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虚しきその名が今に残れり
28: 魔的美少年と「ヰタ・セクスアリス」 ②
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鯉太郎たちが、そろそろ帰ろうかと思い始めた頃、新たに二人の男の人が声を掛けてきた。
てっきり鯉太郎は、またナンパと思ったが、彼らと義春君との間で交わされる親しげな会話から、 どうやら今度は様子が違う事が判った。
どちらの男の人も義春君の知り合いだったようだ。
それになんだか彼らの話の端々に、この出会いが、あらかじめ用意してあったものだと気づかされる部分があった。
二人組のうち、一人は凄く背が高くよく日焼けした肌と筋肉質の身体の大きな人で、この浜辺で夏場だけの監視員のバイトをしてる人だそうだ。
もう一人は、大学生くらいの年齢で、こちらは線が細く優しそうな、眼鏡をかけたお兄さんだった。
そして義春君は鯉太郎の方を向いて悪戯っぽく微笑むと「ねえ、どっちのお兄さんに送ってもらいたい?」と聞いてきた。
鯉太郎はここに来る時と同じように、帰りも義春君と一緒に電車で…とばかり思っていたので、それは意外な提案だった。
わざわざ分乗しなくても、二人で同じ車に乗って帰ればいいような気がしたが、どうやらそれも違うようだった。
鯉太郎は何となく義春君の意図が汲み取れた気がした。
「今日は鯉君のための日だから…鯉君から先に選んで、」
義春君は鯉太郎にそう耳打ちした。
ドキドキしながら、鯉太郎はどうしようかと迷ったけれど、悩んだ末に大学生風のお兄さんに送ってもらうことにした。
義春君とはそこで手を振って別れ、お兄さんの運転する車に乗り込むと完全にお兄さんと二人きりになった。
会話の糸口が見つからないので、鯉太郎は暫くただ黙っていた。
こういった状態で決して乗ることのなかった車の助手席から見た道路の流れる光景が、妙に新鮮だった事を覚えている。
浜辺で会った時は緊張して良く顔を見ていなかったが、運転しているお兄さんの横顔をそっと覗き込むと、銀縁の楕円形の金属眼鏡フレームも流行のもので、結構格好いい人だなと思った。
この車も普段は、この人が恋人を送り迎えするのに使っているのかも知れないなと思った。
運転の仕方を見ても、色々と気が回る、優しげな人だった。
名前を尋ねると、彼は白い歯を見せて弘津と名乗った。
話を聞いていくと、やはり鯉太郎が想像したとおり、弘津さんは大学生だった。
大阪の出身ではないそうだ。
正確には大学院生だったのだが、その当時の鯉太郎は、学士とか修士といった彼の説明がよく解らなかったので、何となく大学生なんだ、とだけ理解した。
「義春君とは友達なのかい?」と質問されたので 鯉太郎は黙って頷いた。
でもそれでは前を見て運転してる彼には伝わらないと気付き、慌てて「ハイ!」と口で答え直した。
続けて「彼と仲良くしてあげてね」と言われ、鯉太郎はもう一度ハイと言った。
その時、帰る方向が同じなのに、義春君達の車が見えない事に気付いた。
鯉太郎が何気なくその事を聞くと、弘津さんは「ああ、彼等はホテルに行ったんだよ。」とクスリと笑って答えた。
「ホテル…」
「ラブホテルだよ。」
十分想像していたはずの事を、弘津さんの口から明確に指摘され、鯉太郎はドキドキした。
(そうなんや…やっぱり義春君はあの人とこれからセックスするんや…)
少女の様に可憐な義春君の肉体に、あの大きな男の人の浅黒くて逞しい身体がのしかかって繋がる姿を考え、鯉太郎の動悸は一層激しくなった。
