シンクの卵

小学五年生で文房具好きの桜井春は、小学生ながら秘密組織を結成している。

 メンバーは四人。秘密のアダ名を使うことを義務とする。六年生の閣下、同級生のアンテナ、下級生のキキ、そして桜井春ことパルコだ。

 ある日、パルコは死んだ父親から手紙をもらう。

 手紙の中には、銀貨一枚と黒いカードが入れられており、カードには暗号が書かれていた。

 その暗号は市境にある廃工場の場所を示していた。
 とある夜、忍び込むことを計画した四人は、集合場所で出くわしたファーブルもメンバーに入れて、五人で廃工場に侵入する。

 廃工場の一番奥の一室に、誰もいないはずなのにランプが灯る「世界を変えるための不必要の部屋」を発見する五人。

 そこには古い机と椅子、それに大きな本とインクが入った卵型の瓶があった。

 エポックメイキング。
 その本に万年筆で署名して、正式な秘密組織を発足させることを思いつくパルコ。

 その本は「シンクの卵」と呼ばれ、書いたことが現実になる本だった。
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