74 / 124
第四章
姉妹
しおりを挟む
今日も熱気が収まらない帝都。小さな少年達が小さな木剣を持って、街並みを走り回る。街角に立った花売りの娘が、通りを歩く者達に声を掛ける。窓からは身を乗り出して、太陽の光を身に浴びる者もいれば、ただ街並みを見ている者もいる。
賑やかな中央通り――その通りにある一つの喫茶店の屋外席(テラス)で、一人の女性が待ちゆく人波を見ながら、片手間にカップを口に運ぶ。
「……遅かったな」
そう呟くが誰も彼女の周りにはいない。
しかし、そんな彼女を周りの人間は気にする様子もない。そもそも最初から可笑しかった。女性の格好は、黒いロングブーツに太ももまで露になるような丈の短いワンピースを着ており、この辺りでは珍しい黒い髪だ。
周りとは身に纏うものが違うというのに人の視線を集めることもない。まるで、そこには誰も居ないかのように周りの人間が女性に気付いていない。――いや、いた。唯一人。女性自身がここに呼び出した人物だ。
「急に連絡するそっちが悪いんじゃないの? これでも私、忙しいのよ?」
黒いローブ、黒いハイヒール、黒い瞳、黒いとんがり帽子、そして、腰まで伸びた黒い長髪。こんな特徴を持つ者はこれまで一人しかいなかった。帝国の皇帝と最も親しいとも言われている宮廷魔術師、ウルだ。
「全く、闘技大会開催中に手紙が来た時は驚いたわ。 東の方に住んでるんじゃなかったの? もしかして、また旅でも始めるつもり?」
「そんなんじゃねぇよ。 テメェに会いに来たに決まってんだろうが」
「あら、予想外」
わざとらしく目を丸くし、口に手を当てて驚いた表情を作る目の前の血の繋がった実の姉を見上げる。
「それでヴェルちゃん。 何をしに来たの?」
「ヴェルちゃんなんて呼ぶんじゃねえ。 名前で呼べ」
「え~~可愛くないから嫌」
昔から何度も繰り返されてきたやり取り。勝手に人の名前を省略してくる姉を睨みつける。唇を尖らせて抗議してくるが、その姿はヴェルーーと呼ばれた女性をただ苛つかせるだけだった。
「そもそも何で名前を変えてんだよ。 探すのに苦労したんだぞ」
「いいじゃない。 ちょこっと変えただけだし、そんなに難しかった?」
「似たような奴が何人もいたんだよっ」
カップを持つ手をワナワナと震わせながら、これまでの苦労を思い出す。ある村に辿り着けば、獣を追い払って欲しいと懇願されたり、今年は豊作にして欲しいと何故か祈られたり、街に辿り着けば、黒い悪魔を退治して欲しいと泣き疲れたりと色々あったのだ。
ちなみに最後の黒い悪魔は家ごと焼却した。家主はどうなったか?――知らない。暗示をかけて金を持たした後は見ていない。恐らくだが、今頃新しい我が家でも買っているのではないだろうか。
「ごめんねぇ。 ちょっと昔、呪術を掛けられて死にそうになってね。 人間社会って何かと恨みを買うのよねぇ」
「何言ってんだ。 呪い程度じゃ死なない癖に」
「正確には死を防いでるんだけどねぇ」
物騒な会話をしているのにウルの表情は笑顔だ。対して、ヴェルは無表情。猫舌なのか、どこからともなく運ばれてきたスープに息を吹きかけて口へと運んでいる。
そんな時、ウルが気になっていたことを気にする。
「ねぇ…………恋人でもできた?」
「――ブフゥッ!!」
本題でも尋ねてくるかと思いきや、予想外なことを口にしたウルにヴェルが口に含んでいたスープをぶちまけてしまう。
霧状になったスープが机と床を汚し、目の前のウルにも飛び掛かる。だが、ウルはそんなことを気にした様子もない。逆に、反応を示した妹を弄ってやろうと目を輝かせる。
「ねぇねぇねぇねぇ、どうなの? いるの? いないの?」
