銀河高速夜行バスに乗り遅れる

「私は誰?ここは何処?」
 僕を診察した精神科医はこう言った。
「貴方は解離性障害のうち離人症性障害に罹っている」と。
 つまり自分が誰だか分からなくなる心の病気だと言うのだ。
 しかしそれは間違っている。
 僕は多世界間移動エンジンを積んだ移動体・銀河高速夜行バスからはぐれ、この世界に取り残された異邦人・アリウスなのだ。
 誰が「虚構の王国」なんかに安住できる?
 この世界への違和感こそが、僕が僕であることの証しだ。
 ともすれば、この世界に埋没しそうになる自分を励まし、故郷の多世界に帰る日を信じて、僕は今日も生きている。
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