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日常編
3 匂うとは
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陽波はミラクルスティックを掲げ、変身完了した。半分ヤケクソでフリフリを着こなした二十七歳の魔法少女、ミラクル☆ルチカは今日も怪物と戦う!
「しつっこい!! ちょっとティグロ、話があります!」
「なんだよルチカァ~! 俺様は聞き分けがいいからな、ちゃーんとお前の話も聞いてやるぜ。何だよ?」
ティグロは禍々しい人型怪物の上からルチカを見下ろした。ルチカは大きく息を吸って、吐き出す。
「昨日来たばっかりなのに何でまた今日来るの! 何で? 暇なの?」
「俺様はやることやってるだけェ~。お前の都合は知らねぇよ」
「少しくらい手加減しなさいよ! こっちは一人なんですよ……」
ルチカは痛む腰を押さえた。デスクワーク&残業&魔法少女は肩や腰への負担がすごい。アニメで見る魔法少女たちが小中学生ばかりな理由をしみじみ理解していた。
心の底から真剣に訴えるルチカに対し、ティグロは心底どうでもいいという風に吐き捨てた。
「知・ら・ねぇー! お前が一人なのはァ、そこの兎がサボってるからじゃねーの?」
「アストはちゃんとやってますぅ~! ね、アスト!」
「もっ、もちろん!!」
黒い兎は頷いた。陽波も一緒になって頷いて、再びティグロに向き直る。彼はうんざりした様子で首を振った。
「ハッ。精々兎同士仲良くやってろ! デカブツ、適当にその辺破壊しろ!」
怪物は地団太を踏んで暴れ始めた。公園やら民家が破壊されていく。
「あああ、大変! やらなきゃ! 頑張れ私、ファイトだ私、明日も平日だけど頑張るしかないのよ!」
ルチカはミラクルスティックを手に駆け出した。そして怪物の顔面の辺りまで飛び上がる。
「いくわよっ、ミラクル~! パンチ!!」
顔を殴ったくらいではやはり大した手ごたえも無い。肩に乗っているティグロがつまらなそうにルチカを見ているのが腹立たしい。
「まじまじと見ないで!」
「無茶言うなよォ」
そもそもティグロを直接殴れば早いのでは。目標をティグロに変更する前に、怪物が大きく腕を振ったのでルチカは吹き飛ばされてしまう。
「ルチカ危ない!」
すぐさまアストがルチカの背中にバリアを張る。危うくビルに衝突しかけたルチカの体はバリアに受け止められて無傷だった。ルチカはビルの壁を蹴り、地面に着地する。
「ありがとうアスト、助かった」
「怪我はない? 痛いところは?」
小さな兎がふわふわ近付いて来て、ルチカの周りをぐるぐる見て回った。その大袈裟な気遣いっぷりがおかしくて、ルチカは笑みが零れる。
「大丈夫。それより、どうすればいいかな。足には近付けないし」
「首は?」
「なるほど。魔法少女としてはちょっと禁じ手っぽいけど、生物の弱点だし……この際、格好を気にしちゃいられないわね」
ルチカは再び地面を蹴って飛び上がった。どたどたと足踏みをする怪物の、首元に向かってミラクルスティックを突き出した。それらしい技名を付ければ魔法少女として許されるはず。
「とりゃーっ! ミラクル☆チョーク!!」
「うえッ!? 首ぃ?」
ティグロが目を丸くする。怪物はというと、人間でいう喉の辺りにスティックの刺突を食らい、よろけて悲鳴を上げた。
「マジかァ……」
ティグロの呆れた呟きが聞こえる。ルチカは華麗に着地するなりアストを呼んだ。
「いくわよアスト! 今のうち!」
「うん!」
アストはルチカの頭に乗った。ルチカはスティックを構えて叫ぶ。
「必殺~! スパークルクラッシュ!! くっ、やっぱり眩しっ!」
スティックから放たれた眩い光が怪物にぶつかる。怪物は天を仰ぎ、光と共に消滅した。例の如く、破壊された家屋などが元通りになっていく。
「終了! どうよティグロ! 私たちの勝ち!」
「あァー、つまんね。帰る」
「明日は来ないでよ!」
「そりゃ分かんねーな。んじゃな、兎どもー!」
ティグロは姿を消し、ルチカも変身を解いた。呆然とティグロがいた場所を見つめる。
「明日も来たらどうしよう……」