(セックス…義春君がセックス…お尻の穴で男の人とセックス…)
おチンチンが痛いほど勃起して、履いてるハーフパンツの前をぐいぐいと押し上げて来た。
ついさっきまで普通に会話をしていた同年代の友人が、大人の男性と性行為をする…その生々しさを想像すると、鯉太郎の頭の中は、理性での処理が追いつかず、ドロドロと溶けた淫靡な衝動だけが渦巻く状態になった。
義春君のアナルに…あの男の人の勃起した大きなペニスが…激しく出し入れされて…義春君が喘ぎ泣くんだ…そんな光景が頭の中でぐるぐると駆け巡った。
そんな妄想に浸って興奮してる鯉太郎の想いは、傍目にも隠しきれないほど表情に出ていたと思う。
信号待ちで車が止まると、 運転席の弘津さんと目が合った。
息は荒く、心臓は爆発しそうなほどドキドキ鳴っていて、 口の中はカラカラだった。
弘津さんは耳まで真っ赤に染まった鯉太郎の顔と膨らんだ股間に交互に目をやると、鯉太郎の手にそっと左手を添えて「鯉太郎君は賢い子だね…想像だけでそこまで興奮しちゃうんだね」と全てを見透かしたかのように言った。
エッチな、と言わずに賢い子と表現したのは、弘津さんなりの配慮だったのかも知れない。
鯉太郎は何かを言おうとしたが、口はただ激しく呼吸を繰り返すだけで、意味のある言葉を吐き出す事はできなかった。
「このまま真っ直ぐ帰る?…それとも…」
信号はまだ赤のまま。
「…僕たちも、ホテルへ行こうか?」
弘津さんは優しく鯉太郎に尋ねた。
鯉太郎はゆっくりと頷いた。
弘津さんの左手がスルスルと滑るように鯉太郎の股間へ落ちて来てハーフパンツを押し上げているおチンチンを優しく包むように撫で回した。
そして顔を寄せて鯉太郎の耳元で「鯉太郎、初めてなんだろ?本当の女の子にしてあげる」とボソッと呟いた。
鯉太郎は興奮のあまり、危うくそれだけで射精しそうになった。
弘津さんが左折のウィンカーを出すと 信号が青になり、車の列が再び動き始めた…。
これが鯉太郎のいわゆる「初体験」のはじまりだった。
その後も弘津さんとは義春君を通じて何度か会い、可愛がってもらったが、この時ほどの凄い経験は出来なかったし、それ以降も本当の意味で鯉太郎が「彼の彼女」になる事もなかった。
後の鯉太郎自身の精神的な成長によって、幼い「恋愛と性愛のカオス」から抜け出し始めたという事もあったが、この爛れた状況を消滅させるのに、何より決定的だったのは、義春君の引っ越しだった。
義春君の消息は分からない。
しかし成人した今も、義春君が残した「魔性」は未だに鯉太郎の中で息づいていると思えるのだ。
・・・尾道は高校の頃、鯉太郎にとって憧れの町だった。
尾道は、大林宣彦監督の「男女入れ替わり」映画としても有名な「転校生」が撮られた町でもあり、女装にのめりこみつつあった旅行好きのオカマ少年にとって、いつかは行ってみたい夢と現実が気持ちよく混じり合った聖地のような町だった。
なのに、タチンボまがいの事をして、お金を稼いでは、高校を休んで一人旅をしていた鯉太郎は、何故か尾道だけは行かなかったのだ。
「とっておいた。残しておいた。」という感じだったのだろうか。
「尾道へ」、その願いは、この世界で本格的に女の子の格好をフルタイムで装える頃に叶えられた。
仕事用の本格的なお化粧を覚えたての鯉太郎にとって、メイクとは、自分の顔の上に0コンマ何ミリのファンデーションという材料で出来たマスクを張り付ける事と同じで、いつも化粧の匂いをプンプンさせていた。
「この世界」では、そんな素人同然の鯉太郎を、車で九州まで連れて行ってくれる森鴎さんがいた。
