獣人世界へ、ようこそ?

ふにゃー

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  氷河に万年雪を取りに行くと決めて3日。

  携帯用の食事を作るのと、納品用の回復薬を作り貯め、新しい方の魔法袋を空にして……

  色々としたけど、体調は大事なので無理はしてないよ。

  今回は森の奥にまで行くので、結界用の魔道具は多めに用意した。

  主に使うのは、滞在できる村を出てからだけど……

  往復と滞在日数だから、10個あれば良いかな?

  昨日、薬師ギルドから配達の封蝋までされた木箱を受け取って来て、魔法袋に。

  思ってたより大きく重いので、魔法袋を所持してないと出来ないけど、さては薬師ギルドも商業ギルドから耳にしたって事か!

  まあ、その分、報酬は上げて貰えてるから良いか。

  月光袋を取りに行く装備と見た目は一緒ではあるけど……

  魔法袋は予備が1つではなく、3つ増えた。

  薬師ギルドが万年雪をっていう依頼を、自分が行くので指名依頼で出し、魔法袋1つ貸与。

  更に、昨日、商業ギルドからの指名依頼まで来て、魔法袋2つ目。

  自分でも、万年雪を掘ると、ただの氷の塊が大量に出ると、リーナの記憶で分かってるので作ったの。

  それで元からのを合わせると……全部で5つ。

  通常、ただの氷の塊は放置なんだけど、氷魔法を使えるから不要なんだけど……

  時空間魔法の空間収納を手に入れるには、得意属性を使うのが理にかなってる様で……

  試すのに残す物を持って帰ろうかと。

  そんな事を考えてる時には、家に錠を掛けて、東門から出て来て歩いてるんだけど……

  赤点の少年、東門を出たからか追跡を一旦躊躇したけど……

  思い直せば良いのに、東門を出ようとして、門番に捕まったもよう。

  成人未満は身分証がないと、外には出れません。

  ただ、5歳から作れる冒険者ギルドタグがあれば、10歳前後の少年なら出れたのに。

  まあ、門番が教えてるでしょ。

  出れない理由と、出るには身分証が必要な事。

  けど、狙いっぽい魔法袋には基本、個人認証が掛かってるから、奪っても使えないのは知らないんだろうね。

  更に、自分の物には手から離れると戻るという血証が付いてるから、苦労して奪ったとしても無駄足。

  手を出した者に反撃するっていう機能も付けられるけど、悪い事だとは分かっていても魔法袋の機能を知らない無知な子供が、手を出して来る事の方が多いので付けてない。

  まあ、多少、バチッとは弾かれるけど。



  早朝に東門を出た自分が、両側森の道になるまでは早歩きで、両側森になったら採集をしながら、歩いてる時

  門番に捕まって東門横の詰所に連れて行かれた赤点の少年。

  「何で追い掛けてたかは知らねえが出れないぞ」にはショックを受けてた。

  けど、自身と同じ年齢で同じく薄汚い服の者が出て行くので……

  「何でアイツらは!?」と文句を口にした。

  「アイツらは、首に掛かった冒険者ギルドのタグを見せてるだろ」

  「え!?登録するのに金掛かるんじゃないのか!?」

  素っ頓狂な驚きの声をあげていた。

  「成人以降に登録するには金は掛かるが、成人前は5歳から可能だろ?」

  何を言ってんだとばかりの呆れた声音に、唖然とした少年。

  「お前、幾つだ?名前は?」

  「カ、カイル8歳」と名前を偽るという生きる本能があった。

  いや、だからこそ、冒険者ギルドの依頼を受け食い繋ぐ術を知らなかったのに生き残れて来たのだ。

  注意をするのに連れて来られただけだったので、解放後、直ぐに冒険者ギルドに走って行った自称カイル。

  だけど、興奮気味な顔の脳内が残念だったのは、致し方なかった。

  前世覚醒しリーナを乗っ取った自分も、当初、ヒャッハー!だったから。

  ただ、違うのは……

  成人し薬師だったリーナは婆ちゃんに師事ししごかれて、鑑定も出来たのと、リーナ自身が慎重派だった。

  その上、前世の個人情報皆無だけど、大人だったのだろう知識の量と対応力などが上書きしてた。

  但し、平和な世界で生きてたので、危機感が薄いのが玉に瑕。

  カイルの今世の状況とまだ8歳という若年に、前世覚醒があったと思われる思い込みでの言動が、今後どう作用するかだけど……

  自分は知らないし無関係だから!