「来ないと良いね」
「うん。正直きつい」
アストもいるがやはり一人の戦いは辛い。陽波は長く息を吐いて、小型化したミラクルスティックを握りしめた。明日は金曜日だ。あと一日がとても長く感じられた。
「しつっこい!! ちょっとティグロ、話があります!」
「なんだよルチカァ~! 俺様は聞き分けがいいからな、ちゃーんとお前の話も聞いてやるぜ。何だよ?」
ティグロは禍々しい人型怪物の上からルチカを見下ろした。ルチカは大きく息を吸って、吐き出す。
「昨日来たばっかりなのに何でまた今日来るの! 何で? 暇なの?」
「俺様はやることやってるだけェ~。お前の都合は知らねぇよ」
「少しくらい手加減しなさいよ! こっちは一人なんですよ……」
ルチカは痛む腰を押さえた。デスクワーク&残業&魔法少女は肩や腰への負担がすごい。アニメで見る魔法少女たちが小中学生ばかりな理由をしみじみ理解していた。
心の底から真剣に訴えるルチカに対し、ティグロは心底どうでもいいという風に吐き捨てた。
「知・ら・ねぇー! お前が一人なのはァ、そこの兎がサボってるからじゃねーの?」
「アストはちゃんとやってますぅ~! ね、アスト!」
「もっ、もちろん!!」
黒い兎は頷いた。陽波も一緒になって頷いて、再びティグロに向き直る。彼はうんざりした様子で首を振った。
「ハッ。精々兎同士仲良くやってろ! デカブツ、適当にその辺破壊しろ!」
怪物は地団太を踏んで暴れ始めた。公園やら民家が破壊されていく。
「あああ、大変! やらなきゃ! 頑張れ私、ファイトだ私、明日も平日だけど頑張るしかないのよ!」
ルチカはミラクルスティックを手に駆け出した。そして怪物の顔面の辺りまで飛び上がる。
「いくわよっ、ミラクル~! パンチ!!」
顔を殴ったくらいではやはり大した手ごたえも無い。肩に乗っているティグロがつまらなそうにルチカを見ているのが腹立たしい。
「まじまじと見ないで!」
「無茶言うなよォ」
そもそもティグロを直接殴れば早いのでは。目標をティグロに変更する前に、怪物が大きく腕を振ったのでルチカは吹き飛ばされてしまう。
「ルチカ危ない!」
すぐさまアストがルチカの背中にバリアを張る。危うくビルに衝突しかけたルチカの体はバリアに受け止められて無傷だった。ルチカはビルの壁を蹴り、地面に着地する。
「ありがとうアスト、助かった」
「怪我はない? 痛いところは?」
小さな兎がふわふわ近付いて来て、ルチカの周りをぐるぐる見て回った。その大袈裟な気遣いっぷりがおかしくて、ルチカは笑みが零れる。
「大丈夫。それより、どうすればいいかな。足には近付けないし」
「首は?」
「なるほど。魔法少女としてはちょっと禁じ手っぽいけど、生物の弱点だし……この際、格好を気にしちゃいられないわね」
ルチカは再び地面を蹴って飛び上がった。どたどたと足踏みをする怪物の、首元に向かってミラクルスティックを突き出した。それらしい技名を付ければ魔法少女として許されるはず。
「とりゃーっ! ミラクル☆チョーク!!」
「うえッ!? 首ぃ?」
ティグロが目を丸くする。怪物はというと、人間でいう喉の辺りにスティックの刺突を食らい、よろけて悲鳴を上げた。
「マジかァ……」
ティグロの呆れた呟きが聞こえる。ルチカは華麗に着地するなりアストを呼んだ。
「いくわよアスト! 今のうち!」
「うん!」
アストはルチカの頭に乗った。ルチカはスティックを構えて叫ぶ。
「必殺~! スパークルクラッシュ!! くっ、やっぱり眩しっ!」
スティックから放たれた眩い光が怪物にぶつかる。怪物は天を仰ぎ、光と共に消滅した。例の如く、破壊された家屋などが元通りになっていく。
「終了! どうよティグロ! 私たちの勝ち!」
「あァー、つまんね。帰る」
「明日は来ないでよ!」
「そりゃ分かんねーな。んじゃな、兎どもー!」
ティグロは姿を消し、ルチカも変身を解いた。呆然とティグロがいた場所を見つめる。
「明日も来たらどうしよう……」
「来ないと良いね」
「うん。正直きつい」
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