おしとやかな令嬢だと思われていますが、実は王国内で私だけ無限にスキルを取得できるので、裏では最強冒険者として暗躍しています。

月海水

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キリナさまはいい人

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 何も考えずに来てしまった……。

 と、思わず後悔し始めている私を椅子に座るよう促し、受付のお姉さんは真面目な表情で訊ねてくる。

「膨大な報酬金に見合う依頼……いったいどんなものなのかお聞かせ願えますか?」

「え、えっと、あー……」

 私は目を泳がせる。

 エルバルク家には、冒険者を必要とする騒動はほとんど起きない。

 なぜなら、騒動の予兆を見つけ次第、私が潰して回っているからだ。

 お父様は「昔はもっと荒事も多かったのだが……」と最近つぶやいているが、まさか娘が力で解決しているとは思わないだろう。

「そうね……うーん」

 私がなかなか話し出さないことを、深刻な問題を抱えているのだと捉えたお姉さんは、

「大丈夫です。うちのギルドにはたくさんの信頼できる冒険者たちがいます。きっと、エルバルク家の問題も解決できるはずです」

 と勇気づけるように言ってきた。

 ……だんだん、心苦しくなってきた。

 依頼はない。ただイタズラするためにやってきて、お姉さんに気を遣わせてしまっている……。

 これはちょっと思っていたのと違う。

 だから、私はせめてもの償いをすることにした。

 私は金貨の袋を机にドスッと置く。

 そして言った。

「さ、さっきは依頼って言いましたけど……実はこれ、冒険者ギルドに寄付しにきたんです。私の友人たちが、ほらその、赤フードの冒険者さんに助けられたというお話を聞きましたので」

「寄付!?」

「このお金は好きなように使ってください。冒険者ギルドの設備が強化されることで、城下町の皆さんの問題がさらに解決されることを願っています」

 私が罪悪感を覚えながらそう言うと。

 お姉さんは少しの間、下を向いてプルプルと震えてから、勢いよく顔をあげた。

「キリナさまっ! 本当に感謝いたします!! 労っていただき、とても嬉しいです!! 私たちのギルドはキリナさまへの恩を忘れずに、更なる発展を遂げてみせます!!」

 心の底から感謝されてしまった。

 これはこれであまり良くない……というか、こっちの姿で距離を詰めるのはマズいと思いつつも、感謝の言葉をむげにすることはできない。

「これからもよろしくお願いしますね」

 私が愛想笑いを浮かべると、お姉さんは完全に私を尊敬するような瞳で見つめ、

「はい、精進します!!!」
 
 と大きな声で叫んだのだった。
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