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34.しのぶれど道ならぬ恋

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【ジズside】

「ど、どないせぇちゅうんじゃ・・・。」
我は、昇ってもおた三日月を見上げて呆然と立ち尽くしちょった。

アニキがヤッパで殺られるなんて、しかも聖人オンナの取り合いなんて陳腐な理由でじゃ。

「我、このままバックレたらいかんじゃろか。」

ホンマにココを本部メッカにしてもええんか??

あそこに生えちょるの世界樹ちゃうよな?誰でもええからちゃう言うてくれ・・。

これ下っ端の悪魔呼び寄せたら、即死やんけ。

それに分家筋の3男が魔王になってまうなんて、本家が黙ってへんじゃろ。コレから血で血を洗うタマの取り合いに発展せんとええんじゃが。

「んっ。はぁ。」

聖人が、目ぇさました。なんか苦しそうじゃ。よぉ見たら闇の縄を身体中に巻かれてるやんけ。締め付けられて鬱血しちょる。そら、気ぃも失うは・・。

「オリッち、大丈夫か??」

気遣うフリして、カイトが目隠しと猿轡拾っとん。大人しそうな顔しといてヤバい性癖持ちなんじゃろか。悪魔は、見かけによらんもんじゃの。

「・・・。」

聖人は何かの呪いにかかっちょるようじゃ。ポロリと涙をこぼしてはくはくとちいさい唇を開いて、辞めた。

「俺っちが、ロープを外してやるよ。脚、血が出てる。解剖室へ行こう。ジズ、手伝って。」

「しゃあないのぉ・・。」

聖人は、イヤイヤと首を振っとるけど、大丈夫なんけ?カイトが、手袋を付けた手で抱え上げる。我を巻き込まんといて欲しいんじゃが。

ワレらは、実験道具の置かれた薄暗い室内に移転する。聖人を解剖台に載せた。唇と脚に打撲の跡、足枷を無理矢理取ったのか擦り傷が出来ている。

「オリッち。唇と、脚のアザは、アイツにやられたのか?」

アイツってアニキの事か?まぁ、アニキ聖人殺すぅ、言うとったしのぉ。

聖人が自分の耳を指してジェスチャーする。よぉ見たらなんか耳栓もされとるやんけ。自分じゃ取れへんような呪いじゃろか??ホンマワケがわからんわ。

「んっ。」

カイトがピンセットで耳栓を取ってやると、その聖人は俺に話しかけてきた。

「ねぇ、貴方の名前は?僕を殺す??」

「い、いやっ、我は、その。」

「ジズ、オリッちを殺すのか??」

カイトが殺気だって睨みつけてくる。ほら、言わんこっちゃない。

「はぁ、殺さんかったらええんやろ。」

「ジズ、ありがとう!」

一瞬やった。我は、勝手に契約を結ばされてもうた。コレ悪魔式やんけ。この聖人、手際良すぎんか。我、冷や汗が止まらんわ。

「えへへ、ボク。とっても怖かったんだ。」

力無く笑った顔は、まだあどけのぉて、聖人わっぱはイモ引いとったんじゃと思い直す。

「オリッち、俺っちは、絶対オリッちを傷つけたりしない。」

カイトとは、話せんなんかがあるんか、俺を介してわっぱが話しかけてくる。

「悪魔はみんな、僕を虐めるんだ。本当に僕を傷付けたりしない??」

「オリッち当たり前だろ!俺っちの命を掛けてもいい。」

カイト、ワレ本気け?魔法陣ビュンビュン飛んでるやんけ。こんなん命いくってあっても足りんわ。ワレラはいつも、こんな変態プレイやっとるんけ。

「ジズ。命はいらないから、破ったら何でも言う事を聞くって言って?僕、大人しくロープを解いて貰うから。」

「俺っちは、いつだってオリッちの言う事聞いてやる。ジズは?」

ギロリと睨め付けられる。カイト、威圧なんか使って来んなや!大人気ないじゃろ。

「はぁ、しゃーないな。」

また速攻、契約で縛られてもうた。コレで我は、わっぱを殺すんも、致命傷負わすんも出来へん。

「オリッち横になって?紐を解く。」

「う、うん。」

足首に酷い鬱血痕が出来とる。無理に引っ張ったせぇで締まってもおたんじゃろ。

しゅるり、しゅるりと闇の手袋を嵌めたカイトが、丁寧に解いていく。そして、太ももに差し掛かる頃。

「んっ。はぁ、はぁ。うっ。じ、じずぅ。止めてって言って。」

ごくっ。潤んだ瞳でわっぱが懇願しちょる。

「か、カイト。一旦辞めたれや。なんか、ヤバそうじゃろ?」

「オリッち、鬱血してるから早めに解かないと。血が止まって、手足の色が悪くなってる。お、俺っちなるべく優しくするから。」

「う、うん。ジズ。わかった。でもっ、耳は塞いでて?」

わっぱは油断してたんか、陣までは飛ばさんかった。だからか、カイトも我も何故か耳は塞がんかった。我はそれを後々後悔する事になるんじゃ。

「んぅ。は、はぁ。あ、あん。やっ。うっ。だめぇ。」

わ、我は何を魅せられとるんじゃ・・・。わっぱが布を噛み締めて声を押し殺しとる。ワレ、聖人じゃよな?清純そうな顔して、とんだ閨狂いやんけ。

「すっ、すきって言うからぁ。もう、許してぇ。」

カイトは、聖人にどんな調教施したんじゃ。コレ天罰もんちゃうよな??

「あ゛っ。い゛たっ!ひあっ。きもちっ。だめっ。やめっ。いたいの、きもちくなっちゃぅっ。」

無垢な聖人をカイトの手練手管で、たらし込んだんじゃろうか。あかん、想像が膨らんでまう。

我はいつのまにか、わっぱをじっとりと視姦してもおてた。

蕩けた瞳、唇からチラリと覗く舌、白い太ももに赤い緊縛の跡、締め付けられて、ピンと勃ったピンクの乳首。

いつのまにか、すっかり縄は全部解けとった。

「あうっ。はぁ、はぁ、はぁ。じ、じずぅ。解いてくれて、ありがとう。ボクもう行くね。」

よろけながらわっぱは、おぼつかん手つきでするりとガウンの前を結びよる。

「わ、わっぱ。きぃつけるんじゃぞ?そ、その。なんか困った事あったら、話聞いたるけのう。」

「うん。嬉しい、またね。」

我はコレにも契約を結ばれとったけど、その頃にはそんな事もぉ、どおでもよぉなっとった。
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