当然、旅は宿泊が伴ったのだが、森鴎さんは「自分の店の商品には手を付けない」みたいな、紳士的な接し方をしてもらった。
冷静に考えれば、筋張った身体と蕾しか持たないデビューしたての女装少年に、それほど魅力がなかったのかも知れないが。
西に足を伸ばしながら、山口では湯田温泉の松田屋ホテルに泊まったり、九州は嬉野温泉で連泊というかなりゴージャスな旅だったような記憶があるが、同時に、時々自分にまわって来る慣れない車の運転や、やる度に顔の印象が変わるお化粧の出来映えに、かなりくたびれてもいた。
つまり鯉太郎は、森鴎さんが下す自分に対する評価を相当気にしていたのだ。
そんな旅の最後に連れて行って貰ったのが、尾道だった。
多世界間では、人間が織りなす情勢は大きく変化するが、自然の景観は大きく変わる事はあまりない。
森鴎さんが、夕暮れ時の尾道港の波止場に車を止め、生きたシャコを売っている叔母さんからシャコを買い、「自分は小さい頃からシャコが好きでね、、これ買って帰るから、僕んところで茹でて食べさせてあげるよ」と言った言葉と、大きなビニール袋一杯に詰め込まれてワサワサと動くシャコの姿を未だによく覚えている。
他の事は、あまり覚えていないのに不思議な話だ。
たぶん、旅行中ずっと隙のないダンディぶりを見せ続けていた森鴎さんと、「海老」じゃない「しゃこ」とのギャップが、夕暮れ近い尾道港の人気の少なくなったわびしさと相まって、強い印象になったのだろう。
そして自力で贅沢な旅に出かけ、みんなと騒ぎながら尾道の商店街で尾道ラーメンを食べたり、「お好み焼き」と「広島焼き」の味比べ等をやるようになったのは、この森鴎さんとの旅からもう少し後の事だった。
その旅行では「男女入れ替わり」の尾道の坂を登って、山の上にある神社から、友人達と夕日に輝く尾道水道を眺めたりもした。
そこには、森鴎さんに重なるあの日の弘津さんの姿と、もしかしたら同じこの空の下にいるかも知れない義春君を懐かしく思う鯉太郎がいるのだった。
てっきり鯉太郎は、またナンパと思ったが、彼らと義春君との間で交わされる親しげな会話から、 どうやら今度は様子が違う事が判った。
どちらの男の人も義春君の知り合いだったようだ。
それになんだか彼らの話の端々に、この出会いが、あらかじめ用意してあったものだと気づかされる部分があった。
二人組のうち、一人は凄く背が高くよく日焼けした肌と筋肉質の身体の大きな人で、この浜辺で夏場だけの監視員のバイトをしてる人だそうだ。
もう一人は、大学生くらいの年齢で、こちらは線が細く優しそうな、眼鏡をかけたお兄さんだった。
そして義春君は鯉太郎の方を向いて悪戯っぽく微笑むと「ねえ、どっちのお兄さんに送ってもらいたい?」と聞いてきた。
鯉太郎はここに来る時と同じように、帰りも義春君と一緒に電車で…とばかり思っていたので、それは意外な提案だった。
わざわざ分乗しなくても、二人で同じ車に乗って帰ればいいような気がしたが、どうやらそれも違うようだった。
鯉太郎は何となく義春君の意図が汲み取れた気がした。
「今日は鯉君のための日だから…鯉君から先に選んで、」
義春君は鯉太郎にそう耳打ちした。
ドキドキしながら、鯉太郎はどうしようかと迷ったけれど、悩んだ末に大学生風のお兄さんに送ってもらうことにした。
義春君とはそこで手を振って別れ、お兄さんの運転する車に乗り込むと完全にお兄さんと二人きりになった。
会話の糸口が見つからないので、鯉太郎は暫くただ黙っていた。
こういった状態で決して乗ることのなかった車の助手席から見た道路の流れる光景が、妙に新鮮だった事を覚えている。
