アラサー魔法少女ミラクル☆ルチカ!!~マスコットキャラの愛が重くて面倒臭いと思っているけど本人には内緒だよ~

空木切

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日常編

16 何しに来てんだよ

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 ルチカはスティックを掲げてティグロを睨んだ。

「ここで会ったが百年目! 今日こそ決着をつけてあげる!」
「おー。頑張れー」
「少しくらいは乗ってきなさいよ!」

 ルチカは地を蹴ると、一気に怪物の頭部まで上がった。スティックを上から叩きつける。が、腕で防がれてしまう。

「うあっ、防いだ! ずるい!」
「ずるくはねーだろ。おら、やっちまえ!」

 怪物は腕を振る。ルチカは吹き飛ばされ、危うくビルにぶつかりかけるも慌てて体勢を変えて事なきを得た。いつもであればアストがサポートしてくれるところだが、アストは少しぼんやりしているようだ。

「アスト、大丈夫?」
「え、あ、ごめん」
「調子悪そうだね。帰ったら温かい物飲んで早めに寝よっか」
「うん、ありがとう」

 こうなったら早めに終わらせるのが一番だ。ルチカはスティックを握り直し、気合を入れた。するとティグロが不機嫌オーラを露わに怒鳴る。

「あ~! イライラすんなァ! お前何しに来てんだよクソ兎!」
「く、クソとか言わないでよ……!」
「そうだそうだー! 言葉遣いが汚いぞー!」

 ルチカも応戦した。ティグロは更に機嫌を悪くする。

「おいルチカ、テメーも少しは怒るくらいしろ! 甘やかすな!」
「私が怒られている? 何故?」
「ったく、弱っちいなら弱っちいなりに働け! 本気でイラつく……」

 ティグロは相当頭に来ているようだ。ルチカは宥めに入った。

「まあまあ。ティグロ、そんなに怒らないでよ。人は誰しも体調が悪い時くらいある! そうやって無理矢理働かせるから社会が悪くなる一方なのよ」
「お前は何の話をしてんだ……。あァ、さっさと来いよルチカ、あのクソ兎も働かせろ!」
「だから、もっと綺麗な言葉遣いをしなさい! 労基に訴えられるわよ!」

 ルチカは怪物に飛びかかった。蹴りを繰り出し、スティックで殴り、更に踵落としも食らわせた。びくともしない。

「どうしたルチカ、力不足かァ?」
「くっ! やっぱりお菓子を食べ過ぎたか。深夜のポテチは危険ね」

 若干、体の重さを感じていた。歳を取ると痩せにくい、という織部の言葉が嫌なくらいに響いている。

 ティグロの怒りに合わせてか、怪物もいつも以上に暴れている。ルチカも怯んでしまうくらいに迫力があった。

「あああ、建物が無くなる!」
「早くしねえと更地になるぜ。そこのクソ……っと、役立たずのグズ兎も使え!」
「言い直してくれたんだろうけど余計に酷くなってるわよ」
「毎回毎回隠れて守ってもらってばっかでよォ、恥ずかしくねーのか? あ?」
「あんたの相手はこっち!」

 ルチカは諦めず立ち向かい続けると、やがて怪物は動きを止めた。

「ね、粘り勝ち!? よっしゃ! アスト今のうちに……。……アスト!?」
「はっ。う、うん!」

 アストを頭に乗せ、ルチカはスパークルクラッシュで怪物を一掃した。危うく更地になりかけた街も元に戻って行く。

「危なかった……。取引先全部無くなるかと思った」
「お疲れルチカ」
「うん。アストは大丈夫?」
「俺は……」
「オイ。テメーやる気ねえなら帰れよ」

 いつの間にやらティグロが近くにいた。いつも上空でルチカたちを見下ろしているというのに、今は珍しく地面に足を着いていた。

「ちょっとティグロ、あんた今日どうしたわけ?」
「お前に用はない」

 ティグロはルチカを睨んだ。その殺意に似た視線に、ルチカは黙ってしまう。彼はそのままアストを見た。

「何もしねーならいなくても変わんねーだろ。なあ?」
「お、俺だって、色々考えてるんだ」
「さっさと故郷に帰って代わりの奴連れて来いよ。テメーの相手すんのもうんざりだ」

 ティグロは吐き捨てるように言うと姿を消した。後には小さな兎のアストが震えている。

 ルチカはすぐに変身を解くと、アストの顔を見つめた。つぶらな瞳が心なしかしょんぼりして見える。

「アスト、大丈夫? ティグロはお腹空いてたんだよきっと」
「ごめん……」
「どこか痛いところとかある?」

 アストは首を振った。人間体にならないところを見ると、やはり調子が悪いのだろう。陽波はアストを抱えてすぐに家に帰った。
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