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天使の誘惑*

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 眠るゆずを起こしながら電車を乗り継いで、ようやく家に到着した。

「やっと着いた」

「響介さん、お風呂先に入っちゃおうか」

「そうだな。俺やるからゆずは座ってて」

「僕がやるよ。僕が寝てる間響介さんずっと起きてたでしょ?ちょっと休んで?」

「でも……」

「いいから。ね?」

「分かった」

 ジャケットを脱ぎながらネクタイと第1ボタンを外し、疲れた体をソファに沈めた。

「ネクタイとジャケットもらうね」

「あぁ、ごめん」

 テキパキとゆずが片付けていると「お風呂が沸きました」という知らせが聞こえた。

「ゆず先に入る?」

「一緒に入らないの?」

「入りたい?」

「入りたい」

 かわいい声で言われて断れるわけがない。
 二人で体を洗い合って、湯船に足をつける。ゆずは長く入る為にいつも低めの温度に設定する。俺の前にゆずを座らせ、浴槽の縁に手を置いて一息つく。

「今日はいい式だったね」

「ゆずを知らない人だらけのところに連れて行ってよかったのかなって不安に思ったんだけど」 

「緊張はしたけど行ってよかったよ」

「そうか」 

「羨ましくなった」

「羨ましい?」

「学生時代の響介さんをみんな知ってるから」

「そんな大したもんじゃないよ」

「高校の時見てるだけじゃなくて話しかけたらよかったな。今こうやって一緒にいられるだけで幸せなのに、どんどん欲が出てきて、響介さんのすべてが欲しくなってしまう……」

「過去はあげられないけど、今と未来の俺は全部ゆずのものだよ?」

「ふふふ、嬉しい。響介さん大好き」

 かわいすぎる。ゆっくり休ませてやりたい気持ちと今すぐ抱きたい気持ちがせめぎ合う。
 今日は休ませてあげようよ。いや、待てよ。挿れずに触り合うだけにすればいいんじゃない?いやいや、声聞いて我慢できんのかよ。挿れたくなるに決まってんだろ。もうやっちゃえよー。いや、ゆずを労らないと。

「響介さん、キスして?」

 振り返ったゆずが上目遣いで見つめた後に目を閉じた。今すぐ抱くに重心が傾く。
 顔を近づけてキスをすると俺の首に手を回してきた。舌を入れてゆずの口腔内をじっくりと堪能する。唇を離すと潤んだ瞳のゆずと目が合った。ヤバい、かわいすぎる。触ったら絶対に止まらない。どうする?葛藤する俺に天使は甘く囁いた。

「しないの?」

「何を?」

「……エッチ」

 俺のなけなしの理性がどこかへ飛んでいきそうになる。まてまて、飛んでいくな。

「ゆっくり休んだ方がいいかと思ったんだけど」

「イヤ、したい」

 したい?したいって言ったよな。そして、ゆずの手が俺の股間を触り始めた。そんな甘い誘惑に抗うなんて事はできるはずもなく、ゆずの体に触れる。

「珍しく積極的だね」

「響介さんは僕のものって感じたいの」

「どうしよう」

「ん?」

「かわいすぎておかしくなりそう」

 俺の方を向いて座ったゆずにキスをしながら乳首を弄る。お尻にも手を這わせて穴を擦るように触るとビクビクと体が揺れて、おれのものを触っていた手の力がだんだんと弱くなる。