浜辺で会った時は緊張して良く顔を見ていなかったが、運転しているお兄さんの横顔をそっと覗き込むと、銀縁の楕円形の金属眼鏡フレームも流行のもので、結構格好いい人だなと思った。
この車も普段は、この人が恋人を送り迎えするのに使っているのかも知れないなと思った。
運転の仕方を見ても、色々と気が回る、優しげな人だった。
名前を尋ねると、彼は白い歯を見せて弘津と名乗った。
話を聞いていくと、やはり鯉太郎が想像したとおり、弘津さんは大学生だった。
大阪の出身ではないそうだ。
正確には大学院生だったのだが、その当時の鯉太郎は、学士とか修士といった彼の説明がよく解らなかったので、何となく大学生なんだ、とだけ理解した。
「義春君とは友達なのかい?」と質問されたので 鯉太郎は黙って頷いた。
でもそれでは前を見て運転してる彼には伝わらないと気付き、慌てて「ハイ!」と口で答え直した。
続けて「彼と仲良くしてあげてね」と言われ、鯉太郎はもう一度ハイと言った。
その時、帰る方向が同じなのに、義春君達の車が見えない事に気付いた。
鯉太郎が何気なくその事を聞くと、弘津さんは「ああ、彼等はホテルに行ったんだよ。」とクスリと笑って答えた。
「ホテル…」
「ラブホテルだよ。」
十分想像していたはずの事を、弘津さんの口から明確に指摘され、鯉太郎はドキドキした。
(そうなんや…やっぱり義春君はあの人とこれからセックスするんや…)
少女の様に可憐な義春君の肉体に、あの大きな男の人の浅黒くて逞しい身体がのしかかって繋がる姿を考え、鯉太郎の動悸は一層激しくなった。
(セックス…義春君がセックス…お尻の穴で男の人とセックス…)
おチンチンが痛いほど勃起して、履いてるハーフパンツの前をぐいぐいと押し上げて来た。
ついさっきまで普通に会話をしていた同年代の友人が、大人の男性と性行為をする…その生々しさを想像すると、鯉太郎の頭の中は、理性での処理が追いつかず、ドロドロと溶けた淫靡な衝動だけが渦巻く状態になった。
義春君のアナルに…あの男の人の勃起した大きなペニスが…激しく出し入れされて…義春君が喘ぎ泣くんだ…そんな光景が頭の中でぐるぐると駆け巡った。
そんな妄想に浸って興奮してる鯉太郎の想いは、傍目にも隠しきれないほど表情に出ていたと思う。
信号待ちで車が止まると、 運転席の弘津さんと目が合った。
息は荒く、心臓は爆発しそうなほどドキドキ鳴っていて、 口の中はカラカラだった。
弘津さんは耳まで真っ赤に染まった鯉太郎の顔と膨らんだ股間に交互に目をやると、鯉太郎の手にそっと左手を添えて「鯉太郎君は賢い子だね…想像だけでそこまで興奮しちゃうんだね」と全てを見透かしたかのように言った。
エッチな、と言わずに賢い子と表現したのは、弘津さんなりの配慮だったのかも知れない。
鯉太郎は何かを言おうとしたが、口はただ激しく呼吸を繰り返すだけで、意味のある言葉を吐き出す事はできなかった。
「このまま真っ直ぐ帰る?…それとも…」
信号はまだ赤のまま。
「…僕たちも、ホテルへ行こうか?」
弘津さんは優しく鯉太郎に尋ねた。
鯉太郎はゆっくりと頷いた。
弘津さんの左手がスルスルと滑るように鯉太郎の股間へ落ちて来てハーフパンツを押し上げているおチンチンを優しく包むように撫で回した。
そして顔を寄せて鯉太郎の耳元で「鯉太郎、初めてなんだろ?本当の女の子にしてあげる」とボソッと呟いた。
鯉太郎は興奮のあまり、危うくそれだけで射精しそうになった。
弘津さんが左折のウィンカーを出すと 信号が青になり、車の列が再び動き始めた…。
これが鯉太郎のいわゆる「初体験」のはじまりだった。
