイラッてすんだよね。
「気張らなくてもいいよ。
他人の目を気にする必要はないし、自分の好きなようにすればいい。
なんならちょっと問題起こしてもいいよ?
このいつも通りつまんないパーティーに刺激があるなら」
笑顔でとんでもねぇことを言う王太子を見やり、
「生憎、私も問題は見る専なので」
「はは。そうだったんだ。
じゃあ誰かが問題起こしたら見世物として見よう」
「そうですわね」
………ただ、この願望は数秒後に打ち砕かれることになるが。
「あら。イリア様じゃあありませんの。
今日のその服装、勝手に仕立てたんですか?
ふふ。殿下はイリア様の本当の婚約者になるはずないのに。」
前の私なら、ここで叫んで周りに冷笑されてた。
だが今の私は悪の華。
女という毒にバカほど強いのだ。
「くすっ。
あなたがた、婚約者になれなかった腹いせに婚約者を寄ってたかって責めるのはどうかと思いますよ?
そういうの、一番惨めだからやめた方がいいですよ。
………それに、あなたたちはいつ格上の相手に平気で息をするように貶せるようになったのかしら?
私の身分は公爵令嬢であり、王太子の婚約者。
私の口先ひとつで、あなた方の命なんて…
どうとでもなりますわよ?」
そうそう。身の程をわきまえさせるそれ。
悪の華モードの私に出来ないものはない。
「………っ!!!
あんたこそ、王太子殿下に愛されてないくせに偉そうに…!!
それに、所詮は愛されなかった醜い公爵令嬢よ!?
そんじょそこらの侯爵家の方が身分は高いわ!!」
まだやる気か。
論破する為に口を開こうとしたとき。
「悪いけど。
愛してないかどうかなんて、本人にしか分かんないでしょ」
「あら、殿下。
ずっと聞いていたなら少しくらい助け船を出してもよかったじゃないですか」
腹黒はどこまで行っても腹黒である。
「イリアが論破するの、見てて気持ちよかったから」
「人でスカッとしないでくださいよ。
あとこの手退けてください。
今さっきケーキひと切れ食べたばっかですから。コルセット超キツく締められてるんでローレンス様の手でも締め付けられてる気分です」
「ケーキ?何食べたの?」
手を離せや。
「手を退けてくださいってば。
チョコです。
流石王家の料理人。
デザートまで美味しいんですよねぇ~」
あの甘味を思い出して口が綻ぶ。
「ふーん…?それ、僕も食べてみたいな」
「これです。
めっちゃ美味しいんで、食べてみてください」
「………じゃ、あーんってして??」
「…………………………………はい??
………ええ、分かりました。」
嫌だな…なんかヤダ。
「はい、あーん」
ケーキを切って口まで運ぶ。
「あむ。
………ん、美味しい。
後で料理人にボーナスあげよ」
「あら、優しい殿下ですね。
私には変な対応しつつも下の者には気を使えるんですか」
ジト目で睨んでみる。
「ごめんごめん。
でも好きだよ?イリアのこと」
「私はそうでもないですけどねぇ」
義務ということが分かっているので素っ気なく返してみる。
そう、お互いに愛していないからこそこういうバカみたいなやり取りができるのだ。
「…………は」
ローレンスが持っていたグラスの持ち手が
「オレなんかした?!?!」
って悲鳴上げてる。
「…嘘です嘘です、愛してますよ」
「ふふ。だよね~」
一瞬めっちゃ怖かった。
正直めっちゃビックリした。
それはもう、口から魂飛ぶくらい。
嘘。そんなにはビックリしてないけど。
「あ。
僕、父上に呼び出されてるんだった。
じゃあね、イリア」
「さよなら。
雑務押し付けられて来てくださいね、いってらっさい」
私がローレンスを見送ると、私に近づく影が見えた。
「………………あんた…あんたなんて、愛されてもないくせに!!!義務的な愛しか向けられてないくせに!!
何調子乗ってるのよ!
みっともないわ!!」
手には中身が入ったグラス。
これは…やられて被害者アピールできそうかも。
私はニヤリと密かに笑んだ。
グラスを持つその手が勢いよく動いて、私にグラスの中身がぶちまけられ………
ぶちまけられ…
ぶちまけら…
あれ?
「?」
グラスの中身をぶっかけた令嬢もぽかんとしている。
「イリア!!!」
「はあ…全く、余計なお世話よ…。
ヴェル。私がこれをばしゃーって被れば、ローレンス様に被害者面できたのよ?」
防いでしまったのは仕方がない。
大人しく観念する。
「そのドレス…もらったんだろ?
だったら汚すわけにはいかないだろ」
「あら、案外紳士ね。
そうよ。ローレンス様から頂いたわ。
まあ…そうね…ドレスを守ってくれてありがとう、ヴェル」
それに、殿下に掛け合ってもらえるかどうかも怪しかったし。
あと、将来ドレスを売れるからこのままの方がいいのかな。
「!!」
またしても目をかっ開くヴェルディア。
「また目開いてる。
戻っておいでー」
ヴェルディアの目の前で手を振る。
「っは!」
「おかえりなさい」
「あ、うん…ただいま…」
「?」
ついに頭がイカれたか…?

あとがきンヌーーーーー
ヴェルディアがトゥンクしました。
イリアの笑顔でコロっと。ちょr…
ちなみになんですが、ローレンスはイリアにマジです。
つまるところですね、ローレンスはイリアに対して「興味が尽きない」という認識から「好きすぎる、いや愛してる」みたいな認識に変わってます。
今回のパーティーではレヴァンは父である宰相に社会勉強をしろと言われて特別席で眺めてます。
ただレヴァンはイリアに超どっぷり依存してるのでイリアしか視界に入ってませんので社会勉強もクソもないですかね。
今のところ三人の中ではローレンスが一番イリアに対して強い愛情持ってるんですよねぇ。
あとの二人がどうするかですよね。
略奪しちゃうのかしら??
次回はレヴァンがメンヘラに目覚めます。
お楽しみにィ!!
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