家出少女は昔振られた幼馴染と瓜二つ

ナックルボーラー

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鈴音

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 ここは……何処だろう?
 暗い、真っ暗闇な空間。
 右を見ても、左を見ても、下を見ても、上を見ても、前を見ても、後を見ても、誰もいない。
 どうして私は、こんな所に……思い出せない。

 何も感じない。視覚も、嗅覚も、味覚も、聴覚も、触覚も、まるで魂だけの存在の様に私は、この真っ暗な世界を浮遊する……私は、何処に向かっているのかな……。

 この空間を漂ってどれくらい経っただろう、一時間? 二時間? いや……一日、一か月……違う。もしかしたら数秒も経ってないのかもしれない。時間の感覚もない。

 もしかして私は……死んだのかな……って、あれ? 私って、誰? 私の……名前は。

『——————ちゃん、—————ちゃん!』

 ん? 今まで聞こえなかったはずなのに、誰かの声が聞こえて来る。
 
『—————ねちゃん、ずねちゃん、鈴音ちゃん!』

 鮮明に聞こえてきた声に私が反応を示すと、真っ暗だった空間が突如、茜色の夕陽に包まれる空間にいた。
 
 ここは…………公園の砂場? 
 ってか、この公園って……そうだ。
 私が小さい頃によく友達と遊んでいた公園だ。
 
 …………あれ? 小さい頃? 何を言ってるんだ私は?
 小さい頃って、私は……鈴音はまだ小学1年生だよね?

 鈴音が前を向くと、鈴音を心配そうに見て来る子がいた。
 
『どうしたの鈴音ちゃん? ボーっとしてるけど、気分がわるいの?』

 この人は……そうだ、真矢ちゃんだ。同じクラスの。
 そうだ。鈴音は真矢ちゃんと一緒に砂でお城を作ってたんだ。
 学校帰りに鈴音が真矢ちゃんを誘って、世界一大きい砂のお城を作ろって言ったんだ。
 なのに鈴音の方が手を止めてて……。

「ごめん真矢ちゃん、鈴音は何でもないよ。よーし! 世界一大きい砂のお城の続きだ! ぬぉおおおお!」

 鈴音はがむしゃらに砂を集める。砂場の砂を全部集める勢いだけど、集まった砂の量は鈴音の腰ぐらい……全然世界一には遠いよ……。

 その後は真矢ちゃんと一緒に集めた砂でお山を作って、そこからお城の形を造る。
 けど、うまくはいかない。砂がサラサラと落ちて、お城なんて全然……。
 
 真矢ちゃんと一緒にお城造りを始めてどれくらい経ったかな?
 元々夕暮れだったから、もうそろそろ迎えが来るかも……と思ってたら、公園の入り口からこっちに手を振る2人が、

『おーい真矢!』

『あっ! お父さんだ! わーいお父さーん!』

 こっちに歩いて来た2人は真矢ちゃんのお父さんとお母さんだ。
 両親揃って真矢ちゃんを迎えに来たんだ。
 そんな両親の許に真矢ちゃんは遊ぶのを中断して笑顔で駆け寄って行った。
 そしてお父さんに抱き着いた真矢ちゃんを、お父さんは優しく撫でていた。

『真矢、帰りましょ』

『うん、お母さん!』

『聞いて驚けよ真矢。今日はお母さんが真矢の大好物のハンバーグを沢山作ってくれるみたいだぞ!』

『本当に!? わーい!』

 真矢ちゃんは本当に嬉しそうだ。
 そして真矢ちゃんの両手は左右からお父さん、お母さんに優しく握られている。
 真矢ちゃんは一瞬、お母さん側の手を放して、鈴音の方を振り返り。

『じゃあね鈴音ちゃん! また明日!』

 帰りの挨拶をした後、真矢ちゃんはお母さんの手を握った。
 そんな遠くに行く真矢ちゃん家の背中を見ていると……なんでかな、鈴音の胸がキュッとする。
 
 あんな優しいお父さんが居て……真矢ちゃんは、羨ましいな。
 
 鈴音の家には鈴音が生まれる前からお父さんはいない。お母さんしかいない。
 
『鈴音』

 真矢ちゃんを羨ましそうに見ていると、お母さんの声が聞こえた。
 聞こえた方を見ると、お母さんが優しく笑って鈴音の所に来ていた。

『ごめんね鈴音。ちょっとお仕事に時間が掛かっちゃった。帰りましょ』

 お母さんは鈴音の手を優しく握ってくれた。
 
 お母さんは優しくて、鈴音の事を大事に想ってくれる。
 だから鈴音もお母さんの事が大好きだよ。……だけど。

 鈴音の右手はお母さんが握ってくれるけど……左手は、誰も握ってはくれなかった。
 真矢ちゃんは両手を握ってくれている。なのに、なんで鈴音はお母さんだけなの?