その後も弘津さんとは義春君を通じて何度か会い、可愛がってもらったが、この時ほどの凄い経験は出来なかったし、それ以降も本当の意味で鯉太郎が「彼の彼女」になる事もなかった。
後の鯉太郎自身の精神的な成長によって、幼い「恋愛と性愛のカオス」から抜け出し始めたという事もあったが、この爛れた状況を消滅させるのに、何より決定的だったのは、義春君の引っ越しだった。
義春君の消息は分からない。
しかし成人した今も、義春君が残した「魔性」は未だに鯉太郎の中で息づいていると思えるのだ。
・・・尾道は高校の頃、鯉太郎にとって憧れの町だった。
尾道は、大林宣彦監督の「男女入れ替わり」映画としても有名な「転校生」が撮られた町でもあり、女装にのめりこみつつあった旅行好きのオカマ少年にとって、いつかは行ってみたい夢と現実が気持ちよく混じり合った聖地のような町だった。
なのに、タチンボまがいの事をして、お金を稼いでは、高校を休んで一人旅をしていた鯉太郎は、何故か尾道だけは行かなかったのだ。
「とっておいた。残しておいた。」という感じだったのだろうか。
「尾道へ」、その願いは、この世界で本格的に女の子の格好をフルタイムで装える頃に叶えられた。
仕事用の本格的なお化粧を覚えたての鯉太郎にとって、メイクとは、自分の顔の上に0コンマ何ミリのファンデーションという材料で出来たマスクを張り付ける事と同じで、いつも化粧の匂いをプンプンさせていた。
「この世界」では、そんな素人同然の鯉太郎を、車で九州まで連れて行ってくれる森鴎さんがいた。
当然、旅は宿泊が伴ったのだが、森鴎さんは「自分の店の商品には手を付けない」みたいな、紳士的な接し方をしてもらった。
冷静に考えれば、筋張った身体と蕾しか持たないデビューしたての女装少年に、それほど魅力がなかったのかも知れないが。
西に足を伸ばしながら、山口では湯田温泉の松田屋ホテルに泊まったり、九州は嬉野温泉で連泊というかなりゴージャスな旅だったような記憶があるが、同時に、時々自分にまわって来る慣れない車の運転や、やる度に顔の印象が変わるお化粧の出来映えに、かなりくたびれてもいた。
つまり鯉太郎は、森鴎さんが下す自分に対する評価を相当気にしていたのだ。
そんな旅の最後に連れて行って貰ったのが、尾道だった。
多世界間では、人間が織りなす情勢は大きく変化するが、自然の景観は大きく変わる事はあまりない。
森鴎さんが、夕暮れ時の尾道港の波止場に車を止め、生きたシャコを売っている叔母さんからシャコを買い、「自分は小さい頃からシャコが好きでね、、これ買って帰るから、僕んところで茹でて食べさせてあげるよ」と言った言葉と、大きなビニール袋一杯に詰め込まれてワサワサと動くシャコの姿を未だによく覚えている。
他の事は、あまり覚えていないのに不思議な話だ。
たぶん、旅行中ずっと隙のないダンディぶりを見せ続けていた森鴎さんと、「海老」じゃない「しゃこ」とのギャップが、夕暮れ近い尾道港の人気の少なくなったわびしさと相まって、強い印象になったのだろう。
そして自力で贅沢な旅に出かけ、みんなと騒ぎながら尾道の商店街で尾道ラーメンを食べたり、「お好み焼き」と「広島焼き」の味比べ等をやるようになったのは、この森鴎さんとの旅からもう少し後の事だった。
その旅行では「男女入れ替わり」の尾道の坂を登って、山の上にある神社から、友人達と夕日に輝く尾道水道を眺めたりもした。
そこには、森鴎さんに重なるあの日の弘津さんの姿と、もしかしたら同じこの空の下にいるかも知れない義春君を懐かしく思う鯉太郎がいるのだった。
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