4 / 102
様々なスキル
しおりを挟む
「はぁっ!」
薄暗い洞窟の中、アルレアの剣が大ネズミを的確に斬り倒した。
大ネズミはその名の通り、その辺にいるネズミが魔力によって、人間の背丈ほどまで巨大化したモンスターだ。
どこの地域でも見られる、いわゆる雑魚モンスターである。
アルレアの剣の腕は確かなものだった。握られた剣は迷いなく振られ、敵をしっかりと斬る。
これなら、私の助けはいらないかもしれない。
それにしても、と私はアルレアの少し後ろを歩きながら思う。
私の被っている赤フードは、正体隠しのため、相手の認識を歪ませる効果が付与されている。
実はローブ自体は、私の家の教育係から教えてもらった裁縫知識を駆使して自分で作ったものであり、その過程で私のスキルの一つ、『高度魔法物生成』を適応させたものだ。
つまり、お手製である。
元々、私は小柄で細身だ。戦闘を行えるのは数々のスキルのおかげであって、日頃から訓練をしているわけではない。
というよりも、体を鍛えたりすれば、貴族の令嬢としてふさわしくないと堅物の父上に怒られてしまいそうである。
常におしとやかにしていろ、というのが父上の考え方であり、私はそれに納得していないが、あの家にいる以上、強く反発はできなかった。
ともかく赤フードを被っていると、相手は私のことを正しく認識できなくなるはずなのだ。
それぞれの理想の姿に、勝手に変換されるはずなのだが、さっきのアルレアの言動を見るに、どうもきちんと作用していないようだ。
元々知っている相手に地声で話せば、さすがに効果が薄まるのかもしれないが……よく考えれば、その前から「小柄」だと見抜いていた。
「どうかしたのかい?」
アルレアが振り返る。
私たちの間には、使い捨ての対象追尾型魔法照明が浮かんでいて、薄暗いものの、ある程度の範囲は視認できた。
ちなみにこの照明は一定時間、指定した対象ーーたとえば私を自動で追ってきてくれる優れものだ。ダンジョン探索には必須といっていい。
「いや、別になんでも」
私はそう短く返して、周囲の暗闇から突然飛びかかってきた大ネズミをたやすく斬り捨てる。
『敵意把握』、『俊敏性向上Ⅹ』、『筋力向上Ⅹ』などのパッシブスキルは、常に発動していて、そのおかげで見えない敵の位置を把握し、細い腕でも一撃でモンスターを葬ることができる。
筋力などの向上系スキルは通常、Ⅰ~Ⅴまでしか習得できないが、『向上スキル限界突破』も合わせ持っているため、通常の冒険者とは比較にならない能力アップが行われていた。
おしとやかな令嬢でいることを期待されているのに、こんなにスキルを所持していることがバレたら問題だな……といつもながら、私は思うのだった。
薄暗い洞窟の中、アルレアの剣が大ネズミを的確に斬り倒した。
大ネズミはその名の通り、その辺にいるネズミが魔力によって、人間の背丈ほどまで巨大化したモンスターだ。
どこの地域でも見られる、いわゆる雑魚モンスターである。
アルレアの剣の腕は確かなものだった。握られた剣は迷いなく振られ、敵をしっかりと斬る。
これなら、私の助けはいらないかもしれない。
それにしても、と私はアルレアの少し後ろを歩きながら思う。
私の被っている赤フードは、正体隠しのため、相手の認識を歪ませる効果が付与されている。
実はローブ自体は、私の家の教育係から教えてもらった裁縫知識を駆使して自分で作ったものであり、その過程で私のスキルの一つ、『高度魔法物生成』を適応させたものだ。
つまり、お手製である。
元々、私は小柄で細身だ。戦闘を行えるのは数々のスキルのおかげであって、日頃から訓練をしているわけではない。
というよりも、体を鍛えたりすれば、貴族の令嬢としてふさわしくないと堅物の父上に怒られてしまいそうである。
常におしとやかにしていろ、というのが父上の考え方であり、私はそれに納得していないが、あの家にいる以上、強く反発はできなかった。
ともかく赤フードを被っていると、相手は私のことを正しく認識できなくなるはずなのだ。
それぞれの理想の姿に、勝手に変換されるはずなのだが、さっきのアルレアの言動を見るに、どうもきちんと作用していないようだ。
元々知っている相手に地声で話せば、さすがに効果が薄まるのかもしれないが……よく考えれば、その前から「小柄」だと見抜いていた。
「どうかしたのかい?」
アルレアが振り返る。
私たちの間には、使い捨ての対象追尾型魔法照明が浮かんでいて、薄暗いものの、ある程度の範囲は視認できた。
ちなみにこの照明は一定時間、指定した対象ーーたとえば私を自動で追ってきてくれる優れものだ。ダンジョン探索には必須といっていい。
「いや、別になんでも」
私はそう短く返して、周囲の暗闇から突然飛びかかってきた大ネズミをたやすく斬り捨てる。
『敵意把握』、『俊敏性向上Ⅹ』、『筋力向上Ⅹ』などのパッシブスキルは、常に発動していて、そのおかげで見えない敵の位置を把握し、細い腕でも一撃でモンスターを葬ることができる。
筋力などの向上系スキルは通常、Ⅰ~Ⅴまでしか習得できないが、『向上スキル限界突破』も合わせ持っているため、通常の冒険者とは比較にならない能力アップが行われていた。
おしとやかな令嬢でいることを期待されているのに、こんなにスキルを所持していることがバレたら問題だな……といつもながら、私は思うのだった。
22
あなたにおすすめの小説
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で
重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。
魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。
案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
ありふれた聖女のざまぁ
雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。
異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが…
「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」
「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」
※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
拾った子犬がケルベロスでした~実は古代魔法の使い手だった少年、本気出すとコワい(?)愛犬と楽しく暮らします~
荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
旧題: ケルベロスを拾った少年、パーティ追放されたけど実は絶滅した古代魔法の使い手だったので、愛犬と共に成り上がります。
=========================
<<<<第4回次世代ファンタジーカップ参加中>>>>
参加時325位 → 現在5位!
応援よろしくお願いします!(´▽`)
=========================
S級パーティに所属していたソータは、ある日依頼最中に仲間に崖から突き落とされる。
ソータは基礎的な魔法しか使えないことを理由に、仲間に裏切られたのだった。
崖から落とされたソータが死を覚悟したとき、ソータは地獄を追放されたというケルベロスに偶然命を助けられる。
そして、どう見ても可愛らしい子犬しか見えない自称ケルベロスは、ソータの従魔になりたいと言い出すだけでなく、ソータが使っている魔法が古代魔であることに気づく。
今まで自分が規格外の古代魔法でパーティを守っていたことを知ったソータは、古代魔法を扱って冒険者として成長していく。
そして、ソータを崖から突き落とした本当の理由も徐々に判明していくのだった。
それと同時に、ソータを追放したパーティは、本当の力が明るみになっていってしまう。
ソータの支援魔法に頼り切っていたパーティは、C級ダンジョンにも苦戦するのだった……。
他サイトでも掲載しています。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる