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第三章 水門都市編
幕間「邪神教」
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月明かりがガラス越しに差し込む廃墟の中央、向かい合わせで連なる者たちがいた。
彼らは祭服を纏い、胸には無数の眼が描かれている。眼の数は叡智、力量、素質を表しており、十二使徒は与えられた能力を行使し、目的を遂行する。
最奥の瓦礫に座す仮面の人物が問いかける。
「ダイダリオス。地底都市での一件、どうなった?」
列の手前、片顔を覆う眼帯を身につけた灰髪の男がそれに答える。
「マルクトは討たれた。邪神の顕現には成功したようだが、不完全な状態での顕現だったこともありその場に居合わせた冒険者たちの手で鎮圧されてしまったみたいだ」
眼帯の男の報告を聞き、仮面の人物は顎に手を当て聞き返す。
「そうか、悲願には未だ届かずか…。ところで邪神を討ったと言っていたが、何者だ?」
「王国のS級冒険者とC級の冒険者だ。S級の方は何らかの手段で〝邪神の遺物(魔装十二振)〟を使用していた。おそらくその力で邪神を討ったのだろう」
その場に居合わせたかのような文言で質問に答える。
「それで、その魔装はどうした?」
列の中央、萌葱色の髪の女が口を割って挟む。
背中には自身の身長をゆうに超える5本の大剣を背負っている。
「魔装はこちらで回収した。お前に預けてもいいが、槍の強力な呪力で俺以外が触れると致命傷になるぞ」
「自傷系統か…。不本意だが、今は貴様に預けておこう」
冷酷な目線を向け、大剣の女は不服そうな顔で引き下がる。
「地底都市の邪神復活は失敗に終わり、使徒であるマルクトも討たれた。魔装持ちに遭遇したとはいえ…どうやら敵も一筋縄ではいかないようだ。カフカ、フィオーネ古海の方はどうなっている?」
「その件だけどさぁ」
桃色の髪をした褐色の女が答える。
「不覚にもマルクトが殺られたわけだし。一人で水門都市を攻め落とすには不安要素が多いってわけ」
「で考えたのは、使徒数人で叩いた方が手っ取り早いし安心じゃない?作戦。あたしはどっちかと言うと戦闘向けの能力じゃないから、戦闘面を考慮してシモンも連れて行くわ」
カフカは、ニコニコしながら身振り手振りで提案をする。
「いいだろう。シモンもカフカに同行して水門都市に迎え」
前髪は顔を隠すほど伸び、表情はわからない。
シモンと呼ばれる男は喉が潰れたような掠れた声で承諾する。
「了解…」
仮面の人物は立ち上がり、全員に告げる。
「話は以上だ。残りの使徒たちも各々行動を開始せよ」
使徒たちは顔を俯け、了承の意を示す。月明かりは雲に遮られ、一帯は再び闇へと還る。
彼らは祭服を纏い、胸には無数の眼が描かれている。眼の数は叡智、力量、素質を表しており、十二使徒は与えられた能力を行使し、目的を遂行する。
最奥の瓦礫に座す仮面の人物が問いかける。
「ダイダリオス。地底都市での一件、どうなった?」
列の手前、片顔を覆う眼帯を身につけた灰髪の男がそれに答える。
「マルクトは討たれた。邪神の顕現には成功したようだが、不完全な状態での顕現だったこともありその場に居合わせた冒険者たちの手で鎮圧されてしまったみたいだ」
眼帯の男の報告を聞き、仮面の人物は顎に手を当て聞き返す。
「そうか、悲願には未だ届かずか…。ところで邪神を討ったと言っていたが、何者だ?」
「王国のS級冒険者とC級の冒険者だ。S級の方は何らかの手段で〝邪神の遺物(魔装十二振)〟を使用していた。おそらくその力で邪神を討ったのだろう」
その場に居合わせたかのような文言で質問に答える。
「それで、その魔装はどうした?」
列の中央、萌葱色の髪の女が口を割って挟む。
背中には自身の身長をゆうに超える5本の大剣を背負っている。
「魔装はこちらで回収した。お前に預けてもいいが、槍の強力な呪力で俺以外が触れると致命傷になるぞ」
「自傷系統か…。不本意だが、今は貴様に預けておこう」
冷酷な目線を向け、大剣の女は不服そうな顔で引き下がる。
「地底都市の邪神復活は失敗に終わり、使徒であるマルクトも討たれた。魔装持ちに遭遇したとはいえ…どうやら敵も一筋縄ではいかないようだ。カフカ、フィオーネ古海の方はどうなっている?」
「その件だけどさぁ」
桃色の髪をした褐色の女が答える。
「不覚にもマルクトが殺られたわけだし。一人で水門都市を攻め落とすには不安要素が多いってわけ」
「で考えたのは、使徒数人で叩いた方が手っ取り早いし安心じゃない?作戦。あたしはどっちかと言うと戦闘向けの能力じゃないから、戦闘面を考慮してシモンも連れて行くわ」
カフカは、ニコニコしながら身振り手振りで提案をする。
「いいだろう。シモンもカフカに同行して水門都市に迎え」
前髪は顔を隠すほど伸び、表情はわからない。
シモンと呼ばれる男は喉が潰れたような掠れた声で承諾する。
「了解…」
仮面の人物は立ち上がり、全員に告げる。
「話は以上だ。残りの使徒たちも各々行動を開始せよ」
使徒たちは顔を俯け、了承の意を示す。月明かりは雲に遮られ、一帯は再び闇へと還る。
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