ゴックン、その口で食べるの? /Osaka発ドラァグドライブ、掛け違いの旅

Ann Noraaile

文字の大きさ
66 / 177
【 旅と温泉グルメ しゃぶれどもしゃぶれども(中部編) 】

22: 長野 木曽路 JR中央西線沿いを走る その2

しおりを挟む
 屋内にある湯船から見える露天風呂に、先程から雨が降り続いています。
 このホテルでは、雨だからと言って露天風呂に入れない訳ではないんです。
 というのは、粋な事に陣笠が備え付けてあるからです。

 おそらく雪が降っても露天に入れるようにという配慮なのでしょう。
 でも雨だと、誰もその陣笠を使おうとしません。
 どのみち濡れるのだから、雨も雪も代わりはないと思うんですが、、。

 これが野猿なんかだったら、どうだろうと思います。
 猿は、雪なら風流で、雨なら「うっとうしい」という事は、考えないでしょう。
 動物と人間の違いの代表は「火」と「言葉」だと言われていますが、アンはその中に、「衣服」を入れても良いと思います。
 衣服には、単純な防寒機能に止まらないで、羞恥・虚栄といった心理面を含む、外界からの感覚的な刺激の緩衝材といった生理的防御機能があると思えるのです。
 人は常態で「乾いて」いたいのです。
 「雨」はその欲求を裏切る。
 今も夜の雨の中、露天風呂からは、もうもうと湯気が上がり続けています。
 その湯煙の向こうに陰るのは、野猿達の幻でしょうか、、、。

 「まったり」という言葉があります。
 柔らかでいて、やや粘着質の傾向もありという所でしょうか、、、温泉の泉質にもそういったものがあります。
 南木曽の湯は、それですね。
 湯船の縁に溢れ出して、外へと流れていく湯の表面を見つめているだけでも、穏やかな気分になれるのです。
 これは本当に、滋味深い自然の贈り物だと思います。
 

 食べ物で、自然の贈り物と言えば、信州に来ると蕎麦になりますね。
 アンは関西の人間ですから、納豆が大嫌いでしたが、長じて納豆を食べる事が出来るようになりました。
 嗜好は変化する、、筈なのですが、、アンの場合、蕎麦だけは、なかなかに難しいのです。
 アレルギーという程でもないのですが、世間で評判が高いお店で蕎麦を食べても、それに相当する程の美味しさをあまり感じないんです。

 でも今度の旅の中で、これはという店を一軒発見しました。
 木曽福島にある「くるまや本店」さんです。
 アンは地鶏そばと。地酒の八笑を注文したのですけれど、これは本当に美味しかった。

 蕎麦通の方なら、どう評価されるのか知る由もありませんが、「くるまや本店」の蕎麦食感は、アンの今までの蕎麦感覚を覆して、腰のあるうどんに近いモノがありました。
 蕎麦の本当の値打ちは、蕎麦湯で判るって言われているらしいけれど、これも、又、絶品でしたね。

 そしてお酒のあてにとサービスして戴いた、蕎麦の揚げ菓子を摘みながら、八笑を飲み、素敵な気分で、木曽路に降り続く、夕暮れの雨の音を聞いていました。
 こういった風情も、自然の恵みの一つですよね。





しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...