「……ねえ、お母さん」

『ん? どうしたの、鈴音』

「…………なんで、お家にお父さんがいないの?」

 鈴音が言うとお母さんはいつも決まって悲しそうな顔をする。
 そして大人なのに今にも泣き出しそうなお母さんは、いつも鈴音に謝って来る。

『ごめんね鈴音……本当に、ごめんね。私が、お母さんが不甲斐ないばかりに、いつも貴方に寂しい思いをさせて……ごめんね』

 鈴音もごめん、お母さん。別にいいよ。
 確かに寂しいけど、鈴音にはお母さんが居てくれるもん。だから全然へっちゃらだよ。
 だけど、いつも思ってしまう……もし、鈴音にお父さんが居たら、居てくれたら、この空いた鈴音の左手を握ってくれるのかな……って。

『————————鈴音』

 そう思っていると、空いた鈴音の左手が暖かく包まれる。
 ……誰? 鈴音の手を握ってくれる人は……その人の顔を見ても、全然分からない。
 けど、なんで……なんでこの知らない人を見てると、鈴音の胸がポカポカ温かいの?
 なんで嬉しくて涙が出るの……? なんで……笑顔が止まらなくなるの?
 
 そうだ。この人は―――――鈴音の…………。

「お父さ――――――」

 鈴音…………違う。私がその人を認識した直後に夕暮れの公園に居たはずの私は、何処か知らない部屋がいた。
 私の手を握ってくれていたお母さんと、そしてお父さんは何処に行ったのかな?
 周りを見渡しても誰も……って、ここは病院? なんで私はここに?

 意味が分からず立っていた病院内を彷徨っていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

『そ、そんなに酷いんですか……? なあ、鈴音は助かるんですか!? 助からないんですか!? 教えてください!』

 この声は康太さんの声だ。
 私が声の聞こえた方に行って、扉のノブに手を掛けるけど、ドアノブは私の手をすり抜ける。
 ここで私は自身の体の異常に気付いた。
 体が透けていて、手として認識している部位も、まるで煙の様に朧気だった。なにこれ、私どうなっているの?

 掴むことの出来ないドアノブだけど、私の体は壁をすり抜ける事が出来た。
 だから声が聞こえた部屋に入ると、そこには康太さんとお母さんが医者と話していた。

「お母さん! 康太さん!」

 私が叫ぶけど、私の声に2人は反応してくれなかった。
 な……なんで? 無視しているの? 確かに私は自分でも立派な子だって思ってないけど、そこまで意地悪しなくてもいいじゃん! お母さん! 康太さん!
 もう一度叫ぶけど、やっぱり2人は私の声に反応してくれなかった。

『……確かに娘さんの容体は良くはありませんが、骨折や臓器の損傷は何とか治療は出来ました……ですが、深刻なのが、臓器損傷による多量出血です』

 多量出血ってどういう事? それに娘さんって……え?
 私以外にも2人には娘がいるの? そんでその娘さんが大量に血を流しているって……。

『多量出血……って。つまり鈴音は血を流し過ぎて危険だって事か?』

『そうです。人間の血液は約3割損失すると命に危険が及びます。恐らく、現時点で娘さんが血を流した量は2割を超えていて……そろそろ危険な状態に突入するかもしれません』

『ならこんな所で悠長にしている場合じゃなくて、急いで輸血の準備をするべきだろ!』

 ねえ……本当に何を言ってるの? 誰の事を言ってるの?
 康太さん、お母さん、お医者さんは誰も私の存在に気づいていない。どんなに声を掛けても届かず、触れようと手を伸ばしても体が擦り抜ける……どうして。
 そうこうしていると、お医者さんが涙ぐみながら深々とお母さんたちに頭を下げ。

『本当に、ご家族様になんてお詫びをすればいいのか……。一刻を争う状況だという事で現場から近いこの病院に運ばれましたが……この病院には娘さんに輸血できる程の数は、ないんです』

『ふざけるなよオイッ! そんな病院の過失で鈴音が死ぬってことか!?』

 鈴音…………って、え? 鈴音って私のことだよね?
 なに? もしかして皆は私の話をしているの? 
 え、私が死ぬってどういう……ッ!?

 なんでかな。私の直感が何かを勘付いた様に、私は感じた方角に進む。
 幾つかの壁をすり抜けた私が辿り着いた部屋で見た物に……私は驚愕した。

「………え? 嘘。なんで……私が寝ているの? だって、私は……」

 私が見つけたのは、酸素マスクを装着して布で体を覆われたて手術台らしき場所で寝ている私だった。
 なんで私がこんな所で寝ているの……? だって私はここに……うっ!?

