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21.悪魔に訪れた地獄

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オリッちに強く惹きつけられて、いつのまにか俺っちは、正常な判断ができなくなっていた。

悪魔が、天の使いに狂わされるなんてそんなの聞いた事ない。

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【カイトside】

それからは、俺っちの地獄の日々が始まったオリッちは、毎夜その男を想い甘い声を上げるようになったのだ。

「ノーマン。ああっ。会いたいっ。僕の初めてをもらってよぉ。んんっ。あっ!イクっ。」

俺っちは、凄く胸が苦しいのに、なぜかそれを見るのをやめられ無いんだ。耳に残るオリッちの声。

「オリッち、嫌だ!!俺っちを想って。ふっ。ああっ、オリッちの初めてが、欲しいっ。俺っちが、初めてをっ。うっ。」

不毛なマスターベーションで、心が荒んでいく。オリッちに触れられる全ての生物が憎い。どうして俺っちだけが、触れられ無いんだ!!

俺っちは、魔王に連なる血筋。その血は遺伝子レベルで凶暴な染色体を持っている。

ある日、オリッちの魚が死んだ。つい、うっかり殺っちゃったんだ。オリッちはその日涙を流して、俺っちは、それを慰めた。

オリッちとベットに転がって色んな話をした。朝まで喋って生で寝顔も見た。

俺っちを頼って甘える顔が可愛くて、凄く幸せな朝だった。

その日俺っちの心は穏やかで、それなのに何処か甘酸っぱくて、永遠にコレが続けば良いのにって思った。

それから俺っちは、オリッちのペットを少しずつ殺した。やめられなかったんだ。

言葉を喋るフェンリルのペットを殺した日、オリッちは茫然自失になった。そのオリッちの傷ついた心の隙間に付け込んで、呪いを解いたら、嫁にする契約も交わした。

なのに、喜んだのも束の間。その呪いは全然解けなかったんだ。

オリッちの空を飛べる小さなドラゴンを殺した日、ぼんやり空を見上げるオリッちに、呪いを弱める為のお揃いのピアスを贈って付けさせた。ほんの少しのイタズラを添えて。

オリッちは、それから俺っちと前よりも親しくしてくれなくなった。何処か距離を感じる。

ダンジョン内にいるのにオリッちの事をあんまり覗けなくなってしまった。シールドの隙間を突いて時々その姿を覗き見る日々。

オリッちが足りない。あの甘く苦しい不毛な日々に戻りたいと思う日が来るなんて・・・。冒険者を初めて、外泊する事も多くなった。

そして、ついにソイツがやってきた。
ノーマンって奴だけ狡い、俺っちもあいつみたいにオリッちに触れたいのに。

オリッちの初めては、絶対こんな奴に渡さない。

初めて殺すって脅したんだ。
婚姻契約は出来なかったけど、縛り付ける事ができた!!

どうして今まで思いつかなかったんだろう。こんなに簡単だったのに。

オリッちを縛り付けるには、脅せば良かったんだ。
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