おしとやかな令嬢だと思われていますが、実は王国内で私だけ無限にスキルを取得できるので、裏では最強冒険者として暗躍しています。

月海水

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様々なスキル

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「はぁっ!」

 薄暗い洞窟の中、アルレアの剣が大ネズミを的確に斬り倒した。

 大ネズミはその名の通り、その辺にいるネズミが魔力によって、人間の背丈ほどまで巨大化したモンスターだ。

 どこの地域でも見られる、いわゆる雑魚モンスターである。

 アルレアの剣の腕は確かなものだった。握られた剣は迷いなく振られ、敵をしっかりと斬る。

 これなら、私の助けはいらないかもしれない。

 それにしても、と私はアルレアの少し後ろを歩きながら思う。

 私の被っている赤フードは、正体隠しのため、相手の認識を歪ませる効果が付与されている。

 実はローブ自体は、私の家の教育係から教えてもらった裁縫知識を駆使して自分で作ったものであり、その過程で私のスキルの一つ、『高度魔法物生成』を適応させたものだ。

 つまり、お手製である。

 元々、私は小柄で細身だ。戦闘を行えるのは数々のスキルのおかげであって、日頃から訓練をしているわけではない。

 というよりも、体を鍛えたりすれば、貴族の令嬢としてふさわしくないと堅物の父上に怒られてしまいそうである。

 常におしとやかにしていろ、というのが父上の考え方であり、私はそれに納得していないが、あの家にいる以上、強く反発はできなかった。

 ともかく赤フードを被っていると、相手は私のことを正しく認識できなくなるはずなのだ。

 それぞれの理想の姿に、勝手に変換されるはずなのだが、さっきのアルレアの言動を見るに、どうもきちんと作用していないようだ。

 元々知っている相手に地声で話せば、さすがに効果が薄まるのかもしれないが……よく考えれば、その前から「小柄」だと見抜いていた。

「どうかしたのかい?」

 アルレアが振り返る。

 私たちの間には、使い捨ての対象追尾型魔法照明が浮かんでいて、薄暗いものの、ある程度の範囲は視認できた。

 ちなみにこの照明は一定時間、指定した対象ーーたとえば私を自動で追ってきてくれる優れものだ。ダンジョン探索には必須といっていい。

「いや、別になんでも」

 私はそう短く返して、周囲の暗闇から突然飛びかかってきた大ネズミをたやすく斬り捨てる。

『敵意把握』、『俊敏性向上Ⅹ』、『筋力向上Ⅹ』などのパッシブスキルは、常に発動していて、そのおかげで見えない敵の位置を把握し、細い腕でも一撃でモンスターを葬ることができる。

 筋力などの向上系スキルは通常、Ⅰ~Ⅴまでしか習得できないが、『向上スキル限界突破』も合わせ持っているため、通常の冒険者とは比較にならない能力アップが行われていた。

 おしとやかな令嬢でいることを期待されているのに、こんなにスキルを所持していることがバレたら問題だな……といつもながら、私は思うのだった。
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