「――ゴホッゴホッ!! 何言ってんだお前!! いるわけないだろ!!」
「え~……それにしては髪とか前に見た時より整えられているじゃない」
「馬鹿か!? 前別れたのは何年前だと思ってるんだ!? 髪ぐらい整えるようになってる!!」
一緒に住んでいた頃は、特に人に会うことなどなかったし、身内同士であったからあまり外見を気にしなかっただけだ。意中の相手がいるなど決してない。それでも、このような話に耐性がないばかりに、赤面してしまう。
さっきまで人形のような無表情であったヴェルだが、うっすらと顔を赤く染め、言葉を早口に捲し立てる。
「ほらぁ。 貴女の付けてるのって最近噂の口紅じゃない。 前まではこんなの興味持ってなかったのに……誰か落とそうとしてるの?」
「だから何年前の話だ!? アタシも成長してんだ!!」
「年止まってるのに?」
「精神の話だよ!!」
「ついでに胸も」
「ブチ殺されたいのか? というか絶対いらねぇよなぁ? 煽るために言ってるよなぁ?」
怒りをのらりくらりと受け流すウルに苛々して頭を抱えたくなる。毎度毎度、顔を合わせる度に弄ってくる姉。そんな姉をヴェルは苦手としていた。
「~~~~ッ!! いい加減にしろよクソババア!! いい年して色恋沙汰の話を持ってくるんじゃねぇ!!」
「おい、愚妹。 姉に対して敬意が足りてないぞ。 何より、肌をそんなに露出しているお前に言われたくはないぞ売女」
「ハーーーー!? これだからババアは!! 若者の流行に着いていけねぇなぁ!! これが流行りなんだよぉ~。 後これの方が動きやすさとか諸々考えたら、最適なんだ!!」
「ババアババアうるせぇぞクソガキィ!! それと諸々ってなんだ? あぁ!?」
「うぇ? ええっと……そりゃあ、湿気とか風通しとか――」
「それしかないんだろ?」
「…………」
「はーい、残念でした!! その服に大した利点はありません!! よって貴女は無駄に肌を露出し、若作りをしているババアですぅ~」
「話が繋がってねぇぞババア!! どうしてそうなった!?」
「うるせぇぞ、沈め愚妹」
「テメェが沈めやァ!!」
本当に…………この言い合いが街中に流れなくて良かった。後に二人はそう心の中で呟いた。
「もうやめましょう。 この不毛な争いは」
「――そうだな。 その通りだ」
しばらくの間互いを罵倒し合っていた二人。しかし、ようやくそれが、時間の無駄にしかならないと気付いたのだろう。大きく肩で息をして互いに気分を落ち着かせていく。そして、互いの息が整ったのを見てウルが席へと腰を下ろした。
「それで、今まで何をしていたの?」
久しぶりに再会した妹。特に仲が良いわけでもないし、悪いわけでもない。かと言って、尋ねて来たのに追い返すつもりもない。
手紙では東の方を転々としながら暮らしていると書かれていた。しかし、それはもう二百年前の話だ。
「別に……今はセルスタリアと更に東にある夜の国との間の砂漠地帯の廃墟に住んでる」
「え……大丈夫なの? あそこ何もないじゃない。 そんな所で魔術の研究何てできるの?」
自分の妹が廃墟に――しかも、死んだ土地とも言われている砂漠の地に住んでいると聞いて顔を顰めるウル。飢えで死ぬことはないだろうが、自分では退屈で死にそうになるだろう。
「数百キロ離れた場所に街があるから大丈夫だろ」
「それってセルスタリアの? あそこ、大陸随一の魔物が発生する国じゃない。 年に幾つの街が襲われているわよ。 そんな所を当てにしたら駄目よ」
魔物の発生が群を抜いて多いセルスタリア。噂では最近吸血鬼や巨人も商人達を襲っていると聞く。そのせいで、騎士達の死亡率や武器の消費も馬鹿になっていないらしい。
