アラサー魔法少女ミラクル☆ルチカ!!~マスコットキャラの愛が重くて面倒臭いと思っているけど本人には内緒だよ~

空木切

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日常編

15 すごく良い人

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 夕飯の野菜炒めの残りを突っ込んでチャーハンを作った。陽波は自分の分と、アストの分を少量よそってテーブルに並べる。

「出来上がり~」
「わ。野菜炒めがそのまま入ってる。すごい力技だ」
「食べられればいいんだって」

 揃って昼食を取る休日。特に予定もなく、当て所なく過ごす時間も陽波は好きだった。
 アストはチャーハンを食べて、笑みを浮かべた。

「思ったより美味しい」
「でしょー? 普通に作ったチャーハンじゃ出せない味っていうかー」
「ところで、陽波の上司ってどういう人?」

 話題の急カーブっぷりに陽波は食事の手を止めた。危うくスプーンを落としかけた。

「何で今それを聞く? さては織部に吹き込まれたな?」
「なんか、時間が経つごとに気になっちゃって」

 陽波はどう言うべきか悩んだ。結局は誤魔化すことに決める。

「別に、アストが気にすることじゃないよ。それよりチャーハンをもっと食べたまえ」
「気になるよ。その上司の人、陽波のことが好きなんでしょ?」
「織部……あいつ、一回痛い目に遭った方がいい気がする……」

 次会ったら覚えてろよ。陽波はどこぞのチンピラのような台詞を心で叫んだ。そして深呼吸をして、冷静になってから言う。

「全部織部の勘違いだから、マジで忘れてくれていいです」
「すごく良い人だって言ってた」
「ん、まあ、本当に良い人だよ。私には勿体ないというか、レベルが違いすぎる。天と地の差だし、月とすっぽんの差だし、あたたか~いとつめた~いの差だよ」
「最後のは初めて聞いたな」

 アストは首を傾げる。陽波はチャーハンを口に運ぶ作業に戻った。しかしアストはしつこく話を続けた。

「陽波はどうなの? その人のことは好きなの?」
「ねえ、この話題やめない? 家に帰ってきてまで織部と同じ会話したくない」
「だって……中途半端に聞くと気になるよ」
「一応言っとくけど、付き合うとかはないから。アストは安心してくれていい。私は最近、一人での人生プランを組み始めてるの。結婚とか彼氏とかは “あわよくば”というくらいの希望でしかない」

 陽波はチャーハンを食べ終え、アストの使った食器と共に片付けた。

「でも、陽波は」
「アスト。それ以上聞くなら、私の質問にも答えてからにしてください」

 陽波はアストの正面に座った。アストは身構えている。

「何? 何でもいいよ」
「アストはどういう子が好みなの?」
「え。そ、れは……」
「初恋はいつ?」
「ええと……」
「デートするならどんなところに行きたい? 何したい?」

 アストは黙ってしまった。陽波の勝利である。アストは不慣れなのか何なのか、恋愛系の話題にとにかく弱い。陽波も似たようなものだが。
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