ゴックン、その口で食べるの? /Osaka発ドラァグドライブ、掛け違いの旅

Ann Noraaile

文字の大きさ
39 / 177
【 旅と温泉グルメ しゃぶれどもしゃぶれども(中国編) 】

12: プレイバックpart3 「出雲、、神無月を過ぎても 5」

しおりを挟む
 「志ばらく」が味あわせてくれた初体験のお蕎麦の余韻を残したまま、今回の小旅行の最終目的地、植田正治写真美術館に向かいました。
 米子IC手前から目的地に入らずに、一旦、溝口ICまで高速道路に乗り入れてからUターンしたのは、大山の裾野ドライブをほんの少しでも味わいたかったから。
 日は既に、かなり傾きかけていて、おまけに昨日からの悪天候の為、大山にかかる雲も異様に掻き乱れていましたがドライブ自体は快適でした。

 植田正治氏の写真には、配布パンフレットの「少女四態」で既に魅了されていました。
 作り過ぎって感じもあるけれど、アンは絵画に近い表現技法を持つ写真作家が好きですから、それも気になりません。
  美術館では、数百点にものぼる展示パネルを、映画を見るように途切れなく早足で舐めるように見ていきました。
 こういう見方が写真の場合出来るんですよね。
 丹念に描き込まれた油絵などはそれが出来ない。
 油絵も写真も同じようにタブローの中に「世界」が封じ込まれているんだけど、写真に封じ込まれている世界の素材は、現実からは決してこぼれ出ないんですね。
 写真は不思議ですね。
 単に世界を切り取り記録にとどめただけの筈のものが、違う世界を語り出す。
 でもそれは極端に空想的なものじゃなく、ちゃんと何処かで現実と繋がっている。
 
 帰りに館内の記念ショップで、植田正治と俳人・黒田杏子の合作である(「おくのほそ道」をゆく)を購入しました。
 この本は「可愛い」。
 小林一茶の心の軌跡を慕う大人達のありようが可愛いと思います。


 中国道を西から大阪に向かって帰ると、必ず宝塚トンネル辺りを起点にした長い渋滞に引っかかってしまいます。
 どのみちノロノロ運転で夜遅く帰るなら、その時間を立ち寄り湯の温泉で過ごしてしまえと、山崎ICで下車して一宮温泉に向う事にしました。

 当たり前だけれど、地図の上で見ると数ミリの距離しかなくても、一般道を実際に走って見ると、実に長い距離に感じます。
 高速道路を長い間使うと、その判断がプランニングの際に狂ってしまうんですね。
 さらに一宮温泉は、どうやら川沿いを走りぬけた山の懐にあるよう模様。
 「どうやら」というのは、周囲が真っ暗で、周りを視認できない状態の中で走行を続けているからです。
 対向車もなく、殆どハイビームで峠道を走らせ続ける。
 けれど実際は、完全な山奥と言うほどでもないらしく、時より民家がのっそりとヘッドライトの中に浮かび上がるんです。
 アンはこんな雰囲気のドライブが嫌いじゃないです。
 自分が書いている小説まがいの物語の中には、このような場面設定が何度も登場するぐらいです。
 でも、丸二日も車を飛ばし続けているスケジュールの最終日、この夜間の地道ドライブは、ちょっときついものがありあました。

 遠くに温泉の灯りと、闇の中にうっすらと透かし見える湯煙が見えた時には、正直言ってほっとしました。
 駐車場に車を入れて、改めて時計を冷静に眺めたら、山崎ICからは四十分程度しか経過していない。
 更にドアを開けて、地面に足をおろし車外の空気を嗅いだ途端に、急に現実感覚が戻って来ました。
 夜気の中には人々が生み出す「夕べ」が詰まっている。
 つまり夜道が暗かっただけの事で、別段、魔界をくぐり抜けて来たわけじゃないんですネ。

 一宮の「塩」のお湯につかりながら、人間の想像力の不思議に改めて思いを巡らせていました。
 横山大観・北大路魯山人・河井寛次郎・植田正治・絵画・陶芸・写真・小説。
 そして自分の肌の柔らかさ。
 面白い、、この世は、本当に面白い。

 河井寛次郎 「此世は自分をさがしに 来たところ 此世は自分を 見に来たところ」


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

処理中です...