それでも国が瀬戸際の所で維持できているのは、あそこの剣帝のおかげだろう。
魔物の発生地に赴いている妹を心配するのではなく、研究ができるかどうかしか心配しないウル。血の繋がった妹に向ける言葉ではないが、それをヴェルは気にすることなかった。
「それなら心配ない。 廃墟になった街があるから」
「そうなの?」
「あぁ、何でも自由に取っていける」
「へぇ……いいじゃない」
だってこちらの頭の中も魔術ぐらいしかないからだ。
街が廃墟になっているから何でも取って行って良い。まともな神経をした者ならまずでない言葉。周囲の人々が会話を耳にしていたら眉を顰めていたに違いない。
「それじゃ、そろそろ本題に入りましょう――――何をしに来たの?」
国、大陸随一の魔物の発生を誇るセルスタリア――よりも更に先の砂漠の地。人が来ることができない場所で、一人でひっそりと暮らしていた妹。
いつもなら手紙だけのやり取りで済む。それなのに、わざわざ足を運んだ理由は何なのか、少しばかり興味が湧いていたのだ。
「はぁ…………そうだな。 無駄な言い合いをしに来たわけじゃないんだし」
いつの間にか、机の上にあった紅茶のカップとスープの入った皿がいつの間にか消えていた。それがどこへと消えたのか、それはウルにも分からない。いつもなら新しい魔術に興味をそそられるが、今は妹の方に興味があった。
広々と使えるようになった机の上に肘を置き、ヴェルは口を開く。
「アタシと一緒に夜の国に来てくれないか?」
それは、到底不可能な内容だった。
賑やかな中央通り――その通りにある一つの喫茶店の屋外席(テラス)で、一人の女性が待ちゆく人波を見ながら、片手間にカップを口に運ぶ。
「……遅かったな」
そう呟くが誰も彼女の周りにはいない。
しかし、そんな彼女を周りの人間は気にする様子もない。そもそも最初から可笑しかった。女性の格好は、黒いロングブーツに太ももまで露になるような丈の短いワンピースを着ており、この辺りでは珍しい黒い髪だ。
周りとは身に纏うものが違うというのに人の視線を集めることもない。まるで、そこには誰も居ないかのように周りの人間が女性に気付いていない。――いや、いた。唯一人。女性自身がここに呼び出した人物だ。
「急に連絡するそっちが悪いんじゃないの? これでも私、忙しいのよ?」
黒いローブ、黒いハイヒール、黒い瞳、黒いとんがり帽子、そして、腰まで伸びた黒い長髪。こんな特徴を持つ者はこれまで一人しかいなかった。帝国の皇帝と最も親しいとも言われている宮廷魔術師、ウルだ。
「全く、闘技大会開催中に手紙が来た時は驚いたわ。 東の方に住んでるんじゃなかったの? もしかして、また旅でも始めるつもり?」
「そんなんじゃねぇよ。 テメェに会いに来たに決まってんだろうが」
「あら、予想外」
わざとらしく目を丸くし、口に手を当てて驚いた表情を作る目の前の血の繋がった実の姉を見上げる。
「それでヴェルちゃん。 何をしに来たの?」
「ヴェルちゃんなんて呼ぶんじゃねえ。 名前で呼べ」
「え~~可愛くないから嫌」
昔から何度も繰り返されてきたやり取り。勝手に人の名前を省略してくる姉を睨みつける。唇を尖らせて抗議してくるが、その姿はヴェルーーと呼ばれた女性をただ苛つかせるだけだった。
「そもそも何で名前を変えてんだよ。 探すのに苦労したんだぞ」
「いいじゃない。 ちょこっと変えただけだし、そんなに難しかった?」
「似たような奴が何人もいたんだよっ」
カップを持つ手をワナワナと震わせながら、これまでの苦労を思い出す。ある村に辿り着けば、獣を追い払って欲しいと懇願されたり、今年は豊作にして欲しいと何故か祈られたり、街に辿り着けば、黒い悪魔を退治して欲しいと泣き疲れたりと色々あったのだ。