  他人に迷惑を掛けず、努力し、驕らずに生きて行って欲しいとは思うけど。



  馬車で2刻というバレジ村に着いたのが夕刻なのは、採集しながら来たから……

  早朝に、市場に野菜を売りに来てる者の村は、川を渡る前に右折れする道に進めばあるんだけど……

  川といっても、魚を釣りに行ってる川じゃなく、その川に注ぎ込む支流だよ。

  開墾して出来た畑にはどうしても際限があって、大概、長男が跡を取るのはどんな世界でも一緒。

  となると、町に出て仕事を見付けるか、新しい開墾地に向かうって事になる。

  とりあえず、あの元気なおばさん達の村は上手く回ってるって訳で……

  薬師ギルドに頼まれた荷物を届ける村2つは新しい村って事。

  荷物を渡す相手が村長という事もあって、木塀と同じ背丈の革鎧を着けた門番に、薬師ギルドの依頼書を見せたら、案内してくれた。

  村に宿はないので、村長の家の離れが常々村を訪れる者の宿だそうで。

  だけど、他の家よりも、やたら立派で煉瓦が使われてるのは、何かあった時に他の人も入れて立て篭もる為だよね?

  そう、良い方に考えようと思ってるのに、悪い方に悪い方に思考が向かう上、ヒゲがぴくぴくしちゃってる。

  まだ日がある内に、村長に会って、依頼書にサインを貰って、木箱を渡した。

  のだけど、封蝋がされてるので、中身は知りません。

  ただ、壊れてると文句を言われない様に、目の前で魔法袋から取り出した。

  でも、小汚い色の袋が魔法袋と分かって、目の色を変えた。

  あ、これ、悪手の欲どしい村長ってパターンだって察した。

  ので、欲しがられない用に敢えて、真横に置けば……

  隙を見て手に取ろうとしたのであろう、後ろに居た者が、音を立てて転がった。

  バシッて、痛そうな音もしてた。

  「大丈夫ですか?」と上辺だけ心配そうに声を掛けたけど……

  「あ、もしかして気になって触ろうとしました?コレ、血証が付いてる魔法袋だから、当人以外は使えないんですよ。悪意があると、弾かれるだけじゃなく火傷を負うような代物なんです」

  さすがに、使用者変更するには双方の血とギルドにおいて立会人と羊皮紙による魔法契約が必要とまでは伝える気はない。

  更に、変更には金貨5枚という高額な費用も要るんだけどね。

  でも、魔法袋の売買代金が白金貨となれば安いか。

  一応、にこにこ笑顔で対応したけど、魔法袋という代物と高価だと言う事は知っていても、付加されてる機能までは知らないんだねえ。

  ちなみに、前世覚醒した際の魔法袋には、反撃する血証までは付けてなかったけど、使用者登録だけはしてたみたい。

  機能変更は作成者であれば、追加は出来るのであれば可能。

  だけど、大概、作成時に最大の付加魔法を掛けてるので不可能なんだけど、前世覚醒したからか、血証が付けられたので付けたんだ。

  商業ギルドに卸してる魔法袋に関しては、血証を付けると契約変更が必要となり作成者がバレるので付けてない。

  それに売買の際に、魔力登録するので、作成し稼動確認後に魔法陣から作成者の魔力を抜くんだよ。

  だけど、血証付与すると、魔力抜けないの。

  後日、作成者以外が血証を付ける事は出来るけど、方法は色々らしい。

  血証付与の革タグを縫い付けるとか、上書き?するとか……


  作成者とは思われない様に多くは語らず、にこにこ笑顔で通した。

  離れだという小屋には泊まらせて貰うけど、次の村に行くので早朝に発つので、食事は夕食も要らないと予め、言っておいた。

  料理や飲み物に盛られるって、危機感薄めの自分でも分かるよ!

  ただ、考えられた事だけど、案の定、扉に鍵というものがなかった。

  田舎の家では鍵は有ってない状態だって、頭に浮かんだけど……

  いや、それってアッチの話じゃないかな?

  この世界ではしっかり鍵掛けてる。

  あ、でも鍵や錠前のレベルが、ちょっと弄ったら開くからなあ。

  それだから、魔力登録の魔法錠って訳か。

  今はしょうがないから、物理的に閉めようと思い……

  魔法袋に入ってた巨大な岩塩の塊を扉前にドスンと置いておいた。

  外開きの扉じゃなく、内開きの扉だったから出来る事だったけど。

  ここまでするのは、切っていない常時発動パッシブの索敵が……

  青だったのが、赤と黄に変わって行くので、警戒を解くつもりはない。

  リーナとしての記憶では、エスペラント王国から魔法大国に入るまで、1ヶ月近く緊張状態だったと思われるので、予期した範囲内の反応。














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