62 / 102
次の標的
しおりを挟む
「キリナ、気を付けた方がいいですわよ」
家の用事でアルメダの家を訪れた時。
アルメダは妙に深刻そうな顔をして言った。
「何に気を付けるの?」
「……ベルドロール家の動きが怪しいんですの」
私はその名前に目を細める。
「動きが怪しいって、どんな風に?」
「私が懇意にしている商人たちの話では、やたらと忙しそうに何かの準備をしているとか。正体不明の黒装束の男たちを使っているという噂もありますわ」
「黒装束……」
やはりこの前の事件の裏側には、ベルドロール家がいたのだろうか。
しかし、魔法戦力を蓄えて、何をしようとしているのだろうか。まさか王国に反旗を翻すわけではないだろう。
いくら魔法が希少で強力な存在であっても、王国と一貴族の戦いで勝てるはずがない。
戦いを挑むとしたら、もう少し勝てそうな存在が相手のはずだ。自分達にとって邪魔になるような……。
「……あ」
嫌な予感がした。
ベルドロール家が、一番倒したいだろう相手は身近も身近。
私の家、エルバルク家だからだ。
「気づきましたわね。ベルドロール家が何か仕掛けようとするということは、十中八九、狙いはあなたの家ですわよ」
「そういうことか……うん、ありがとう。アルメダ。十分注意するよ」
「それはそうと、最近、赤フードさんに会えていないのですが、どちらに行ったら会えるか知りません?」
いきなり話題が切り替わる。
「わ、私は直接会ったことないし、知らないかな……」
「ですわよねぇ。もし、どこかで情報を掴んだら教えてくださいね。今の情報と引き換えということで」
アルメダが教えてくれた情報はかなり貴重だ。
あとで赤フード姿をちらりとでも見せに来るべきか……と悩みながら、私はエルバルク家の屋敷へと帰った。
今日はもうやるべきことはない。
いつもなら、冒険者稼業に出かけるのだがーー私も少しは休みたい。
ついでに前々から試してみたいことがあった。
赤フードなしでの、ギルドへの訪問だ。
お姉さんがどんな対応をしてくれるのか、とても興味があった。
たまにはこういうイタズラもいいだろう。
私はワクワクしながら、準備を始めるのだった。
家の用事でアルメダの家を訪れた時。
アルメダは妙に深刻そうな顔をして言った。
「何に気を付けるの?」
「……ベルドロール家の動きが怪しいんですの」
私はその名前に目を細める。
「動きが怪しいって、どんな風に?」
「私が懇意にしている商人たちの話では、やたらと忙しそうに何かの準備をしているとか。正体不明の黒装束の男たちを使っているという噂もありますわ」
「黒装束……」
やはりこの前の事件の裏側には、ベルドロール家がいたのだろうか。
しかし、魔法戦力を蓄えて、何をしようとしているのだろうか。まさか王国に反旗を翻すわけではないだろう。
いくら魔法が希少で強力な存在であっても、王国と一貴族の戦いで勝てるはずがない。
戦いを挑むとしたら、もう少し勝てそうな存在が相手のはずだ。自分達にとって邪魔になるような……。
「……あ」
嫌な予感がした。
ベルドロール家が、一番倒したいだろう相手は身近も身近。
私の家、エルバルク家だからだ。
「気づきましたわね。ベルドロール家が何か仕掛けようとするということは、十中八九、狙いはあなたの家ですわよ」
「そういうことか……うん、ありがとう。アルメダ。十分注意するよ」
「それはそうと、最近、赤フードさんに会えていないのですが、どちらに行ったら会えるか知りません?」
いきなり話題が切り替わる。
「わ、私は直接会ったことないし、知らないかな……」
「ですわよねぇ。もし、どこかで情報を掴んだら教えてくださいね。今の情報と引き換えということで」
アルメダが教えてくれた情報はかなり貴重だ。
あとで赤フード姿をちらりとでも見せに来るべきか……と悩みながら、私はエルバルク家の屋敷へと帰った。
今日はもうやるべきことはない。
いつもなら、冒険者稼業に出かけるのだがーー私も少しは休みたい。
ついでに前々から試してみたいことがあった。
赤フードなしでの、ギルドへの訪問だ。
お姉さんがどんな対応をしてくれるのか、とても興味があった。
たまにはこういうイタズラもいいだろう。
私はワクワクしながら、準備を始めるのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,558
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる