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8.陳腐な愛憎と医療器具

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理性も感情も吹き飛ばして、おじさんが僕だけにリビドーを感じてくれたら良いのに。

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ー連れ込み宿のベットー


「…zzz。zzz。ぐごっ?」
ぬちぬちっ、ぬぷぬぷっ。

イビキをかいて眠っている人を見ると、イタズラしたくなってしまうのは僕だけだろうか。

「あれ?おじさん起きちゃった?よく眠ってたね。」
ずずずっ。めりめりめりっ。

「んっは!?何やって?おい!!クソガキ!よせ!ヤメロ!!うぁ。あああ〝ぁぁぁっ。」

ずちゅん♡

僕は程良くほぐれたおじさんのお尻の穴に医療器具アネロスをズボッと差し込んだ。

気を失っている間に、スライムローションでおじさんのお尻の穴をつんつんして遊んでいたから、指2本分くらいのモノなら難なく飲み込める様になっている。

「わあ。凄い!おじさんのお尻の穴ぱくぱくしてる。」

手首と足首をベットに固定して、開脚するように膝を縛り付けておいたから、おじさんの後ろの穴が丸見えだ。

おじさんの肌を黒蜥蜴のベルトが締め付ける。まるで蜘蛛に捕食される前のもがく獲物みたい。

おじさんを縛る奴隷の首輪を見る度に、自分でもよくわからないゾクゾクとした感情が迫り上がってくる。

これは、安心感?独占欲?渇望とよくある陳腐な愛憎、それから絶望と虚無感。とにかく僕はよくわからないモノにそっとフタをした、今は。

「クッ、何しやがる。離せ、抜け!」

おじさんがガタガタと暴れると、医療器具がどんどん深く飲み込まれていく。

「おじさん、暴れると危ないよ!お尻怪我しちゃうから、いい子にしようね。ほら、お尻の力を抜いてリラックスしてみて。」

僕はそう言いながら、ローションのついた指で穴周辺をくりくりとマッサージしてあげる。

「ひぁっ。や、やめろクソガキ!俺に変なおもちゃを入れんじゃねぇ!俺にそっちの趣味はないって何度も言わせるな!早く拘束を解け!」

しなやかな筋肉に食い込む、黒の拘束具は僕が吐き出した蜘蛛の糸みたいにおじさんに張り付いて、絡みつく。

「眠ってる間に治療してあげようと思ってたんだけど。起きちゃったらしょうがないよね。」

僕は睨みつけてくるおじさんに、やれやれとため息をつきながら悪戯っ子みたいに無邪気な顔で説明してあげる。

「おじさん、なにか勘違いしてるみたいだけど、これはれっきとした医療器具だよー。大人のおもちゃと一緒にしないでよね!全くもう!」

今おじさんのお尻に挿入している器具は、前世では医療用に作られた前立腺マッサージ器と同じような形状をしている。

だけどこれは、唯の前立腺を刺激する器具ではない。なんたって、此処は異世界なのだから。

魔法のあるこの世界で、アネロスはかなり活気的な治療具だ。効果は抜群!だけど治療方法が一般受けしないからか、あまり普及はしていない。

「はぁ?大人を揶揄うんじゃねぇ。こんなケツに入れる医療器具があってたまるか!」

まあ、奇異感があるのは否めない。
コレによく似た大人のおもちゃが、娼館や性奴隷の売り場で販売されているからだ。

こちらは、もちろん医療器具ではない。副次効果のみを追求した安価な「男をメスイキさせる道具ディルド」と言う名前の商品で、医療器具を模倣しただけの粗悪な類似品にすぎない。

でも何故か、こちらの方が世間に広まってしまっている。だからおじさんがこれをいかがわしいおもちゃだと、勘違いしてしまうのも仕方がない。

「嘘じゃないよ!これは魔力回路を治療出来る器具なんだから。ほらココ、魔法医師団の認可マークだってあるでしょ。」

僕は、おじさんに購入したパッケージを見せてあげる。ちゃんとした正規品だから、とてもお高い。そもそも、よくある類似品とは素材からして違うのだ。

「ぐっ。だからなんだ!俺はどこも悪くねぇ!」

僕は、ポケットから鑑定鏡モノクルを取り出して掛け、お医者さんごっこの様におじさんの下腹部をトントンと押してみる。

「ホントかなぁ。この辺りぜんぜん魔力が巡っていないみたいだけど??おじさん魔法使えなくなってから、だいぶ経つんじゃないの?」

体内にある魔力を使う為の回路が、ちょうど丹田と言われる臍下の辺りに集中している。この魔力回路、壊れてしまうと一生魔法が使えないままになってしまう。

今まで治療法のない難病だったけど、最近この治療器具が治癒につながると認められたのだ。

治療方法は、至ってシンプル。
この器具を体内に差し込んで、内側から治癒魔法をかける。それだけ。

魔力回路は、外側から治癒魔法を掛けても魔力同士がぶつかり、弾かれてしまって今まで治療できないものだった。でも、内臓のある魔力回路の内側から治癒魔法をかけるとすんなり魔法が通る事が実証された。