 突如襲い来る違和感に私は全てを思い出した。

「そうだ……私は、あの男に道連れにされて階段から……って事は、今の私は幽霊、幽体離脱をしているってこと!?」

 今更だと思うけど、本当に私は気付かなかった。
 幽体離脱なんて非科学的だから実際に起こるなんて微塵も思っていなかった。
 だけど、私はやっと自身の状況を実感した。私は……死にかけてるんだ。
 つまり今の私は魂だけの存在で、だからお母さんたちには私の声が聞こえなかったんだ!

 私はお母さんたちが居た部屋、多分あそこは待合室なんだ。私はそこに戻った。
 
 私は今、瀕死の状態。そんで先ほどの話の内容から、私は階段から落ちた衝撃で血を沢山流して、血が足りてないんだ。そんで、病院に血のストックが無くて、輸血できない状況なんだ!

 私が待合室に戻った時、話は進んでいた。
 康太さんが自分の胸に手を当て。

『なあ、先生———————もし血が必要だって言うなら、俺の血を使ってはくれないか?』

 何を言ってるの康太さんは……? 自分の血を使えって。

『……お話を聞いていたと思いますが、同じ血液型でも相性という物があって』

 同じ血液型って……確か私の血液型はO型だから、もしかして康太さんの血液型は私と同じO型って事?
 
『勿論重々承知だ。だが、他の病院から間に合うかも分からない物を待って、その間に鈴音が死んだら俺は……永遠に自分を許す事は出来ない。なら、祈るなら俺の血が鈴音の相性が合う方に祈りたい』

 全然話の流れが読めないけど、もしかして、康太さんは病院内の輸血のストックが足りないから、代わりに自分の血を私に輸血するってこと? なんでそこまでして……。

『もし仮に相性が合っていたとします。ですが、大量に流した血を補うためには同等量の血を抜く必要がありるかもしれません。……命の危険があるかもしれません』

 なに……それ。命の危険があるって……。
 まさか、私に血を分ける為に康太さんが犠牲になるってこと! そんなの駄目だよ!

『その事に関しては大丈夫だ。覚悟はしている』

 覚悟しないで! お願い! 私の為に犠牲になる様な事を!
 
『待ってこーちゃん! こーちゃんの命の危険に晒すなんて、それは!』

 そうだよ! お母さん康太さんを止めて! 私は、そんな事を望んでない! 私の為に命を張らないで!

『安心しろ凛。先生は意地悪だから少し脅しているが、献血で人が亡くなったなんて聞いた事がないし、あくまで可能性があるってだけだ、そうだろ先生?』

 嘘! そんな事はない! 何が起こるのは分かるはずもない! 
 お願いだから……止めて、止めてよ……私の為にそこまで

『それにな、凛。頼む、やらせてくれ。俺はこれ以上、口先だけの父親にはなりたくないんだ』

 口先だけの父親って……どういうこと?

『俺はアイツに誓ったんだ。大切な物を守っていく、って。俺は凛、お前が大切だ。だが、それと同じぐらい鈴音の事を大切に想っている。なのに俺は、アイツを守る事が出来なかった、ダサい父親だ』

 確かに康太さんは私に言ってくれた。だけど、違う。違うよ。康太さんはダサい父親なんかじゃないよ。

「『そんなことは……』」

『そんなことだよ。どんなにカッコつけても、それを実行できない奴はただの口先だけの男だ。けど、守る事の出来なかった俺だが、アイツが助かる可能性がこれで僅かでも上がるんだったら俺は自分の命を賭けてもいい。だから頼む凛。俺を、鈴音を、信じてくれ』

 康太さん……お父さん。
 ありがとう。その気持ちを聞けて私は嬉しいよ。

 だけど――――――本当に止めて!

 本当に嬉しかった! 康太さんが父親になってくれるって言った時、ずっと空いていた穴が埋まる様な満たされた気持ちになった! 
 ずっと、ずっとお父さんが得られて、私を本当の娘の様に庇ってくれて、私は報われた! 幸せだった!
 だからお願い! お母さんには康太さんが必要なんだよ! 
 ずっとお母さんは後悔していた。自分が悪いんだって思ってずっと苦しい思いをして来た! そして、やっとお母さんは幸せになるチャンスが来たんだ! だから、私の為に命を張らないで!
 お母さんを幸せにしてよ! そうなるなら、私は死んだって良い! 
 
 お願い! お願いだから止めて―――――お父さんッ!

 必死で止めようと叫ぶが声は届かず、手を伸ばすも触れられず、近づこうとしても遠のいていく。
 そして私の意識は闇に吞まれるように…………途切れてしまった。

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