おしとやかな令嬢だと思われていますが、実は王国内で私だけ無限にスキルを取得できるので、裏では最強冒険者として暗躍しています。

月海水

文字の大きさ
94 / 102

バルゴ討伐戦

しおりを挟む
 魔獣バルゴは、裏切った自らの息子を少しの間見つめていた。

 まだ何か考える真っ当な意識が残っているのだろうか。

 しかし、私が地面からバルゴを見上げると、彼もさっきまでの狂暴性を取り戻し、

「ゴァァァァァッ!!!」

 巨大魔獣にふさわしい咆哮を放つ。

 これは推測だが、バルゴにとっても、ここまでの巨大化やモンスター化は予想外だったのではないかと思う。

 鉱石液の大量摂取がどういう結果を引き起こすのか。それを知っていたら、もっと量を調整するなり、手を打っていただろう。

 ここまで化け物と化してしまえば、ベルドロールの悲願も何もない気がした。

 私が不必要に追い詰めてしまったことも、原因の一端だったかもしれない。

 エルバルク家の私がベルドロールの屋敷を訪れた時点で、バルゴは手段を選ばず、悲願を果たす決意をしていたのだろう。

 そして今、彼は巨大なモンスターとなって、この国の中枢である王城を破壊しようとしている。

「バルゴ、私はあなたを倒す。そうしてあなたを怨念の呪縛から救うわ」

 腐っても、ベルドロール家はこの国の発展を担う大貴族だった。こんな状況など、本当は誰も望んでいないに違いない。

 だが、もう暴走を止められる当主はいない。

 だから、私が倒して止めるしかないのだ。

 遠くの空から、鳴き声が聞こえた。

 魔獣バルゴは王城よりも先に、私を排除するべきだと判断したのか、大きな爪を振り下ろす。

 しかし、それが到達する寸前で、私はその場を離れ空中へと舞い上がった。

 バルゴの爪は地面をえぐり、ものすごい砂埃が舞う。

「おかえり、ビッグ!」

「きゅるる!!」

 私を拾って背中に乗せ、上空へ飛び上がったのはビッグだった。

 タルクにやられたエルバルク家の護衛を治療施設に送ってから、合流しにきてくれたのだろう。

 正直、ビッグの存在は助かった。バルゴの巨体と戦うためには、空中を自由に移動できた方が有利だろう。

 しかし、いったいどこから攻撃すればいいものか。

 あまりの巨体に、私は悩んでしまう。

 普通の攻撃では、魔力によって強化されたバルゴにそこまで効かないような予感がある。

 もう少し何か足掛かりがあれば……。

 私がそう思った時だった。
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

悪役令嬢が処刑されたあとの世界で

重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。 魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。 案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

ありふれた聖女のざまぁ

雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。 異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが… 「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」 「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」 ※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

拾った子犬がケルベロスでした~実は古代魔法の使い手だった少年、本気出すとコワい(?)愛犬と楽しく暮らします~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
旧題: ケルベロスを拾った少年、パーティ追放されたけど実は絶滅した古代魔法の使い手だったので、愛犬と共に成り上がります。 ========================= <<<<第4回次世代ファンタジーカップ参加中>>>> 参加時325位 → 現在5位! 応援よろしくお願いします!(´▽`) =========================  S級パーティに所属していたソータは、ある日依頼最中に仲間に崖から突き落とされる。  ソータは基礎的な魔法しか使えないことを理由に、仲間に裏切られたのだった。  崖から落とされたソータが死を覚悟したとき、ソータは地獄を追放されたというケルベロスに偶然命を助けられる。  そして、どう見ても可愛らしい子犬しか見えない自称ケルベロスは、ソータの従魔になりたいと言い出すだけでなく、ソータが使っている魔法が古代魔であることに気づく。  今まで自分が規格外の古代魔法でパーティを守っていたことを知ったソータは、古代魔法を扱って冒険者として成長していく。  そして、ソータを崖から突き落とした本当の理由も徐々に判明していくのだった。  それと同時に、ソータを追放したパーティは、本当の力が明るみになっていってしまう。  ソータの支援魔法に頼り切っていたパーティは、C級ダンジョンにも苦戦するのだった……。  他サイトでも掲載しています。

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

処理中です...