ちなみに最後の黒い悪魔は家ごと焼却した。家主はどうなったか?――知らない。暗示をかけて金を持たした後は見ていない。恐らくだが、今頃新しい我が家でも買っているのではないだろうか。
「ごめんねぇ。 ちょっと昔、呪術を掛けられて死にそうになってね。 人間社会って何かと恨みを買うのよねぇ」
「何言ってんだ。 呪い程度じゃ死なない癖に」
「正確には死を防いでるんだけどねぇ」
物騒な会話をしているのにウルの表情は笑顔だ。対して、ヴェルは無表情。猫舌なのか、どこからともなく運ばれてきたスープに息を吹きかけて口へと運んでいる。
そんな時、ウルが気になっていたことを気にする。
「ねぇ…………恋人でもできた?」
「――ブフゥッ!!」
本題でも尋ねてくるかと思いきや、予想外なことを口にしたウルにヴェルが口に含んでいたスープをぶちまけてしまう。
霧状になったスープが机と床を汚し、目の前のウルにも飛び掛かる。だが、ウルはそんなことを気にした様子もない。逆に、反応を示した妹を弄ってやろうと目を輝かせる。
「ねぇねぇねぇねぇ、どうなの? いるの? いないの?」
「――ゴホッゴホッ!! 何言ってんだお前!! いるわけないだろ!!」
「え~……それにしては髪とか前に見た時より整えられているじゃない」
「馬鹿か!? 前別れたのは何年前だと思ってるんだ!? 髪ぐらい整えるようになってる!!」
一緒に住んでいた頃は、特に人に会うことなどなかったし、身内同士であったからあまり外見を気にしなかっただけだ。意中の相手がいるなど決してない。それでも、このような話に耐性がないばかりに、赤面してしまう。
さっきまで人形のような無表情であったヴェルだが、うっすらと顔を赤く染め、言葉を早口に捲し立てる。
「ほらぁ。 貴女の付けてるのって最近噂の口紅じゃない。 前まではこんなの興味持ってなかったのに……誰か落とそうとしてるの?」
「だから何年前の話だ!? アタシも成長してんだ!!」
「年止まってるのに?」
「精神の話だよ!!」
「ついでに胸も」
「ブチ殺されたいのか? というか絶対いらねぇよなぁ? 煽るために言ってるよなぁ?」
怒りをのらりくらりと受け流すウルに苛々して頭を抱えたくなる。毎度毎度、顔を合わせる度に弄ってくる姉。そんな姉をヴェルは苦手としていた。
「~~~~ッ!! いい加減にしろよクソババア!! いい年して色恋沙汰の話を持ってくるんじゃねぇ!!」
「おい、愚妹。 姉に対して敬意が足りてないぞ。 何より、肌をそんなに露出しているお前に言われたくはないぞ売女」
「ハーーーー!? これだからババアは!! 若者の流行に着いていけねぇなぁ!! これが流行りなんだよぉ~。 後これの方が動きやすさとか諸々考えたら、最適なんだ!!」
「ババアババアうるせぇぞクソガキィ!! それと諸々ってなんだ? あぁ!?」
「うぇ? ええっと……そりゃあ、湿気とか風通しとか――」
「それしかないんだろ?」
「…………」
「はーい、残念でした!! その服に大した利点はありません!! よって貴女は無駄に肌を露出し、若作りをしているババアですぅ~」
「話が繋がってねぇぞババア!! どうしてそうなった!?」
「うるせぇぞ、沈め愚妹」
「テメェが沈めやァ!!」
本当に…………この言い合いが街中に流れなくて良かった。後に二人はそう心の中で呟いた。
「もうやめましょう。 この不毛な争いは」
「――そうだな。 その通りだ」