「ベッド行こうか」

「うん……」

 体を拭き合い、向かい合って先にゆずの髪の毛を乾かしていると、ゆずが俺のものを触り始めた。

「ゆず、力入んなくなるからストップ」

「ふふふ、やーだ」

「危ないって」

「早く乾かして?」

 何度かゆずの頭にドライヤーを落としそうになりながら乾かし終え「はい、交代」と言ってゆずにドライヤーを手渡す。

「どうして膝立ちなの?」

「乾かしやすいでしょ?」

「あの、でもそれだと……」

「なに?」

「あっ、ダメだよ」

「仕返し」

 先走りが滴るゆずのペニスを口に含んで先端を舐めた。口を離して裏筋を舐めあげるとゴンと頭にドライヤーがあたった。

「いたい……」

「あぁっ、ごめんね。またあてちゃいそうだから舐めないで」

「しょうがないな」

「さっきこんな気持ちだったんだね。ごめんね」

「いいよ。ほら早く乾かして」

「うん」

 待てと言われた犬になった気分だ。目の前にあるのに舐めることができないのだから。

「乾いたよ」

 そう言って頭を撫でられて、目の前のものを舐める事を再開した。手はもちろんゆずのお尻へ這わせる。

「あっあっ、ちょっと……響介さん、待ってよ」

「もう待てできない」

「どういう事?あっ、ベッドで……やぁ、響介さん」

 指を突っ込んでグチュグチュと音を立てながら動かす。ゆずが声を上げ俺の頭を抱え込んだ。ゆずの好きなところを刺激していると「あっあっ、イク……」と言って中イキした。俺の指を締め付けるゆずの中に入りたい。「ゆず、いい?」と聞くと「はやくいれてぇ」と可愛いくおねだりされた。立ち上がってゆずの片足を持ち上げ俺のものを挿れる。

「ひうっ……」

「ゆずこのまま連れてくから掴まって」

「えっ、このまま!?」

 混乱しているゆずを抱き上げて繋がったまま寝室へ移動する。

「あっ、揺れて当たるの気持ちいい」

「そう?」

 気持ちよさそうに喘ぐゆずを押し倒し、両足を持ち上げて奥まで押し込んだ。ゆずの体が仰け反り矯声を上げた。

「愛してる、ゆず」

 泣きそうな顔をした後「ぼくも……愛してる」と言ってくれた。愛おしい。俺のゆず。
 中イキを繰り返すゆずに何度も締め付けられて、自分の気持ちをぶつけるかのように激しく腰を打ち付ける。一気に高みへと誘われて、ゆずの奥に精を吐き出した。一滴残らずゆずの中へと注ぎ込む。
 繋がったままゆずを抱き締めると香り立つ甘い匂いにまた欲望は膨れ上がる。

「ゆず、もう1回いい?」

 優しく微笑んだあとに、頷くゆず。

 それから何度もゆずの中に吐精した。ゆずを前にすると欲望は尽きることがない。

 気がつくとゆずは隣で寝ていた。俺も寝ていたようだ。結局夕飯も食べずにひたすらゆずを抱いてしまった。

「ヤバい、ゆずが汚れたままだ」

 慌てて濡れたタオルでゆずの体を拭いた。俺の精液とゆずの愛液でシーツはぐちゃぐちゃだ。
 こういう時の為に置いたままのもう一つのベッドへとゆずを運ぶ。

「ごめんな、また無理させた」

 ゆずの額に口づけて布団をかけてやる。あれはまた後で片付けることにするか。ゆずの隣に寝転ぶとすぐに睡魔が襲ってきて、幸せな余韻に浸りながら目を閉じた。


「響介さん。そろそろ起きて?朝だよ」

「……」

「響介さーん?」

「……起きてる」

「朝ごはん食べる?」

「……食べる」

「ふふふ、本当に寝起き悪いんだから」

「わるくない……」

 目を擦りながら洗面所に向かって顔を洗う。ちょっと覚醒してきた。
 リビングに入るとコーヒーのいい香りが漂っている。ぼーっとしたまま椅子に座るとゆずがチーズとハムが挟まったホットサンドとコーヒーを置いてくれた。

「今何時?」

 コーヒーを啜りながら尋ねると「10時だよー」という声が聞こえた。自分の分を持ったゆずが前に座った。

「まだ食べてなかったの?」

「そうだよ?」

「食べててよかったのに」

「一緒がいいもん」

「じゃあ、起こしてくれてよかったのに」

「響介さん気持ちよさそうに寝てたから。ごめんね、お腹空いたから起こしちゃったけど」

「俺こそごめん」

「全然いいよ」

 ホットサンドを齧りながら何かを忘れているような気がしてくる。何だろう?……あっ、シーツだ。

「もしかしてシーツ洗濯した?」

「したよ?どうして?」

「あー、俺がやろうと思ってたのに。ごめん」

「僕がやるからいいのに」

「ゆずができる男過ぎる」

「大げさだなー」

「体は大丈夫?ちょっと昨日やりすぎた」

「うん……大丈夫」

 少し赤くなるゆずを見るとからかいたくなってしまう。

「思い出した?」

「えっ……やっ……あの」

「かわいい」

「もう、やめてよ」

 朝から最上の癒やしを浴びて気分が上がる。

「響介さんが前に見たいって言ってた映画配信されてたよ」

「マジで?」

「一緒に見ようよ」

「いいの?」

「うん」

 嬉しそうに笑うゆずを見てつられて笑う。二人で食べ終えた食器を片付けてソファに座り、穏やかで幸せな休日を楽しんだ。
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