この医療器具は、光魔法の伝導率が高い貴重な光スライムのシリコンで出来ているから、手の届かない入り組んだ内臓部分にもダイレクトに治癒魔法をかける事が出来る。

「なっ、なんで俺が魔法を使えないと気づいた!」

ああ。そうか、おじさんは魔法が使えない事を隠してたんだ。僕はその理由に思い当たる。

おじさんは、戦闘奴隷として売られていたけど、魔法が使えないと戦闘奴隷にはなれない。魔法職の人に攻撃されたら一貫の終わりだっただろう。

もしかして、戦闘職として死にたかったのかな?

魔法が使えないと奴隷の価値は一気に下がる。おじさんがこのまま売られちゃったら、鉱山送りになるだろう。

今なら淫紋付きだから、まぁ。間違いなく高山奴隷達の慰み者になるだろうな。おじさんは今、僕に捨てられたくないはずだよね。

「ふふふっ。おじさんが、ちゃんと素直に僕の治療を受けるなら、少し時間はかかるけど、前と同じように魔法を使えるようになるよ。」

おじさんは、探る様な目で僕を見る。
「うっ。嘘つくな。そんな話、信じられるか。」

僕はおじさんに刺さった医療器具アネロスをイイ所に当ててた。

「い゛っ。」
おじさんのアレが、跳ねるように起き上がる。

「じゃあ、試してあげる。」
僕は真面目な顔をして、ほんの少しだけ小指の爪の先よりも少ないくらい治癒魔法を器具に注ぐ。

「あ゛っ、あ゛あ゛っっっ。」
僕の魔力をおじさんの奥深くに注ぎながら、医療器具アネロスでぐりぐりと前立腺を刺激してやると、溜まっていた老廃物が先っぽから一気にどぱっ、どぱっと流れ出してきた。

「う゛っ。ふっ、あっっ。」
お臍の上に噴き出した透明な水溜りが、ビクッ、ビクッと小刻みに震える度にシーツに流れ落ちていく。

「どうだった?少し魔力が戻ったって感じるでしょ?」

緩んだ口元に上気した頬。
おじさんは、襲ってくる快感の波に震えてはくはくと、言葉にならないみたいだ。

「おじさんどうする?このまま少しずつ治療をして、魔力回路を治す?おじさんが魔法を使える様になったら、僕。おじさんと一緒にダンジョン攻略に行こうと思ってたんだけどなぁ。」

「・・・・・・。」

「おじさんが、嫌だって言うなら断っても良いけど?僕はおじさんを戦闘奴隷として買ったんだもん。奴隷商の人に魔法が使えなかったって言ったら、返品して貰えるだろうし。」

「なっ、淫紋刻んどいて…そんな。」

僕は返品する気なんてこれっぽっちもないけど、側で狼狽えるおじさんを優しく撫でてあげる。

「僕、ヒーラーだから。おじさんが傷をおっても、いつだって癒やしてあげられるよ。」

大体。おじさんは僕のペットとして買ったんだから、激弱でも魔法が使えなくても僕は全く困らない。

赤錆色の髪を、くしゃくしゃと掻き混ぜて、耳元で天使のように囁く。いや、悪魔かもね。

「で、どっちにする?」

「・・・っ。」

「返品かな?」

「っ。ちっ。治療だ。」

僕は、おじさんの左内腿に施された奴隷紋に魔力を流し、追加の契約を施す。

「そう?じゃあ。これからは僕の言う事にちゃんと従って、治療を受ける。反抗はナシ!いいね。」

「契約は、必要ないだろ。」

「僕はよく知らないんだけど。鉱山奴隷になる山賊とか、賞金首とかって、皆んな酷い性病を患っているらしいよ。おじさん大丈夫かな。僕、心配だよー。」

「…っ!わかった。従う。くそガキがっ。」

契約が完了して、奴隷紋が淡く光る。

「ふふっ。じゃあ、これから宜しくね。」

僕はおじさんと僕を繋ぐ奴隷紋に、まるで祝福を贈るようにキスをした。
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