しばらくの間互いを罵倒し合っていた二人。しかし、ようやくそれが、時間の無駄にしかならないと気付いたのだろう。大きく肩で息をして互いに気分を落ち着かせていく。そして、互いの息が整ったのを見てウルが席へと腰を下ろした。
「それで、今まで何をしていたの?」
久しぶりに再会した妹。特に仲が良いわけでもないし、悪いわけでもない。かと言って、尋ねて来たのに追い返すつもりもない。
手紙では東の方を転々としながら暮らしていると書かれていた。しかし、それはもう二百年前の話だ。
「別に……今はセルスタリアと更に東にある夜の国との間の砂漠地帯の廃墟に住んでる」
「え……大丈夫なの? あそこ何もないじゃない。 そんな所で魔術の研究何てできるの?」
自分の妹が廃墟に――しかも、死んだ土地とも言われている砂漠の地に住んでいると聞いて顔を顰めるウル。飢えで死ぬことはないだろうが、自分では退屈で死にそうになるだろう。
「数百キロ離れた場所に街があるから大丈夫だろ」
「それってセルスタリアの? あそこ、大陸随一の魔物が発生する国じゃない。 年に幾つの街が襲われているわよ。 そんな所を当てにしたら駄目よ」
魔物の発生が群を抜いて多いセルスタリア。噂では最近吸血鬼や巨人も商人達を襲っていると聞く。そのせいで、騎士達の死亡率や武器の消費も馬鹿になっていないらしい。
それでも国が瀬戸際の所で維持できているのは、あそこの剣帝のおかげだろう。
魔物の発生地に赴いている妹を心配するのではなく、研究ができるかどうかしか心配しないウル。血の繋がった妹に向ける言葉ではないが、それをヴェルは気にすることなかった。
「それなら心配ない。 廃墟になった街があるから」
「そうなの?」
「あぁ、何でも自由に取っていける」
「へぇ……いいじゃない」
だってこちらの頭の中も魔術ぐらいしかないからだ。
街が廃墟になっているから何でも取って行って良い。まともな神経をした者ならまずでない言葉。周囲の人々が会話を耳にしていたら眉を顰めていたに違いない。
「それじゃ、そろそろ本題に入りましょう――――何をしに来たの?」
国、大陸随一の魔物の発生を誇るセルスタリア――よりも更に先の砂漠の地。人が来ることができない場所で、一人でひっそりと暮らしていた妹。
いつもなら手紙だけのやり取りで済む。それなのに、わざわざ足を運んだ理由は何なのか、少しばかり興味が湧いていたのだ。
「はぁ…………そうだな。 無駄な言い合いをしに来たわけじゃないんだし」
いつの間にか、机の上にあった紅茶のカップとスープの入った皿がいつの間にか消えていた。それがどこへと消えたのか、それはウルにも分からない。いつもなら新しい魔術に興味をそそられるが、今は妹の方に興味があった。
広々と使えるようになった机の上に肘を置き、ヴェルは口を開く。
「アタシと一緒に夜の国に来てくれないか?」
それは、到底不可能な内容だった。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
後悔などありません。あなたのことは愛していないので。
あかぎ
恋愛
「お前とは婚約破棄する」
婚約者の突然の宣言に、レイラは言葉を失った。
理由は見知らぬ女ジェシカへのいじめ。
証拠と称される手紙も差し出されたが、筆跡は明らかに自分のものではない。
初対面の相手に嫉妬して傷つけただなど、理不尽にもほどがある。
だが、トールは疑いを信じ込み、ジェシカと共にレイラを糾弾する。
静かに溜息をついたレイラは、彼の目を見据えて言った。
「私、あなたのことなんて全然好きじゃないの」
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる